帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「怪獣密輸!?」

「怪獣密輸!? ーバデータ登場ー
ウルトラマンコスモス』第50話
脚本 川上英幸
監督 市野龍一
特技監督 鈴木健二

 

密輸怪獣バデータ
身長 51cm~59m
体重 20kg~6万3千t
密輸業者によって日本に運ばれてきた。
免疫力が非常に高いので吸収した毒物を栄養素にして体内に取り入れる事が出来る。
HKPの主成分であるハビルニアル毒素を吸収した事で突然変異を起こして急成長した。
ハビルニアル毒素が脳に回った為に幻覚作用を見て暴れ回ってしまう。
突進し、鋭い歯で噛み付いて鋭い爪で引っ掻く。
エクリプスモードのコズミューム光線でハビルニアル毒素を取り除かれた。

 

物語
密輸業者が日本に持ち込んだ謎の生物の正体は怪獣バデータだった!

 

感想
第49話の「宇宙の雪」の放送後、主人公のムサシを演じていた杉浦太陽さんが傷害・恐喝容疑で逮捕され、第50話である今回の話の放送が急遽中止されて代わりに『ウルトラマンM78劇場』が放送された。さらに最終7部作からムサシを外して再編集された「特別総集編」が二週にわたって放送されて『コスモス』は一旦完結し、残された放送期間は『ネオス』が放送される事となった。
その後、杉浦さんが不起訴・起訴猶予処分になって釈放された事で『コスモス』は放送再開されたが放送期間の関係で5話分が未放送となった。未放送分の5話は後に「特別総集編」と共に『ウルトラマンコスモス スペシャルセレクション』としてビデオとDVDが発売され、現在、TSUBURAYA IMAGINATIONでは初回放送分と未放送分を合わせた全話が配信されている。

 

予告ナレーションで「ペットの本当の気持ち知っていますか?」と語られているが内容はペット問題と言うより密輸問題。過剰なペットブームが原因の一端ではあるが利益関係無しにペットに愛情を注いでいる人が聞いたら気を悪くしそうだ。

 

カルロスから得た情報で金色パンダトカゲを探す山井と岡田の怪しさ大爆発な二人組。
劇中でもツッコまれているが金色パンダってどんな模様なんだ?
バデータを発見してもっと珍しくて金になると捕獲するが、注文と違うものを捕獲しても大丈夫なのだろうか?
山井達のブローカーとなっていたペットショップの店長は愛嬌ある表の顔と冷たい裏の顔のギャップが結構怖かった。

 

密輸業者を追っていた佐伯刑事他二名の警察官達。妙にカッコ付けたポーズをとったりと山井達に負けず劣らず怪しい。
密輸業者も刑事もあまり目立ってはいけない仕事だと思うが両者とも周りから浮いていて変な存在感を出しまくっている。

 

野生動物の密輸が問題になっている事を話題にするEYES。
最近は大型で凶暴な爬虫類が人気らしく、生物の成長をストップさせて凶暴な性質も抑えてペットとして飼育しやすくする成長抑制剤HKPの存在が語られる。
今回は人間が他の生物を資源として利用している実情を示した『コスモス』では貴重な話となった。人間のやっている事は「操り怪獣」でノワール星人がやっている事となんら変わりが無かった。

 

バデータは成長後は50mになるとの分析を得てドイガキ隊員は怪獣と考えていいだろうと語る。
『コスモス』における怪獣とはある一定以上の大きさを持つ巨大生物の総称だと思われるが、ミーニンやゲルワームみたいな巨大ではない怪獣もいるし、宇宙人も地球人と同じ感覚で怪獣と言う呼称を使っているのでイマイチ断言は出来ない。
よく考えたら『コスモス』は怪獣保護を謳っているが、そもそも怪獣とは何かと言う定義が明らかにされていない。その辺りをもう少し掘り下げてほしかったところはある。

 

山井にHKPを打たれたバデータは巨大化して暴れ出す。
ムサシはコスモスに変身。バデータの爪で傷を負うがルナモードはそれを自己修復すると最後はエクリプスモードにモードチェンジしてコズミューム光線でバデータからハビルニアル毒素を取り除く。
今回も体内にある異物を取り除いたエクリプスモード。カオスヘッダーが取り憑いたのと似た状態なのだろうが、ルナモードにももう少し頑張ってほしいところ。

 

ムサシは野生動物の密輸問題に憤るが「しかしな、ムサシ。俺達も同じような事してねぇか? 怪獣に。元々住んでいた場所から捕獲して自分達の都合の良い場所に移して飼ってんだろう?」と言うフブキ隊員の意見に言葉を失ってしまう。しかし、フブキ隊員は密輸業者を捕まえた後に「あれ取り消すな。俺達が怪獣にしている事は……決して奴らと同じじゃない……!」と語る。
密輸業者が自分達の利益しか考えていないのに対してEYESは人間の都合だけでなく怪獣の事も考えて保護しているので確かに両者は違う。ただ、そこは分かっているので、そこからどう展開していくかを聞きたかった。
『コスモス』は「理想はそうだが現実はこうである」と言う現状認識はあるが、そこから未来に向けて一歩進むにはどうすれば良いかと言う部分が足りなかった。難しい問題である事は分かるが、それをテーマに掲げて始まった作品なのでもう少し頑張ってほしかった。