帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「魔法の石」

「魔法の石 ーラグストーン登場ー
ウルトラマンコスモス』第35話
2002年3月2日放送(第35話)
脚本 川上英幸
監督・特技監督 原田昌樹

 

催眠魔獣ラグストーン
身長 56m
体重 7万1千t
ラグストーンコアと呼ばれる謎の館で多くの人々を引き寄せていた。
館の中にある光る石で人間の脳を刺激して眠っていた才能を呼び起こすが、感情を掌る部分が発する脳波を吸収するので光を浴び続けた人間は能力は高まるが感情は退化してロボットみたいになってしまう。ムサシはそれを麻薬と評して生物を単なる労働力として操る為の機械ではないかと推測した。
EYESに正体を突き止められると怪獣とUFOに分離し、怪獣はUFOからの指示を受けて人々に光を浴びせて連れ去ろうとした。
タックル攻撃で相手を吹き飛ばし、コロナモードのネイバスター光線も通用しない強敵だったが、ルナモードのフォールウォーマーで吸収した人間の感情に訴えかけられるとUFOに回収されて逃亡した。
名前の由来は「ラグビー+ストーン」かな。(動きはアメフトがモデルらしいから違うかな)
乙女の眠り」のインキュラスの着ぐるみを改造している。

 

物語
カワヤ医師から右田医師の様子がおかしいと聞かされたムサシとシノブリーダー。
人々を引き寄せる謎の館の正体は?

 

感想
だらしないヘタレ男カワヤ医師としっかりした姐御肌シノブリーダーの物語が本格的に始まった話。シノブリーダーの意外な一面が見られて楽しい。
シノブリーダーはEYESでは頼れる現場指揮官として組織の人間の部分が取り上げられていたがカワヤ医師との絡みでそれとは違った女性の部分が見られるようになった。

 

準レギュラーでありながらレギュラーメンバーのEYESに劣らない存在感を見せてくれるカワヤ医師。
今回は今までチョイ役だった右田医師もメインゲストの一人として登場している。ウザい先輩に辟易している後輩と言う感じでカワヤ医師と上手く合っていた。
カワヤ医師のキャラクターがハッキリしているからか彼を中心とした掛け合いはいつも面白い。

 

EYESで新型テックサンダーの開発が進められていて、加速すると機体が不安定になると言う欠点が処理できていなかったが、ドイガキ隊員は将棋の駒が「飛車」から「竜王」に成ったのを見て何かを閃く。
後のテックスピナーへの伏線なのだが今回の話に絡んでいないので浮いた場面になっていた。ひょっとしたら、自力で閃いたドイガキ隊員とラグストーンの力で閃いた右田医師を対比させているのかもしれないがちょっと弱い。

 

実は将棋が強かったアヤノ隊員。カエルの絵が描かれている「楽勝」の扇子を片手に「降参ですか? フブキ隊員」と今までに無い完全上から目線。
屈辱のフブキ隊員だったが何かを閃いたドイガキ隊員がアヤノ隊員が指した駒を持っていってしまった隙に王手! そんな勝ち方で良いのか!? て言うか、ルール上許されるのか!?
観戦しているムサシが持っている扇子には「挫折禁止」との言葉が。どういう心境で書いたんだか。

 

ラグストーンとの戦いは高いビルは無いがスポーツ関係のミニチュアを並べて面白い場面を作り出していた。
ラグストーンのタックル攻撃で破壊される建物の出来が良い。
予算が少なくても工夫と使いどころで面白い戦闘場面を演出できると言う好例であった。

 

ネイバスター光線が通用しないラグストーンに苦戦するコスモス。
カワヤ医師は助けたシノブリーダーの姿を見て怒りを収めるには愛が必要だと気付き、それを聞いたコスモスはコロナモードからルナモードに戻ってフォールウォーマーでラグストーンが吸収した人間の感情に訴えかけ、ラグストーンから吐き出された感情が人々に戻るとUFOはラグストーンを回収して宇宙へ逃亡した。
ルナモードを使ったコスモスならではの解決方法が見事であった。

 

人間から感情を取り除けば支配するのに都合が良い。実際、勝利目前だったラグストーンを混乱させて敗北に導いたのは吸収した人間の感情であった。
因みにカオスヘッダーも人間の感情に興味を持った為に秩序から混沌へと変化していく事になる。そう考えると今回のラグストーンとの決着方法も最終回でのカオスダークネスに通じるものがあった。

 

事件解決後、目覚めたシノブリーダーはカワヤ医師に助けられた事を理解し、自分を看病しているうちに眠ってしまったカワヤ医師の手を取ってお礼を述べる。
しかし、ムサシとアヤノ隊員がお見舞いにやって来てその場面を目撃。お似合いと喜ぶムサシに対し、アヤノ隊員はショックで持っていたケーキを落としてしまう。
その時、カワヤ医師が寝言で「愛しているよ……。早紀……、さゆり……、みやこ……、やすよ……、ミウミウ……。おまけにちはる……」。
それを聞いてみるみる表情が変わっていくシノブリーダーを見て危機を感じ取ったムサシはアヤノ隊員を連れて部屋の外へ緊急退避。次の瞬間、シノブリーダーの蹴りが炸裂し、目覚めたカワヤ医師は大慌てで弁明する。
「ごめん! ますみ!!」、
「シノブだ!!」。