帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「メッセージ」

「メッセージ」
ウルトラマンアーク』第11話
2024年9月21日放送(第11話)
脚本 本田雅也
監督 武居正能

 

古代地底獣オカグビラ
身長 50m
体重 3万5千t
星元市で陥没事故を引き起こしていた怪獣。
工事現場の音に引き寄せられて地上に現れた。
ドリルのように回転する角で地中を移動して相手を攻撃する。
アークとギヴァスの攻撃を受けて地中に逃げ帰った。

 

機械巨像ギヴァス
身長 70m
体重 6万9千t
空に突如現れた暗雲の中から姿を現した謎の自立型ロボット。
左腕のスコップクローで相手の攻撃をコピーして打ち出す。
上半身を180度回転させると巨大な爪を使うグラップルモードとなる。
オカグビラが逃走した後は動きを止めたが……。
「ギヴァス」と言う謎のメロディを発し続ける。

 

茸狩宇宙人クロコ星人
身長 2m
体重 96kg
宇宙科学局で石堂と再会する。

 

物語
陥没事故を調査していたSKIPの前に地中からオカグビラが現れ、さらに空から謎のロボットが降り立つ。
戦いに巻き込まれた子供達を庇ってアークが倒れる中、謎のロボットは子供達を守る動きをして……。

 

感想
今回はルティオンやゼ・ズーと言ったメインストーリーとは無関係で、ブレーザー編のようなイベント回でもないが、第1クールにあった色々な要素がここで再び取り上げられているので『アーク』のテーマを知る為には重要な話となっている。

 

『アーク』は「基本的に主人公のユウマがいない知らない部分については描かれない」となっていて、ユウマと石堂さんが別行動を取ったら石堂さんの出番が少なくなってしまい、今回も途中から石堂さんの出番が少なくなっているのだが、それでも今回の前後編は石堂さんにとって重要な話となっている。
『アーク』はユウマとアークの出会いを描いた「想像力を解き放て!」ではなくユウマと石堂さんの出会いを描いた「未来へ駆ける円孤」が第1話になっている事からも分かるように「ユウマとアークの話」ではなく「ユウマ(アーク)と石堂の話」となっている。
なので、『アーク』の全体の流れはユウマと石堂さんの出会いを描いた「未来へ駆ける円孤」が始まりとなって、その次にユウマの過去が分かる「想像力を解き放て!」と石堂さんの過去が分かる「あけぼの荘へようこそ」が来て、中盤に石堂さんにとって一つの試練となったギヴァス編とユウマとアークにとって転換期となったスイード編があって、最後にTVシリーズの最終章でユウマとアークの物語が、劇場版で石堂さんの物語が決着を付けられると言う感じになっている。

 

調査中に「ちょっと一息入れようか」と飲み物を買ってくる伴所長。
ところが買ってきたのがお茶だった為に石堂さんはさりげなく飲まずにテーブルに置いている。
付き合い長いのだから石堂さんには缶コーヒーを買ってあげれば良いのに……。
今回は他にもユウマの「やっぱり石堂さんは防衛隊の人なんだ……」と言ったように「石堂さんはSKIPの一員になったと思っていたが実はまだうっすらと壁が残っていた」と言う描写がある。

 

ギヴァスは「これぞまさにロボット!」と言うギミックがあって見ていて楽しい。
一時期のウルトラシリーズは生物の怪獣でも非生物的な能力を持っていて、生物の怪獣と非生物の怪獣の違いがあまり分からない事があったが、『ブレーザー』や『アーク』では野生の怪獣の生物的な面が強調されるようになったので、非生物系のロボット怪獣に装備されているギミックが際立つ事となった。

 

ギヴァスの行動が「オカグビラから子供達を守る」だけだったら「ギヴァスは敵ではない」と皆はもっと強く言えたと思うが実際にはギヴァスはアークとも戦っている。
だが、よく見たら最初に攻撃をしているのはアークやオカグビラの方でギヴァスはそれに反撃しているだけだったりする。
もしアークがギヴァスを攻撃していなかったら今回の話は一体どうなっていたのだろうか……?

 

今回のゲストの姉弟の描写はさすがにちょっと雑だったかな。
「ユウマを変身させたいタイミングで子供だけで取り残されている状態で出てくる」
「アークを退場させたいタイミングで帽子を取りに避難所から戦いの場に戻ってくる」
「ギヴァスは悪ではないとしたいタイミングでオカグビラが迫ってきても逃げないで踏み止まり、ギヴァスが迫ってくるのには反応しない」
「ギヴァスの行動の真意についてユウマと石堂を対立させたい展開になるとギヴァスが自分達を守ってくれたと証言できるのに登場しなくなる」
と物語の都合で姉弟が動かされているのが分かりやすすぎた。
満月の応え」もだったが『アーク』は「ただ敵を倒すだけではいけない」と言う話になるとただ敵を倒そうとする考えを否定する為に強引な展開になる事がある。

 

今回の話は本田雅也さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。

 

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