帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「あけぼの荘へようこそ」

「あけぼの荘へようこそ」
ウルトラマンアーク』第6話
2024年8月10日放送(第6話)
脚本 継田淳
監督 武居正能

 

茸狩宇宙人クロコ星人
身長 2m
体重 96kg
16年前にシャンピーム系銀河から地球へキノコの採取を目的にやって来た。
宇宙空間に異常が発生したので地球を急遽脱出する事になり、キノコ狩りに夢中になっていた個体が地球に取り残されてしまう。地球に残された個体は「あけぼの荘」に流れ着いて「ヌマタ」と言う人間として働く事になる。
ヌマタは母星に帰る為の宇宙船を作っていたが、あけぼの荘がシャゴンに襲われると宇宙船でシャゴンに突撃する。戦いが終わった後、生還したヌマタは防衛隊に護送される事となり、護送車の中で石堂シュウにハンドサインの意味を教える。

 

鎧甲殻獣シャゴン
身長 5~54m
体重 3~4万7千t
末広山で頻発する地震の原因。
元々は超肉食で、あけぼの荘に逃げ込んだユウマ達を獲物にしようと複数であけぼの荘を取り囲んだ。
一体はアークエクサスラッシュにアークギガバリヤーを付けて作られた巨大な回転刃によって切断され、二体目はソリスアーマーのソリスソードエクスプロージョンで爆破され、最後まで生き残った個体はクロコ星人の宇宙船の突撃を受けてダメージを負うとアークの前から去っていった。

 

物語
頻発する地震と電磁波について調査を進めるSKIPは山間にある旅館「あけぼの荘」に話を聞きに行く。
応対に出た番頭と女将の言動に不審を抱いた石堂は旅館に入り込んで取り調べを行う。

 

感想
いつもと違う厳しい石堂さんが見られる回。
石堂さんは第1話にあった「防衛隊だけれど意外と人当たりの良い人」「最初からウルトラマンへの好感度が高い」と言うイメージが強いが、彼の物語は今回の話で明かされた「同僚を宇宙人に殺された」をスタートにして考える方が分かりやすいところがある。
石堂さんの物語を「宇宙人に同僚を殺された石堂さんがウルトラマンと言う自分達を助けてくれる宇宙人の存在を知って立ち直り成長していく」と考えると、ユウマとの関係は「宇宙人に同僚を殺された石堂さん」と「宇宙人に命を助けられたユウマ」と対になっていた事が分かり、レポ星人が公開順では最後の敵=ラスボスとなったのは石堂さんの物語として元凶にして最凶の敵が最後に現れたと解釈する事が出来る。

 

UFOが目撃されて観光の目玉に使われたがK-DAYを経た今ではそれは「完全にOUT」と言うやりとりがある。
昔は宇宙人をフィクションとして楽しめたが実際に侵略者が現れるようになったらそのような扱いは出来なくなった。前回の「峠の海」でも実際に怪獣が現れるようになって人々の考え方も変わったと言う話があったが、今回のこの場面も「常識が変わった世界」をさらっと描いたものになっている。

 

石堂さんがクロコ星人を追いつめる場面は『アーク』では珍しいほどシリアスで厳しいものになっているが、測定器や銃と言った特殊な装備を使って宇宙人を追いつめていく展開は従来のウルトラシリーズではよく見られたもので、今回の話が『アーク』の中では異色な雰囲気に感じた事で実は調査をメインにした『アーク』の作りはウルトラシリーズの中ではちょっと異色であった事が分かる。

 

あけぼの荘の人達はヌマタさんの正体が宇宙人である事を最初から知っていた。
「宇宙人を匿うと罪になる」となったのはおそらく宇宙人による犯罪が何件か起きて「宇宙人=危険」と言う常識が出来てしまったからであろう。
女将さんとクロコ星人が出会ったのはまだ宇宙人の存在が公に認められていなかった頃、「宇宙人=危険」と言う常識がまだ無かった、UFOが目撃されたので観光に使おうと言える大らかな時代だった。そんな時代に出会えたので女将さんも仲居さんも偏見無くクロコ星人の人柄に触れる事が出来たのかもしれない。

 

苦楽を共にしたあけぼの荘の人達が自分達は「家族」だと訴える場面があるが、これが後にユウマがSKIPやアークを「家族」と語るのに繋がるのかな。

 

第1話に登場したシャゴンが再登場する。
以前の話では一体で戦ってアークに倒されたシャゴンが今度は複数で現れてアークを追いつめる展開は一度倒された怪獣を使いながら危機的状況を上手く作れていたと思う。

 

通常のアークではアークトリッキーテクニックで起死回生のアイデアを思い付いてもシャゴン一体を倒すのが精一杯だが、ソリスアーマーを装着したら高熱エネルギーを使った攻撃のゴリ押しでシャゴン一体を倒せるとした事でソリスアーマーの強さが描けていた。

 

今回の話でちょっと残念だったのはアークが三体目のシャゴンを倒さなかった事。
「戦意を失った怪獣をウルトラマンは倒さない」と言う展開自体は嫌いではないのだが、今回はクロコ星人の物語に絞って最後まで展開してほしかった。
アークがシャゴンを見逃した事で「アークはどうしてこういう行動を取ったのだろう?」とクロコ星人の物語とは違うところが気になってしまったのは勿体なかった。

 

アークに助けられて「いつかお礼を言いたい」としていた石堂さんがクロコ星人から「ありがとう」を意味するハンドサインを教えられるのが良かった。

 

ユウマと石堂さんでクロコ星人のハンドサインの捉え方が違っていたのが面白かった。
石堂さんは同じものを見ていたのに違う捉え方をしてしまった事について「想像力の差」と考えるが、宇宙人に対してユウマと石堂さんの間に想像力の差が生まれてしまった理由はおそらく「ユウマは宇宙人に助けられた」のに対して「石堂さんは宇宙人に同僚を殺された」からだと思われる。
もし今回の宇宙人がザラブ星人のような悪意ある存在だった場合、ひょっとしたら「宇宙人に助けられたユウマ」は「宇宙人が地球人を騙す」と言う想像力を働かせる事が出来なくて危機に陥り石堂さんに助けられる事になっていたかもしれない。

 

クロコ星人のヌマタを担当したのは芸人のアキラ100%さん。
宇宙人の正体を隠して地球で精一杯生きるヌマタのキャラを見事に演じていた。

 

imagination.m-78.jp