帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「怪獣一本釣り」

「怪獣一本釣り ーモグルドン登場ー
ウルトラマンコスモス』第6話
2001年8月11日放送(第6話)
脚本 増田貴彦
監督 市野龍一
特技監督 村石宏實

 

地中怪獣モグルドン
身長 55m
体重 6万4千t
工事現場にマグニチュード8の地震を発生させた。
モグラやネズミのようにある種の電磁波に弱く、地下鉄調査用やモンスターキャッチャーのマイクロ波に反応した。
地上に長さ92mもの尻尾だけ出して鞭のように攻撃し、腹部にある人面のような模様で相手を眩惑する。
ドイガキ隊員が立案・実行した「怪獣一本釣り作戦」によって全身を地上に引きずり出され、コスモスによって自分の尻尾でがんじがらめにされて動けなくなったところをフルムーンレクトで眠らされて鏑矢諸島に移送された。
「モグルドン」はドイガキ隊員の命名。ムサシとアヤノ隊員はどのような名前を考えていたのか気になる。
カツオとモグラが混ざり合ったようなデザインでつぶらなオメメが印象的。

 

物語
テックサンダー3号が苦手で飛行訓練に苦戦するドイガキ隊員。
現れた怪獣モグルドンに対して「怪獣一本釣り作戦」を提案するが自分がテックサンダー3号に乗って実行する事になってしまう。

 

感想
デフォルメされた怪獣や登場人物、分かりやすい作戦、全体に漂うホノボノとした雰囲気と『コスモス』の基本が詰まっている話。「怪獣保護」と言っても「人間と怪獣は共存できるのか?」と小難しく考える話ではないので一部のファンには物足りないところもあったと思うが、こういうノンビリホノボノとした話も『初代マン』の頃からあったウルトラシリーズの定番と言える。

 

今回はドイガキ隊員の苦手克服話の側面もあって、テックサンダー3号と父親と言う自分に合わない苦手なものを克服していったのだが、その過程は両者で少し違っている。
テックサンダー3号は冷静沈着なシノブリーダーの厳しい指導の下で1日3時間の飛行訓練を行うと時間をかけて克服していったのに対し、父親は母親を介してであるが怪獣一本釣り作戦の時にぶっつけ本番で会話を交わして克服している。

 

苦手なテックサンダー3号を集中訓練する事になってゲンナリするドイガキ隊員だが、教えるシノブリーダーは逆に上機嫌。からかいが入っていると言うかSっぽい。シノブリーダーらしいと言えばらしいかも。
「飛行訓練の結果、0点」、
「大丈夫。私がみっちり鍛えてあげるから」、
「48点てところかしら。はい、もう一回」。

 

今回はドイガキ隊員の紹介話で高知県出身で代々カツオ業を営んでいたがドイガキ隊員は継がなかった事が判明。
父親は無口で偏屈でよく怒鳴り、ドイガキ隊員が大学に進学する時もかなり揉めて現在は勘当状態との事。
ウルトラシリーズで隊員の両親が登場するのは意外と珍しい。

 

アタッシュケースから大層に何を出したかと思ったら実は紙芝居だったのにクスリと笑えた。
何かにつけて拍手をするアヤノ隊員がカワイイ。
ドイガキ隊員が提案した作戦は地表近くに現れたモグルドンをテックサンダー3号装備のマーカーショットで捕捉し、同時にテックサンダー2号が上空から高出力のマイクロウェーブを照射して追い込み、地上に出てきた尻尾にテックサンダー随一のハイパワーを持つ3号のケーブル弾を打ち込んでワイヤーで胴体を吊り上げると言うものだった。この「怪獣一本釣り作戦」は実家が漁師ならではの発想で面白かった。
ところでランドダイバーはこの時期はまだ投入されていなかったのかな?

 

「怪獣一本釣り、オペレーションスタート!」と同時に釣りのマネをするヒウラキャップとアヤノ隊員。こういう事が出来る特別チームは他はZATくらいかな?
パニクったドイガキ隊員が携帯電話で実家に一本釣りの仕方を教わったのには笑った。
ムサシ「何やってんですか? こんな時に!」、
ドイガキ「こんな時だから掛けてんだろ!」。
いや、せめて作戦前に掛けろよ。
電話を受け取った父親は無言で切ってしまうが、その後、母親に電話させて一本釣りの仕方を教える。
無言だが酒を注いだカップで会話をする父親の演出が見事。
ドイガキ隊員と父親は劇中ではまともに会話していないのにちゃんと二人の話が成り立っている。

 

どうやら今回の作戦はTVによって一部始終が中継されていたようだ。
EYESは他の特別チームと比べてもオープンな組織なのでこういうTV中継はありそうだが劇中でマスコミの登場はかなり少なかった。前作『ガイア』からの流れを考えても『コスモス』にマスコミのような第三者的な存在がいなかったのは残念。レギュラーでいれば怪獣保護の問題点を取り上げる話も作りやすくなったと思う。

 

後日、カツオと共に送られてきた父親からの手紙を見てドイガキ隊員は自分の事を見直したなと思うがその中身は「へたくそ」であった。確かに一本釣り自体は失敗していたからなぁ……。