帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「雨がやんだら」

「雨がやんだら ー奇怪生命ディーンツ登場ー
ウルトラマンガイア』第15話
1998年12月12日放送(第15話)
脚本 右田昌万
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

奇怪生命マザーディーンツ
身長 50m
体重 6万4千t
ある夜に降った緑の雨はナノサイズ型の根源的破滅招来体で一滴の中に30億から40億の微生物が存在していた。特殊な放射性物質を含む地球外生物で死んだ動物のたんぱく質を活性化させゾンビとして蘇らせる。しかし、これは派生的な側面に過ぎず、不法投棄されたクローン臓器を宿主にして怪獣体となると体液を浴びせた人間の遺伝子を変異させて染みにして魂を吸い取っていった。
巣である倉庫にはマザーがいて、マザーが吐いた体液から小型のディーンツが次々に誕生していく。小型のディーンツはジェクターガンで倒されたがマザーは巨大化してガイアと戦った。
触角から緑の光線を撃って人間を染みにする。そこら辺にある塔を引っこ抜いて武器にする。循環器系統に染みから人間を元に戻す効力がある。
ガイアのクロスカウンターで倒され、そのまま宇宙へ運ばれた。その後、空から降ってきた光を浴びた染みは人間に戻る事が出来た。

 

物語
緑の雨が街を覆った翌日、動物の死体が動き始めると言う事件が起きる。
取材に来たKCBはその街でクローン臓器移植を待つ少女と出会う。

 

感想
北浦監督らしいブラックユーモアな演出が見られる話だが、クローン臓器や不法投棄と言った重い内容だったので、この演出で良かったのかと言う疑問が生じた話だった。

 

艶かしいディーンツの喘ぎ声。
どうしてこんな声を出すようになったのだろうか?
このディーンツをミコちゃんのクローンと考えるのは何かヤダなぁ……。

 

緑の雨を浴びた動物の死体が次々と蘇ったとして取材にやって来たKCB。
劇中では意外とあっさり流されていたがゾンビ出現って結構凄い事なのでは……?

 

XIGが調査に乗り出している事を知った玲子はXIGより先に緑の雨の真相を突き止めようと考える。
最初の頃は怪獣出現にパニクっていたが何度も遭遇するうちに感覚が麻痺してきた感じ。

 

今回の話のテーマの一つである医療廃棄物の不法投棄。
冒頭でトラックの運転手が棄てたものはクローン臓器。棄てたクローン臓器が無くなった事に運転手は「野良犬が喰っちまった」と言っている。さり気にグロイなぁ……。
後に病院の責任者が廃棄物の処分までに心を配っていれば……と悔やんでいたが、それ以上はあまり突っ込まれなかった。

 

緑の雨を分析する我夢のパソコン画面にいきなり現れた藤宮はそのままウェイトトレーニングをしながら緑の雨について説明を始める。苦しそうに喋っていたが、ウェイトトレーニングしながら喋るのが苦しいのなら止めてから喋れば良いのに……。

 

玲子が見た病院の窓で不安な表情を浮かべていたミコちゃん。
物心ついた時から手術手術で胸なんか手術の痕で一杯らしい。さり気に重い……。
今度、世界で初めてクローン臓器を体の中に入れる手術を受ける事になる。患者自身の遺伝子からクローン臓器を生成する事で免疫力の問題を克服できるとの事。
それにしても世界で初めてクローン臓器を使用するのに殆ど知られていないのはおかしい。世界中から取材が来そうなものなのだが……。

 

皆には明るく振舞っているが本当は怖くて仕方が無かったミコちゃん。
その気持ちを感じた玲子は自分の過去を語り出す。
子供の時は人と話すのが怖くて、頑張っても小さな声しか出せず、皆にバカにされ、一生喋らないと意地になった事もあった。でも、今は何故かアナウンサーと言う喋る仕事に就いている。その理由は自分にも分からないが、多分、子供の時に喋らなかった分を取り返そうとしているのだろう。
そして最後に玲子はミコちゃんに今まで苦しかった分これからは楽しい事を考えていこうと励ます。
これまでは単に事件に巻き込まれるだけだった玲子の人物像が初めて詳しく描かれた。この前向きな考え方がやがて藤宮を変えていく事になる。

 

ディーンツに襲われる四丁目の堀江さんは『ダイナ』でフォーガスに襲われたガードマンと同じ二家本さん。
『ダイナ』と『ガイア』は舞台となっている世界が違うが、ひょっとしたら、超時空(マルチバース)を超えてきたのかもしれない。

 

小型ディーンツを撃つ我夢。
撃ち漏らさなかったところを見ると現時点の我夢は梶尾リーダーよりは銃の腕はあると思われる。

 

小型ディーンツの後を尾けていく堤チーフだが今回はチーム・ライトニングは連れていかなかった。やはり「野獣包囲網」でのヘタレ具合が駄目だったのかな。

 

我夢に声をかける田端さん。我夢とKCBが顔を合わせるのは今回が初めてかな。
TVの取材と知った我夢は自分はもうそんなに有名人なのかと喜ぶ。
アナタ、過去にアルケミー・スターズとして何度かTVに出ているんじゃないの?

 

ディーンツに溶かされた人間の染みに電流を流すとマンガみたいな目が現れる。さらに口も無いのに何故か喋る。テレパシーみたいなものなのかな?
染みの正体が溶かされた人間だと知っていながら平気で踏んでいく田端さんとリンブンはどうかと思う。レポートできなくなった玲子に田端さんは「それでもプロか」と怒っていたが、そういうアンタは人間かと突っ込みたくなる場面。

 

ディーンツが暴れ回る中で行われるミコちゃんの手術。
今日明日手術しなければ命が危ないとか医者の予定が押さえられないとかではないのだから、なにもこんな日に手術をしなくてもよいのにと思ってしまう。
そう言えば、ミコちゃんの家族が一切登場していないがどうしたのだろう? 手術の日ぐらい来ると思うのだが……。

 

染みにされた人々の呻き声に苦しむ玲子。そこにいつものようにいきなり現れる藤宮。
藤宮「染みにされた方が幸せかもな。いずれ人間は滅ぶ! その時になってジタバタあがくより染みの方が潔いじゃないか」、
玲子「ジタバタあがいたっていいじゃない! キレイじゃない! 破滅招来体だろうが植木鉢が上から落ちてこようが人間死ぬ時は死ぬんだから! でもね、人間は死を待つ為になんかあるんじゃない。今、何をしようが、どうしようかって精一杯生きていく。人間はその為にあるんじゃない!」、
藤宮「……」。
藤宮には悪いが染みにされた人間がそんなに潔いようには見えないのだが……。

 

玲子「アンタ、見かけは若いけれど頭の中相当老けているよ」、
藤宮「次の時代を見るのは俺だけだ」、
玲子「見れば?」。
ここまで藤宮の言葉をあっさりと切り捨てられる玲子が凄い。
おそらく藤宮の周りに今までいなかったタイプであろう。
だからか、藤宮は知らず知らずのうちに玲子に関わるようになっていく。

 

玲子が得た染みにされた人間を元に戻す方法をガイアに伝えろと告げる藤宮。
玲子は「ウルトラマンが何語を喋っているのか知らない」と言うが藤宮は「君が普段使っている言葉で通じる」と教える。
言われてみれば、ウルトラマンみたいな人間とは異質の存在が人間と同じ言葉を使っていると考える方がおかしいのかもしれないが自分は今まで気にした事が無かった。こういう意外と気付かないところを突いてくれた時ってある種の快感を覚える。

 

「世界で初めてクローン臓器を付けた感想は?」と言う玲子の質問にミコちゃんは「体が軽くなってヴァージョンアップした感じ!」と答える。
実は『ガイア』の劇中で「ヴァージョンアップ」と言う言葉が使われたのはこれが初めて。

 

『ガイア』では今回の話までに脚本を担当した7人を「チーム・ライターズ」と呼称していたらしい。
今回の話を担当した右田さんはわずか3回の登板であるがかなり重要な話を担当している。