帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「勇者立つ」

「勇者立つ ー宇宙戦闘獣コッヴ マグマ怪地底獣ギール登場ー
ウルトラマンガイア』第2話
1998年9月12日放送(第2話)
脚本 小中千昭
監督 村石宏實
特技監督 佐川和夫

 

宇宙戦闘獣コッヴ
身長 77m
体重 8万8千t
額から発する光線と両手の鎌でガイアを追い詰めるがガイアのフォトンエッジを受けて蒸発する。
実は本来の機能は都市の破壊ではなくて地球に災厄をもたらす存在となる怪獣を目覚めさせる事であった。

 

マグマ怪地底獣ギール
身長 84m
体重 9万t
コッヴが蒸発した地点の真下から出現した巨大生物。
人間が今まで知らなかった地球の巨大生物でコッヴによって目覚めさせられたらしい。
鋭い牙で噛み付き、開いた腹部から火球を発射する。
背後は強固だが腹部は弱く、チーム・ライトニングとチーム・ハーキュリーズの援護を受けたガイアのフォトンエッジを受けて爆発する。

 

物語
ウルトラマンになった我夢は辛くもコッヴを倒す。
戦う事を決意した我夢はXIGへの入隊を希望する。
そして次なる怪獣ギールが地底から現れる。

 

感想
ガイアの初戦は圧倒的な強さを見せたティガやダイナと違ってどこか頼りなくていきなりの苦戦であった。
ここは既に特別チームの隊員であったダイゴやアスカと違って肉体も鍛えていない一般の学生である我夢らしさが出ていた。

 

ティガやダイナがいつの間にか技を使えたのに対してガイアは我夢が粒子加速領域でガイアの戦いを見ていたのでフォトンエッジと言う技を知っていたと言うのが細かくて良かった。

 

ガイアから元の姿に戻った我夢は目の前にある光を研究室から持ち出していた光電子管に保管する。
もしXIGのカメラがガイアをもう少し追っていたら我夢の正体はここでバレていた。(実際、前作の『ダイナ』はこのパターンでゴンドウ参謀に正体がバレてしまっている)

 

『ティガ』でダイゴが長い時間をかけて見付けた「皆を守る為に戦う」と言う言葉を『ダイナ』のアスカはわずか2話であっさりと言ってのけ、そのアスカが最終回で宣言した「俺はウルトラマンだ」を我夢は2話であっさり言ってのけた。
舞台となる世界は異なっているがテーマは繋がっているところがあるのはシリーズものならではである。

 

雲海に浮かぶエリアル・ベースがカッコイイ!
でも、こんな基地を極秘裏に建設するのは大変だっただろうなぁ。
ウルトラシリーズで秘密基地だったのは『セブン』のウルトラ警備隊、『USA』のウルトラフォース、『ガイア』のXIG、『ネクサス』のナイトレイダー辺りかな。気のせいか、普通の基地より建設が大変そうなものばかりである。

 

エリアル・ベースで我夢は「僕をXIGに入れてください! 僕はここに入るべきなんです! いや、入りたいんです!」と訴え、石室コマンダーの「君は科学者としてやるべき事があるんじゃないのか?」と言う反対を受けても「僕はXIGに入って戦いたいんです!」と改めて自分の気持ちを強く訴える。
ウルトラシリーズの科学者は研究室に篭って頭で考えるタイプと現場に行って肌で感じるタイプの二種類がいるが我夢は後者のようだ。

 

「ファイターでの戦い方にアドバイスがある」と言う我夢をチーム・ライトニングは「パイロット経験の無い民間人」として一笑に付するが、実際に我夢がフライング・シミュレーターでハイスコアを出すと北田と大河原は驚きを隠せず、元トップガンのプライドを傷付けられた梶尾リーダーは「ここはゲームセンターじゃない」と不満を露わにする。
そこにやって来たチーム・ファルコンは「未知の領域のマシンに対するアドバイスは貴重だ」と大人の発言。コッヴとの戦いでライトニングが撃墜されたのは通常のジェット機とは違うファイターを通常のジェット機と同じように操縦したからなのでこの指摘は正しい。

 

フライング・シミュレーター中に我夢の意識は再び粒子加速領域にシンクロして我夢はウルトラマンと再会する。
「君は今、僕の中に……。君は僕なんだね。破滅を招く者から地球を守る者。だから僕はXIGに入ったよ。でもウルトラマン、君はどこから来たの? 君は誰?」。
しかし、ガイアは何も答えない。

 

XIGは根源的破滅招来体の襲来に備えて設立された組織。ウルトラシリーズでまだ現れていない脅威に対して予め設立された特別チームはXIGの他にもあるが、XIGは特別チームの中でも軍事的側面が強い為にその存在に色々と疑問が呈されていく事になる。
ただ結論を言うと実際にXIGやG.U.A.R.Dが裏で何か企んでいると言う事は無かった。ウルトラマンの調査くらいはしていそうな組織なので意外。

 

国会でG.U.A.R.Dについて会見する総理の「無用な混乱を避ける為にXIGの存在を隠していた」と言う説明を聞いた田端さんは「混乱させているのはそっちだ」と吐き捨てる。
本作での田端さんの役割は「XIGやG.U.A.R.Dの設定を民間やマスコミの立場から見て疑問を呈していく」なのだが、田端役の円谷浩さんが病気で出演が限られてしまったからか、この役割はあまり描かれなかったところがある。
この田端さんの役割は後に『ネクサス』の根来に継がれたところがある。

 

ウルトラマンは敵なのか味方なのか?」と言うXIGの質問に対してダニエル議長は「ウルトラマンに関するデータは持っていないが敵ではないと思う」と答え、それに続けて我夢は「ウルトラマンは僕達の友達だ」と宣言する。
「仲間」とか「味方」ではなく「友達」と言う言い方はちょっと違和感を覚える。言わんとする事は同じなのだが、こういう言い方も含めて我夢は子供っぽい。
我夢がガイアを友達と言うのは分かるが、ダニエル議長がガイアは敵ではないと言ったのはちょっと驚いた。何を根拠にそう思ったのだろうか?

 

エリアル・ベースを驚き喜びながら見て回る我夢をアッコは「子供」と評する。確かにこの時の我夢は子供っぽかった。
その後もアッコはXIGに入隊した我夢に対してダニエル議長が入隊した方が良かったと言ったり我夢の握手に応じなかったりと、さすがに人間性を心配してしまう程の態度を見せる。
因みにアッコの好みが子供っぽくない人なのかと言うと実は梶尾リーダーもかなりの子供なのでそうでもない。では、ダニエル議長みたいなのが好みかと言うと、こちらもこの後にそういう言動が無いのでそうでもなさそう。
となれば、この時のアッコは単に我夢に意地を張っていただけだと考えられる。ひょっとしたら、もう気になる存在になっていて、あえて反発していたのかもしれない。実際、ギールとの戦いで我夢が危機に陥った時はちゃんと心配していたので本気で嫌っているわけではないはず。こういうのはラヴコメの超王道なのだがウルトラシリーズではちょっと珍しい。

 

XIGに入隊した我夢が隊員服に着替える。因みにXIGの隊員服は『セブン』のウルトラ警備隊をモデルにしているらしい。
ピースキャリーで先行して早期警戒に当たる事になる我夢。初の出動で緊張している雰囲気が良い。そう言えばウルトラシリーズで初めての出動による緊張ってあまり描かれないかな。

 

コッヴが蒸発した地点に地底からギールが現れる。
この時点のXIGは地球に脅威をもたらす存在は宇宙から来ると考えていたようで堤チーフはギールを宇宙から来て眠っていたと考えるが我夢は人間の知らない巨大生物が地球に存在していたと言う考えに至る。
ギールの出現に石室コマンダーはコッヴの目的は都市破壊ではなく地球に災厄をもたらす存在となる怪獣を目覚めさせる事だったと推測する。
ウルトラシリーズの怪獣は地球出身の怪獣と宇宙からの怪獣に大きく分けられるが、コッヴと言う宇宙から来た怪獣を使って地球出身の怪獣が出現する理由付けもすると言うのが上手かった。

 

ウルトラシリーズでは珍しいタンク型の装備バイソンでチーム・ハーキュリーズが登場。短い出番であったが男臭い印象は十分に残った。
ギールの背後が強固だからハーキュリーズで地上から腹部を攻撃すると言うのはチームを複数保有しているXIGならではの展開。こう言うのはもっと増やしてほしいがTVシリーズの時間と予算だと中々難しいかな。

 

コッヴに撃墜されたわずか数時間後には傷一つ無くブリーフィングを行っていたライトニング。
梶尾リーダーは初陣の失態は次回必ず挽回しますと宣言するが「素人」と馬鹿にした我夢のアドバイスを無視した為に危うくギールに撃墜されるところだった。それでもギールに苦戦するガイアを援護して初陣の失態は挽回したところはさすが。

 

戦闘中に勝手にピースキャリーから降りてしまう我夢に気付かない堤チーフと神山リーダーがちょっとマヌケに見えてしまって残念。

 

我夢のウルトラマンの光を入れた光電子管を掲げての変身が初代マンっぽくて良い。

 

ガイアのフォトンエッジは他のウルトラマンとは違った必殺技で印象に残る。ウルトラマンもかなりの数になってきたので両腕を合わせる以外の必殺技をもっと増やしても良いかなと思う。

 

戦いが終わって空を飛んで去って行くガイアを見た堤チーフは「ウルトラマン、か……」と笑顔で敬礼する。
以降、XIGはガイアを完全に味方として扱う事になる。

 

ガイアから元の姿に戻った我夢は疲労でフラフラに……。
いくら巨人に変身していると言っても凄まじいパワーとスピードと強靱さを誇る怪獣と戦うので体がフラフラになってしまうのは当然である。

 

勝手な行動を取った我夢に堤チーフからの通信が入る。
「そこから逃げるな! 待っていろ。お前の身柄は俺が預かっている。勝手なマネをしたらどうなるか……じっくり教えてやる」。
怖そうな雰囲気であるが堤チーフの性格が分かってくると言うほど怖い説教ではないのかなと思えてくる。