帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズとゴジラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「夢咲き鳥」

「夢咲き鳥」
ウルトラマンアーク』第21話
2024年12月7日放送(第21話)
脚本 中野貴雄
監督 秋武裕介
特技監督 内田直之

 

夢咲き鳥怪獣ベビーザンドリアス
身長 60cm
体重 5kg
遙か宇宙の彼方からアオイの願いを叶える為に地球にやって来たと語る赤い球が「夢咲き鳥に会いたい」と言うアオイの願いを受けて変わった姿。
アオイのもとで成長してザンドリアスになり、さらにアオイの怒りを受けてキングオブモンスになるが、最後はベビーザンドリアスに戻って自身の消滅と言う願いをアオイに頼んだ。
「ドリーム(夢)」から「ドリちゃん」と名付けられた。

 

夢咲き鳥怪獣ザンドリアス
身長 220cm
体重 220kg
ベビーザンドリアスが成長した姿。
アオイの同僚に存在がバレて大騒ぎになり、そのまま市民公園で人々の好奇の目にさらされてしまい、防衛隊の攻撃を受けてしまう。

 

最強合体獣キングオブモンス
身長 83m
体重 8万2千t
アオイの「こんな世界ぶっ壊れてしまえ」と言う願いを受けた赤い球が変わった姿。
圧倒的な力で世界を破壊していくがアークとギヴァスのタッグ(友達)の前に敗れた。
個人的には今回のキングオブモンスは怪獣が合体していないのでザンドリアスに合わせて肩書きを「夢咲き鳥怪獣」にしてほしかったかな。

 

機械巨像ギヴァス
身長 70m
体重 6万9千t
アオイの「助けて」の願いを受けて地球に帰ってきた「友達」。
アークと力を合わせてキングオブモンスに勝利する。

 

物語
リンの友達であったアオイの夢は「子供達に夢を与えるSF作家」になる事。
しかし、大人になったアオイの現実は仕事に忙殺される毎日であった。
そんなアオイのところに不思議な赤い球が現れて……。

 

感想
今回の話ではリンとアオイが対比されている。
二人とも高校生時代に自分の夢を語っていたのだが、自分の力で夢を叶えたリンに対してアオイは「どっかにでっかいネタ落っこちていないかなぁ」と他の力に頼って夢を叶えようとするようになってしまった。そんなアオイのところに何でも願いを叶える赤い球が現れてしまう。

 

今回の舞台はウルトラシリーズで何度か登場する「北川町」。
メトロン星人の回を意識したのか、実相寺監督っぽい場面がちょいちょいあった。

 

ドリちゃんと出会った後のアオイの小説が高評価を得たのは赤い球の能力のおかげなのかは不明。
個人的には今まではアオイ一人で物語を考えていたのが、今度はドリちゃんとディスカッションしながら考えるようになった事でアイデアが増えたり物語の問題点を見付けたりする事が出来るようになったのかなと思う。

 

さよなら、リン」で山神が嘘を吐いている時の仕草を見抜いたり、今回の話でも何かあった時のアオイの誤魔化し方を知っていたりとリンの人間観察力の高さが分かる。

 

市民公園にザンドリアスが現れたのを受けて野次馬が集まって写真を撮ってしまう。
2mくらいとは言え怪獣のすぐ近くに野次馬が集まるなんて……と思ったが、前回の「受け継がれるもの」でも40m近くあるウルトラマンと怪獣の戦いを近くの歩道橋から見ていた人達がいたなぁ……。
ひょっとしたら星元市は怪獣出現が続いたので感覚が麻痺してきた人々が出てきているのかもしれない。

 

「どっかにでっかいネタ落っこちていないかなぁ」と言うアオイと違ってリンは自分の力で夢を叶えたので「望みは誰かに叶えてもらうものじゃない。自分の力で掴み取るものでしょ!」と告げるのだが、そんなリンがSKIPに入隊できたのは山神の推薦があったからなので、アオイから見たらリンは「自分と違ってチャンスを与えられた人物」であったのだろう。

 

『アーク』のこれまでの話を見ていると、近くにアオイがいるのに発砲する防衛隊はちょっと違和感を覚える。その後もアオイとリンが避難している最中に破壊された街に留まっている女の子がいきなり出てきたりとちょっと強引だったり唐突だったりする展開があった。
今回は30分のヒーロー番組で扱うにはちょっと難しいテーマだった上にゲストがメインの話だったのでゲストの説明もしなければいかず、さらにクライマックスではギヴァスが助けに来ると言うサプライズも盛り込まれていたので全体的に時間が足りなかったのかもしれない。
短い時間の中で伏線等も上手く使っていたのだが、やはり前後編や劇場版と言った長尺でじっくりやってほしかったなと思う。

 

ザンドリアスとキングオブモンスを同じ怪獣にすると言う発想に驚いた。
言われてみれば身体的な特徴が似ているので、アオイの心が穏やかだった時はザンドリアスで、心が怒りに震えるとキングオブモンスに変わると言うのはなるほどであった。
「ザンドリアス」から「ドリーム(夢)」と言う言葉を抜き出して夢を叶える赤い球と絡めるのも上手かったのだが、やっぱり元々は別のキャラクターであったザンドリアスとキングオブモンスを同じにしてしまうのは強引さを感じてしまった。
『ガイア』の頃だったらキングオブモンスの夢咲き鳥の姿も新しく作られたのだろうなぁと考えてしまう。

 

キングオブモンスの初登場となった『超時空の大決戦』が時空を超えてティガとダイナがガイアを助けに来る話だったので今回は時空を超えてガイアとアグルがアークを助けに来るかと思われたが実際に助けに来たのはギヴァスであった。
よく考えたら、『超時空の大決戦』の勉と違ってアオイは違う次元にウルトラマンがいる事を知らないので、彼女の願いを受けて助けに来るものは以前に『アーク』の地球に現れたギヴァスとなる。この辺りは理屈で考えると分かる。
アオイとリンとドリちゃんの関係を「友達」とした後で「友達」の意味を持つギヴァスを登場させるのはテーマとしても上手かったと思う。
超える思い」でも似た事を書いたが、『ブレーザー』以降だけで考えるならかつてアークと戦ったギヴァスが助けに来ると言う展開は盛り上がりポイントになるのだが、『ガイア』の『超時空の大決戦』を知っていたら「前回は時空を超えて他のウルトラマンが助けに来たのに今回はそれが無かった」と言う盛り下がりポイントになってしまうところはあった。
今回の登場怪獣がキングオブモンスでなかったらガイアとアグルの登場を期待する事も無かったと考えるなら、今回は過去の怪獣を再登場させる難しさが出た回と言う事が出来る。

 

『Z』でセブンガーがヒットしてから、『トリガー』のナースデッセイ号、『デッカー』のテラフェイザー、『ブレーザー』のアースガロンと巨大ロボットがレギュラーで登場するようになった。『アーク』にはそう言ったレギュラーの巨大ロボットは登場しなかったが、「ウルトラマンを助ける巨大ロボット」はブレーザー編のアースガロンや今回のギヴァスで達成された。(後は変則だが「インターネット・カネゴン」の時のユピーもかな?)

 

ギャラクサーファイナライズでキングオブモンスと一緒にギヴァスも爆発してしまったのか!?と思わせてからのギャラクシーアーマーのワームホールで助け出されていたと言う展開は他のアークアーマーでは出来ないギャラクシーアーマーならではのもので良かった。

 

マスターの言葉をずっと守っていたり、再会したばかりのアークの為に「俺に構わず撃て!」をしたり、ギヴァスの知り合いへの思いがちょっと重い……。

 

アオイが原因で誕生したキングオブモンスの破壊シーンが凄くて「これ、事件が解決してもアオイは星元市ではもう生きていけないのでは……」と不安になったが、最後にドリちゃんが「全てを夢にして忘れて……」と言っているので、赤い球の力で全て無かった事になったのかな。

 

アオイが勤めている綺羅星社は下請けの弱小で仕事を多くこなす事で何とか保っていた。
こういう展開だと無理解で理不尽な上司や同僚が出てくるものなのだが、今回の上司や同僚は悪い人ではなく、彼らもアオイと同じく仕事が多そうだった。
彼らをステレオタイプな嫌な人物にしなかった事で、今回のアオイの怒りは職場の上司や同僚と言った身近の特定の人物に向かうのではなく、上手くいかない自分の人生とそれに関わる人々、つまり自分が今生きている世界そのものに向けられる事となった。
今回はアオイにとって特定の悪人がいなかったので、その悪人をどうにかして問題が解決すると言う展開にはならず、アオイ自身が変わる事が問題解決への道筋となった。なので、ラストシーンは以前と同じようにアオイの仕事やプライベートの状況は変わっていないかもしれないが、アオイ自身の考え方が変わっていたら、これから状況は少しずつでも良くなっていく可能性がある。(「芝アオイ」と言う名前も「隣の芝生は青い」からだろうし。彼女の問題の根っこの部分っておそらく心理的なものだと思われる)

 

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