帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズとゴジラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「急な寒波に御用心」

「急な寒波に御用心」
『ウルトラマンオメガ』第3話
2025年7月19日放送(第3話)
脚本 足木淳一郎
監督 武居正能

 

無重力怪獣ペグノス
身長 57m
体重 3万8千t
脚部の噴出器官から超低温のガスを排出して無重力状態を作り出す。
レキネスが眠っている石を狙った。
レキネスの念動力で下半身を岩で封じられたところをオメガのレティクリュート光線で倒された。

 

物語
「カイジュウ」についてソラトから話を聞く為にアユ姉が太陽倉庫にやって来る。
一方、ソラトは怪獣の気配を感じてある山へと向かう。そこは記憶を失ったソラトが目を覚ました場所だった。

 

感想
『オーブ』の「真夏の空に火の用心」を思い出すサブタイトル。

 

太陽倉庫で働く事になったソラト。
地球の常識を持っていないソラトだがコウセイが監督する場所での仕事ならトラブルを起こさずに働く事が出来るだろう。ただし、コウセイ以外の人との接触が殆ど無いのでソラトが地球の常識を覚える機会が失われてしまい、この後のソラトとアユ姉の会話でコウセイの寿命が縮みまくる事になる。
ソラトが働く理由に「働かざる者食うべからず」「一宿一飯の恩義」と「食事」にまつわる言葉を使ったのは上手かった。「働かないと食べる事が出来ない」と理解したのでソラトは働く事を受け入れたと言うのは分かりやすくて納得出来るものであった。

 

前回に続いて同い年くらいのソラトに「アユ姉」と呼ばれる事に違和感を抱くアユ姉。
因みにアユ姉役の工藤綾乃さんは1996年生まれ、ソラト役の近藤頌利さんは1994年生まれ、コウセイ役の吉田晴登さんは2000年生まれとなっている。

 

ソラトが怪獣の気配を感じたのでコウセイとアユ姉は電車に乗って2時間かかる場所へと移動する事になる。特別チームの戦闘機ならあっという間に到着していたかもしれないと考えると『初代マン』の科特隊はやはり優れた設定であった事が分かる。

 

コウセイ達が辿り着いた場所は記憶喪失になったソラトが目を覚ました場所だった。
ここでソラトは「気付いたら裸で寝ていた」と説明している。ソラトが山の中で裸でいたのなら第1話で太陽倉庫に現れた時の服は一体どうしたのか?と言う事でさりげなくアーデスの存在に関する伏線が張られている。

 

コウセイ達がソラトの記憶喪失を警察に届け出ていない事を知って「そういうのしっかりやった方が良いと思いますけど」と注意したり、鳥居をくぐる時に一人だけ頭を下げてから通ったりと細かい言動でアユ姉の真面目な性格を見せている。
この後の山中を探索する場面でも「草花を気にせず倒して進んでいくソラト」「草花をちょっと嫌がりながら進むコウセイ」「フィールドワークをしているので実は草花を嫌がらないアユ姉」と説明台詞を使わずに3人のキャラクターを見せている。

 

コウセイとアユ姉の会話でコウセイは「やりたい事を探し中」、アユ姉は「やるべき事をやっているだけ」と言っている。この「やりたい事」と「やるべき事」はソラト=オメガにとってメインテーマの一つとなる。
「まだハッキリとは分かんないんだけど、怪獣と向き合い続ければ思い出せる気がしてさ。俺のやりたい事……、やるべき事……」。

 

「1950年代に物体は低温になるにつれて核振動が微細になり無重力に近付くって学説が発表されたの。当時は珍説だって相手にされなかったみたいだけど……」。
『Q』の「ペギラが来た!」で使われたのでウルトラシリーズではかなり有名な学説。ウルトラシリーズ以外では『宇宙大戦争』で使われている。
アユ姉が説明した通り昔から珍説扱いされているものなのだが、劇中に登場したペグノスは超低温によって実際に空に浮いていた。ここは「トンデモ科学を取り入れてリアリティが無い」のではなく「あえて昔の空想特撮の雰囲気を再現した」と見るべきかな。

 

ペグノスの無重力が自分を浮かせるだけでなく相手の足場を奪って動きを封じる事も出来ると言うのはなるほどであった。そしてそれに対抗してレキネスの念動力がペグノスの足回りを封じて動きを止めると言う流れが上手かった。

 

ペグネスの設定ならペギラの再登場でも支障は無いのだが、ここであえて新怪獣を出した事に大きな意味があると自分は考える。
『コスモス』『マックス』『メビウス』を経てウルトラシリーズは過去の作品の怪獣が新作にも再登場するようになった。かつての人気怪獣が今の時代に合わせた新解釈で登場するのは魅力的で面白いが、一つの作品に過去の様々な作品から人気怪獣達が再登場する事でその作品における怪獣のカラーと言うものがぼやけてしまうところがあった。60年代の第1期ウルトラ、70年代の第2期ウルトラ、80年代の第3期ウルトラ、90年代の平成ウルトラ三部作とその時代や作品ごとに怪獣のカラーがあって、怪獣を見たらどの時代のどの作品に登場した怪獣なのか分かるところがあったのだが、ニュージェネレーションシリーズが展開された2010年代は新怪獣が少なくなって過去作品からの再登場怪獣が増えた事で作品ごとの怪獣のカラーを説明するのが難しくなっていた。しかし、2020年代になって『ブレーザー』辺りから再び新怪獣を増やす流れが出来て『アーク』『オメガ』と「2020年代のウルトラ怪獣のカラー」が形作られてきている。

 

メテオカイジュウは『セブン』のカプセル怪獣から続く味方側の怪獣となっている。戦っていない時は小さくなって主人公達と戯れているが、かつてのスパークドールズが人形なので動かすのが難しかった事を考えると、本作のメテオカイジュウは技術の進歩を感じる。
小さいキャラクターがわちゃわちゃしている場面はウルトラシリーズよりも『炎神戦隊ゴーオンジャー』の「炎神」のような東映ヒーロー作品の雰囲気を感じるかな。ウルトラシリーズの味方怪獣は出番が戦闘シーンのみで物足りないところがあったのでメテオカイジュウは日常シーンにも出番があって嬉しかった。

 

『Z』のセブンガーからウルトラシリーズでも巨大ロボットがレギュラーで登場するようになったが、メテオカイジュウはメカっぽいデザインやギミックがある事で味方側の巨大ロボットの流れも引き継いでいるところがある。

 

『オメガ』はソラトとコウセイによる「バディもの」となっている。
全てがそうではないが「バディもの」の場合、二人の関係がなるべく対等にされている事が多い。例えば『ガイア』は我夢と藤宮のどちらもヒーローに変身させる事で二人を対等の関係にしている。ウルトラシリーズは仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズと違って一つの作品に複数のヒーローが登場する事が少ないのでバディ二人をどちらもヒーローに変身させる事が出来ない作品も多いが、その場合は『コスモス』のように「ウルトラマンに変身したらムサシがフブキを助け、変身前はフブキがムサシを助ける事が多い」と変身前後で力関係を変えたり、『トリガー』のアキトのようにウルトラマンに変身出来なくても違う分野で活躍させたりしてバディ二人の関係を調整している。
『オメガ』では「ソラトはウルトラマンに変身し、コウセイはメテオカイジュウを使う」と二人の戦力を揃えた他、ソラトを記憶喪失にする事でソラトとコウセイが使える情報を殆ど同じにしたり、ソラトがウルトラマンに変身して事件を解決する一方でコウセイは衣・食・住を担当して日常を維持するとソラトとコウセイの関係がなるべく対等になるように色々なところで細かい調整がされている。

 

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