「宇宙人がやって来た」
『ウルトラマンオメガ』第1話
2025年7月5日放送(第1話)
脚本 根元歳三
監督 武居正能
宇宙甲獣ヴァグセクト
身長 小型種・25m 大型種・250m
体重 小型種・2万t 大型種・20万t
宇宙にある謎の施設で赤い巨人と戦っていた。
小型種と大型種の二種類がいて数で攻めるが赤い巨人の光線で全滅させられた。
名前の由来は「昆虫」を意味する「バグ」と「インセクト」かな。
熱線怪獣グライム
身長 54m
体重 4万5千t
巨大な爪で地中を掘り、固い岩盤に当たると角から熱線を出して溶かす。
地上に出て破壊活動を続けるが赤い巨人に角と腹を斬られて倒された。
後の研究で爬虫類に近い地球の生物である事が判明する。
物語
太陽倉庫で働くホシミ・コウセイは記憶を失った謎の青年と出会う。
怪獣が現れてパニックが起きる中、コウセイの行動を観察していた謎の青年は一つの結論を下す。
感想
本作のウルトラマンであるオメガは記憶を失っているので全ての能力を完全に引き出して使いこなす事が出来ず苦戦する事が多い。『帰マン』や『レオ』の頃からヒーローのウルトラマンがあまり強くないと子供からの人気が爆発しないところがあるが、本作は第1話の冒頭で記憶がある状態のオメガの強さを存分に見せて「記憶を失った今のオメガはあまり強くないが記憶を取り戻したら強さを発揮する」と予告している。
平成初期のCGを知っていると令和のCGのレベルの高さにビックリする。
ソラトは平成仮面ライダー初期の主人公のような外見をしているが、「記憶喪失」で「普通の人間とはちょっとズレている」と言う内面も平成仮面ライダーの登場人物っぽい。
オメガの正体が「宇宙観測隊」の隊員だと分かってから今回の話を見返すと太陽倉庫に現れたソラトが倉庫にある物を片っ端から手に取って見ていったのは「観測」だった事に気付く。
ただし、実際に物を触ってその動きを確かめたり現地の人から説明を受けたりしたのはオメガにとって初めての事だったと思われる。
ソラトが太陽倉庫を荒らし回る中で「コウセイは埼玉県の総合体育大会で陸上競技100mで3位入賞だった」と言う情報を出した上で「そのコウセイが全力で走っても追いつけないスピードとスタミナをソラトは持っている」と言う場面を作る事でソラトが超人である事をサラリと示している。
本作の地球はウルトラマンも怪獣も出現した事が無いとなっていて「怪獣」と言う言葉も存在していなかった。
コウセイがソラトに「カイジュウ」と言う言葉の意味を尋ねる場面はウルトラマンも怪獣も出現した事が無い地球を舞台にしていると言う設定を示すのに効果的であった。
ただ、個人的にはウルトラマンや怪獣が出現していなくてもヤマタノオロチやドラゴンと言った巨大な怪物が登場する神話や伝承はあるだろうし、『ゴジラ』や『ウルトラマン』と言った怪獣作品が作られなかったとしても巨大生物を扱った作品が古今東西全く作られていないとは考えられないので、怪獣が出現した事が無い世界でも「怪獣」と言う言葉は存在するんじゃないかなぁと思ったりする。(そもそも私達が生きているこの現実世界が「実際に怪獣が出現した事は無いが「怪獣」と言う言葉は存在する世界」なわけだし)
避難所で不安と恐怖から苛立ちを露わにする大人達に気圧されて一人の女の子が泣いてしまう。ここでソラトは泣いている女の子や苛立っている大人達を「観察」するだけだったが、女の子が泣く原因を取り除こうとするコウセイの行動を見て、ソラトも苛立つ大人達を抑えたり苛立つ大人達から女の子を引き離したりと女の子が泣くのを解決しようとするようになる。
ここでコウセイは「泣いている女の子をあやす」より「女の子を泣かせる原因となった苛立つ大人達をどうにかする」を選択した。
この「泣いている女の子」を「人間」に、「苛立つ大人達」を「怪獣」に当てはめると、「苛立つ大人達をどうにかする事で女の子を救う」と言うコウセイの行動は「暴れる怪獣をどうにかする事で人間を救う」と言うウルトラマンの行動に通じる事が分かる。
ソラトに迷惑をかけられっぱなしのコウセイであったが最後の最後までソラトを見捨てる事が出来なかった。その理由をコウセイは「気分が悪いだろ! 誰かを見捨てて行くなんて!」と説明する。
オメガの正体が「宇宙観測隊」だと分かってから改めて見ると「誰かを見捨てるのは気分が悪い」はかなり重要な言葉だったのかなと思う。
冒頭の戦いでオメガが記憶を失った後は「地球に落ちるオメガ」「ソラトが落としていく太陽倉庫の品物」と「落ちる」場面が多く、グライムによる被害も単純な「建物の破壊」ではなく「建物の陥没=地下に落ちる」となっていて、ソラトとコウセイがグライムから逃げる場面も飛び立つ場面をカットして落下する場面だけを見せている。
このように「落ちる」場面を何度も繰り返した事で逆にオメガに変身したソラトが空高く飛び上がってグライムを倒す場面が強く印象に残る事となった。
ウルトラシリーズに限らずヒーロー作品はヒーローや怪人・怪獣の説明をしないといけないので第1話の情報量が多くなる。
だが、一話の中の情報量があまりにも多いと話が破綻してしまう恐れがある為、『レオ』のようにファーストエピソードを前後編にしたり、『ガイア』のように1クールかけて基本設定を説明したり、『ブレーザー』で特別チームの結成を第2話にして『アーク』でヒーローの初変身を第3話にしたようにエピソードの順番を動かしたりして第1話に情報が集中しすぎないように色々と工夫がされてきた。
そんな中、『オメガ』は過去にウルトラマンも怪獣も出現しなかったので特別チームも存在していない地球を舞台にして主人公を記憶喪失にする事で第1話の情報を極限まで削ぎ落とした。他の作品が「たくさんの情報をどのように見せていけば第1話に情報が集中するのを回避出来るのか」を考えていったのに対して『オメガ』は「情報そのものを減らす」を選択した。
ぶっちゃけ、『オメガ』第1話で提示された情報は「怪獣が現れた」「謎の青年が巨人に変身した」くらいしかない。『メビウス』以降のウルトラシリーズは「怪獣とウルトラマンの出現」に加えてレギュラーの敵やウルトラマンのアイテム等も提示していたのでそれらと比べると『オメガ』の第1話は物足りないと感じるところがある。だが、ウルトラシリーズを初めて見る人は『オメガ』第1話のように特殊な設定を減らして情報量を抑えてくれた方が見易いと思われる。
『マックス』『メビウス』辺りからウルトラシリーズは過去の作品を見ていた人達にアピールする作りになっていた。その集大成がギャラファイシリーズであったのだが、この辺りになると新作を楽しむ為にはまず過去作の履修が必要となり、今までウルトラシリーズを見た事が無い人にとっては視聴のハードルが高くなってきたところがあった。そこから『シン・ウルトラマン』を経て『ブレーザー』『アーク』と歴代ファン向けからウルトラ初心者向けへと少しずつ舵が切られていって、本作『オメガ』でその流れが結実したと言える。
自分はこのようなブログを続けている事からも分かるように過去作との繋がりがある作品のレビューを書くのが楽しいのだが、そんな自分がウルトラシリーズを見始めたのは『ティガ』『ダイナ』と言う過去作との繋がりが無いので予備知識無しで見る事が出来る作品だったので、シリーズを続けていくには新規ファンの獲得が大事だと考えると、『ブレーザー』『アーク』『オメガ』のような過去作の履修が必要無い作品がどこかでなければいけないのかなと思う。
記憶を一部取り戻したソラトが「俺の名前は……オメガ!」と宣言したところでオープニング曲の『BRIGHT EYES』が流れて番組タイトルが表示される演出が最高にカッコイイ!!
次回予告はマサっさんとレミと言う劇中に登場するラジオのパーソナリティによる掛け合いとなっている。
ウルトラシリーズも作品数が多くなったので、こういうところで他の作品との差別化をしていくのは面白い試みだと思う。