帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』

『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』
シリーズ構成 赤星政尚(1stシーズン) 和智正喜(2ndシーズン)
監督 神谷純

 

2013年から稼働したデータカードダス『大怪獣ラッシュ ULTRA FRONTIER』と連動した映像作品でフルCGムービーとして『新列伝』の枠内で展開された。

 

2011年まで稼働していた『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS』の後継作品だが世界観は繋がっていない。
ウルトラマンがいない「プラズマギャラクシー」と言う宇宙が舞台で、プラズマソウルによって巨大化凶暴化したプラズマ怪獣を宇宙人ハンター達がハントしていくと言う地球でのゴールドラッシュのような「大怪獣ラッシュ」が宇宙に巻き起こったと言う設定になっている。

 

後藤正行さんと酉澤安施さんがキャラクターデザインを担当している。
ウルトラシリーズのキャラクターに大幅なアレンジを加えたデザインは後藤さんが挿絵を担当した『Another Genesis』を思い出す。

 

 

ラッシュハンターズ
バルタンバトラー・バレル
(声・平川大輔
ラッシュハンターズに所属するバルタン星人のハンター。母星が爆発した際にただ一人生き残った。
「命知らずな宇宙忍者」の異名を持ち、白色破壊斬、赤色冷凍斬、サイクロンソーサー、ディフェンスブランチ、ツインサイクロンブーメランと多彩な技を持つ実力者。
全滅した同胞の後を追おうとしていた時期もあったがガルムやマグナと行動を共にしていく中で考えが変わっていく。

ガッツガンナー・ガルム(声・高岡瓶々)
ラッシュハンターズに所属するガッツ星人のハンター。経験豊富で「智謀で戦う年長者」としてラッシュハンターズにおける参謀役となっている。
ホークアイショットやエレクトロガトリング砲と言う大型の狙撃銃を使った遠距離攻撃を得意としている。
かつてキングジョーとの戦いで弟が深い傷を負い、その治療費の為に稼ぎに拘るようになった。

マグママスター・マグナ(声・深町寿成)
ラッシュハンターズに所属するマグマ星人のハンター。直情的で分かりやすい性格をしている「若き熱血漢」で突撃しては酷い目に遭っている。
愛用のスティンガーサーベルやライトニングクローによる接近戦を得意としている。かなりの攻撃を受けても大丈夫と言う並外れた頑丈さを持っている。
バレルの事を「ダンナ」又は「バレルっち」、ガルムの事を「ダンナ」又は「オッサン」と呼ぶ。逆にガルムには「ひよっこ」と呼ばれている。
ベロクロンとの戦いで「バーサク」と言う能力に目覚め、プラズマキラーザウルスとの戦いでは七星剣の一つである妖刀ナナマスを使いこなした。

メフィラス星人ジェント(声・藤沼建人)
ラッシュハンターズのハンターリーダー。未知数であったバレル、ガルム、マグナを組ませてラッシュハンターズを結成した。
ラッシュハンターズの仕事に対してかなり厳しい評価を下す。
その正体はプラズマギャラクシーに君臨する七人の英雄「七星剣」の一人で星をも斬り裂く妖刀・破軍の使い手であった。
名前の由来は「紳士(ジェントルマン)」から。

 

カネゴン・ア・キンド(声・うのちひろ
ハンターステーションで店を構えている武器商人。
ハンターにアイテムを売りつけるが不良品が混じっている為にその信頼は低い。
名前の由来は「商人」から。

 

 

「REDKING hunting」
2013年9月18日~10月2日放送(『新列伝』第12話~第14話)

 

どくろ怪獣レッドキング
体の外側に5つ、口の中に一つと全部で1万6千ガネー以上のプラズマソウルを持っている。
知能は低く、ラッシュハンターズの作戦で怒りが爆発したところを追い詰められて最後はマグナに気を取られている隙にガルムによって口の中のプラズマソウルを破壊された。

 

同時期に『新列伝』で展開された『ギンガ』が着ぐるみとミニチュアを使ったアナログ特撮だったのに対して本作はフルCGムービーで制作された。
自分はアナログ特撮に拘っていないのでウルトラシリーズの新しい展開としてアリだと考えている。アナログ特撮は仕組みを知ると小さい物を大きく見せていると言うのが分かってしまって巨大な怪獣を見ても本当は人間と同じ大きさなんだと言うノイズが入ってしまう事がある。それに対してフルCGムービーは実際に巨大な怪獣が描かれているので、大きさの違うキャラクターを組み合わせる場合はアナログ特撮よりCGの方が自然に見える事がある。
本作は神谷監督の拘りもあって2010年代のウルトラシリーズの中でも特に「怪獣作品」している作品だと思う。

 

最初の頃のラッシュハンターズはガルムが自分の取り分だけ気にしたりマグナがスタンドプレーに走ったりとまだまだチームとしての形が出来上がっていなかった。なので今回はチームプレーと言うより個人の能力の高さでしのげたと言う感じになっている。

 

バレルは「宇宙忍者」の異名の通りに多彩な技を披露。この辺りも実写では難しいCGならではと言える。

 

ジェントは口調も丁寧で怒鳴ったりする事も無いのだが、その上から目線と不敵さによってインテリやくざっぽい雰囲気がある。海外のギャングに近いかな?
「もう組んで仕事してるじゃない。プロ、なんですよ、あの連中は」と少し苛立たしげに言うのが怖いが格好良かった。
ジェントと一緒にいるのはケムール人とザラブ星人でこれは『初代マン』の「禁じられた言葉」が元ネタである。

 

カネゴン・ア・キンドはガルムに不良品の地雷を売りつけたが「ま、いっか」で済ませてしまった。これって信用問題なのだが商売人がこれで大丈夫なのか……。

 

ハンターステーションでは様々な宇宙人がハンターTVを見ていた。『スター・ウォーズ』を思わせる光景だった。

 

レッドキングのプラズマソウルは体の外に見える5個だけかと思いきや実は口の中に最後のプラズマソウルがあった。
『初代マン』の「怪彗星ツイフオン」の頃からレッドキングは水爆やら爆弾岩やらとやたらと危険な物を飲み込んでいる気がする。

 

 

「NERONGA hunting」
2013年10月9日~10月16日放送(『新列伝』第15話~第16話)

 

透明怪獣ネロンガ
少なく見積もっても1万8千ガネーのプラズマソウルを持つ。
透明怪獣にして電気怪獣で電気を食べたら一定時間透明になる。
二本の触角と鼻先の角を合わせて放電する。又、プラズマソウルもそこに集中している。
バレルによって電気エネルギーを消耗し、マグナによって新たな電気エネルギーの補給を絶たれたところをガルムによって最後のプラズマソウルを破壊された。

 

正統派のレッドキングに続いて今度は「透明になる」「電気を吸収して攻撃に使う」と言う特殊能力を持つネロンガが登場。
『初代マン』の「科特隊出撃せよ」に登場したネロンガは「電気を吸収したら姿を現す」が今回登場したネロンガは「電気を吸収したら透明になる」と真逆の設定になっている。

 

透明になっても足跡があったら位置が分かると思いきや尻尾の攻撃は見破れないと言う展開が上手かった。
だが、ガルムのクロスショットに備わっている熱探知にはネロンガの居場所が示されていたので、これを使えばネロンガの電気エネルギーを断って実体化させる作戦は必要無かった気もする。(透明にならなくても放電攻撃自体が厄介なので電気エネルギーは消耗させておいた方が良いのだが)

 

『初代マン』のネロンガは四足歩行の着ぐるみの都合で後ろ足は膝を地面に付けて歩いていた。今回もそれに倣っているが、ここは膝を付けていない四足歩行を見たかった。イメージが変わる恐れはあるが、せっかくのCGなので着ぐるみの制約を外した表現をしてほしかった。

 

作戦の発案者であるガルムが7割の取り分を主張した事にマグナは怒るがバレルに残り3割はマグナの好きにして良いと言われて受けてしまう。
マグナの素直さと言うか子供っぽさが出た場面であった。

 

ネロンガが目覚める落雷の多い時間をわざと選んでラッシュハンターズを送り込んだジェント。「言っていませんでしたっけ?」と白々しく答えるのがジェントの不敵さを示していて良かった。

 

 

「DINO-TANK hunting」
2013年9月7日公開

 

戦車怪獣恐竜戦車マークⅡ
推定2万3千ガネー相当のプラズマソウルを持つ。
機動性が高く、接近戦では尻尾を遠距離戦では砲撃を使ってハンターチームを次々に返り討ちにしてきた。
メタル属性なので雷属性の攻撃に弱く、ガルムのショックバレットでダメージを負い、その後はバレルに足止めされているうちにガルムとマグナの攻撃を受け、最後はバレルの攻撃で全てのプラズマソウルを破壊された。

 

『ギンガ』の『劇場スペシャル』と同時上映で公開された。
制作順ではレッドキング編とネロンガ編の次になっているがお披露目されたのは本作が一番最初になっている。

 

劇場公開だからか竹内浩明さんによる主題歌『Rush!! ウルトラフロンティア!!』がオープニングで流されている。
又、「夢を求めて全宇宙の星人達が集まって来る! ゴールドラッシュならぬ大怪獣ラッシュ時代の幕開けである!」と言う本作の世界観の説明とラッシュハンターズの紹介も加えられている。

 

プラズマ怪獣にはそれぞれ属性があって武器にも相性がある。この辺りはゲームっぽい。ドラマでは精神的な要素で逆転する事が多いが実際のゲームではプレイヤーの精神力で逆転と言うのはまず無いので。

 

ガルムとカネゴンのやり取りが面白い話。
安く買い叩きながらも「お得意様へのサービスは商売の基本だろう」と「お得意様=これからも買い続ける」事をちらつかせて、武器を受け取ったら「仕事速いね」と持ち上げる事を忘れない。
こういうやり取り凄く好き。

 

ガルムのショックバレットの放電で恐竜戦車の動きを止めた隙にマグナが近付く作戦。
「誰が放電の中を行くかっつーの!」と抗議するマグナだが、前回のネロンガ編での避雷針姿を見るに放電の中を行っても大丈夫だったんじゃないの?と言う感じがしないでもない。

 

ところで何故「マークⅡ」なのだろうか?
1号機の存在が気になる。

 

 

「ANTLAR hunting」
2014年1月15日~2月5日放送(『新列伝』第29話~第32話)

 

磁力怪獣アントラー
磁力光線で金属を引き寄せて相手の武器を奪い、すり鉢状の巣を作って獲物を引き寄せる。
ラッシュハンターズの攻撃によってプラズマソウルを次々に破壊され、磁力光線も放てなくなったところをダダチームによって最後のプラズマソウルを破壊された。
過去に別個体も出現していて、その時はノダチザムシャーによって倒されたらしい。

 

宇宙怪獣エレキング
口から放電攻撃をする。
最後に残っていた角のプラズマソウルをバレルの自爆技で破壊される。

 

ジェントとガルムの回想でラッシュハンターズの結成場面が語られる。
何を考えているか分からない奴とひよっこのスタンドプレーヤーとは組めないと言うガルムに対してジェントはチームを組めば1万のインセンティブを渡すと言う条件を出す。「目的は何だ?」と訝しるガルムに「興味があるのはインセンティブだけでは?」と最初にガルムが話を断ろうとした時の言い回しを使って説き伏せるジェントがさすがである。
一方のマグナは「厄介な仕事ほど名前が売れる!」と一も二も無く話を引き受けている。こんな調子でいつかカネゴン辺りに騙されないかと流石に心配になってくる……。

 

バラージの街を思わせる砂漠の街での戦い。
巨大な怪獣が街を破壊する場面を見ると、この作品は「怪獣作品」なんだと改めて思う。

 

砂漠の街でマグナと話をしている時にガルムが持っていたカードはハンターライセンスでプラズマ怪獣を倒すとそこにガネーが入金される仕組みになっている。

 

アントラーは磁力光線を発するのでアーマーを付けているマグナと体組成に金属が含まれているバレルが引き寄せられてしまう。
バレルの金属部分は右手に仕込まれている刀だと思われる。元からそう言う種族なのか後天的に武器を内蔵するようになったのかは不明。武器を内蔵しているバルタン星人と言えば『コスモス』の『THE FIRST CONTACT』を思い出す。

 

アントラーと戦うには宇宙剣豪ザムシャーの一族が必要。
ザムシャーの一族は絶縁体の特質を持っている甲冑を身に纏っていて、さらにガルムとかつてチームを組んでいたノダチザムシャーは妖刀・無銘を操る七星剣の一人であった。

 

全滅した同胞の後を追おうとしているバレルをガルムが一喝する。
「ハンターの仕事! それは獲物を狩り、生きて戻る事だ! 死にたければ勝手に死ね! だが! お前はプロだろう……!」。
「大切な人や仲間が悲しむ」とか「死んだ同胞はそう言う事を望んでいない」とか言うウェットな説得ではなくて「金を稼ぐプロなら仕事を全うして生きて戻れ」とドライな説得をするのがガルムらしくて良かった。
子供向け作品でお金を話をすると嫌がる人がいるからかウルトラシリーズでこういう話はあまり無いが、こういう大人を描くのも必要だと思う。

 

同胞の後を追おうと危険な戦い方をしていたバレル。今まで一緒に戦ってきたサーベルやアーマーを捨てられなくて危機に陥るマグナ。
ガルムからしたらバレルもマグナも「甘ちゃんなひよっこ」なんだろうな。
ここで生きて戻る為に最善の策として自分の武器を躊躇無く捨てられるガルムの判断が実に格好良い。

 

アントラーのプラズマソウルも残るは一つ。
ここで手持ちの武器を全て無くしたガルムはトドメをバレルとマグナに任せ、体力を使い果たしたバレルもマグナにトドメを譲る。
最初はマグナを出し抜いてトドメを刺していたガルムが自分の手持ちの武器を全て犠牲にする、つまり、バレルとマグナにトドメを任せられるほど二人をチームとして認め、かつては体力を消耗していても戦いを続けていたバレルが自分の無理を察してマグナにトドメを譲ると無茶をしないようになった。
3人の関係性の変化が実に盛り上がるものだったので、ここでマグナがアントラーにトドメを刺せなかったのは残念だった。

 

ダダチームが登場してアントラーの残された最後のプラズマソウルを横取りの形で取ってしまう。
この回ではいきなり現れて「ダダ……」としか喋らない不気味な存在であったダダチームだが、この回の後日談に当たる公式サイトのWEBコミック版では同族のみでチームを組んで閉ざした世界から出てこようとしない「ダダのカーテン」に隠されたダダ達の複雑な感情が見られる。その外見からいつの間にか女性っぽいイメージが付けられていたダダで展開される男臭い物語が面白い話となっていた。
WEBコミック版の作者は『大怪獣バトル ウルトラアドベンチャー』を手掛けた西川伸司さん。

 

 

「VEROKRON hunting」
2014年3月15日公開

 

ミサイル超獣ベロクロン
全方位ミサイルを発し「歩く火薬庫」と言われている。
バレルとガルムが食い止めている間にアーマーの力を引き出したマグマによってミサイルを口の中に投げ返されて体内から大爆発を起こした。
その爆発は星そのものを消し去ってプラズマキラーザウルスを出現させる事になる。

 

プラズマキラーザウルス
ベロクロンの爆発によって消滅した星の中から出現した。
全身がプラズマソウルによって構成されていて、プラズマソウルを放ちながら宇宙を彷徨う。その事によってプラズマギャラクシー各地に新たなプラズマ怪獣が出現するようになり、真の「大怪獣ラッシュ」が幕を明ける事となった。

 

『ギンガ』の『ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』と同時上映で公開された。

 

やはりベロクロンのような全方位へのミサイル攻撃とCGは合うなぁ。
バレルとガルムもバンバン攻撃していて画面が物凄い事になっていた。

 

『A』の「輝け! ウルトラ五兄弟」を思い出すベロクロンの初登場カット。このアップの場面がベロクロンの巨大さを示している。
実写のベロクロンは直立しているイメージがあるが本作のベロクロンは前傾姿勢を取っている場面がいくつかある。この事によってベロクロンに生物っぽさが出て今までの個体には無かった新しいイメージが生まれている。

 

アーマーの力を引き出したマグナ。いわゆる「覚醒」と言うやつだが今までそのような話が無かったのでちょっと唐突。
アントラー編では果たせなかったバレルとガルムの援護を受けてトドメを刺すマグナが見られたのは良かったが、バルタン星人の話を最初からしていたようにマグマ星人とアーマーの話も最初から触れていたら今回のマグナの覚醒も「遂に来たか!」と言う感じで盛り上がれたと思う。

 

アーマーの力を引き出せるかどうか不安のマグナ。それに対してガルムは「最高の見せ場を用意してやる」として「ひよっこ! 頭なんて使うな! マグマ魂で見っけてみろよ!」とアドバイスする。あのガルムが頭なんて使わないで気持ちで突破しろと言うのが面白い。
ベロクロンを倒すも爆発の巻き添えになりそうなマグナを見たバレルは「もう目の前で仲間が死ぬのは見たくないんでな」と言って助ける。今までは死んだ同胞と言う過去ばかり見ていたバレルがラッシュハンターズと言う今の仲間も見るようになった。

 

ベロクロンの爆発によって星は消滅。その中から現れたのは全身がプラズマソウルで構成されているプラズマキラーザウルスであった。プラズマソウルを放ちながら宇宙を彷徨うプラズマキラーザウルスによってプラズマギャラクシー各地に新たなプラズマ怪獣が出現するようになる。こうして真の「大怪獣ラッシュ」が幕を開ける事となった。
……初見から気になっていたのだが、宇宙各地に凶暴な怪獣が出現するようになったのを人々が喜んでいると言うのは凄いな。ここが他のウルトラ作品とは価値観が異なる『大怪獣ラッシュ』ならではと言える。

 

「ここから始まるんです! 本当の「大怪獣ラッシュ」が!」。
こうして『大怪獣ラッシュ』の1stシーズンは幕を閉じるのであった。

 

 

「SUPER-EARTHGOMORA hunting」
2014年6月24日~7月8日放送(『新列伝』第52話~第54話)

#1「強敵! アースゴモラに挑め!」
#2「炎のハンティング! 逆襲のラッシュハンターズ」
#3「凶悪! 脱獄ハンターズ!」

 

スーパーアースゴモラ
「凶暴さでは並ぶ者無し」と言われているアースゴモラの中でもさらに突然変異を起こしたプラズマ怪獣。
アースゴモラの弱点である催眠弾も効果が薄かったが、土属性なので火を嫌い怖れると言う弱点を利用したラッシュハンターズの作戦によって誘き出されて全てのプラズマソウルを破壊された。

 

『新列伝』で展開されている『ギンガ』が『ギンガS』となって2期目に入ったのと同じく『大怪獣ラッシュ』も2ndシーズンへと突入した。
2ndシーズンからは各話にサブタイトルが付けられて、締めの語りがジェントからカネゴンに代わっている。

 

シリーズ構成が赤星さんから和智正喜さんに代わっている。
和智さんは小説家でウルトラマン仮面ライダーの本も出版している。又、脚本家として神谷監督が担当したアニメ『キングダム』で脚本を書いている。

 

ラッシュハンターズの武器にとある星で手に入れたエネルギーコアが取り付けられて3人の必殺技も新しくなった。
因みにこの改造はカネゴンによって行われたらしい。1stシーズンではいきなり不良品を掴ませると言うとんでもない事をしていたカネゴンだったが今回ははちゃんと仕事をしたようだ。

 

今回のスーパーアースゴモラとの戦いの舞台は巨大遺跡エリア。やはり周りに建物があると怪獣の巨大さがよく分かる。
スーパーアースゴモラが地面に潜る時に超振動波を使ったような演出をしているのが嬉しい。

 

スーパーアースゴモラを倒したのも束の間、脱獄ハンターズによって獲得したプラズマソウルを全て横取りされてしまう。
脱獄ハンターズはギルドの掟を破って他のハンターチームのアガリを掠め取っていると言うガルム曰く「セコイ奴ら」。
こういう世界観ならこういう事を考える奴らが出てきてもおかしくは無い。
今回はヒッポリト星人のケイプ、ナックル星人のジェイラ、デスレ星雲人のダイロが登場したが、あっという間にギルドガードのシックルによってカードにされてしまった。

 

メフィラス星人シックルはギルドガードの一員として脱獄ハンターズを捕らえていた。
同じメフィラス星人のジェントとは過去に何らかの因縁があったらしく回想シーンでは凄まじい戦いが描かれている。
ギルドの掟を守る番人なら良い人なのかと思いきや何故かジェントはシックルを「この宇宙で最も危険な男」と評している。

 

まさかジェントが現場に出て来るとは思わなくて驚いた。
そのジェントは実はプラズマギャラクシーに君臨する七人の英雄「七星剣」の一人で星をも斬り裂く妖刀・破軍の使い手でシックルとの回想シーンでは本当に星を斬り裂くと言うウルトラシリーズ史上でも驚きの事をやっている。
七星剣の一人であるジェントが今はギルドのハンターリーダーになり、一方のシックルが今はギルドガードに属しているのは本来ならおかしい事らしいが、その辺りの詳しい事情は語られなかった。

 

 

「GANDER hunting」
2014年9月9日~9月23日放送(『新列伝』第63話~第65話)

#4「白銀のハンティング!」
#5「神出鬼没! 氷の魔王ガンダー!」
#6「決戦! ガンダー対ラッシュハンターズ」

 

凍結怪獣ガンダー
口から冷凍ガスを吐く。雪の中を自由に動く事が出来、敵の体力を消耗させていく。
チブル星人が乗り捨てたチブローダーストロングの爆発で周囲の雪を吹き飛ばされたところをラッシュハンターズの総攻撃を受けて倒された。
カネゴンの解説では別名は「冷凍怪獣」となっている。

 

#4はスーパーアースゴモラ編の振り返りとなっている。

 

ここからマグナはバレルの事を「バレルのダンナ」ではなく「バレルっち」と呼ぶようになる。親しみが増した?

 

以前から金に執着していたガルムだったが、ここにきてその執着がちょっと異常な感じになってくる。

 

『セブン』の「零下140度の対決」はポール星人の印象が強いが実はガンダーってかなりの強敵だったなぁと言う事を思い出す話。

 

雪原からガンダーの目がニョキっと出る場面は『ティガ』の「いざ鎌倉!」に登場したタラバンを思い出す。

 

今回登場したチブル星人はガルムにちょっとした借りがあるらしい。
『新列伝』では今回のガンダー編が放送された回が「チブル星人エクセラーのファイブキング超解析」でチブル星人エクセラーとガッツ星人ボルストの二人がメインで登場する回であった。同じチブル星人とガッツ星人の組み合わせに思わずニヤリとしてしまう。

 

 

「KING JOE hunting」
2014年9月30日~10月7日放送(『新列伝』第66話~第67話)

#7「宇宙のハンティング! 小惑星帯の戦い!」
#8「チャンスはいちど! マグナ必殺の一撃!」

 

宇宙ロボットキングジョー
ハンターを狩る事を楽しみにしていて過去にはガルムの弟に深い傷を負わせた事がある宿敵。
分離した状態でハンターを翻弄して弱ったところを合体して攻撃する。
合体したらどんなビームもエネルギーに変えてしまうが合体の寸前はビームを吸収する事が出来ず、バレルによって合体を阻止された隙にマグナが撃ったロングレンジ砲によって全てのプラズマソウルを破壊された。

 

こういうロングレンジ攻撃の話を見ると「ヤシマ作戦」を思い出してしまうエヴァ世代。

 

マグナが言うには今回のターゲットは本来ならサタンビートルだったとの事。これはまたマニアックな怪獣を。
サタンビートルは子供に人気のカブトムシ怪獣だからかソフビ化されたりとウルトラ怪獣の中でも優遇されている。『レオ』の「かぶと虫は宇宙の侵略者!」を見る限り子供に人気が出るようには思えないのだが、こういう話を聞くと人気を得るキャラクターを作ると言うのは本当に難しいものなんだなぁと感じる。

 

ガッツ星人のシーズが登場。冷静に状況を見極める「ガッツウォッチャー」で今回はガルムを補佐するスポッター(観測手)として参加している。
シーズはWEBコミック版にも登場していて、その時はマグマ星人のフッグとメトロン星人のウィップとチームを組んでいた。

 

ガルムがロングレンジビーム砲を撃つ場所にはターゲットからの攻撃を防ぐシールドが張られていた。
『新列伝』では今回のキングジョー編が放送された回で『コスモス』の『THE BLUE PLANET』が分割放送されていてK2電波シールドと言うものが登場していた。偶然かもしれないが「シールドを張る」と言う共通点に思わず「おっ!」となる。

 

あのマグナがガルムの無茶を諌めようとする驚きの展開。
「俺には好みのやり方だ。だけど! あんたはそうじゃなかっただろ!」。
他にもバレルの生死を心配したりと今までひよっこだったマグナが皆の心配を出来る程に成長した事が分かる。
この辺りのマグナの意外な冷静さは『ダイナ』の「夢のとりで」で語られた「一人が熱くなればもう一人は冷めてくる」と言うのもあるのかなと思う。

 

キングジョーはガルム兄弟にとって宿敵だったのだが、ガルム兄弟は手酷い逆襲を受けて、深い傷を負った弟は今も治療中。ガルムが稼ぎに拘るのはその治療費を捻出する為であった。
1stシーズンで全滅した同胞の後を追おうとしたバレルをガルムが「ハンターの仕事は生きて戻る事」と怒鳴った事があったが、これは大切な者を亡くしたバレルと大切な者が待っているガルムの違いでもあったわけだ。
因みに今回の戦いで一時は死亡したと思われたバレルだったがキッチリと生きて戻ってきている。

 

少し残念なのはガルム兄弟の話がシーズの言葉のみであった事。ここは回想シーンが欲しかった。ガンダー編の#4がスーパーアースゴモラ編の振り返りだったので、その分の話を今回のキングジョー編に振ってほしかったかな。

 

 

「PLASMA KILLER ZAURUS hunting」
2014年10月14日放送(『新列伝』第68話)

#9「究極のハンティング! プラズマキラーザウルス!」

 

プラズマキラーザウルス
ちょっと削っただけでも普通のプラズマ怪獣何十体分のプラズマソウルを持つ。
宇宙を彷徨う迷い子星の浮遊惑星を巣に冬眠についていた。
圧倒的な攻撃力と防御力を誇り、さらには相手の武器を飲み込む事が出来る。
かつて七星剣の一つである妖刀ナナマスを飲み込んだ事で弱って動けなくなっていた。
浮遊惑星に転送されたラッシュハンターズを襲うが妖刀ナナマスを使ったマグナのボルカニックスラッシュを受けて宇宙に逃走した。

 

プラズマキラーザウルスが持つ大量のプラズマソウルに目を付けたマグナに対しガルムはいくらプラズマソウルが必要でも仲間を危険にさらす程に落ちぶれてはいないと怒るが、マグナは何の話かな?ととぼけて「俺はハンターだからな。ヤバい怪獣を見たら血が騒ぐ。それだけの事だ」と答える。
文字だけ見ればひよっこで若造で半人前でおまけに死にたがり子な台詞だが実際に聞くと違う事が分かる。この辺りのマグナを担当した深町寿成さんの演技が素晴らしかった。

 

全ての武器が使用不能になったかと思われたがマグナはプラズマキラーザウルスのプラズマソウルの中にある剣を取り出す事に成功する。
この時の特攻でマグナが使ったバーサクを見てシックルは何やら思い当たるものがあった模様。
バレルの助言を聞いて取り出した剣の声を聞いたマグナはかつて誰かがプラズマキラーザウルスと戦ったが剣を飲み込まれてしまい、プラズマキラーザウルスも剣の影響で弱って動けなくなっていた事を知る。
そしてマグナは取り出した剣、七星剣の一つである妖刀ナナマスを使ったボルカニックスラッシュでプラズマキラーザウルスを撃退するのであった。

 

1stシーズンはバレル、2ndシーズンはガルムの話が軸となっていた。
マグナメインの話は意外と少ないのだが、バーサクに七星剣にと気になる設定がいくつかあるので3rdシーズンがあったらマグナを軸にした話になっていたのかなと思う。

 

「七星剣復活の時が迫ってきているようです。それは同時にこのプラズマギャラクシーにかつてない動乱が起こる予兆でもあります。しかし、彼らにとってそれは新たな伝説の始まりなのです。新たな「大怪獣ラッシュ」の!」。
こうして『大怪獣ラッシュ』の2ndシーズンが幕を閉じたのであった。