帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズとゴジラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ゴジラの逆襲』

ゴジラの逆襲
1955年4月24日公開
原作 香山滋
脚本 村田武雄・日高繁明
特技監督 円谷英二
監督 小田基義

 

「ヒットした作品は続編が作られる」は古今東西にある話で、『ゴジラ』からわずか半年後に公開されたゴジラシリーズの第2作。
本作の目玉としてゴジラアンギラスの戦いが大阪で繰り広げられ、この「怪獣同士の戦い」は以降の怪獣作品の一つの基本となる。

 

前作『ゴジラ』から原作の香山滋さん、脚本の村田武雄さん、特撮の円谷監督は続投しているが、本編監督は本多猪四郎さんから『透明人間』の小田基義さんに代わって、脚本も『透明人間』の日高繁明さんが加わっている。又、音楽も伊福部昭さんから佐藤勝さんに代わっている。
因みに円谷監督の肩書きが本作から「特技監督」になっている。

 

前作は船の場面が多かったが本作は飛行機の場面が多くなっている。他にも前作は破壊される街が東京だったのに対して本作は大阪だったり、前作が南の島から物語が始まって本作は北の島で物語が終わったり、前作の芹沢博士は恋が破れた後に死を迎えるのに対して本作の小林は恋が実る前に死を迎えたりと色々と対になっているところがある。

 

水爆実験によってゴジラに続いてアンキロサウルス(アンギラス)が眠りから目覚める。
田所博士によるとアンキロサウルスは今から7千万年前から1億5千万年前の地質時代に地球を横行していた恐竜の一種で、ゴジラも同時代に生存していたとの事。
前作ではゴジラの元となった恐竜が生存していた時代は「今から200万年前」と言う人類が誕生した時代に合わせられていたが本作では実際に恐竜が横行していた時代に変更されていて、それに合わせて作品のテーマも「ゴジラを通して核の時代を生きる人間を描く」ではなく「人間vs恐竜」と言うシンプルで分かりやすいものとなっている。

 

山根博士が再登場してゴジラについて現時点で分かっている事を説明する。
前作では貴重な研究資料としてゴジラの抹殺に反対していた山根博士だったが、東京が破壊されて芹沢博士も命を落とす事になったからか、本作ではそのような事は述べず、人々の被害を防ぐ為に様々な意見を述べている。
前作で色々なものを失ってしまったからか本作の山根博士はどこか元気が無い感じを受けた。

 

わずか一匹のゴジラによって東京を壊滅させられ、そのゴジラを消滅させたオキシジェン・デストロイヤーは二度と作れなくなってしまったと言う状況で、二匹目のゴジラが現れ、さらにそのゴジラと互角の戦いを繰り広げる怪獣アンギラスまで現れると本作は前作より状況が悪化している。

 

前作で山根博士は「ゴジラは光を当てられるとますます怒る」と警告していたが、本作ではその理由を「光を当てられる事でゴジラが水爆実験の記憶を呼び覚ましてしまう」と説明している。
本作は水爆について言及される場面が少ないが前作と同じく「反核」のテーマはしっかりと残されている。

 

前作では人間側のやらかしは殆ど無かったのだが本作では囚人の脱走がきっかけで火事が起きてゴジラが大阪に上陸してしまう。
ゴジラが街を破壊した時に刑務所も破壊されて囚人が街に解き放たれる事は避けないといけないので警察が囚人を他の場所に移送しようと判断したのは当然だし、囚人がこれを千載一遇のチャンスとして脱走を強行した気持ちもまぁ理解出来るかな。最終的に脱走した囚人達は報いをちゃんと受けているし。

 

前回の教訓からゴジラを上陸させない為に街の人々が灯火管制に協力しているので、ゴジラは囚人が火事を起こしたガソリンの貯蔵庫までは行くが、そこから大阪の市街地にまで行く理由は無かった。
そこでゴジラとの決着を付けようとするアンギラスも照明弾に引き寄せられて大阪に上陸し、ゴジラアンギラスの戦いの巻き添えで大阪の街が破壊されてしまうと言う展開にされている。

 

ゴジラアンギラスの戦いの場面は撮影の設定ミスがあって動きが速くなってしまったらしい。
「動きがゆっくりしている方が巨大感が出る」と言う話を聞いた事があるが、本作での怪獣達の素早い動きは恐竜っぽさを感じて自分は結構好きだったりする。

 

前作の登場人物は芹沢博士があまりにも重いものを背負っていたからか他のメインキャラ達もシリアスな雰囲気があったが、本作に登場する海洋漁業の社員達は重いものを背負っていなかったからか軽口を叩き合えるコミカルな雰囲気になっていて、それが作品の雰囲気も明るくしていた。
本作は全体的に前向きなところがあって、海洋漁業の社長は大阪の本社工場が完全に破壊されても「必ず立ち直ってみせるよ。まぁ、安心していてもらいたい」と宣言し、クライマックスでも月岡は小林の死で立ち止まる事はせず、そこからヒントを得てゴジラを雪崩で埋める作戦を思い付いている。この何が起きても諦めない前向きさが戦後復興からの高度経済成長へと繋がっていったのかな。

 

前作に比べて人間ドラマが薄いと言われるが、終盤の秀美さんの話が中々興味深いものになっている。
北海道で月岡は飛行隊の同期や上司との再会に喜び、以降は防衛隊所属である田島達に引っ張られてか、かなり危険な事を進んでするようになる。一方で秀美さんは飛行隊の宴会では所在なさげな感じでその後も危険を冒すようになった月岡に不満を抱くようになる。そんな秀美さんだが飛行隊とは無関係な小林の恋愛話になると途端に生き生きとする。
ここは青春時代が戦時中だった月岡と戦後だった秀美さんのズレが出たのかもしれない。そんな二人の間を取り持っていたのが小林だったので彼の死後の月岡と秀美さんの関係がちょっと心配になる。(前半のラブラブ振りに比べて終盤の月岡と秀美さんは会話場面がどんどん減っていく)

 

前作ではヒロインの恵美子さんが芹沢博士との約束を破る「裏切り者」となって芹沢博士の死を背負う事になったが、本作のヒロインである秀美さんも小林が必死に隠していた手帳に挟まれた写真を見ると言う「裏切り者」になる事で小林の思い人を知る唯一の人間となり、小林が思い人に告白しようとしていた事を知る唯一の人間として小林の死を背負う事となった。

 

おそらく「天岩戸」をモデルにしたと思われる「岩戸島」で発見されたゴジラが最後は「神子島」と呼ばれる場所で雪崩と言う自然の力によって封じられると言う展開から本作のゴジラも単なる恐竜の怪物ではなく神話や伝承の要素も含んだ存在である事が感じられる。

 

本作のゴジラは人間を襲う場面がかなり少ないので最後は見ていてちょっと可哀想なところがあった。

 


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