帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「邪悪の巨人」

「邪悪の巨人 ーカオスウルトラマン ネルドラントⅡ登場ー
ウルトラマンコスモス』第40話
2002年4月6日放送(第40話)
脚本 川上英幸
監督 根本実樹
特技監督 佐川和夫

 

カオスウルトラマン
身長 47m
体重 4万2千t
光の状態で世界各地に出現する。
インベーディングウェーブやダノキングショットを撃ち、カオス光で怪獣をカオス化させる。
ウルトラマンをコピーした事で単体のカオスヘッダーよりおよそ50倍のエネルギーを放出できるようになったが、カラータイマーの機能までコピーしてしまったので活動時間に限界が生じてしまった。
ムサシの心を読み取り、全ての怪獣を仲間にしようとする。
カオスネルドラントⅡと共にコスモスを追い詰めるがEYESの援護によって形勢逆転され、最後はエクリプスモードのエクリプスブレードとコズミューム光線を受けて消滅した。

 

岩石怪獣ネルドラントⅡ
身長 68m
体重 8万3千t
以前に鏑矢諸島に収容されたのと同種。
前回のコスモスとカオスウルトラマンの戦いの振動で目覚めた。
カオスウルトラマンにカオス化されたが、EYESのカオス抗体ミサイルでカオスヘッダーを切り離され、そのまま鏑矢諸島に保護された。

 

カオスネルドラントⅡ
身長 68m
体重 8万3千t
ネルドラントⅡがカオスウルトラマンにカオス化された姿。
EYESによるムサシ救出作戦を妨害する為にカオスヘッダーに操られる。
カオスウルトラマンと共にコスモスと戦うがEYESのカオス抗体ミサイルでカオスヘッダーから切り離された。

 

物語
カオスヘッダーに捕らえられたムサシ。
鏑矢諸島の怪獣達をカオス化させようとするカオスウルトラマン
危機的状況の中、EYESの新兵器が出撃する。

 

感想
邪悪の光」の続き。

 

カオスウルトラマンは鏑矢諸島の怪獣達をカオス化させようとするがシールドに妨害される。「深海の死闘」でフブキ隊員が述べていたシールドが怪獣達を閉じ込める一方でカオスヘッダーから守る防壁にもなると言う説が実証された。

 

防衛軍の分析でウルトラマンをコピーした事でカオスウルトラマンは単体のカオスヘッダーよりおよそ50倍のエネルギーを放出できるようになった事が判明する。
考えてみればウルトラマンは光を司る存在なので、カオスヘッダーが限られた光エネルギーを効率良く使う為にウルトラマンの姿を模すと言う展開はなるほどであった。

 

今までのカオスヘッダーよりおよそ50倍のエネルギーを放出できるようになったカオスウルトラマン。つまり、カオスウルトラマンは一度に50体の怪獣をカオス化出来るようになったと言える。そこで防衛軍は鏑矢諸島に収容されている全怪獣がカオス化する危険があると訴える。ヒウラキャップがカオスヘッダー抗体を開発したと語るが、防衛軍はカオスヘッダーの進化を危険視して、24時間以内にカオスウルトラマンに対する打開策を見出せなかったら鏑矢諸島の全怪獣を処分すると宣言する。
人々への被害を防ぐ為に怪獣達を鏑矢諸島に収容したが、鏑矢諸島に怪獣を集めた事で新たな危険を生じさせてしまったと言う展開が上手い。『コスモス』は初期設定の問題点を物語に組み込むのが上手かった。
シールドを飛び出して一斉に暴れ出す事を危惧して大人しい怪獣達を今のうちに処分してしまおうと言う展開は『かわいそうなぞう』を思い出す。(自分は『ドラえもん』の「ぞうとおじさん」の方で知った世代だが)

 

カオスヘッダーに捕らえられたムサシは宇宙を思わせる空間で目を覚ます。カオスヘッダーの光に閉じ込められていてコスモスの力でも脱出不可能な状況。そこにカオスヘッダー・メビュートの姿をとったカオスヘッダーが現れる。
「怪獣は仲間……。怪獣を助ける……。怪獣を仲間に……。全ての怪獣を仲間にする……。全ての……全ての……」。
コスモスによるとカオスヘッダーのこの言葉はムサシの心を読み取った結果らしい。ムサシが掲げる「怪獣を仲間にする」をカオスヘッダーは「全ての怪獣をカオス化させる」で実現させようとする。
因みにムサシは怪獣達が鏑矢諸島に閉じ込められている現状に疑問を抱いていたが、後に鏑矢諸島のシールドを破壊して怪獣達を解放したのは他ならぬカオスヘッダーだったりする。
カオスヘッダーがムサシの願いをムサシの想いとは違う方向ではあるが実現させていくと言うのが面白くて興味深い。前回の「邪悪の光」でカオスヘッダーはムサシも乗っ取っているので、カオスムサシみたいな存在を出してムサシのアンチテーゼとしてぶつけてくると言う展開も面白かったかなと思う。

 

ムサシ救出作戦を進めるEYESにカオスネルドラントⅡ出現の報告が入る。ヒウラキャップはネルドラントⅡの保護を命じるが、そこに佐原司令官が割り込んできて今後はカオスヘッダーに取り憑かれた怪獣は全て防衛軍が処理すると宣告する。しかし、EYESはそれでも出動する。
ドイガキ隊員が開発したカオスヘッダー抗体にソアッグ鉱石から出る高エネルギーをミックスさせたカートリッジをフブキ隊員がラウンダーショットに装填して発射。カオスヘッダーから解放されたムサシはコスモスの光に包まれて地球を飛び出し遥か宇宙へ。そして宇宙の彼方から飛んでくるコスモプラックを掴んでコスモスに変身。地球上にコスモスが帰還する。
尚、この時のドイガキ隊員は眩しくて目を瞑っているが、フブキ隊員は光に包まれたムサシが上空に飛び立ち、その後、コスモスが地球に帰還しているのを目撃している。

 

今回はカオスウルトラマンとカオスネルドラントⅡの二体がかりでコスモスに襲い掛かってくる。人型の敵と怪獣がタッグを組んでウルトラマンにハンディキャップ戦を仕掛けてくるのは第2期ウルトラシリーズの星人と怪獣のタッグを思い出す。

 

カオスネルドラントⅡを踏み台にして攻撃を繰り出す事でカオスウルトラマンの非道さが際立っていた。

 

カオスウルトラマンとカオスネルドラントⅡを相手に苦戦するコスモス。そこに「表が飛車で裏が龍」をキーワードにドイガキ隊員の切り札が登場する。
テックスピナー1号は後部のエンジンパーツを天地逆転させる事で攻撃性能及び捕獲性能に優れたテックスピナー2号にチェンジできる。さらに今回はカオスヘッダー抗体と高濃度のソアッグエネルギーから作られたソアッグビームを搭載していて、ソアッグビームでカオスウルトラマンに大ダメージを与え、カオス抗体ミサイルでカオスネルドラントⅡからカオスヘッダーを切り離し、レーザーネットを30倍強力にした捕獲システム・レーザーラックでネルドラントⅡを捕獲する。
今まで人類には無理だった怪獣からのカオスヘッダーの切り離しに成功し、カオスウルトラマンに大打撃を与え、さらにレーザネットが破られ続けていた中でレーザーラックで易々と捕獲を成功させると新メカ・テックスピナーの凄さが分かる展開だった。
ただ今回のテックスピナー2号の活躍が良かっただけにテックスピナー1号があまり活躍を見せられなかったのは残念。又、出撃時にパーツを変更して機能を選択するのは従来のテックサンダーシリーズと同じなので新システムならではの新たな要素も欲しかった。

 

コロナモードとカオスウルトラマンの戦いは一進一退だったがエクリプスモードにモードチェンジした後はコスモスの圧勝であった。
ここでこんなに圧倒できるのなら何故前回の戦いではエクリプスモードにモードチェンジしなかったのかと言う疑問が強まってしまった。

 

カオスウルトラマンが倒されて当面の危機が去った事で鏑矢諸島の怪獣が処分される事は無くなった。ムサシも無事に戻ってきて皆喜ぶがフブキ隊員だけは何か心に秘めるものがあった。
当初は全4クール構想だったので最終回を見越してこの辺りでムサシとコスモスの関係にフブキ隊員が感付くと言う流れになっている。