帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズとゴジラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ウルトラマンアーク THE MOVIE 超次元大決戦! 光と闇のアーク』

ウルトラマンアーク THE MOVIE 超次元大決戦! 光と闇のアーク』
2025年2月21日公開
脚本 継田淳
監督 辻本貴則

 

犬狼怪獣ドグルフ
身長 65m
体重 6万5千t
人や家畜を襲った個体が何体も駆除されている獰猛な怪獣だが、モトキ少年が秋吉山で出会った個体は迷子になったモトキ少年を助けた優しい怪獣で、「ムー」と鳴くのでモトキ少年に「ムーゴン」と名付けられていた。
秋吉山一帯を他の怪獣から守っていて、老衰で弱ったところをシャゴンに襲われるがアークの力を借りて返り討ちにする。
最後はモトキに看取られて静かに眠りに就いた。
名前の由来は「ドッグ(犬)」と「ウルフ(狼)」かな。
ムーゴンの名前の由来は辻本監督の愛犬「むーちゃん」だと思われる。

 

鎧甲殻獣シャゴン
身長 5~54m
体重 3~4万7千t
秋吉山の麓で家畜を襲っていた犯人。
ドグルフと縄張り争いをしていて老衰で弱ったところを襲うがアークの参戦で形勢逆転され、最後は二体が力を合わせるシャゴンボールを繰り出すもアークとドグルフの連携に倒された。

 

宇宙寄生植物ガチュラ
身長 15cm~40cm
体重 400g
人間に寄生してその意思を操る宇宙植物。
5年前に発見されて以来、防衛隊が世界各地で捜索と駆除を行っていた。
「繁殖して他の惑星を乗っ取る」と言う明確な意思を持っている。
高周波でSKIPの機能に障害を与えた隙にリンの人格を乗っ取るが、カフェインを極度に嫌う性質のせいで見破られてしまった。
リンの肉体を一部変化させて暴れるが最後はユピーのコーヒータイフーンアタックでリンの肉体から追い出されたところをリン本人にエレマガンでトドメを刺された。

 

宇宙獣ゼロゲロス
身長 53m
体重 2万t
時空の歪みから現れて未来科学研究所のアンジー1号を狙う。
これまでの宇宙獣と違って角が無い。
アークと正気に戻ったギルアークからの反撃を受けたところでレポ星人に取り込まれる事となる。
名前の由来は「ゼロ」かな。出来ればゲロスシリーズはギリシャ語で統一してほしかったが、どうやら昔のギリシャ語は「ゼロ」に当たる言葉が無かったらしい。

 

邪悪怪人レポ星人
身長 不明
体重 不明
レポ星から来た侵略者で過去に石堂シュウの同僚を殺害している。
地球制圧の為にネオプラズマを生成して莫大な量のエネルギーを作り出す廃棄物ゼロの夢の装置アンジー1号の開発データを狙う。
幻覚作用のある霧を使ってSKIPを混乱に陥れた。
ギルアークに変身した石堂シュウが正気を取り戻すとゼロゲロスと合体してレポディオスに変身した。
ゼ・ズーと同盟を結んでいたらしい。

 

邪悪怪獣レポディオス
身長 66m
体重 6万6千t
レポ星人がゼロゲロスと合体した姿で本人曰く「真の姿」。
全身から様々な効果を持つ光線やミサイルを発し、念力で周りの物体を飛ばす他、腕の装甲を遠隔操作する事で全方位から相手を攻撃する事が出来る。
アークとギルアークを追いつめるが最後はソリスアーマーを装着したアークとギャラクシーアーマーを装着したギルアークの連携技で倒された。

 

闇戦士ギルアーク
身長 48m
体重 3万2千t
心の闇を力とする邪悪な戦士。
レポ星人が石堂シュウがかつて作った彫刻「ギルティ」をギルアークキューブに変え、ユウマから奪ったアークアライザーと合わせて石堂シュウを変身させた存在。
アンジー1号の開発データを奪うゼロゲロスの手助けをして、それを阻止しようとするアークと戦うが、ユウマの訴えを聞いた石堂シュウが正気を取り戻すとアークと力を合わせてレポ星人の企みを阻止した。

 

宇宙賢者ディグル星人サスカル
身長 168cm
体重 58kg
時空を超えて旅をして正しき者に叡智を授ける賢者。
旅の途中でアークの噂を聞き、ユウマに勇者の資格があるかテストをしにやって来た。
時を操る能力でユウマに三つの未来を経験させる。

 

物語
ユウマが助けた奇妙な男性の正体は宇宙賢者のサスカルであった。
アークの噂を聞いたサスカルはユウマに「勇者の資格」があるか確かめると告げる。
果たしてユウマはサスカルの三つの試練を乗り越えて気付きを得る事が出来るのであろうか?

 

感想
『アーク』の劇場版。
『ギンガS』以降のニュージェネレーションシリーズの劇場版はTVシリーズの後日談になっているのだが、今回はTVシリーズの第21話と第22話の間の話となっていて、「白い仮面の男」や特別総集編の「SKIP星元市分所のみなさまへ」では本作で起きた事件について少し触れられている。
これまではTVシリーズの終盤で後日談である劇場版の発表が行われるので劇場版の予告等からTVシリーズの結果が少なからず分かってしまう事があったが、今回はTVシリーズの後日談ではないのでそのような事態を避ける事が出来た。
一方で今回は劇場版で何があっても最終的にはTVシリーズ第22話冒頭の状態になっているはずなので予告で「ユウマがウルトラマンの力を失うかもしれない」と言われても実際はそうはならないだろうと言う事が分かってしまったのだが、実際に劇場版を見るとサスカルが本気でユウマから力を取り上げるつもりは無くて真の目的はユウマが気付きを得られるかどうかである事が分かり、TVシリーズの第22話以降を見ていても劇場版がどのような展開を繰り広げるのか分からない作りになっていた。

 

サスカルが語った「強大な力を持つ者は時として世界を破滅に導く。それを防ぐ為には心と力の両方を正しく用いらなければならない。それが出来ているのか自分では中々分からないものだ」はゼ・ズーに当てはまる言葉だったのかな。ゼ・ズーは強大な力を持っていたが心と力を正しく用いられていたのか自分自身では分かっていなかった感じがした。

 

サスカルからの第1の試練は「犬狼怪獣と少年」。
モトキ少年がムーゴンに助けられたのは10歳の時となっている。現在の武川モトキの年齢は不明だが演じている中山翔貴さんが公開翌月に26歳になっているのでモトキも同い年ぐらいだと考えるとムーゴンに助けられたのは大体16年前となる。
『アーク』の世界で16年前となるとK-DAYの年となる。主人公のユウマは16年前に山で怪獣に襲われたが一方で山で怪獣に助けられたモトキのような子供もいたのだった。

 

16年前に「光の巨人に助けられた」と言う話を大人達に信じてもらえなかったユウマが大人になって「怪獣に助けてもらった」と言うモトキの話を信じられなかったのが辛い。
両親を殺されたからか、意外とユウマは怪獣に関して夢は見ていなかったりする。

 

今回の話でちょっと引っかかるのはTVシリーズでユウマ(アーク)が怪獣を倒さなかった話がいくつかあった事。「今の人間の科学力では怪獣を倒すしかないが、ウルトラマンの力なら倒す以外の方法が出てくる」なら分かるのだが今回の話を見るとユウマは人間を襲わない怪獣の存在を信じていない感じだった。
特に引っかかるのが「あけぼの荘へようこそ」でシャゴンを倒さなかった事。アークのエネルギーが限界だったとか理由付けする事は出来るが「実際に人間を襲って食べようとしたシャゴンは倒さずに逃がした」のに「人間を助けたとモトキが訴えたムーゴンは倒すしかないとした」と言うユウマの判断には矛盾を感じてしまう。

 

ムーゴンはウルトラ怪獣では珍しくリアルな動物っぽいデザインをしていてCGで表情の変化も付けられている。ウルトラシリーズと言うより夏休み等に公開される長編のCGアニメ映画に出てくるキャラクターみたいな感じかな。
ウルトラ怪獣は昔から着ぐるみが使われていて、その伝統は守った方が良いし、ヒーローショー等で子供達が着ぐるみと言う映像作品に使われた本物と触れ合える機会は大切にした方が良いと思うが、それはそれとしてウルトラシリーズは映像作品なのでその時代に合わせて新しい映像技術が使われるべきだとも自分は考えているので今回のようなCGを使った表情の演出はもっと増えても良いと思っている。

 

ルーナアーマーのルーナソーサーをフリスビーに見立ててムーゴンとの連携に使うアイデアはさすが犬好きの辻本監督だなぁと感心した。

 

ムーゴンの最期が「老衰」だったのは予想外で驚いた。てっきりシャゴンとの戦いで命を落としてしまうかと……。でも、ウルトラシリーズは「怪獣」を描くもので、「怪獣」を「生物」と捉えるなら今回のような結末もまたウルトラシリーズならではと言える。

 

今回の話を見ると『アーク』の世界では「怪獣を倒さない」と言う判断はかなりイレギュラーである事が分かる。
そう考えると巨大ではないとは言え自宅でピーターを飼っている特別総集編の中村さん親子は相当の変わり者なのかもしれない。

 

サスカルの試練は「本来ならば一つの未来が三つの試練となる」で、一つの試練に合格すると「時間が戻る」との事。
と言う事は秋吉山のムーゴンの事件は第2の試練以降はまだ解決していない事になるのかな?
出来ればムーゴンは安らかに眠らせてほしいので、全ての試練が終わった後、ユウマには秋吉山に行ってムーゴンをちゃんと助けてほしい。

 

サスカルからの第2の試練は「怪奇! 宇宙植物事件」。
サブタイトルに「怪奇!」や「決戦!」とか付けるのは昭和の頃はよくあったが平成以降はすっかり無くなってしまった。平成以降のお洒落で知的な感じのサブタイトルも良いが、第2期や第3期の頃にあったインパクト重視のサブタイトルも好きなのでもう少し増えてほしいところ。

 

ガチュラが活動を開始した為にSKIPはバイオハザード防止システムを作動させる。
SKIPは普通のビルに入っている感じだったのでこのようなシステムがあった事に驚いた。
まぁ、今回のガチュラのように危険なものが持ち込まれる可能性があるので最低限の備えは必要だろう。と言うか、得体の知れないものが街中のビルに持ち込まれる事があるってよく考えたらかなり怖い。

 

「隔離された空間で仲間の誰かに宇宙生物が寄生している」と言うシチュエーションは『遊星からの物体X』が元ネタであろう。

 

リンさんも疑っていたが、いくらガチュラに関する情報を持っているのが防衛隊所属のシュウさんだけだったとは言え、容疑者の一人であるシュウさんがガチュラを炙り出すテストを主導していくのはマズいだろう。絶対に寄生されていないユピーに担当させるわけにはいかなかったのかな?

 

ガチュラに寄生された犯人はリンさんだった。
よく見るとガチュラに関する情報を持っているシュウさんが喋った後にリンさんが疑問を呈する場面が多かったりする。
だが、リンさんは元々ツッコミキャラだったしシュウさんとはちょっと距離があったので初見でリンさんが怪しいと見抜くのは難しいだろう。

 

実は今回の各試練の重要人物達は少年時代に怪獣に襲われたユウマと違って少年時代に怪獣に助けられた武川モトキ、自分の意思を尊重してくれるアークと一体化したユウマと違って人格を乗っ取るガチュラに寄生されたリンさん、絵が上手で光の巨人に変身するユウマに対して禍々しい彫刻を作って闇の巨人に変身したシュウさんと全員がユウマと対になるように設定されている。

 

サスカルからの第3の試練は「決戦! アーク対ギルアーク」。
『アーク』のもう一人の主人公とも言えるシュウさんが遂にウルトラマンに変身する。
今回のシュウさんの話は「敵が女性」「精神攻撃を仕掛けられる」「過去のトラウマと対峙する」とTVシリーズ最終章のユウマとの共通点が多くあった。

 

宇宙人に殺されたシュウさんの同僚の名前は「木内仁」。
演じているのはスーツアクターの力丸佳太さんで、『NEW GENERATION THE LIVE』の「ブレーザー編」でゲント隊長のかつての相棒で現在は故人である「神尾ジン」を演じていた。……それってひょっとして……?

 

アークアライザーを使ってギルアークキューブを生み出したレポ星人。
レポ星人がアークのアイテムを使えた事に驚いたが、後にレポ星人とゼ・ズーが同盟を結んでいた事が明かされるので、ひょっとしたら、ゼ・ズーからアークに関する情報を教えられていたのかもしれない。

 

ギルアークに変身させられたシュウさんを見てユウマは「僕はあなたの苦しみに気付かなかった。ずっとそばにいたのに、胸の中にある痛みを想像出来なかった」と涙を流す。
そう言えばユウマはルティオンの銀河の状況もルティオンに直接説明されるまで知る事が出来なかった。前作の『ブレーザー』は「言葉以外のコミュニケーション」を色々取り扱った作品だったが『アーク』は「ハッキリと言葉にしないと相手は知る事が出来ない」と言う展開がいくつかあった。ここはあえて前作とは違う答えを出したのかな。

 

ウルトラマンが涙を流す場面は驚いた。
従来のウルトラ作品だったら顔を俯かせる等で表現したと思うが今回はシュウさんを正気に戻す為に涙と言うきっかけになるものがあった方が良かったのだろう。
平成以降のウルトラマンは切断面から光が吹き出す事で血の表現をしていたので同じように目から光が零れる事で涙を表現するのはアリだと思う。

 

レポ星人はゼロゲロスと合体してレポディオスに変身するが彼女が言うにはこちらが「真の姿」らしい。
と言う事はレポディオスがレポ星人とゼロゲロスに分離して、その後、ゼロゲロスを元にモノゲロス以降の宇宙獣が作られたと言う事であろうか?
でも、「レポ星人」が分離後の名前とは思えないので、レポ星人の一人がゼロゲロスと合体してレポディオスになり、その後は幻覚作用のある霧等を使ってレポ星人時代の姿を幻で出していたのかな?

 

レポディオスの「全身これ武器!」な感じは超獣を思い出して実に良い。
やはり劇場版のラスボスはこのくらい大暴れしてほしい。

 

弾き飛ばされたアークのギャラクシーアーマーをギルアークが装着して、その後、ギャラクシーアーマーを装着したギルアークとソリスアーマーを装着したアークが力を合わせてレポディオスと戦う流れはアーマーを売りの一つにしていた『アーク』ならではの逆転劇で良かった。これがタイプチェンジだったらギルアークがアークの能力を借りる展開は難しかったと思われる。

 

そう言えば「怪獣を切断する描写はNG」と言われた時期があったが、いつの間にか怪獣を切断する描写をハッキリと見せるようになっていたなぁ。

 

住民に被害を出さずにレポディオスを大暴れさせる方法とギャラクシーアーマーのワームホールを生かしたクライマックスを生み出す方法を考えると未来科学研究所を宇宙に飛ばした展開は理解出来るのだが、正直言うと、無事に地上に戻れてももう施設の設備は使い物にならないのでは……と心配してしまう。

 

未来のユウマが登場した理由の一つに「アークアライザーが一つしか無いのでアークとギルアークを両方出すには違う時間軸のユウマを出すしかなかった」と言うのがある。
ここで「ユウマの想像力で第二のアークアライザーが誕生する!」とか言う展開にならないところが実に『アーク』らしいなと思う。

 

今回の劇場版は第21話と第22話の間の話なのだが、ゼ・ズーとの戦いを終えた未来のユウマが出る事でTVシリーズの後に公開される事にちゃんと意味が生まれていた。

 

サスカルのキャラがまんま竹中直人さんだったのだが、威厳を出す時はちゃんと出しているのはさすが。最後の全てのネタばらしをしていた時はちゃんと宇宙の賢者に見えた。

 

エンディングは作品全体の振り返りになっているが、劇場版も含めた時系列になっているのが嬉しかった。

 

今回のレビューの最初にも書いたが今回の映画はこれまでのニュージェネレーションシリーズの映画にあった様々な問題を解決しようとしていたのが感じられた。
ウルトラシリーズに限らず長くシリーズを続けていくと展開が固定化されて色々な問題が起きてくる。そういったところで『レオ』や『ネクサス』のような異色作が出てくるのだが、『アーク』は基本設定は王道のままで細かいところを色々調整する事で問題点を解決しようとした感じを受けた。なので、設定だけ見ると王道に近い印象を受けるが実際に見てみると意外と今まで見た事が無かった展開を目にした。
このように問題解決の為に色々工夫を凝らす事も「想像の力」と言えるかもしれない。

 

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