帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズとゴジラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「カゼになる」

「カゼになる」
『ウルトラマンオメガ』第7話
2025年8月16日放送(第7話)
脚本 鶴田幸伸
監督 市野龍一

 

古代怪獣ゴモラ
身長 40m
体重 2万t
土の中で眠っていたゴモラザウルスが隕石の衝撃で目覚めた。上河市のハム工場を狙う。
角から超振動波を放つ。レキネスの念動力を打ち破るパワーを持つ。
トライガロンの超スピードに翻弄され、最後はオメガのレティクリュート光線で倒された。

 

物語
怪獣との戦いが続いて疲労が蓄積したソラトは風邪を引いてしまう。
そんな中、目立つ為なら何でもすると言われている動画配信者のオオカミ君がオメガを危険視する動画を上げる。

 

感想
サブタイトルの「カゼになる」は病気の「邪」と根拠の無い噂の「説」をかけたものかな?
今回は「「ソラトの風邪」と「オオカミ君の風説」と言う内憂外患の中で頑張るコウセイがトライガロンと言う新たな仲間を得る」と言う話で、コウセイを中心に見ると理解しやすい作りになっている。(その為、ソラトの風邪がコウセイが単独行動を取る理由以外にあまり意味が無かったり、トライガロン覚醒と言うコウセイが宇宙人の仲間である証拠になり得る場面でオオカミ君達の存在が消えちゃったりとコウセイ以外の部分の詰めが甘かったのが残念)

 

『オメガ』は山や田舎を舞台にした戦いが多いが今回は鳥居等があって他の話との映像面での変化が付けられていた。

 

コウセイに隕石の調査を頼むちっちゃいレキネスが可愛い。

 

ゴモラの行動の真意を伝える為に「アユ姉だったら朝起きたら何をする?」と尋ねるソラト。よく考えたらソラトは記憶を失う前は「朝起きたらご飯を食べる」と言うルーティンをしていなかったはずで、ここでこういう話の持っていき方が出来る事でソラトが人間の生活にすっかり馴染んだ事が分かる。

 

この時点ではアユ姉にはソラトの正体はまだ秘密にされているが、ソラトの正体を知らないからこそ今回のアユ姉の社会常識にしっかり従う真面目さが描けたのかな。

 

俺と宇宙人と学者さん」と比べるとアユ姉がまだ出現していない怪獣の情報を伝えて避難の要請をしたり、TVやラジオ等で市民に向けて情報が発信されたりと怪獣が出現した時の対応が段々と出来上がってきている事が分かる。

 

コウセイの「オメガが何者か分かんねえけど俺はアイツを信じる!」に反応して目覚めるトライガロン。
やはりメテオカイジュウは「使命」ではなく「気持ち」でコウセイと繋がっている。

 

レキネスとトライガロンは「二足歩行と四足歩行」「念動力を使った遠距離攻撃と超スピードを使った接近戦」と設定が対になっている。

 

今回はゲストであるオオカミ君の言動が色々と話題になった。
オオカミ君は目立つ為には何でもする動画配信者であるが、昭和時代の作品に登場するマスコミもスクープの為に強引な事をしたりルールを破ったりしていた。たとえば『モスラ』の福田は変装して病院に潜入して正体がバレるとそのまま強引に取材を進めたし、『ゴジラ』(1984年)の牧も兄弟愛を利用してスクープ写真を作り上げたりした。しかし、福田や牧は社会正義の人間でその行動がロリシカ国や日本政府と言った巨大な権力が隠していた事実を暴く事になったのに対してオオカミ君はそう言った社会正義が無くて情報を隠蔽する巨大な力とも戦っていないので、その行動は単なる自己中心的で迷惑なものとなってしまった。
又、オオカミ君は歩道橋の真ん中で座ってご飯を食べて注意をしたおばあさんに逆ギレしていたが、昭和時代のヤンキーものを見るとおばさんに注意された主人公の不良達が「うるせー!」と逆ギレする場面があった。昭和時代は社会が強い力を持っていて、それに迎合するようにと言う圧力が強かったので、若者達がそれに反発して自分の道を突き進む事が許されていたのだが、今は社会の力が弱くなって崩壊の危機に瀕しているので、大人になっても好き勝手をしているオオカミ君より逆ギレされる危険があっても社会のルールやマナーを維持する為にしっかりと注意するおばあさんの方が立派に見えるようになった。
オオカミ君の年齢設定は分からないが演じている小林けんいちさんが当時52歳だったので同じくらいだと考えると1980年代と言う日本が強かったバブル時代に青春時代を過ごしていた事になる。その頃は社会に迎合せず自分のやりたい事を貫く若者が良しとされていたのかもしれないが、冷戦が終結して、バブルが弾け、震災が起こり、社会が不安定になり、自身も既に50代になったと言うのに若い頃と同じように振る舞うオオカミ君の存在は今や悪しとされるものとなっていた。
『オメガ』は「やりたい事をやる」が一つのテーマとなっているが、やりたい事をやるとは一歩間違えたら今回のオオカミ君のようにただただ周りに迷惑をかけているだけになりかねないと言う事が分かる話であった。

 

今回はコウセイのメイン回で、ゲストのオオカミ君は「ソラトの事情をよく知らずにオメガを敵対視する人物」と言うコウセイとは真逆のキャラクターとなっている。
オオカミ君に似たキャラクターとして『メビウス』のヒルカワが挙げられるが実はヒルカワも「メビウスの正体を知ったら助けてもらった恩を感じずに攻撃してきた人物」と言うCREW GUYSとは真逆のキャラクターになっていた。
このように主人公達のキャラクターを見せる為にあえて真逆のキャラクターを登場させるのは様々な作品で見られるもので、ウルトラシリーズ以外の作品でも女性主人公と結ばれる男性を良く見せる為にあえてセクハラや痴漢をする下劣な男を出したり、主人公に理解のある仲間を出す為にあえて最初は主人公の周りを無理解な人物で固めたりする事がある。「そんな極端に不快な人物がそこら辺にいてその組織や社会は大丈夫なのか?」と疑問を抱く事もあるが、これらの作品は「主人公達を見せる」に注力していて、それ以外は主人公達を描く為のギミックとなっているところがある。
実は『オメガ』も上に挙げた作品に近く、「ソラトとコウセイの物語」を作品の中心に据えて、それ以外は主人公二人を見せる為のギミックになっているところがある。そういう作りへの賛否はあるだろうが、ただでさえ特撮ヒーロー作品は数が少ないので一つの作品に色々なものが詰め込まれる上、ニュージェネレーションシリーズは2クール全25話と昔に比べて話数が少なくなっているので、限られた話の中であれもこれも手を出して全部が描写不足になってしまうよりは描くものを絞ってしっかりと描いた方が良いのかなと思うところはある。

 

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