「爪痕の謎を追え」
『ウルトラマンオメガ』第4話
2025年7月26日放送(第4話)
脚本 足木淳一郎
監督 越知靖
刃爪怪獣テリジラス
身長 45m
体重 2万t
後期白亜紀に生息していたテリジノサウルスと言う恐竜が怪獣化したもの。怪獣化する過程で透明になる能力を得た。
縄張り意識が強く、爪痕によるマーキングで自分の縄張りを誇示する。縦浜市を餌場にして人間を襲った。
レキネスアーマーの念動力で動きを止められたところをレキネスカリバーで滅多斬りにされた。
物語
太陽倉庫のオーナーであるオオヤ・サブロウがやって来る。
アユ姉から怪獣について意見を聞きたいと頼まれたソラトが一人で出かけた事に不機嫌なコウセイを見てオオヤさんは将棋を指そうと言う。
感想
今回から『オメガ』はゲストが登場するようになるが、これまでのウルトラシリーズとはちょっと違った作りになっている。
全ての話がそうではないが、ウルトラシリーズでゲストが登場する回はゲスト中心のドラマになっている事が多い。それに対して『オメガ』のゲスト回はゲスト中心のドラマになっているように見えて実は主人公メンバー中心のドラマになっている。今回の話もオオヤさんのドラマと思いきや実は今回のドラマの中心はコウセイになっていて、オオヤさんはコウセイが今進むべき道を示してコウセイがそれをやりやすいように状況を整えるとコウセイのドラマをスムーズに進める役回りとなっている。
レキネスを呼び出して色々と試してみるコウセイとソラト。
ウルトラマンは変身したらいきなり色々な能力を使えるところがあるのだが『オメガ』ではウルトラマンであるソラトが記憶喪失なので今回の話のようにソラトとコウセイが色々調べたり試したりして能力を探っていく事になる。
コウセイ達の実験を通して視聴者もレキネスの能力を理解出来る作りになっていてとても分かりやすかった。特撮ヒーロー作品は特殊な設定が多いので今回のような説明回があると助かる。
メテオカイジュウは記憶喪失前のオメガが使役していたものだったのだが何故かコウセイにだけ扱えてソラトは呼び出す事が出来なかった。
これについて劇中で明確な説明は無かったが前回の話にあった「やるべき事」と「やりたい事」が答えだったのかなと自分は考えている。メテオカイジュウによって記憶喪失前のオメガの命令を聞いていたのは「やるべき事=使命」で現在コウセイの指示を聞いているのは「やりたい事=気持ち」なのかなと。
コウセイはやりたい事を探す為に色々なバイトを転々としていて今回の太陽倉庫の仕事もピンとくるものが無かったとの事。
ウルトラシリーズの主人公達は子供の頃からやりたい事がハッキリしていて大人になったらそれを叶えて「夢は必ず叶う」とする展開が多かったので「やりたい事が見付からない」と言うコウセイの設定は斬新だった。今の時代は選択肢が無数にあるが故にどれを自分の将来の夢にすれば良いのか決めるのが難しいところがあるので、コウセイの「色々な選択肢を試しながらやりたい事を見付けていく」は今の時代に合った物語だと思う。
このコウセイの物語はウルトラシリーズより初期の平成仮面ライダーシリーズに近いかな。「主人公が定職に就いていない」と言われる平成ライダーだが、それは「物語を通して主人公が自分のやりたい事を見付けていく」と言う内容なので答えが出る最終回を迎えるまで特定の仕事に就かなかったのだと思われる。
アユ姉に呼ばれたソラトが一人で行こうとしたのを聞いたコウセイは「自分は怪獣の知識が無いのでソラトから頼りにされていない」と感じて不機嫌になる。
一方でソラトは自分が一人で行こうとするのをコウセイが反対するのを見て「俺はもう電車の乗り方だって覚えたんだ。一人で行けるし」と反論している。これは裏を返せば「記憶喪失の自分は社会の常識に関する知識が無いのでコウセイから頼りにされていない」とソラトが感じていた事を示している。
「自分は頼りにならないと思われている」と感じていたのはコウセイもソラトも同じであったが、コウセイと違ってソラトは頼りにされていないと感じても不機嫌にならず電車の乗り方を覚えたりするなど状況を改善する努力をしていた。
怪獣の動画がアップされたが最近はこの手のフェイク動画が流行っているのですぐに本物だと断定出来なかった。
怪獣が毎週のように現れている世界なのに「怪獣を見た」と言う発言が信じてもらえないと言うのは昔からある展開だが昨今のフェイク動画を見ると確かに毎週怪獣が現れてもこの動画が本物かどうか疑ってしまうところはある。
今回の話はアユ姉達が見た巨大な爪痕が残っているビルやソラトとアユ姉達が見た崩れ始めたビル等を最初は視聴者に見せないでアユ姉達の反応だけを見せる事で視聴者が「何が起こっているんだ?」と興味関心を持つようにしていた。
今回登場したテリジラスは明確に人間を獲物と認識して襲いかかってきた。
ただ暴れるだけの怪獣だったら進行方向から外れれば危機を回避出来るところがあるが人間を獲物と認識している怪獣だったら進行方向から外れても怪獣が方向を変えて獲物である自分達を探して襲ってくる可能性があって恐怖が増す。
さすがに直接的な描写は無かったが状況と音でテリジラスが人間を捕食した事が分かるようになっていた。
まさか令和に人間が捕食される場面が出てくるとは思わなくて初めて見た時はかなり驚いた。
ソラトが壁にヒビを入れて「これでここは俺の縄張りだ」と告げる場面が格好良かった。ちょっと悪っぽい雰囲気もあってウルトラマンに変身する人物では珍しい場面だったと思う。
レキネスの念動力で自動車を浮かせて透明になったテリジラスを見付ける展開はなるほどとなった。物語の中で活かされるとその能力を覚えやすい。
レキネスアーマーが登場。
ヒーローのタイプチェンジやパワーアップにはいくつかのパターンがあって、『ティガ』のパワータイプやスカイタイプ等はヒーローのパラメーターの値を変えてパワーを上げたりスピードを上げたりしていて、『帰マン』のウルトラブレスレットやニュージェネレーションシリーズのアーマー系等は外付けによってヒーローにステータスが追加される形になっている。
『オメガ』ではオメガ一人で怪獣を倒せない回が多いので他のウルトラマンと比べて強さを感じられないと言う視聴者の意見があった。
『オメガ』はソラトとコウセイのW主人公になっているので二人が協力する事で勝つ事が出来ると言う展開は自然で納得出来るものなのだが、過去のウルトラ作品に登場したウルトラマンの多くが特別チーム等の援護は受けるが最終的には一人で怪獣を倒していた事を思うと確かにオメガには歴代ウルトラマンにあった強さを感じられないところはある。
これは『ブレーザー』や『アーク』でも見られた「過去作に縛られていない作品が作られるがそれを見ている視聴者は過去作の内容を覚えている」と言う長期シリーズ故の問題で、特にウルトラシリーズは積極的に過去作を取り上げていた時期があったので余計に視聴者の頭の中に過去作の内容が残っていて新作と比べてしまうところがあるのだと思われる。