帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『怪獣大戦争』

怪獣大戦争
1965年12月19日公開
脚本 関沢新一
特技監督 円谷英二
監督 本多猪四郎

 

ゴジラシリーズの第6作であるが『地球防衛軍』『宇宙大戦争』に近い内容で怪獣達は地球人とX星人が使う兵器に近い扱いとなっている。

 

マスクを被っていたミステリアンやナタール人と違ってX星人はゴーグルを付けているだけで表情が分かるようになっていたので喜怒哀楽の感情が感じられるようになっていた。又、波川や統制官のように地球人とのやりとりが多かった人物もいたので印象に残るキャラクターとなった。

 

早い時点から侵略の意図を隠さなかったミステリアンやナタール人と違ってX星人キングギドラに襲われた被害者として登場した。
結果的にこれらはゴジララドンを手に入れる為の罠だったわけだが、前作の『三大怪獣 地球最大の決戦』で「キングギドラは地球に現れる前に既に金星を滅ぼしていた」「人間の力だけでキングギドラを撃退する事は不可能」「ゴジララドンモスラの協力によってキングギドラを撃退する事に成功した」「キングギドラは死なないで宇宙に去っていった」となっていたので、地球を去ったキングギドラが次にX星を襲撃して、困ったX星人が過去にキングギドラを撃退した事があるゴジラ達に期待を寄せると言う展開は自然で納得出来るものとなっていた。

 

ミステリアンと比べてX星人の服装はシンプルで色も黒や灰色と言った落ち着いたものになっていて、あらゆる無駄を排したX星人の無機質さと合致していた。一方でX星人が地球に設立した世界教育社の波川はアクセサリーを付けて服装の色も派手で明るいものになっていた。
地球人に紛れる為に格好も合わせたのだろうが、グレンが波川にX星人のユニフォームを脱いで自由になる事を訴える場面があるので、波川がシンプルで地味で暗くて顔の形すら決められているX星人の格好よりアクセサリーを色々付けて派手で明るくて自由な地球人の格好の方が多かったのは自由な地球人に惹かれる彼女の心情が出ていたのかもしれない。

 

レディ・ガードの開発状況を確認しに来た鳥居に「出張で不在」と返答する裏でグレンとデートを楽しんでいた波川は鳥居から見たらとんでもない悪女であるが、実はX星人から見ても自分達の弱点であるレディ・ガードを開発した鳥居の処理を放置して好きになった地球人と任務中にデートする波川は反逆者に等しいとんでもない女であった。

 

X星は水が欠乏していて、X星人は地球に水を求めていた事が分かると、彼らが「波川」と言う名前に込めた気持ちが色々と想像出来る。
結局は波川が裏切った事でX星人は波がある海も川も手に入れる事が出来なかったわけだが……。

 

これまでの作品でゴジララドンと言った怪獣達の恐ろしさが存分に描かれていたので、それら怪獣をあっさりと宇宙に連れ去って操ってしまう事でX星人の恐ろしさがしっかりと示された。

 

三大怪獣 地球最大の決戦』でキングギドラを撃退したのはゴジララドンモスラの三体だったのにX星人が今回の作戦にモスラを加えなかったのはテレパシーを使える小美人やモスラがいたらX星人の本心を見抜かれてしまう恐れがあったからと思われる。

 

X星でキングギドラと戦ったゴジラは「岩陰に隠れて相手の攻撃を防ぐ」と言うモスラの戦法を取り入れていた。

 

今も物議を醸しているゴジラの「シェー」。
まぁ、『ゴジラ』『ゴジラの逆襲』を思えばやってほしくない動きであるが、『キングコング対ゴジラ』『三大怪獣 地球最大の決戦』を経てだと「今のゴジラならこのくらいの動きをするかも」となる。
昭和後期のゴジラシリーズは子供向けにコミカルになったと言われるが、実は昭和前期の円谷英二監督時代のゴジラが最も有名なギャグをやっていると言うのが興味深い。

 

X星に置いてけぼりにされたゴジララドンは地球に帰る富士達を恨めしそうに見る。
ゴジララドンからしたら湖底や地底で静かに眠っていたのに勝手にX星に連れて行ってキングギドラと戦わせてそのまま宇宙に放置するなんて人間はやっぱり勝手だと大暴れしたい気持ちだっただろうなぁ……。
クライマックスではゴジララドンの目の前にキングギドラがいたのでそれとの戦いを優先させたが、もしキングギドラがいなかったら絶対に人間相手に暴れていたと思う。

 

三大怪獣 地球最大の決戦』ではコミカルになったとは言え、まだ誰にも制御されない強大な存在であったゴジラだが本作ではX星人に操られる事になって、さすがにこれまでにあった強大さ故の怖さは無くなってしまったところがある。

 

よく考えたら一時的とは言えゴジララドンキングギドラが侵略者の手に落ちていたってかなりヤバい状況だったよなぁ。おそらく昭和ゴジラシリーズの中でも地球人にとって最大級の危機だったと思う。

 

建物を踏み潰すゴジラの足がアップになる場面は怪獣の巨大さ強大さが伝わって迫力のあるものになっていた。

 

鳥居が開発したレディ・ガードの音がX星人の弱点だと判明するのだが、それを報告する時の鳥居の「見ましたか、兄さん」と言いたげなドヤ顔と、世界が救われる可能性が見えたと言うのにそれ以上に妹の恋人を認めなくちゃいけなくなった事に嫌~な顔をしちゃう富士が面白い。(さすがにX星人と違って富士は妹の恋愛を最後まで認めない事はしないだろうけれど)

 

全て計算機に従って行動していたX星人の統制官が地球人達の反撃の内容を知らないのに「何かを感じた」と言う気持ちで計算機に確認をしたのが興味深かった。
ここで「計算に間違いは無い」と言う答えが返ってきたので作戦を続行したわけだが、もし統制官が自分の気持ちにもっと耳を傾けていたら戦況はどうなっていたのだろうか?
統制官が断末魔に叫んだ「まだ見ぬ未来に向かって脱出する」だが、この「まだ見ぬ未来」を「計算機がまだ示していない未来」だと考えると、実は統制官は全てが計算機に決められる自分達の生き方に限界を感じていた可能性がある。

 

怪獣大戦争マーチ』がかかる中での大逆転劇は何度見ても盛り上がる!

 

あの至近距離でボクシングの動きでキングギドラの引力光線を避け続けるゴジラが凄い。(最終的には直撃を受けてしまうが)

 

ラドンゴジラを掴んで空を飛んでキングギドラに体当たりする合体技が好き。
こういう合体技はもっとたくさん見たかった。

 

※「東宝チャンピオンまつり」では本作は『怪獣大戦争 キングギドラゴジラ』と言うタイトルになっている。ラドンは泣いていい……。


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怪獣大戦争