帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『宇宙大怪獣ドゴラ』

『宇宙大怪獣ドゴラ』
1964年8月11日公開
原作 丘美丈二郎
脚本 関沢新一
特技監督 円谷英二
監督 本多猪四郎

 

東宝初の宇宙怪獣と言われるドゴラが登場。
ゴジラ』が公開されてからまだ10年しか経っていないこの頃は東宝の怪獣映画では作品ごとに新しい怪獣が生み出されていて、特に1960年代はモスラ、マンダ、本作のドゴラと言ったゴジラとは違うシルエットを持つ怪獣が次々と誕生している。
人間が着ぐるみに入って演技をするゴジラアンギラスと違ってソフビやアニメーションを使ったドゴラは動きに人間的な部分が無くなって人間からかけ離れた未知の存在としての不気味さ怖さが生まれていた。

 

本作に登場するドゴラはこれまでの怪獣とは違った不気味さ怖さがあって面白かったのだが、ポスターに描かれているような巨大な姿のドゴラが登場するのが中盤の北九州市襲撃のみで、それ以外の場面では姿がハッキリ描かれていなかったり無数の分裂体になっていたりしていたので、ゴジララドンモスラ等と比べると印象が薄いところがあった。

 

本作は宇宙大怪獣ドゴラの対策と並行してダイヤモンド強盗団の捜査が展開されている。
これまでの怪獣映画だと国連宇宙対策委員会や桐野がドゴラの存在を突き止める話がメインになっていたと思われるが、本作では駒井とマークと強盗団の丁々発止のやりとりがメインになっている。
クライマックスでは宗像博士や自衛隊による対ドゴラ作戦がメインになっているが、実体がハッキリと見えないドゴラに向けて自衛隊が延々と攻撃を続ける場面になっていたので、浜子の裏切り等と言った目まぐるしい展開があった強盗団関係の話の方が印象に残るところがあった。

 

本作は怪獣対策より強盗団の話がメインになっていたので、これまでの怪獣映画とは違った展開になっていて、この先一体どうなるのか読めない作りになっていた。(まぁ、強盗団の関心が宇宙大怪獣ドゴラではなくあくまでダイヤモンドに向かっていたので、あまり怪獣作品を見ている感じにならなかったところはあるが)

 

本作は怪獣の話と人間の話が上手く融合していないと言われている。
怪獣をメインにして見るとドゴラとは直接関係が無い強盗団と警察のやりとりが多いのでそう感じるのだが、強盗団や警察をメインにして見ると「ドゴラが起こした事件も強盗団の仕業だと誤解されてしまう」「ダイヤモンド強奪の計画がドゴラによって何度も失敗してしまう」「ドゴラの特性によってダイヤモンドがニセモノであった事が判明する」「強盗団がドゴラの下敷きになって全滅した事で警察は強盗団を逮捕する事が出来なかった」と今回の宝石強盗事件が要所要所で人知を超えた宇宙大怪獣ドゴラによって強盗団と警察の計算が狂わされている事が分かる。
おそらく本作は「怪獣を描いた作品」ではなく「人間達の計算が怪獣によって狂わされてしまう事を描いた作品」と見た方が楽しめるのかなと思う。

 

ちょっと軽くて緩い感じでやりとりする駒井とマークと強盗団のドラマは慣れると段々とクセになってくる。
個人的に1960年代の特撮怪獣作品にあったあまり深刻に重くならない雰囲気は娯楽作品として大事だと思う。

 

東宝の特撮怪獣作品に登場する博士はちょっととっつきにくいところはあっても基本的には丁寧に物事を説明してくれる人が多いので、本作に登場する宗像博士の偏屈さはインパクトがあった。

 

本作の特撮は「浮き上がる」「舞い上がる」と言った描写に力が入れられていた。
作品ごとに新しい絵を見せてくれるこの頃の東宝特撮作品は見ていて飽きない面白さがある。

 

本作は興行的には苦戦を強いられ、以降の東宝特撮作品は怪獣達が戦う分かりやすい娯楽作品へと纏められていく事になったらしい。