帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「奇跡の花」

奇跡の花 ーキュリア星人ー
ウルトラマンコスモス』第46話
2002年5月18日放送(第46話)
脚本 林壮太郎
監督・特技監督 八木毅

 

浄化宇宙人キュリア星人
身長 175cm~53m
体重 68kg~4万7千t
何百年も昔から霧隠村に住んでいて普段は山野と言う医者として村人と暮らしている。
ある隕石が運んできた花が撒き散らす地球人にとって危険な花粉を体内に取り込んでブリーズパワーで中和してきたが限界が近付いて肉体を安定できなくなってきた。
花粉の毒素で暴走した時は自分を倒してほしいとコスモスに頼むが拒否され、エクリプスモードのコズミューム光線で体内に溜まっていた花粉の毒素を除去された。
劇中では語られていないが300年前に宇宙船が不時着して霧隠村の住民に救われたらしい。
名前の由来は「キュア(治療)」かな。

 

物語
霧隠村の遺跡を調べに向かった吉井ちゃんが事故に巻き込まれて記憶喪失に!?
一方、EYESは何百年も昔から村人と共存しているキュリア星人と出会う。

 

感想
海神の怒り」で正式に付き合う事になったドイガキ隊員と吉井ちゃん。
デートでは食べ放題の店で店長が悲鳴を上げるほどに食べるらしい。吉井ちゃんが見かけによらず大食いなのが面白い。確かにギャル曽根さんのように「食べ物は何処に行ったんだ!?」とツッコみたくなるくらい笑顔でペロリと食べてしまいそうなイメージがある。
交換メールにメロメロなドイガキ隊員を「仲間の幸せは僕らの幸せ」とツッコみつつ茶化すムサシ達に対してシノブリーダーは醒めた表情で「正直、人の幸せを目の当たりにしたくないわね」「正直、私も相手がいれば(交換メール)したいわぁ」とどう反応して良いのか迷う事を言い出す。

 

花粉の毒素で暴れたキュリア星人に巻き込まれた吉井ちゃんは一命を取り留めたものの記憶喪失になってしまう。パニックになるドイガキ隊員に吉井ちゃんは先の事はゆっくり考えると答える。幸せの絶頂から地獄に叩き落されたドイガキ隊員はご飯も喉に通らないほどに落ち込むが、そこにおにぎりを持ってアヤノ隊員が諭しに来る。
「吉井さんの心の奥には今でもきっとドイガキさんがいますよ。たとえ、記憶が戻らなくても恋愛には色々な形があるんですよ。想い想われるだけが恋愛じゃありません。思い出してもらえなくても見守ってあげるって言う素敵な恋の形もあるって……私は思います」。
こういう時には「きっと記憶は戻る」とか「想いは通じる」とか言って慰めるものなのだがアヤノ隊員は吉井ちゃんの記憶が戻らないでドイガキ隊員の想いが相手に届かない事を想定して語っている。恋愛に関しては色々あったアヤノ隊員なだけにEYES最年少とは思えない人生の深みを感じてしまう場面であった。

 

花粉の毒素を吸収するのも限界に近付いたキュリア星人は異星人である自分に優しくしてくれた村人を傷付けたくないとして、もしもの時は自分を倒してほしいとムサシの中にいるコスモスに頼む。しかし、ムサシは「そんな頼みにコスモスは力を貸してくれない」と拒否し、花粉の毒素を無くす方法を探そうと訴える。
翌日、暴走して巨大化したキュリア星人を見て村人は「助けてあげてください」と訴え、それを聞いたムサシは「僕は彼を助けたい! 力を貸してくれ、コスモース!」と言ってコスモスに変身する。
宇宙人の存在を村全体で受け入れていると言う設定が素晴らしい。昭和の頃は正体を明かした宇宙人が地球で生きていける話は殆ど無かったが、平成に入って少しずつ増えていき、ニュージェネレーションシリーズでは地球で暮らす宇宙人も多くなった。こういう時代と共に話の内容が少しずつ変わっていくのを見るのも長期シリーズの楽しみ方の一つ。

暴走するキュリア星人の攻撃を受ける中、ドイガキ隊員は吉井ちゃんを必死に守る。
吉井「どうして私の事守ってくれるんですか?」、
ドイガキ「覚えていないだろうけれど前にも同じ事を言ったんだ。僕が、僕がユカリを守る! 絶対に守るって!」。
ドイガキ隊員の言葉を聞いた吉井ちゃんは今までの事を思い出す。そして爆発から自分を庇っているドイガキ隊員に向かって一言、「あの……何で抱き合ってるんですか?」。

 

海神の怒り」では危機的状況下でとっさに出た「ユカリ」呼びを今回はドイガキ隊員がしっかり意識して使ったのが良かった。

 

エクリプスモードにモードチェンジしたコスモスはコズミューム光線でキュリア星人の体内に溜まっていた花粉の毒素を除去し、周りに咲いている花からも毒素を全て取り除く。
いくら奇跡の力とは言え難無くこんな奇跡を成し遂げられてしまったらキュリア星人の今までの苦痛は何だったのだろうかと思ってしまう。
操り怪獣」に続いて二度目のカオスヘッダー関連以外でのエクリプスモード登場であるが、話の展開を無視して強引に奇跡で事態を解決してしまう作品のバランスを崩してしまう存在となってしまった。

 

後日、ムサシ達に押されてドイガキ隊員は吉井ちゃんの所に。
ドイガキ「い、今すぐじゃないんだよ。い、今すぐじゃないんだ!」、
吉井「何の話ですか?」、
ドイガキ「ま、まだ先の話……なんだよ。さ、先の……」、
吉井「だから、何ですか?」、
ドイガキ「まだ……先の話なんだけど……、ぼ、僕と……僕と結婚して! みちゃったり……みちゃったり……」、
吉井「みちゃったりしてみます!」。
ドイガキ「やったー!」。
抱き合って喜ぶドイガキ隊員と吉井ちゃん。それを見て抱き合って喜ぶムサシ達。その後、ドイガキ隊員と吉井ちゃんの所に行こうとする相変わらず空気が読めないムサシをフブキ隊員とアヤノ隊員が必至に止めるのだった。初期はギスギスしていたEYESが良い雰囲気になっている事を実感できる話だった。
因みにこれで『ティガ』『ダイナ』に続いて太目の発明担当男性隊員の恋愛が成就した事になる。

 

今回の話だが吉井ちゃんの記憶喪失の話とキュリア星人と霧隠村の話と言う殆ど接点の無い話を同時進行で描いた事で結局はどちらも描写不足になってしまったところがある。
キュリア星人と村人の話は他に見られなかった設定だったのでぜひ単独で取り扱ってほしかった。