帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「シーガル飛びたつ」

「シーガル飛びたつ ー光熱魔石レザイト登場ー
ウルトラマンガイア』第9話
1998年10月31日放送(第9話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 村石宏實

 

光熱魔石レザイト
身長 45m
体重 5万t~400万t
宇宙から落下して来た謎の巨大物体。
超高熱で赤く光りメルトダウンを始める。地下に天然ガスのパイプラインがあるので都内一帯がガス爆発に襲われる危険が生じる。
温度を上昇させる事で高密度化して急激に重くなっていたので液体窒素弾で冷却されると高密度分子間のバランスが崩れて形状が変化し重量も80倍になった。
膨大な質量によって周囲に強力な重力場を発生させかけ、関東全域を飲み込んで沈み始めるが、リパルサーミサイルで体内にマイナスの質量を発生させられて重力場を破壊される。
角を伸ばしたり絡めとったりするがガイアの全身発光でダメージを受け最後は投げ飛ばされたところをフォトンエッジで倒された。

 

物語
宇宙から赤く光る巨大物体が落下して超高熱でメルトダウンを起こす。
XIGはミッションを開始しようとするがミッション・エリアに人がいる事が判明し、レスキュー部隊のチーム・シーガルに出動命令が下る。

 

感想
今回の話からウルトラシリーズで最も多くの隊員を抱えるXIGのチーム紹介編となる。
今回はウルトラシリーズでは珍しいレスキュー部隊が登場。ウルトラシリーズは毎回街が破壊されているので無い方が不自然であった。

 

チーム・シーガルは今まで一度も出動した事が無いらしいが『ガイア』で怪獣が人のいない所に現れたのは砂漠地帯を舞台にした「その名はガイア」と避難が完了していた「あざ笑う眼」と「46億年の亡霊」だけで、それ以外の話では人が残っている街が襲われているのでシーガルが出動していないのはおかしい気がするのだが……。

 

ピースキャリーのパイロットとして登場していた神山リーダーがシーガルのリーダーでもある事が判明。
今までサングラスをかけていたがシーガル関係では外している事が多い。神山なりの気持ちの切り替えなのだろうか。
今回はピースキャリーは登場していない。神山リーダーをシーガルとして登場させる為なのだが、いつも登場している機体が説明無しに登場しないのはちょっと気になる。どうせなら最初はピースキャリーで現場に出動して、シーガル出動が決まったら神山リーダーがサングラスを外してピースキャリーからシーガル・フローターが発進する展開にした方が良かったと思う。

 

こちらもウルトラシリーズでは無い方が不自然な民間による怪獣被災者援助組織。
ウルトラシリーズウルトラマンと怪獣の戦いが軸になっているのでメインで何度も扱うのは難しいと思われるがレスキュー部隊や怪獣被災者援助組織の登場は世界観の確立に役立っていた。

 

いつもは我夢や堤チーフの判断を尊重して自分は最終的な命令を下すだけだった石室コマンダーだが今回は自ら液体窒素弾による冷却作戦を指示している。
今回の石室コマンダーはシーガルによる救出を心配そうに見守っていたりと人間味あるところが見られる。特に「何もしてやれないのか……」と呟くのが印象的だった。

 

倒壊したビル内部から携帯電話で救助を呼ぶ怪獣災害基金の二人。その後のシーガルによる救出シーンは様々な作品でよく見られるものなのだが、これがウルトラシリーズで描かれた事に大きな意味があると思う。

 

ジオ・ベースから届けられたリパルサーリフト搭載のミサイル。どういう原理なのかよく分からないがレザイトの体内にマイナスの質量を発生させて重力場を破壊するものらしい。沈むレザイトに対して浮くリパルサーと言う事かな。

 

レザイトが動いた事でビルの倒壊が進んで救助を待つ人の生死が分からなくなった松尾は絶望に襲われるが神山リーダーは冷静に語りかける。
「辛ければフローターに戻ってマイクルと交代しろ。……。レスキューって仕事はな、救助を待ち望んだ人間の力尽きて息絶えた遺体を運ばなければならない時もある。ようやく助け出した人の命が自分の腕の中で消えていくのを見なければならない時もある。それでも自分の手で一つでも命が救えるのなら……。そう思わなければやっていけない」。
その言葉を聞いた松尾は決意を新たにして救出作業を再開し遂に救助を待つ人を発見するのだった。
救助を待っていた人を助けられなかったと言うのはレスキューものでは何度か見られる話ではあるが子供向け作品のウルトラシリーズで「助けが間に合わなくて命を落とす人もいる」とはっきり言ったのは衝撃でスタッフの覚悟を感じた。

 

レザイトの攻撃を受けてイジェクト不能となった大河原を助けるガイア。
人々を守るXIGをさらにガイアが守ると言う構図になっていて本作がウルトラシリーズである事を再認識する場面となっている。

 

九死に一生 私は助かった!』と言う番組でシーガルに救助された人々にインタビューする玲子は「チーム・シーガルの松尾」に助けられたと言う平川の言葉を「チム・シガル・マッツオ」と言うイタリア人に助けられたと伝えてしまう。
これにはさすがに驚く松尾。TV画面の平川に向かって「チーム・シーガルの松尾ですよぉー!」と叫ぶが叫ぶ相手は玲子の方だと思う。この頃の玲子は完全にギャグキャラクターであった。

 

怪獣図鑑を見てレザイトの体重が400万tである事を知って驚いた。ガイア、結構普通に放り投げていたんですけれど……。