「舞い降りる夢幻」
『ウルトラマンアーク』第24話
2025年1月11日放送(第24話)
脚本 継田淳
監督 辻本貴則
ビオルノ
身長 不明
体重 不明
再びユピーの電子頭脳を借りてスイードの魔の手からユウマを逃がす。
前回はゼ・ズーの妨害で伝えられなかったオニキスについての情報をユウマに説明する。
夢幻獣ギルバグ
身長 44m
体重 3万9千t
トリゲロスが通過したワームホールを通って地球にやってきた。
夢を操る能力を持ち、夢の世界でユウマとルティオンの繋がりを断とうとした。
ギルバクリスタルを使ってドーム状のバリアーを展開する。
手の先からカッター状の光の刃を出す。
名前の由来は「獏」から。
暗黒宇宙卿ゼ・ズー
身長 不明
体重 不明
ルティオンがゼ・ズー ゲートを分解してキューブに再構成した事を知って、ゼ・ズー ゲートに恒星ソニアのエネルギーの他に汚染物質も送り込んでルティオンとユウマの肉体を蝕んでいった。
ルティオンを取り逃したスイードに「これ以上の失敗は許されない」と警告する。
物語
トリゲロスの爆発によって消息不明となったユウマ。
意識を取り戻したユウマはアークからK-DAY以降の出来事が全て夢だったと告げられる。
果たして真実は……?
感想
『アーク』のオープニングはその回の本編の一部が差し込まれる形になっているのだが、今回は意味深に振り返るアークの場面で台詞が無いものとなっていた。
間奏部分で台詞が聞こえてくるのにすっかり慣れていたので今回の台詞無しバージョンは心がかなりざわついた。
ギルバグによってスイードが変身していた偽のアークはいつもと同じ声と顔のはずなのにどこか違和感があると言うかウルトラマンっぽくない雰囲気が出ていたのが凄かった。
結局はスイードの嘘であったが「ウルトラマンは子供が生きる力を失わない為に生み出した夢」と言う話は興味深いものであった。
「イマジナリーフレンド」のような「子供の時に見る想像上の友達」に通じるものがあって、「想像力」が一つの鍵である『アーク』ならではのウルトラマン像と言えるかもしれない。
「イマジナリーフレンドは大人になったら消える事が多い」と言う話を聞くと、「アークは事故に巻き込まれたユウマが生きる為に生み出した夢で、ユウマが救援隊に助けられると消滅する」と言う話は「子供が一人で生きられるようになったらウルトラマンは不要になって消える運命にある」と考える事が出来て、これまでのウルトラシリーズの歴史の中でも最も儚いウルトラマンだと言える。
今は大人になってもウルトラシリーズを見続けている人が増えたが、「大きくなってウルトラマンから卒業した人達」もやっぱり多くいて、今回はそう言ったものも含めた話のように思えて色々考えさせられるものがあった。
今回の話を見て、この展開にするのなら「想像力を解き放て!」を第1話にして、「16年前の悪夢に唸らされるユウマが夢から覚める」と言う場面を番組の始まりにすれば、「実は『アーク』の物語は全て夢だった」と言う展開により説得力が与えられたのではないかと思った。
スイードとギルバグの夢幻を打ち破ってユウマが瓦礫から発見されるきっかけとなったのはユウマの父親の形見の腕時計であった。
まるでユウマの父親がユウマの命を救おうとしているようで感動的であった。
ギルバグはウルトラシリーズのラスボスっぽくないデザインであるが、全体的に『アーク』はこれまでのウルトラ怪獣とはちょっと違ったデザインになっていたので、可愛らしいけれどどこか不気味さもあるギルバグは実に『アーク』らしいラスボスだったと思う。どことなく70年代っぽい感じもして。
オニキスについてビオルノが図解入りで説明してくれたが、これはルティオンがユウマから影響を受けて、さらにビオルノがルティオンから影響を受けたと言う事なのかな。
ルティオンがオニキスを分解してキューブに再構成する事で制御に成功した事を知ったゼ・ズーはゼ・ズー ゲートを通じて恒星ソニアのエネルギーの他に汚染物質も送り込むようになる。
ゼ・ズーは汚染物質を加える事でアークとユウマの体を蝕み、さらにオニキスのエネルギー蓄積量を限界に近付けてゲートを無理矢理に開こうとしていた。
今回の話はユウマやビオルノ側からとなっていて、ゼ・ズーはスイードに命令をしている場面くらいしかなかったので、彼が何を考えているのか心の内を完全に理解できた感じがしなかった。作品としては「ゼ・ズーは単なる悪」とした方が色々スッキリするのかもしれないが、彼がここまで手段を選ばなくなった経緯についてゼ・ズー側からの話も見てみたかったところ。
ゼ・ズーは肩書きが「暗黒宇宙卿」になっているのでスター・ウォーズシリーズのシスの暗黒卿がモデルだと思われる。
「お許しを」「失敗は許されない」と言うやりとりをする敵キャラクターは日本のヒーロー作品だと東映作品に多くてウルトラシリーズではあまり見られない。ウルトラシリーズでは異色なだけに短い登場ではあるがゼ・ズーは印象に残るキャラクターとなった。
シュウさんはトリゲロスに向かうユウマを止められなかった自分を責める。
トリゲロスに向かっていったユウマはその後にトリゲロスの大爆発に巻き込まれて消息不明になったが、実はシュウさんのかつての同僚は爆発で命を落としている。
今回の話はモノゲロスの時に瓦礫の下敷きになったユウマが再び瓦礫の下敷きになったり、シュウさんが再び友(同僚)を爆発で失う等、彼らのトラウマが再現されている。
ウルトラシリーズ恒例の正体バレであるが、今回は「あくまで推測だが」「彼」「ギルバグと戦う気なの?」と言った台詞はあるが「ユウマはアークである」と直接言及した場面が無いまま「ユウマがアークに変身する」と言う答えが示される形となった。
ユウマとアークは別人格であると明確に語られていて、アークはユウマの両親を助けられなかった事を後悔していて今もユウマを危険な戦いに巻き込んでいる事に後ろめたさを感じていると考えて見るとSKIPの皆がユウマを心配して止める声を背中に聞きながらのアークの変身は胸が締め付けられるものがあった。
ドーム状のバリアーを展開しながら移動する事で防衛隊の攻撃を防ぎながら街を破壊していくギルバグ。『アーク』はバリアーの見せ方が豊富で実に面白い。
ギャラクシーアーマーを装着したアークであったが制御できなくて暴走させてしまう。
作品を通してギャラクシーアーマーの出番が思ったより少なかったが、今回語られた「ゼ・ズーが送り込んだ汚染物質によってオニキスの制御が難しくなっていた」がその理由だったのかな。
ギャラクシーアーマーの出番が少なかったのは残念だが、使用の機会が限られた事で危機に陥る場面も少なくなり、結果的にギャラクシーアーマーの最強感が保たれたところがある。
サブスク等で見ると分からないが、放送当時の『アーク』は『デッカー』『ブレーザー』と同じく最終三部作の途中で特別総集編と年末年始の休止が差し込まれる形になっていた。
最終決戦の途中で二週間も話が進まないのはかなりの痛手であるが、『アーク』では最終三部作をトリゲロスとの決戦が展開される第23話とギルバグの精神攻撃が行われる第24話&第25話の二つに分けて特別総集編と年末年始の休止をその間に挟む事で物語がぶつ切りにならないようにと工夫されていた。