帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「さすらいのザンギル」

「さすらいのザンギル」
ウルトラマンブレーザー』第17話
2023年11月11日放送(第17話)
脚本 継田淳
監督 辻本貴則

 

宇宙侍ザンギル
身長 220cm~54m
体重 77kg~5万4千t
かつては命知らずな愚か者で星から星を飛び回って強敵を倒す事に喜びを感じていたが、ある時に出会った剣の達人に敗れると成仏できない怪獣達の魂108体を成仏させると言う使命を授けられた。
ブレーザーと協力して108体目のニジカガチを倒して成仏させると自身も魂の存在であった事を打ち明け、ゲント隊長の前で成仏した。

 

天弓怪獣ニジカガチ(怨霊態)
身長 60m
体重 4万5千t
ザンギルが持っている石に秘められていた「目に見えない魂に仮の姿を与える力」を吸い取って姿だけでなく肉体も得て復活した。
この世の全てを飲み込まんとするおぞましい念の強さを持つ怨霊。
生と死の狭間にいて実体と霊体のどちらにもなれるので、霊体になって相手の攻撃を無効化して、実体になって相手を攻撃する事が出来る。
最後はザンギルとザンギルの力を与えられたブレーザーのチルソナイトソードによって倒されて成仏した。

 

物語
各地で過去に倒された怪獣とそれを処理する謎の人物が目撃される。
調査を開始したゲント隊長の前に謎の人物が現れて自分の正体と目的を語る。

 

感想
これまでのゲント隊長はブレーザーと一体化しても身体能力が向上したり超能力が使えるようになったり知識が増えたりした事が無かったが今回はザンギルの宇宙人としての姿を見る事が出来たりザンギルに思い切り放り投げられたのに平気だったりと人間離れした描写があった。ゲント隊長本人も気付かないうちに少しずつ人間離れしてきているのだろうか……?

 

「宇宙侍」と言う肩書を持つザンギルであるが彼が「侍」と言う言葉を知ったのは地球の歴史を調べて侍文化に感銘を受けてからなので意外とつい最近の事だったりする。
地球人の感覚だと21世紀に侍の言葉を使うのは変に感じてしまうが寿命が長い宇宙人の感覚だとちょっと前に流行っていたみたいな感じになって使う事におかしさが無いのかもしれない。
因みにザンギルの地球人の姿を演じているのは唐橋充さん。唐橋さんで「侍」となるとやはり『侍戦隊シンケンジャー』の腑破十臓が頭に浮かぶ。

 

ザンギルが出会った「剣の達人」の正体は不明だがザムシャーに見える。
ブレーザー』の世界は『メビウス』の世界とは違うがウルトラシリーズマルチバースを導入しているので、ひょっとしたら『メビウス』に登場したザムシャーだったのかもしれない。

 

ザンギルがゲント隊長に見せた7月23日のスポーツ新聞「スポツジ」の一面はブレーザーがニジカガチを倒した記事だった。この前にX(旧Twitter)に投稿された「潮流新聞」でブレーザーがニジカガチを倒した記事と同じ日付になっている。こういう細かい部分がちゃんとされているのは嬉しい。と思ったら実は曜日が違っていたりする。(スポツジでは7月23日は日曜日) 実は「潮流新聞」は曜日がメチャクチャで6月23日が土曜日なのに6月30日が金曜日だったりする。どうしてこうなったのだろう?

 

ザンギルはゲント隊長を「ブレーザーの力を持つ人間」として扱うが、ゲント隊長はあくまで「SKaRDの隊長」として動いていて、このズレが中盤での二人のいざこざの原因となる。

 

ウルトラマンは何でもありなところがあって相手が霊体でも何故か攻撃が通じてしまうところがあるのだが今回はブレーザーはザンギルの力を借りないと怨霊態のニジカガチを攻撃できないとなっていた。こういう細かい部分を説明するのが理屈を重視する『ブレーザー』らしかった。

 

壊れた道路から落ちそうになったトラックを助けるブレーザー。こういう場面があるとヒーローらしさが出て良い。
ブレーザー』は他のウルトラマンの客演が無いのだが今回はザンギルと力を合わせて戦っているので客演回のような雰囲気になっている。
今回の戦いは『ブレーザー』の中でもヒーロー度が高いものになっていて、どちらかと言うと他のニュージェネレーションシリーズに近いところがあった。

 

今まで一人で戦い続けてきたザンギルが最後にゲント(ブレーザー)と言う仲間と一緒に戦う事が出来たと言うのに思わずグッときた。
ザンギルの事情を知ったゲント隊長は今まで隠していた自分とブレーザーの名前をザンギルに向けて明かす。
思えば『ブレーザー』は他のウルトラマンの客演が無いのでゲント隊長も一人で戦い続けた存在と言えるかもしれない。(ブレーザーと一体化しているけれどこの時点では会話によるコミュニケーションはまだ出来ない状態だったし)
そう考えるとゲント隊長にとってもザンギルと言う仲間と一緒に戦う事が出来たのは大きなものがあったのかもしれない。

 

ザンギルが成仏させた怪獣の魂は108体。
「108」と言う数字で『仮面ライダードライブ』のロイミュードを思い出した。
ザンギルは最後に友達が一人増えたと言う事なのかな……。

 

「拙者にこれから……は無い」。
実はザンギル自身も魂の存在で石の力で実体を保っていた。
レギュラーのキャラクターを長い時間をかけて少しずつ描いていく事で得られる感動もあるが今回のような一つの話にキャラクターの物語をギュッと詰めるのもまた良いものだなと感じる話であった。

 

今回は「主人公達に倒された存在の魂が出てくる」と言う色々な作品で見られる展開であったが、『初代マン』で「怪獣墓場」と言う設定を作ったウルトラシリーズでは怪獣の魂は怪獣墓場に行くからか地球人や宇宙人のような人型の魂は出てくるが動物型の怪獣の魂が地上に残っていると言う話は実は結構珍しかったりする。
他にも『ブレーザー』はウルトラマンが宇宙警備隊に所属していなくて野性的な存在だったり、地球防衛隊に大きな闇があったりと他の作品では見るがTVのウルトラシリーズでは意外とあまりやっていない設定や展開をする事が多い。

 

今回の話が放送された11月11日は「サムライの日」との事。