帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「東京プロトコル」

「東京プロトコル
ネオ・ウルトラQ』第9話
2013年3月9日放送(第9話)
脚本 いながききよたか・山本あかり
監督 田口清隆

 

吸引怪獣プラーナ
身長 4.5~20m
体重 不明
ある日突然、街中に現れた謎の物体。
排出ガスを無尽蔵に吸収する為、温室効果ガス削減に苦しんでいた日本の経済を救う存在となった。
時を経て黒く膨れ上がっていき遂には爆発して花を咲かせた。

 

物語
東京で地球サミットが開催されて温室効果ガス削減目標が厳格に規定された。達成できない国には厳しい制裁が加えられる事が決まった議定書「東京プロトコル」によって経済活動が停滞し人々の不満が高まる。そんなある日、工場地帯に謎の物体が……。

 

感想
議定書「東京プロトコル」のモデルは京都議定書であろう。
長年問題になっている地球温暖化とエネルギー問題の話であるが、今回はそれに東日本大震災後に起きた原発問題と計画停電の要素も加えられている。
いきなり停電はさすがにありえないと思うが(信号機が急に消えたら交通事故が起きるし、病院とかはどうなっているんだ?)、まさか21世紀に入った日本で停電が身近な話題になるとは2011年以前には思いもしなかった。

 

突然現れたプラーナが温室効果ガスを吸収してくれた事で日本は経済活動に邁進する事が出来て「プラーナ景気」と呼ばれるかつてない好景気に至る。
戦後の高度経済成長やバブル景気を思わせる描写があるが現在の日本だと好景気の描写がどこかおかしいものに見えてしまうのが興味深い。バブル崩壊からの失われた20年で日本にとって好景気は遥か遠いものとなってしまった。(一応、この20年の間にいざなみ景気があるのだが好景気を実感した人は限られていたと思う)

 

プラーナの出現で温室効果ガス削減問題が解消された途端、人々が苦しかった日々を忘れて好景気に沸く描写が愚かで恐ろしい。
特にヒロシの父親は決して愚かな人間ではないと前半で描かれていただけに後半の変貌ぶりが際立っていた。

 

プラーナはどう考えても普通の生物ではないのだが経済活動に有益なので駆除されずにおかれる事となり、やがて人々は街中をプラーナが占める風景にも疑問を抱かずに日々の生活を送るようになる。
そして排出ガスを吸収し続けたプラーナは遂に見た目でも分かる程の変化を遂げるのだが、それでも人々はプラーナを危険と感じながらも具体的に何か被害が出るまで動こうとはしなかった。
爆発したと思われたプラーナは花を咲かす。その形態変化が何を意味しているのか、飛ばされる花粉には何が含まれているのか。考えられる危険は数多くあるのに人々はプラーナが無くならなかった事と今は目に見えて被害が出なかった事に対して呑気に喜んでいる。そして人々が問題から目を背けている間に事態は進行していくのであった……。
おそらくプラーナは原発の暗喩だと思われる。経済活動と密接に繋がっていて危険と思っていても経済の為には置いておくしかない。具体的な被害が出るまで対処を始めない。果たしてその先にどんな事態が待ち構えているのか。考えれば分かる事かもしれないが考えない人には永遠に分からない……。(そう言えば現実世界でも温室効果ガスを削減する為に原子力発電の比重を増やそうと言う考えがあるなぁ)

 

プラーナは何故か日本にだけ出現する。
怪獣作品では何故か日本にだけ怪獣が現れる事が多いが、その結果、日本だけ経済状況が変わったと言う作品は意外と思い浮かばない。

 

今回の話は山本さんのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。