『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE』
2003年8月2日公開
脚本 長谷川圭一・川上英幸
監督・特技監督 北浦嗣巳
スペースリセッターグローカーボーン
身長 45m
体重 3万5千t
グローカーマザーから射出された光球から出現するグローカー第一形態。
腕のボーンキャノンと光弾のプレスバルブで攻撃する。
EYESと地球怪獣によって倒された。
「ルーク」と「ビショップ」はチェスの駒から名前が付けられたが、グローカーボーンは何故か兵士の「ポーン」ではなく「生まれた」と言う意味の「ボーン」から名前が付けられている。
スペースリセッターグローカールーク
身長 55m
体重 7万t
二体のグローカーボーンが合体したグローカー第二形態。
肩のルークキャノンからヘルムートバルブを撃ち、手首から伸びるルークズエッジで斬りつけ、背後のレッドアイからブレアビームを撃つ。
地球怪獣を倒してジャスティスを追い詰めるがクラッシャーモードにモードチェンジしたジャスティスに倒された。
スペースリセッターグローカービショップ
身長 65m
体重 9万t
グローカーの製造工場グローカーマザーが変形したグローカー第三形態。
鉤爪内部のビショップキャノンからジルサデスビームを撃つ。
クラッシャーモードのジャスティスとフューチャーモードのコスモスを追い詰めるが二人のウルトラマンの光線同時発射と続くクロスパーフェクションで倒された。
ファイナルリセッターギガエンドラ
全長 1600m
質量 160万t
全生命を消滅させる惑星改造兵器で消滅エネルギー・イレイザーボールで全てをリセットする。
コスモスとジャスティスの放ったクロスパーフェクションも通じなかったが、ウルトラマンレジェンドのスパークレジェンドでイレイザーボールを逆流させられて爆発した。
宇宙予言司デラシオン
身長 計測不能
全長 計測不能
ウルトラマンと同じく宇宙の秩序を守る存在。
今から2000年後に地球が宇宙にとって有害な星になると予測して全ての生命を消去して進化をやり直す事を決定する。
レジェンドにギガエンドラを破壊されると無数のグローカーマザーを率いて姿を現すが、二人のウルトラマンの説得と地球から送り続けられた「希望」のメッセージを聞いてもう一度信じる事にした。
友好巨鳥リドリアス
身長 48m
体重 5万8千t
ムサシと地球の危機を感じて救援に駆け付けた。
鏑矢諸島を飛び出す時にシールドを突き破る描写が無かったが現在は解除されているのかな?
戦いが終わった後、コスモ・ノアに乗せられてムサシと共に新天地に旅立つ。
古代暴獣ゴルメデⅡ
身長 54m
体重 6万9千t
「悪夢の実験」に登場したゴルメデβが正常に戻った姿。
ムサシと地球の危機を感じて救援に駆け付け、天敵であったリドリアスと共に戦った。
戦いが終わった後、コスモ・ノアに乗せられてムサシと共に新天地に旅立つ。
電撃怪獣ボルギルス
身長 53m
体重 5万9千t
ムサシと地球の危機を感じて救援に駆け付ける。
戦いが終わった後はコスモ・ノアに乗せられて新天地に旅立った。
伝説薬師獣呑龍
身長 67m
体重 6万7千t
ムサシと地球の危機を感じて救援に駆け付ける。
戦いが終わった後は遺跡公園に戻された。
隕石小珍獣ミーニン
身長 1m
体重 10kg
ムサシの危機を感じてイケヤマ監理官と共に森林公園にやって来た。
他の仲間達と一緒にムサシを異空間から救出する。
チャイルドバルタン
身長 120cm
体重 15kg
ムサシの危機を感じてギャシー星人と共に森林公園にやって来た。
仲間達から集めた想いをムサシに送り、異空間から救出する。
ネイチュア宇宙人ギャシー星人
身長 シャウ・157cm ジーン・172cm
体重 シャウ・40kg ジーン・60kg
ムサシの危機を感じてチャイルドバルタンと共に森林公園にやって来た。
ムサシが異空間にいる事を知らせ、他の仲間達と一緒に異空間から救出する。
ウルトラマンジャスティス
身長 46m
体重 4万1千t
デラシオンと協力体制を取っていて、2000年後に宇宙にとって有害な星となる地球をリセットすべく障害となるコスモスを倒した。
人類は救う価値が無いと断じるが様々な人々と触れ合う事で心を動かされ、最後は人類を助ける為にグローカーと戦う。
かつてサンドロスに2000年の猶予を与えた為に宇宙の破壊を許してしまった事を後悔している。
スタンダードモードからクラッシャーモードにモードチェンジして戦う。
地球上ではジュリと言う人間形態を取り、ジャストランサーを胸に付ける事でジャスティスに変身する。
男女を超越した存在だが地球の若者はジュリを「お嬢ちゃん」、アカギ審議官はジャスティスを「彼」と呼んでいた。
ウルトラマンレジェンド
身長 50m
体重 5万t
コスモスとジャスティスがギガエンドラのイレイザーボールで消滅させられたと思われた瞬間に姿を現し、スパークレジェンドでイレイザーボールを逆流させてギガエンドラを破壊した。
ギャシー星人によると「宇宙の大いなる二つの力が出会いし時、その輝きの中で真の姿を現す存在」で、デラシオンによると「伝説の戦士」との事。
物語
ムサシの夢である怪獣との共生実現への第一歩となる「ネオユートピア計画」がいよいよ実行に移されようとしていた。
しかし、そこに現れたジャスティスは人類を危険な種と判断し、宇宙正義に基づいてリセットを行うと宣告する。
果たして人類は夢溢れる未来を掴み取る事が出来るのか?
感想
映画にTVシリーズにと2年に亘って展開された『コスモス』も遂に完結。
パンフレットによるとネオユートピア計画は2013年にムサシが立案して2015年に最終段階に入ったとの事。『THE FIRST CONTACT』から15年が経ち、子供だったムサシもすっかり大人になった。
宇宙開発センターでは科学の粋を集めた宇宙輸送ロケット「コスモ・ノア」の打ち上げが迫っていた。
鏑矢諸島の怪獣達を遊星ジュランに移送し、新天地において人間は生態系に極力干渉せず怪獣との共生を模索すると言う「ネオユートピア計画」。
現在の地球は人間中心であるが新天地では怪獣中心の生態系を目指す事となる。これは鏑矢諸島の規模を大きくした感じで、結局のところ、地球上において人間と怪獣の共生は難しかったと言う事を示してしまった。何万年にも渡って築かれてきた人間中心の社会を変える事はやはり難しかったが、これを教訓に新天地では人間と怪獣とその他の生物との理想的な関係が目指される事となった。
因みにコスモ・ノアはムサシの思い出の森に作られたロケット砦をモデルにしている。ムサシの夢が具現化した事を示す秀逸な設定。
又、遊星ジュランの自然はギャシー星人が『THE BLUE PLANET』で手に入れた生命の源によって回復したらしい。ジーンの叶えた夢が今度はムサシの夢を叶える事になると言うのは『THE BLUE PLANET』での二人の物語を思い出すと感慨深いものがある。
それにしても滅亡したり復興したりと遊星ジュランにとっては激動の数年であった。スコーピスに倒されてしまったパラスタンは元気かな……。
宇宙へ旅立つ事となったムサシにフブキが会いにやって来る。現在は新生EYESのキャップになっていて、以前に比べてにこやかで落ち着いていて余裕を感じられる人物になった。
「信じれば夢は叶う、か……。このフレーズな、やっと俺も最近胸張って言えるようになったよ」。
ムサシが宇宙に旅立つ前の久し振りの休みをリドリアスと過ごす為に鏑矢諸島に行くと言うのを聞いたフブキキャップは一番会いたい奴がいるだろうとアヤノの名前を挙げてからかう。どうやらムサシとアヤノは付き合っているようだ。
その頃、宇宙ではコスモスがスペースコロナモードとなってグローカーマザーと戦っていた。戦闘の舞台はそのまま地球の宇宙開発センターへと移され、グローカーマザーから射出された光球からグローカーボーンが現れる。続いてコスモスも地球に降り立ち、コスモ・ノアを破壊しようとするグローカーボーンを一撃で撃破する。
出番は少ないがスペースコロナモードは結構強い。デザインもシンプルながら神秘的なものとなっていて結構好きなモードである。
グローカーマザーから2体目と3体目のグローカーボーンが射出されて1対2の戦いにさすがのコスモスも苦戦を強いられる。
「コスモス、僕も戦う! 君が教えてくれた大きな夢を守る為に! コスモース!!」。
コスモスの危機を見たムサシは輝石を掲げて光となりコスモスと一体化。コスモスはスペースコロナモードからエクリプスモードにモードチェンジしてサスペンドショットでグローカーボーン2体の機能を停止させる。
初代マンとハヤタ隊員の時からウルトラマンと人間が一体化する場合、その殆どが危機に陥った人間をウルトラマンが救う展開であったが、今回は人間ムサシがウルトラマンコスモスの危機を救う為に一体化すると言う逆のパターンとなっている。コスモスを助けられるほどにムサシは成長したと言う事なのかな。
ところでコスモスは2体のグローカーボーンを相手にスペースコロナモードでは苦戦してエクリプスモードでは勝利を収めている。普通は新モードの方が強いのだがコスモスはスペースコロナモードよりエクリプスモードの方が強いようだ。結構珍しい設定である。
フブキキャップと楽しそうに会話しているムサシを見て「何故コスモスはお前と同化した?」と呟く謎の人物。その後、危機に陥るコスモスに向かってムサシが叫んだ「コスモス、僕も戦う! 君が教えてくれた大きな夢を守る為に!」と言う言葉を聞いた謎の人物は苛立ちを感じ、そんなムサシと一体化して勝利したコスモスに向かって「お前は夢などと言う曖昧なものを……宇宙の正義より優先すると言うのか!」と怒りの言葉をぶつけると取り出したジャストランサーを胸に当ててジャスティスに変身する。
ジャスティスの出現にフブキキャップは喜ぶがジャスティスはグローカーボーンの機能を回復させて1対3でコスモスを攻撃。「何故……ウルトラマン同士が戦うんだ?」と言うムサシの疑問を無視して攻撃を続け、遂にコスモスはコスモ・ノアを庇って消滅し、そのコスモ・ノアもグローカーボーンによって破壊されてしまう。
昭和の頃はヒーロー同士が戦う展開はかなり珍しかったが、平成に入ってからは徐々に増えていき、21世紀に入ると平成仮面ライダーシリーズのようにヒーロー同士の戦いが定番となっていった。本作でのコスモスとジャスティスの対決も当時ブームになっていた平成仮面ライダーシリーズを思わせるものであるが、どちらかと言うと同じウルトラシリーズの『ガイア』にあったガイアとアグルの対決に近い形になっている。この辺りは同じヒーロー作品でもウルトラシリーズと仮面ライダーシリーズの違いを感じて興味深い。
地球と宇宙との通信が全て妨害される中、地球人類全てを消滅させるとの電波が送られてくる。コスモスの敗北とジャスティスの行動を受けて各国首脳による対策会議が開かれる事となるが、そこに謎の人物ジュリが姿を現す。
ジュリはデラシオンの意思をより正確に伝えるのが自分の目的だとして、地球人類にあらゆる抵抗は無駄だと通告する。
デラシオンが今から2000年後に地球が宇宙にとって有害な星になると予測して全ての生命を消し去って進化をやり直す事を決定した事を知らされて一部の首脳は反発するがジュリは人間も白アリが家を喰い荒らす前に駆除するだろうと冷たく切り返す。
ウルトラシリーズでは度々見られる展開だが今回のデラシオンもかなり無茶苦茶な存在。どういう経緯で行われたのか全く分からない予測で勝手にリセットを宣告。それも危険な種になると予測した人類だけを消去するのならともかく地球全ての種を巻き添えに消去してしまうとは横暴もいいところ。2000年後の人類がどれだけの数の種を滅ぼすのか分からないがデラシオンは今回のリセットでどれだけの数の種を滅ぼすつもりだったのだろうか……。
公開当時の背景を考えるとデラシオンが宇宙正義の名の下に行ったリセットは当時のアメリカが対テロ戦争と言う名目で行ったアフガニスタン侵攻やイラク戦争を思わせるところがある。
かつてない危機にSRCのトップであるオオワダ代表が遂に登場。ジュリの言葉に憤慨する防衛軍のイヌガイ司令官を抑えつつ対話を求めた。
人間も白アリが家を喰い荒らす前に駆除するだろうとのジュリの言葉にイヌガイ司令官は人間と白アリを一緒にするのかと激怒するが、ジュリに宇宙の視点で見れば大差無いとあっさり返される。ここはジュリの意見が正しい。
対話は不可能と判断され、アメリカ首脳は宇宙の正義に対抗して地球の正義を掲げて断固抗戦すべしと訴える。ウルトラシリーズでこういう世界各国の首脳が集まる会議が開かれるのは珍しい。殆どはどんな地球規模の緊急事態でも一握りの人間(しかも日本人のみ)で対策が決められている。こういう事が出来るのは規模が大きい映画ならではと言える。
新生EYESはまだ20代のフブキがキャップになった事で全体的に若いチームとなった。
カシマ・エイイチリーダーは隊長としてはまだ若いフブキキャップを補佐する為に配置されたと思われる。
クラモト・ナツキ隊員は気丈に見えて意外と諦めやすい性格。
ショウダ・リョウジロウ隊員はテックライガーでグローカーマザーを粉砕すると意気込んでフブキキャップにEYESは攻撃部隊ではないと注意を受ける。『メビウス』でリュウを担当した仁科克基さんが演じているのでセリザワ隊長時代のリュウはこんな感じだったのかなと思わせるキャラになっている。
ワタライ・カズオミ隊員は他の隊員に比べて地味で目立っていなかったが最後にデラシオンに「希望」と言うメッセージを伝える大役を果たした。
かつてのテックサンダー&テックスピナーシリーズを元にテックライガーシリーズが登場。旧EYESでは弱かった宇宙装備も充実していてギガエンドラ相手に宇宙で活躍した。
ジュリは人類滅亡の危機を笑い飛ばそうとする若者達を無視して街を通り過ぎていく。
夕陽を見て同じ過ちを繰り返すわけにはいかないと呟くジュリの足下に一匹の子犬が寄って来て、続いて飼い主の女の子がやって来る。「コスモス」と名付けられた子犬はウルトラマンと違って臆病だが優しい人には吠えないらしい。お礼にとジュリは女の子とコスモスからキャンディーを渡される。
その夜、ジュリに暴走族が絡んでくるがウルトラマンの力を使ったジュリに撃退される。『ガイア』の藤宮でさえ人間相手にウルトラマンの力は使わなかったがジュリはさすがに容赦が無かった。やって来たフブキキャップに向かってジュリは「これが人間の本質だ。守る価値も無い」と吐き捨てて去っていく。
ウルトラシリーズではこういう地球全体の危機における一般人の描き方はかなり偏っている。まず子供は純粋無垢で動物や宇宙人にも分け隔て無く優しくて人類滅亡を考えていた者をも改心させる力を持つ。一方で若者は何も考えていなくてバカ騒ぎをしたり、よせばいいのに危ない奴に手を出して人類はやはり滅びるべきとの結論を出させてしまう。中年層は大勢が集まった中で「もうダメだ~!!」と騒いで周りに不安や絶望を伝染させてしまう。そして老人は殆ど出ない。さすがに何度も同じ場面を目にすると「そんなに子供って凄いの? そんなに若者ってバカなの?」と文句を言いたくなってくる。
因みに街中で「コスモスが死んだ!」と歌っているのは『新世紀2003ウルトラマン伝説』に楽曲を提供しているユニット「烈火斬」。せっかくの出演なのにもう少し良い役は無かったのかな……。
フブキキャップは『THE BLUE PLANET』でジャスティスがコスモスと力を合わせてサンドロスの脅威から地球を守ってくれた事を挙げるが、ジュリは人間の為に戦ったのではなく多くの惑星を破壊したサンドロスを宇宙正義に従って倒すのが第一の目的だったと答える。
フブキ「ジャスティスと言う……もう一人のウルトラマンを初めて見た時、俺は確かに感じた。強さだけじゃない、コスモスと同じ優しさを……」。
コスモスは優しさのルナモードが基本でその他に強さのコロナモードを持っている事で最初に優しさを見せてその上で強さも見せると言う感じになっているが、逆にジャスティスは最初に強さを見せてその後に優しさを見せると言う感じになった。
謎の空間に横たわるムサシの前にコスモスが姿を現す。
コスモス「ムサシ……、君をまた傷付けてしまった……」、
ムサシ「いいんだ……。これは……僕が決めた事だから……」、
コスモス「強い力はさらに強い力を呼び寄せ、その争いに限りは無い……。本当なら戦いではない方法で……」、
ムサシ「でもどんな争いにも……きっと解決の方法が……」、
コスモス「私はムサシと出会い、知った……。人間の持つ可能性……、希望と言う言葉の素晴らしさを……。私はジャスティスにそれを伝えたかった……」。
ウルトラシリーズでは人間とウルトラマンの関係はウルトラマンが上になる事が多く、かつてのムサシとコスモスもそうだったのだが、今回のムサシはコスモスと対等の関係になっていて、『THE FIRST CONTACT』から見ていくとムサシが着実に成長している事が分かる。
ジュリによるとサンドロスも昔は人類とよく似ていて夢や愛などと言った曖昧な感情を持った不完全な生命体だったらしい。フブキキャップは人類がいずれサンドロスと同じように宇宙の破壊者となる危険な種だとしてもまだ2000年の猶予があると訴えるが、ジュリはかつてサンドロスにも2000年の猶予を与えたがそれが過ちとなったと答える。
『THE BLUE PLANET』での環境を不毛にしていくサンドロスの行動は人類に繋がるものを感じたが、まさか本当にかつてのサンドロスは人類と似ていたとは驚いた。あのサンドロスが夢や愛を持っていたとは……。
アヤノ「ムサシ……、きっと……また会えるよね」。
コスモスが倒された場所でムサシの認識票を見付けるアヤノ。そこにムサシの無事を信じてヒウラ、シノブ、ドイガキ達がやって来る。
Kニュータウンにムサシの生命反応がある事を知ったアヤノはムサシから聞いたコスモスとの思い出の森の話を思い出す。森林公園にやって来たアヤノ達の前にイケヤマ監理官とミーニン、さらにマリとムサシの母みち子が現れる。
マリ「ムサシがいるとすればここしかないと思って……」、
みち子「子供の頃からの……あの子の思い出が詰まった場所ですから……」。
『コスモス』の各時代に登場した人々がムサシを助けに集まる。こういう展開が来ると最初からずっと見てきて良かった!となる。
現在では旧EYESは「THE EYES」と呼ばれる伝説の存在になっているらしい。
アヤノは怪獣保護管理センターの管理員になっていてムサシと付き合っているようだ。
ヒウラはSRC技官と大学教授の二つの肩書きを持っている。いいかげん、サワグチ女史と決着は付けたかな?
シノブは防衛軍に戻ってEYESでの経験を後輩に伝えている。カワヤ医師との関係に何か変化はあっただろうか?
ドイガキはSRC科学セクションの主任。吉井ちゃんと結婚したらしく左手薬指に指輪が光っている。
デラシオンへの徹底抗戦が決定して防衛軍主導による迎撃態勢が取られる事になる。
ヒジカタは副司令から参謀になっている。昇格と言う事で良いのかな?
『コスモス』の世界では今まで軍縮が行われていたがカオス大戦とサンドロス襲撃を受けて軍事衛星が再配備された。原子力潜水艦、弾道ミサイル、軍事衛星と過去最大規模の戦力が結集されたが残念ながらグローカーマザーとギガエンドラにかすり傷すら付ける事が出来なかった。
グローカーマザーから射出されたグローカーボーンが地球側の戦力を粉砕し街を破壊していく。グローカーの圧倒的な戦力を前にナツキ隊員は滅亡を覚悟するがフブキキャップは部下達に檄を飛ばす。
「諦めるな! 未来を、夢を信じる事を放棄してしまったら全てがそこで終わってしまう! 俺の仲間達が今、ムサシを、コスモスを探している。最後まで希望を捨てずに頑張っている……! TEAM EYES出動!」。
出動するEYESを見てジュリは「無駄だ……。奇跡など無い」と吐き捨てるが、フブキキャップは「だとしても……諦めはしない!」と熱く返す。そこに空からリドリアスが! 地下からゴルメデが! 地上を激走して呑龍とボルギルスがやって来る!
フブキ「コスモスに助けられた怪獣達が地球の危機に!」。
地球怪獣とEYESは力を合わせてグローカーボーンを撃破するのであった!
この展開はベタではあるがやっぱり盛り上がる。
ジュリは怪獣が戦いに参加した事を理解できなかったが自分としてはジュリがこの展開を理解できないのが理解できない。
人間だけが滅ぼされるのなら怪獣が人間の為に戦う事に驚くのも分かるが、デラシオンは地球全ての生命をリセットすると宣告しているので怪獣もリセット対象に入っている。それなら怪獣達が自分達の命を守る為に立ち上がっても不思議ではない。(今回来たリドリアス達はコスモスとムサシと人類を助ける為に来たと思うけれど)
人間を助ける怪獣の姿を見て驚くジュリの耳にあの女の子の声が聞こえてきて、向かうと女の子が瓦礫の下敷きになった子犬のコスモスを助けようとしている場面に遭遇する。
ジュリは自分の命の方が大切だと女の子を逃がそうとするが、女の子は友達を見捨てておけないと子犬のコスモスを助けようと頑張り続ける。
「友達……。自分より子犬の命を……」。
子犬を助けようとする女の子。人間と共に戦う怪獣達。他人を助けようとする地球の生命を見てジュリが叫ぶ。
「何故だ? 何故どいつもこいつも!」。
瓦礫をどかして子犬のコスモスを助けるジュリ。助けてもらった女の子は笑顔でお礼を述べ、「ありがとう」と言う言葉を胸にジュリは戦いの場所へ赴く。
「コスモス! これが……お前がこの星を守ろうとした理由か! これが……人間の未来を信じた理由なのか!」。
そしてジュリはジャストランサーを胸に付けてジャスティスに変身。グローカールークの攻撃からフブキキャップを助けるのだった。
ジュリは生命をリセットさせる方法に疑問を持ちながらも自分の行動は間違っていない事を証明する為に人間の負の部分をわざと強調していたが、やはり最後は人間の善の部分を見て自分の気持ちに素直になり生命を守る為に戦う事になる。
ジュリが頑なな態度を取り続けた原因は過去にサンドロスを見逃した事で新たな犠牲を生んでしまった事にある。コスモスもかつてカオスヘッダーから星の滅亡を救えなかった事から頑なな態度を取った事があったが、暗い過去に囚われたウルトラマンと言うのは当時は珍しかった。この後はヒカリ、ゼロ、オーブ、タイタス、フーマ、トレギアと失敗や悲劇を持ったウルトラマンが多く出るようになった。
スタンダードモードからクラッシャーモードにモードチェンジするジャスティス。あっさりしていて物足りない。もう少し溜めとかポーズとか欲しかった。
クラッシャーモードは戦闘スタイルらしいが、それならどうして宿敵サンドロスとの戦いで使わなかったのかと言う疑問が生じる。
グローカールークに苦戦するジャスティスは女の子の応援を受けて逆転勝利を収めるのだが、クラッシャーモードにモードチェンジした直後に苦戦してしまうのは新モードとしてちょっと問題だった。最初はスタンダードモードで戦って苦戦するが女の子の応援を受けてクラッシャーモードにモードチェンジして逆転と言う流れの方が新モードの印象は良かったと思う。
どれだけ探してもムサシを見付けられず、さすがにアヤノも諦めそうになるが、そこに異空間からムサシの声が聞こえてくる。声に導かれたアヤノは今まで何度も探したはずのロケット砦の頂に光を見出し、そこにシャウとジーン、さらにシルビィが現れる。
説明によるとムサシは光量子的空間、つまり異次元にいるので見る事も触れる事も出来ないが、ムサシに対する想いをエネルギーに変えて送り込めばムサシの生命の光を蘇らせる事が出来るとの事。
まさかジーンから「想い」と言う言葉を聞く事になるとは……。『THE BLUE PLANET』でのツッパリ具合を思い出すと思わずニヤリとしてしまう。
シルビィがロケット砦の頂に登り、ムサシを助けに集まった人々がロケット砦の周りを取り囲む。
シャウ「ムサシに貰ったたくさんのものを今度は私達が彼に届ける……」。
ムサシとの思い出を思い返すごとに皆の体が光に包まれていく。
ここはこれまでの話が回想で使われていて見続けてきた人には感激の場面。
その頃、フブキキャップ率いる新生EYESはギガエンドラによるリセットを阻止する為に宇宙へ向かっていた。
フブキ「俺達の未来をリセットなんかさせない! ムサシが信じた夢を……簡単に消されてたまるか!」。
そしてシルビィは集めた皆の光を異空間に眠るムサシのところへ送る。
ムサシ「皆の声が……僕に……!」、
コスモス「ムサシ、力は満ちた!」、
ムサシ「コスモス……、僕は……皆と一緒に……未来を掴む!」。
皆から送られた光に包まれ、輝石を手にムサシは異空間から脱出、ロケット砦の頂にその姿を現し、皆が見守る中、ムサシはコスモスに変身する!
「コスモース!!」。
今までの『コスモス』はムサシを中心にした作りだったが今回はムサシと触れ合った人々を中心に置いている。ムサシを外した事で逆にムサシが周りに与えていた影響が分かる展開になっていて、ムサシの物語の決着編として文句の無い仕上がりとなった。
連戦で遂にジャスティスのカラータイマーが点滅するが、そこにコスモスが現れてルナモードからフューチャーモードへモードチェンジする。
かつてムサシの勇気でエクリプスモードが誕生したように今回は皆の想いが集まってフューチャーモードが誕生した。
そして『THE BLUE PLANET』でジャスティスがコスモスにしたように今度はコスモスがフューチャーフォースでジャスティスにエネルギーを送る。
フブキ「待っていたぞ、ムサシ」、
ジュリ「何故私を助ける?」、
ムサシ「僕らはウルトラマンだから」。
ジュリの疑問に対するムサシの返答は冒頭でコスモスがジャスティスに攻撃された時の「何故ウルトラマン同士が戦うんだ?」と対になっているのだろうが、ジュリが「他人」を助けようとする地球の生命の姿を見て心を動かされた後だと「同じウルトラマンだから助ける」と言うムサシの返答は間違ってはいないが微妙にズレている気もする。
後のレジェンド登場を引き立てる為かもしれないが、クラッシャーモードと同じくフューチャーモードも登場があっさりしていて、その直後に苦戦を強いられている。フューチャーモードはコスモス単体では最終・最強モードだったのでしっかり描いてほしかった……。
二人のウルトラマンの合体光線クロスパーフェクションによって倒されるグローカービショップ。『THE BLUE PLANET』でサンドロスやスコーピスを迷い無く倒した事に批判があった為か今回はロボットのグローカーが相手となっている。
グローカービショップのデザインはサンドロスに似ている。『THE BLUE PLANET』はサンドロスを倒して終わりだったが、今回はグローカービショップを倒しても戦いは終わらず『コスモス』ならではの決着へと続いていく。
今回は他にも『THE BLUE PLANET』では消化不良だったり疑問が残った部分を上手く修正しているところがある。
地上にいるグローカーを全て倒してEYESと二人のウルトラマンは宇宙へ。しかし、ギガエンドラにはクロスパーフェクションも通じず、逆に反撃を受けてしまう。
森林公園では皆が空中に映し出された映像でその戦いを見ていた。(シルビィかギャシー星人の能力と思われる)
地球に落とされる二人のウルトラマンが大気との摩擦熱で熱く燃えていく。ジャスティスがコスモスの背後に回って摩擦熱から庇い、残されたコスモスはコズミューム光線を進化させたコスモストライクを撃ち続けるが通じない。そして遂にリセットが開始。消滅エネルギー・イレイザーボールはコスモスのバリアーでも防ぐ事が出来ず二人のウルトラマンは消滅してしまう。
絶望し、嘆く人々。しかし、イレイザーボールを押し返す光があった。
シャウ「来た」、
ジーン「宇宙の大いなる二つの力が出会いし時」、
シャウ「その輝きの中で真の姿を現す」。
コスモスともジャスティスとも全く違うウルトラマンレジェンド。
イケヤマ「二人のウルトラマンが」、
シノブ「新しい一人の戦士に!」。
レジェンドはスパークレジェンドでイレイザーボールを逆流させてギガエンドラを破壊するのだった。
フブキ「起きた、起きたぜ、とびっきりの奇跡が!」。
「そうまでして何故人類を救おうとする? 伝説の戦士ウルトラマンレジェンド」。
無数のグローカーマザーを率いて姿を現すデラシオン。レジェンドから分離したジャスティスとコスモスが答える。
ジュリ「デラシオン。私は知ったのだ。ウルトラマンコスモスの信じたこの星の生命達の……泣き、笑い、怒り……。そして……思いやる心を持つこの生命達……。未来をも含め、彼らは信じるに足る存在だと……」、
ムサシ「人類は決して愚かではない。必ずその非を正す事の出来る存在だ」。
二人の話を聞いたデラシオンはグローカーマザーを下げて自らもインフィニーの威光へと戻る事にする。
デラシオン「我らも信じよう。光の戦士達を、そして人類から送られ続けたメッセージを……」。
その言葉を聞いたワタライ隊員は思わずパソコン画面に目をやる。そこには……、
「希望」。
「伝説」の名を冠するウルトラマンレジェンドは歴代ウルトラマンの中でも抜きん出た存在で登場は殆ど無いが強く印象に残る存在となった。
話を聞くとコスモスとジャスティスは元々レジェンドであったが何らかの理由で二人に分かれたように思えるが、コスモスとジャスティスは出身や年齢が違うとの記述もあって断定は出来ない。因みに鈴木プロデューサーによると「合体」ではなく「宇宙正義と地球愛の融合」との事。
地球にとって最も長い一日が終わる。
ジュリは女の子に貰ったキャンディーを美味しそうになめて「どうだ? 甘いぞ」とムサシにも勧めるが、ムサシは「止めとこう。君にとって大事なものらしいから」と答える。
そこにムサシを見付けたアヤノ達が笑顔でやって来る。
ムサシ「ジュリ。その味でまた地球を、僕の仲間達を思い出してくれ」。
笑顔で仲間達の所に帰っていくムサシ。それをジュリは笑顔で見送るのだった。
ジュリ「信じれば夢は叶う、か……」。
エンディングで『High Hope』が流れる中、ムサシと怪獣達を乗せたコスモ・ノアが遂に宇宙に向けて打ち上げられる。リドリアス、ゴルメデ、ボルギルスはコスモ・ノアの中で低温睡眠中、呑龍は無事に遺跡公園に戻されていた。そこにコスモスがやって来てムサシと共に宇宙を飛んでいく。
「真の勇者」でムサシが願った「もう一度コスモスと一緒に空を飛びたい」と言う夢はここに叶えられた。しかし、手の平に乗せられてただ喜ぶだけだった子供時代と違い、大人になったムサシはコスモスと並んで宇宙を飛ぶ。
ムサシはアストロノーツと怪獣保護と言う二つの夢を叶える為に様々な出来事を経て自分の事だけでなく地球の未来をも背負うようになった。かつてのような父と子、師匠と弟子、先輩と後輩と言う関係ではなく共に夢を追い続ける仲間としてムサシとコスモスは共に宇宙を進んでいくのだった……。
「終わり良ければ全て良し」とは言わないが、やっぱり最後の締めが良いか悪いかと言うのはその作品の評価に大きく関わると思う。『コスモス』は途中の話を見ると迷いやズレを感じるところもあったのだが、TVシリーズも映画も最後に設定をちゃんとまとめてテーマに答えを出しているので全て見終えた時の満足度は非常に高い作品であった。
『新世紀2003ウルトラマン伝説』が同時上映された。