「受け継がれるもの」
『ウルトラマンアーク』第20話
2024年11月30日放送(第20話)
脚本 三浦有為子
監督 秋武裕介
特技監督 内田直之
古代怪獣ゴメス(SP)
身長 40m
体重 4万t
羅角山に現れた肉食の怪獣。
従来種より大型である事以外の身体的特徴はゴメスと一致していたが「シトロネラアシッドが効かない」「飛行能力を持っている」「アークの光線を反射する」と言ったこれまでのゴメスには見られなかった特徴を見せる。
その正体は擬態能力を持つ宇宙生命体スペッキオであった。
宇宙生命体スペッキオ
身長 測定不能
体重 測定不能
ガラスやケイ酸塩等を主食としている宇宙生命体。
ゴメスに擬態していたがアークアイソードで倒されると青く光り輝くクリスタルのような正体を現した。
物語
伴所長の娘さんが星元市の職業体験でリポーターに挑戦する事となった。
一方、山中で怪獣ゴメスが発見される。何故か麓に降りないゴメスに疑問を抱きながらもSKIPは対策を進める。
感想
娘さんが登場する伴所長の掘り下げ回。
「父と娘」の話となると「対立・拒絶からの理解・和解」が定番でウルトラシリーズでもそう言った話がいくつかあるが、今回は伴所長と娘の仲直りではなく娘のツグミの成長物語となっていた。
ツグミが職業体験にSKIPを選ばなかったのは父を避けたのではなく一番やりたかった事が何かを伝えるリポーターだったのであろう。最初は何かを伝えたいが何を伝えたら良いのか分からなくて言葉が出てこなかったツグミであったが、乾あかりや父の仕事での姿を見て、それを皆に伝えたいと思えた事で最後はちゃんと自分の言葉で大切な事を伝えられるようになった。
仲が悪いわけではないしお互いの事も気にはなっているのだが、お互いの仕事場に踏み込んでいくのはちょっと躊躇してしまうと言うのは父娘の距離感としてリアルな感じがした。
SKIPも星元市の職業体験で募集をしているのだが一人も応募が無かったらしい。
ユピーはその理由を「地味な仕事だから」と説明する。
それもあると思うが「危険な仕事」なのも応募が無かった理由の一つだと思われる。
星元市は直前にヘルナラクによって住民全員が避難を強いられて街そのものが消滅する危機に瀕しているので、そんな怪獣を調査する仕事は危険だと敬遠されてもおかしくはない。中高生が応募しようとしても親が止めそうだし。(実際、今回も人体に有害かもしれない未確認物質から人々を避難させる仕事をしているし)
第1話から何度か登場しているリポーターの乾あかりが全編に亘って登場している珍しい回。
ツグミへのフォローやアドバイス、取材先のお店への対応、ゴメスが街に現れた時の緊急中継への切り替えと彼女のリポーターとしてのプロの部分が見られる話となっている。様々な状況における乾あかりのキャラクターの切り替えを見事に演じた田中日奈子さんが素晴らしかった。
序盤の頃は怪獣と関係の無い話では無口だったユウマが伴所長と雑談をするようになった。彼が成長している事が分かる。
『Q』のゴメスがゴジラの着ぐるみを改造したものだからか、ニュージェネレーションシリーズに登場するゴメスはゴジラシリーズのようなガッツリとした怪獣描写が見られて嬉しい。(因みに今回の話が放送された2024年は『ゴジラ』公開から70年で、『Q』のゴメスの元となったゴジラの着ぐるみが作られた『モスラ対ゴジラ』公開から60年であった)
飛行能力が無いゴメスが宙に浮いたのを見てシュウさんは「ゴメスをかたどって作ったロボットか!?」と驚く。おそらくこれは『ゴジラ対メカゴジラ』のにせゴジラが元ネタだと思われる。(因みに今回の話が放送された2024年は『ゴジラ対メカゴジラ』公開から50年であった)
今回のゴメスの正体は宇宙生命体スペッキオであった。
ゴジラ関係で宇宙から飛来した結晶体の怪獣と言えば『ゴジラVSスペースゴジラ』のスペースゴジラを思い出す。スペースゴジラも反重力を使っていたし。(因みに今回の話が放送された2024年は『ゴジラVSスペースゴジラ』公開から30年であった)
今回のゴメスは大型種だが従来の「S」ではなく「SP」と表記されている。この「SP」とは「Singular Point(特異点)」の略らしい。おそらくこれは『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』が元ネタだと思われる。
ゴメスと戦うアークを歩道橋等から応援する人々の光景はちょっと懐かしいが『巨神兵 東京に現わる』を思い出した。
今回は光線がバンバン撃たれてバンバン反射されているので歩道橋に留まってアークとゴメスの戦いを見学していた人々はかなり危険であった。今回は他にも未確認物体であるスペッキオの姿を見に来る人々もいた。こういう人達に危険を伝えて避難させるのもSKIPの大切な仕事なのだ。
「仕事をしている父と学生の娘」と言うシチュエーションでありながら「仕事場に戻っていく父」ではなく「職業訓練」と言う設定を使って「仕事場に戻っていく娘」と言う場面を作るのが面白かった。
こういうちょっとしたところでこれまで無かったシチュエーションを持ってくるのが『アーク』の面白いところだと思う。
今回の話は秋武裕介さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。