帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ぬくもりの記憶」

「ぬくもりの記憶 ーグラガス登場ー
ウルトラマンコスモス』第24話
2001年12月15日放送(第24話)
脚本 右田昌万
監督・特技監督 原田昌樹

 

電磁魔獣グラガス
身長 60m
体重 5万6千t
神流市に潜んで街中の電磁波を吸収していた。
最初は人間大で姿も普通の人間には見えなかったがEYESが発したアモルファス波を受けて巨大化すると同時に視覚化された。
両肩から伸ばした触手で相手を捕らえて電磁波を流す。両手からエネルギー弾を撃つ。
額に埋め込まれていた石を取り外して活動を開始するが、それを拾った純からアヤノ隊員が受け取り、テックサンダーから口の中へ撃ち込まれて苦しむ。
謝ったふりをして不意打ちをするが、怒ったコロナモードのブレージングウェーブを受けて爆発した。
異星から地球へやって来て悪さをしたが何者かに石を埋め込まれて動きを封じられたと言う話や地球エリアの異次元出身と言う話もあるが劇中で明確な説明は無い。

 

物語
生まれ育った神流市に帰ったアヤノ隊員は不思議な少年と出会う。
街中の電磁波が何者かに吸収されると言う事件が起きる中、少年は何度かアヤノ隊員の前に姿を現す。
果たして少年の正体は……?

 

感想
今回の見所はなんと言ってもアヤノ隊員で、特技が書道の鈴木繭菓さんがサブタイトルの字も書いている。
鈴木繭菓プロモーションビデオ」と開き直っている感すらあって、初心者マーク付きのテックサンダーで出撃するがマニュアルを読んでいる間に飛行バランスを崩して墜落しかけると言うアヤノ隊員だからこそ出来る名(迷?)場面が生まれた。
ただ今回はアヤノ隊員以外の描写がかなりおざなりになってしまったのが残念だった。

 

アヤノ隊員の友達で高校の時から待ち合わせに遅刻している藤堂ちか。
ほんのチョイ役だが何故かフルネームが設定されている。ミツヤは苗字が無かったのに……。
ちかはアヤノ隊員の仕事を「恐竜保護」と言っていた。怪獣が出続けて何年か経っているが、それでも怪獣と恐竜の区別はあまり付けられていないようだ。

 

交通事故に遭った少年が倒れている自分の体を見ると言うさり気に凄い導入から始まる今回の話。幽霊となって街を彷徨う純の話はウルトラシリーズではあまり見られないもので、どちらかと言うとティーンエイジャー向けのファンタジー作品に近いかな。
純が成仏できなかったのは街中の電磁波を吸収するグラガスの影響だったらしい。そのおかげで純はもう一度生きてみようと言う答えを出す時間を得る事になる。

 

街中の電磁波がある一点に集束している事を知ったEYESはテックサンダーのアモルファス波で拡散させようとするが、逃げ場を失った電磁波が逆流して神流市の電気製品を破壊してしまう。
この件で作戦を実行したムサシとアヤノ隊員が責められるが、二人は作戦を立てたわけでも中止命令を無視して作戦を続けたわけでもないので、責められるとしたら指示を下したヒウラキャップと作戦を立てたであろうドイガキ隊員だと思うのだが……。

 

残念ながらグラガスとの戦いはコロナモードになってからの逆転場面で何故か軽快な音楽が流れて盛り上がらないわ、グラガスが謝ったふりをして不意打ちしてきたのに怒ったコスモスがブレージングウェーブで爆破してしまうわ、コスモスが空に飛び立つ場面で鳥がのんきに画面を横切るわとスタッフが何をしたかったのか正直言って分からなかった。
特に怒って反撃した場面はコスモスのキャラクターを考えるとかなりの違和感があった。一応、「魔獣」の肩書きがある怪獣は悪い存在で倒しても良いと言う扱いになっているらしいが『ダイナ』や『マックス』ならともかく『コスモス』ではもう少し見せ方に気を使ってほしかった。
一方で野原で戦っているイメージが強い『コスモス』で街中を戦いの舞台にしてミニチュアが細かく作られていたのは良かった。

 

生命の輝き」ではフブキ隊員の妹と思われる少女の姿を見る事が出来たムサシだったが何故か今回は純の姿を見る事が出来なかった。純がムサシに話しかけないでアヤノ隊員の方にだけ意識を向けていたからかな?
事件解決後、アヤノ隊員が思い出の公園で純との事を思い返しているところに能天気にやって来てしまうムサシは相も変わらず空気が読めない。

 

今回の話はアヤノ隊員の描写に力を入れすぎた為に純やグラガスの描写が不足して全体のバランスが崩れてしまった感じがする。雰囲気が良かっただけに残念。