帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ファルマガンとミチル」

「ファルマガンとミチル」
ネオ・ウルトラQ』第10話
2013年3月16日放送(第10話)
脚本 いながききよたか・加藤綾子
監督 中井庸友

 

見習い怪獣ファルマガン
身長 180cm
体重 60kg
枯れ木や木の葉やゴミやガラクタで体が構成された人型の怪獣。
大人しい性格。人語を理解できて出会ったミチルを笑顔にしようと奮闘する。
物を直す能力を持っていて、最後はミチルの足を治すのに全てのエネルギーを使い切って消滅してしまった。

 

物語
二度と歩けないと診断された陸上選手のミチルの前に現れたのは見習い怪獣のファルマガンだった。
物を直す能力を持っていたファルマガンはミチルを笑顔にしようとするが……。

 

感想
冒頭の動き出すファルマガンとラストの自分の足が治って喜ぶミチルが真実に気付いて嘆き悲しむも南風原が再び立ち上がらせる展開は文句無しに良い。しかし、その間のドラマに色々と問題があった話。

 

最大の問題はミチルが初対面のファルマガンを見ても何の驚きも示さなかった事。怪獣が普通にいる世界ならその説明をしてほしかった。
今回は人間と怪獣と言う決して相容れない者達の物語でミチルが最後に「心が繋がっていれば見た目は関係無い」と言う話なので、心が繋がっていない状態では見た目を気にする描写が無ければいけない話だったと思う。南風原もミチルがファルマガンを怖がったり不気味に思ったりしない事を不思議に感じていたので、ファルマガンが見た目で怖がられたり不気味に思われたりする描写は入れるべきだった。

 

南風原は心理カウンセラーとしてミチルと関わっている。「クオ・ヴァディス」で怪獣を「人間の心の闇」と定義していたので、怪獣と関わった人間の心を南風原が探って救っていく話がもっとあっても良かったかも。
今回の南風原はファルマガンの行く末に気付いていたり最後にミチルを再び立ち上がらせたりとしっかりと主人公をしていた。

 

今回の話は昔からよくあるものでファルマガンがミチルのハチミツ漬けを直した辺りで結末が予想出来てしまったところがあり、あえてこの話を2013年に『ネオ・Q』でする必要があったのか疑問が生じるところがある。もう少しウルトラシリーズならではの味付けが欲しかったところ。

 

今回の話に限らないが『ネオ・Q』は基本部分の説明がおざなりな事が多い。
ドラマを展開するにしても、どこが舞台でどのような事情を持った人がいるのか説明してくれないと視聴者はドラマに入り込めない。何でもかんでも説明するのが良いわけではない。でも、ドラマには説明しなくても良い部分と説明しなくてはいけない部分があって、どうも『ネオ・Q』はその線引きがおかしい話が多い印象がある。

 

今回の話は加藤さんのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。

 

今回の話は2013年12月に「『ネオ・ウルトラQ』特別上映part2」の1本として劇場公開された。