帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「エクリプス」

「エクリプス ーカオスヘッダー・メビュート リドリアス登場ー
ウルトラマンコスモス』第30話
2002年1月26日放送(第30話)
脚本 大西信介
監督 根本実樹
特技監督 佐川和夫

 

カオスヘッダー・メビュート
身長 69m
体重 6万7千t
コスモスがまだ生きている事を知って止めを刺す為に現れる。
目から光弾を放ち、手から波動弾デストロビームを放つ。
防衛軍を返り討ちにしてリドリアスとEYESを追い詰めるがエクリプスモードには手も足も出ず最後はコズミューム光線で爆破された。

 

友好鳥獣リドリアス
身長 48m
体重 5万8千t
ムサシの危機を感じて鏑矢諸島から飛来した。
以前にカオスヘッダーに取り憑かれた時に体内にカオスヘッダーの影響を抑える抗体を作り出していた。
メビュートに倒されるがルナモードに救われ、体内のカオスヘッダーもエクリプスモードのコズミューム光線で除去される。その後、無事に鏑矢諸島に帰っていった。

 

スーパーハイテクロボットクレバーゴン
身長 60cm~130cm
体重 9kg
2年前にショージの弟ユウキに送られたムサシの親友。
ムサシを元気付ける為にユウキと一緒にやって来た。
1420MHzを探知してムサシとコスモスを再会させる。

 

物語
カオスヘッダーに敗れたコスモス。危機的状況の中で動き出す人々。そして皆既日食の中、奇跡が起こる!

 

感想
夢みる勇気」の続き。

 

コスモスが倒された事を受けて防衛軍がバックアップを申し出て、EYESも実体カオスヘッダーに対して今は攻撃以外の選択肢は考えられないとその申し出を受ける事に。
それなのに実際に戦闘に参加した防衛軍の戦闘機が3機だけと言うのは寂しい。ひょっとしたら防衛軍の内部にはEYESとの協力態勢に否定的な人達がいるのかもしれない。(おそらく佐原司令官は協力に賛成、西条武官は反対の立場だと思う)
地球の危機に今まで対立していた勢力が力を合わせる王道展開であるが、これによって今まで怪獣保護を前提としていたEYESは対カオスヘッダーと言う攻撃を前提とした組織へと姿勢の変更を余儀なくされていく。

 

防衛軍とEYESの共同作戦を聞いたムサシは両者の戦力を合わせても実体カオスヘッダーは倒せないとしてコスモスを復活させる為の行動を開始する。
この時点ではムサシもカオスヘッダーは倒すべき敵だと認識していて、コスモスを対カオスヘッダーへの戦力として捉えているところがある。だからなのか、コスモスと分離した森に行ってもムサシはコスモスの姿を見る事が出来なかった。

 

コスモスを探すムサシの所にアヤノ隊員、ショージ、ユウキ、そしてゴンがやって来る。
かつてムサシから送られたゴンを通して勇気を貰ったユウキが今度はゴンを返してムサシに勇気を与えようとする。ユウキの勇気を貰ったからか、ムサシはゴンが探知した1420MHzの先にコスモスの姿を見付ける事が出来た。
因みに前回の「夢みる勇気」でムサシとコスモスが分離した場所は『THE FIRST CONTACT』に登場した森林公園だと思われるが劇中では特に説明は無い。(もしそうならメビュートが破壊した街はかつてムサシが住んでいた街となるので違うのかな)

 

日食が始まる中、実体カオスヘッダーを倒せるのはコスモスだけだと光を与えるムサシ達。既にメビュートが出現して防衛軍が返り討ちに遭っているのだがムサシとアヤノ隊員は戦闘に参加しなくて良いのかな……? ヒウラキャップはムサシ達がコスモスを復活させようとしている事を知らないので、どのような理由で召集をかけなかったのか疑問が残る。

 

メビュートが迫って来ているのでムサシはショージやユウキを避難させるがアヤノ隊員は残ってコスモスに光を与えようと頑張る。そしてメビュートからムサシがアヤノ隊員を庇った時、リドリアスが現れてムサシ達を救うのであった。
『大怪獣バトル』以前のウルトラシリーズでは怪獣が主人公達を守る展開は少ないのでリドリアスの活躍は印象に残った。

 

ムサシを助けようとシールドに体当たりをするリドリアスを見てイケヤマ管理官はシールドを解除したのだが、それを聞いたヒウラキャップはイケヤマ管理官の心情を理解した上で軽率だと断じる。
ヒウラキャップが懸念したとおりリドリアスはメビュートのカオス光を受けてしまうが一時的にカオス化するも最終的にはカオスヘッダーを押さえ込む。それを見たドイガキ隊員はリドリアスの体内に抗体が出来ている事を確信するのであった。

 

リドリアスとEYESがメビュートと戦う中、アヤノ隊員もコスモスの姿を見る事が出来るようになる。
アヤノ「ムサシ隊員……。私にも……コスモスが見える……。不思議……。どうして私にも……コスモスが見えるんだろう?」、
ムサシ「怪獣を守りたいと言う夢があるからだよ。夢を見続ける勇気があれば……ウルトラマンはきっと見える!」。
必死に戦い続けたアヤノ隊員とリドリアスとEYESを見るムサシ。
ムサシ「アヤノちゃん……君の勇気を貰う。そして……皆の勇気も! コスモス……聞こえるか? 僕の心が届くか?」。
その言葉に応えるかのように輝石が輝き出してコスモスの声が聞こえてくる。
コスモス「ムサシ……、君の心が見える……」。
そしてコスモスはムサシを不要と思って分離したのではなくてムサシの命を守る為に分離した事を明かす。
ムサシ「コスモス……、今、僕はあなたに光をあげられない……。だけど、それでもあげられるものがあるとしたら……!」。
輝石の輝きが強くなり、皆既日食からムサシとアヤノ隊員に光が降り注ぐ。
ムサシ「この光は……!?」、
コスモス「ムサシ、この輝きを私に……」。
降り注ぐ光に向けて輝石を掲げて叫ぶムサシ。
ムサシ「コスモース!!」。
光となったムサシはコスモスのムーニースポットに宿り、皆既日食の終焉と共にコスモスが復活する。リドリアスを救ったコスモスはカオスヘッダーに対する怒りを爆発させてコロナモードにモードチェンジ。メビュートの攻撃を受けながらも突進し続けるコスモスの脳裏にムサシの言葉が蘇る。
「それでもあげられるものがあるとしたら……、それは……皆から貰った優しさと強さ、そして……勇気!」。
メビュートが放った衝撃波を弾き飛ばしてコスモスはコロナモードから新モード・エクリプスにモードチェンジ。日食が完全に終わり、眩い太陽の光が降り注ぐ中、新たな光の巨人コスモス・エクリプスモードが誕生する!

 

青を基調としたルナモードと赤を基調としたコロナモードに続いて黄色を基調としたエクリプスモードが登場。ウルトラマンと言えば赤と銀と言うイメージが強い中、紫や青に続いて黄色を取り入れた事でウルトラマンのデザインやカラーの可能性の幅がさらに広がる事となった。

 

やたらと正拳突きの構えを決めてエースみたいな野太い気合の声を発するエクリプスモードはルナモードとのギャップで戸惑うところもあるが、これまでのコスモスにはあまり無かった力強さを感じて新モードでパワーアップしたと言うのを分かりやすく示していた。

 

ルナモードの月とコロナモードの太陽と地球人の勇気が合わさって誕生したエクリプスモード。太陽、月、地球が一直線に並ぶ皆既日食の時に誕生すると言う展開が神秘的でよく考えられていた。

 

メビュートの連続光線攻撃を超高速回転で弾き返し、超高速移動でメビュートの懐に素早く入り、メビュートの巨体を軽く持ち上げて投げ飛ばすコスモス。
追い詰められたメビュートはリドリアスを人質に取るが、コスモスはリドリアスにダメージを与える事無くカオスヘッダーウイルスだけを破壊すると言う新技コズミュ-ム光線で勝利を収める。
攻撃、防御、力、素早さ、全てにおいて今までとは格が違うエクリプスモードの強さはカタルシス満点であった。正直言うと今回の話はこれまで描かれてきたテーマに対する決着と言う点では色々と描写不足があるのだが、それら全てを新モード誕生の勢いで押し切った。

 

リドリアスを救おうとする優しさとカオスヘッダーを倒そうとする強さが一つになっているコズミューム光線。メビュートは倒され、リドリアスは無事に鏑矢諸島に帰り、コスモスも空へと飛び立つ。そしてムサシはコスモプラックの中に光を認め、アヤノ隊員達の所に笑顔で駆け寄るのだった。
上に書いたように今回は勇気の新モード・エクリプスの登場で様々なテーマを誤魔化したところがあるが、ここで挙げられたいくつかの問題点はこれからの物語の中で一つ一つ取り上げられていく事になる。