「妖怪の山 ーヤマワラワ マハゲノム登場ー」
『ウルトラマンコスモス』第36話
2002年3月9日放送(第36話)
脚本 武上純希
監督・特技監督 原田昌樹
童心妖怪ヤマワラワ
身長 61m
体重 6万8千t
ヤマワラワ山脈にいる寂しがり屋の妖怪。
旅館ヤマワラワの女将の忠告を破って山から降りて子供達と出会って友達になる。
マハゲノム出現に興奮して巨大化し、封印の踊りでマハゲノムを封印してコスモスの危機を救った。
子供達に別れを告げて山に帰るが、その後、また新たな友達と出会えたらしい。
伝説悪鬼マハゲノム
身長 63m
体重 6万4千t
国全体を滅ぼす魔力を持つ悪鬼で昔は「マハゲラ」と呼ばれていた。奥日高村に伝わる神楽ではかつてヤマワラワに封印されたとなっている。
薬が効かない特異体質。ゴリラのようにドラミングをする。
道路拡張の為に祠が動かされた事で復活したが、ヤマワラワの封印の踊りで再び封印された。
名前の由来は「ナマハゲ」かな。
「ぬくもりの記憶」のグラガスの着ぐるみを改造している。
物語
山から降りてきたヤマワラワと山を破壊していくマハゲノム。二大妖怪が村にやって来て大騒ぎに!
感想
人気怪獣のヤマワラワが再登場する「森の友だち」の続編。
前回は人間の心の在り方によってヤマワラワを見る事が出来ると言う雰囲気だったが、今回はヤマワラワは常に存在していて人間がそれに気付くかどうかと言う感じになっている。(設定上、ヤマワラワは保護色を使って普段は森と同化しているらしい)
旅館ヤマワラワの女将は前回は怪しい雰囲気を作り出す地元の人間と言う感じだったが、今回はヤマワラワと一緒にいて「寂しいけれど山を降りてはいかん。山を降りたらウチらは生きていけん」と忠告している。
「ウチら」と言っているのでおそらくこの女将も妖怪の類だと思われる。出番は少ないがヤマワラワの帰る世界の象徴として存在感は大きかった。
ある満月の夜、ヤマワラワはらくだ便のトラックに乗って山を降りてしまう。因みに「森の友だち」で康祐少年が街へ引っ越した時に乗っていたのも同じらくだ便だったりする。
トラックの運転手から話が広がって2mを超えた猿は怪獣だとしてEYESに捕獲要請が入るが、その時のEYESはマハゲノム相手にてんてこ舞いで、ヒウラキャップはアヤノ隊員に単独調査を命じる事になる。
ある事件の進行中に別の事件が割り込んでくる展開は珍しく、これ以外ではすぐには思い浮かばない。
ベンガルズがいきなりマハゲノムを攻撃していて驚き。生物ではなく鬼だからかな? それともマハゲノムによる被害がかなり大きかったのだろうか?
今回のベンガルズはマハゲノムを一時退散させるなどかなりの成果を挙げている。
犬にビビリながらも村祭りの準備が行われているところにやって来たヤマワラワはマハゲラの面を被って子供達を追い回す大人を殴り倒してしまうが、サクラ始め子供達はヤマワラワが自分達を助けようとしていた事を知って友達になる。
その頃、犬のシェパードに乗ってアヤノ隊員が村にやって来る。
単独調査にやって来たアヤノ隊員だが村の大人達に子供扱いされてしまう。
駐在との話でアヤノ隊員の背の低さが改めて分かる。
町長はEYESを「恐竜退治の専門家」と言って、アヤノ隊員を無視してヤマワラワを射殺しようとする。
自分達が住む村の中の事しか興味が無いのか、それともEYESの認知度がまだまだ低いのか。まさかこの時期になってもEYESを恐竜退治の専門家とする人が登場するとは思わなかった。それなら防衛軍に頼みなさいよ。
ところで細かい部分なのだが奥日高「村」なのに「町長」とはこれいかに?
大人達に追い返されてしまったアヤノ隊員は不審な子供達を追って匿われているヤマワラワを見付ける。アヤノ隊員はヤマワラワの為に保護すると訴えるがサクラはどこかの島に連れて行ってしまうと返す。
EYESの保護活動は怪獣を本来の生活圏から他の場所に連れ去ってしまう事と言う疑問は他の話でも触れられているが、結局のところ、明確な解決策は見付けられなかった気がする。
アヤノ隊員が動物好きな事を見抜いたサクラは捨てられた動物を拾って育てたいと言う夢を明かし、ヤマワラワを連れて行かない約束としてアヤノ隊員の帽子を取り、代わりに自分の髪留めを渡す。
普通、子供のゲストとの話があると普段は子供っぽい隊員も大人っぽく見えるものなのだが、今回のアヤノ隊員はいつも以上に子供っぽく見えた。
マハゲノムのウルトラ怪獣っぽくないデザインはインパクトがあった。
怪獣もかなり増えてきて新怪獣が印象を残すのが大変になってきたので、マハゲノムや『T』のエンマーゴや『トリガー』のメカムサシンのような他とは違った感じのデザインがちょいちょい入るのはアリだと思う。(これをメインにされては困るが)
マハゲノムが封印された後、山を思い出して悲しむヤマワラワを見たサクラは決意する。
「皆聞いて! 皆にいつも言っているよね? 大人になったら捨てられた犬や猫を……友達が一緒に住めるように大きな家を作るって。その家はヤマワラワも住めるような大きな家にするから、今は山に帰ってもらおうよ」。
捨てられた動物の為の家と言うのは良いのだが、帰る場所があるヤマワラワも同じ家に入れてしまうのはちょっと問題。あまり深く考えずに友達皆が同じ家で暮らせたら幸せだと言う感じなのだろうが、言っている事は先程批判したEYESや鏑矢諸島と変わっていない。
今回は色々と気になるところがある話だった。「ぬくもりの記憶」もだったが、アヤノ隊員を描く事に力が入れられて、それ以外の部分が弱くなっていた。ヤマワラワやマハゲノムを使った地方の伝説系の話は好きだし、女ガキ大将のサクラをはじめ面白い要素が多かっただけに残念。