「グライム再び」
『ウルトラマンオメガ』第11話
2025年9月20日放送(第11話)
脚本 足木淳一郎
監督 武居正能
古代怪獣リオド
身長 60m
体重 4万2千t
館倉市に現れるがオメガに長い鼻を結ばれ最後はオメガスラッガーで倒された。
ソラトによると本来は暴れる怪獣ではなかったらしい。
熱線怪獣グライム
身長 54m
体重 4万5千t
ソラトによるとリオドと同じ理由で出現したらしい。
栃木県の石船山でNDFのミサイルによる麻酔薬を受けて動きが緩慢になる。
最後はエルドギメラに捕食されてしまった。
爆進細胞怪獣エルドギメラ
身長 65m
体重 5万6千t
グライムを追って地上に出てきた謎の怪獣。
トライガロンを倒し、尻尾にある第二の口でグライムを捕食する。
捕食したグライムの特性を手に入れてオメガも倒してしまった。
物語
本来は大人しかった怪獣が暴れるようになったりとソラトは何か異常が起きている事を感じる。
一方、法整備が出来てNDFが怪獣相手に出撃する事となる。
そんな中、謎の怪獣エルドギメラが姿を現す。
感想
『オメガ』は怪特隊設立前の第1クールと設立後の第2クールで物語が区切られているところがあるが、個人的には「公的な怪獣対策チームが設立されていない第1話から第10話まで」と「法整備が出来て怪獣対策チームの設立と始動が描かれた第11話から第16話まで」と「怪特隊と宇宙観測隊を軸に物語が展開される第17話以降」の三部構成で見た方が分かりやすいかなと考えている。
『オメガ』の第10話までは怪獣出現と言う異常事態に対してまだ公的が組織が出来上がっていない世界を描いていて、ソラトとコウセイは組織に属さず自分達の意思で怪獣と戦う事を選択し、オオカミ君はオメガや怪獣を利用して自身の承認欲求を満たし、ゴーストライダーズは独自にオメガと怪獣の調査を行い、金成社長は怪獣を新たなビジネスチャンスと捉え、マキ姉は怪獣出現に対する人々の意識の差を問題視して取材を開始した。このように怪獣が出現するようになったが法整備が追いつかずオメガや怪獣についてもまだ分からない事ばかりの中で人々はどのような反応を示してどのように行動するのかを描いたのが『オメガ』第10話までの話だったと言える。
そして今回の第11話から今までアユ姉を通して伏線が張られていた公的な怪獣対策チームがいよいよ形を見せるようになる。
ラジオ番組の「謎の巨人は人類の味方なのか?」と言うコーナーで「巨人を支持するが49%、支持しないが37%、どちらとも言えないが14%」と言う答えが出る。
過半数がオメガを支持するとしたのは良い結果なのではないかと思ったが、「巨人は人類の敵なのか?」ではなく「巨人は人類の味方なのか?」と言うコーナーのタイトルを聞くにこの番組はオメガを人類の味方として放送している可能性があって、そんな番組のリスナーにアンケートを採ってもオメガ支持が過半数を超えなかったと言うのは実は由々しき事態なのかもしれない。
「巨人を支持する人は49%」と言う結果を聞いたコウセイは「皆、オメガに助けてもらったのにおかしくね?」と憤るがアユ姉は「仕方ないよ。当事者じゃない人の方がまだ多いんだし」とフォローする。
この「当事者とそれ以外とでは意識に差が出る」と言うのは前回の「密着! 2人の素顔」でマキ姉も語っている。(そしてマキ姉自身も「オメガに助けてもらって当事者になった事で意識が変わった人」である)
グライムが再び現れた事に驚くコウセイであったがソラトは「人間だってたくさんいる」と返す。
ウルトラ怪獣は仮面ライダーやスーパー戦隊の怪人と比べて再登場が多いが、その理由の一つとして「怪人は再登場させる時に「悪の組織が新たに作った」等の理由付けが必要となるが怪獣は再登場させる時に「生物なので同種が存在する」で理由付けが済む」と言うのがある。
再び出現したグライムに対して大規模な作戦が展開される事になり、NDFのタイラ・カズヤス隊長が登場する。
これまではオメガが怪獣を倒していてNDFは怪獣と交戦していないので所有している兵器が怪獣に対して有効打になる保証が無い。そこで以前採取されたグライムのサンプルを使って研究していたのでデータがある麻酔薬が使用される事になる。
怪獣作品では最初は通常兵器で怪獣と戦ってしばらくしたら麻酔薬等の特殊兵器が登場するイメージがあったが、よく考えたらウルトラシリーズは3分で怪獣を倒すウルトラマンと言う存在がいるので長時間活動できた怪獣は限られている。科特隊やウルトラ警備隊のようにすぐに出撃出来る体制が整っていないと生きている怪獣と戦う機会が中々無いと言うのはなるほどであった。
怪獣に対して調査するだけでなく具体的な対策も行う専門チームが発足する事になる。その専門チームにアユ姉は参加したいと思ってはいるが全然下っ端な自分が参加できるか自信が無かった。
アユ姉は「急な寒波に御用心」で「やるべき事をやる」と述べたように使命感と責任感で動いているところがある。今回はその使命感と責任感がやや悪い方に向いて「やるべき事が出来るレベルでないのならやってはいけない」となりかけた。それを察したタイラ隊長は「現場に求められるのはキャリアじゃない。必要なのは能力と熱意だと思います」と指摘する。
コウセイは「急な寒波に御用心」で「やりたい事を探し中」と言ったように自分の心が熱くなれる事を求めていて、「霧降山の伝説」ではあまり活躍しなかったが楽しそうであったゴーストライダーズを見て「羨ましい」と語っている。
「やりたい事をやっているのなら他人からの評価なんて関係無い」と言われるが実際はそうはいかなくて、人間は自分一人で楽しみたい事でもどこかで他人からの評価を気にしてしまうところがあって、今回のコウセイは自分達が一生懸命戦っている事を評価してくれない人がいる事に悔しさを覚えて焦ってしまった。
今回のコウセイは承認欲求を拗らせてミスをしてしまったわけだがその気持ちは分かる。自分にとってブログのレビューは「やりたい事」なのではあるが、それはそれとして自分が書いたレビューが人々に評価されなかったらやはり気にしてしまうところはある。
NDFの攻撃を見て「ミサイル!?」と驚くコウセイ。
そう言えばコウセイは「軍隊が怪獣を攻撃する」と言う光景を見た事が無かった。
『オメガ』は「怪獣作品で軍隊が怪獣と戦う」と言う当たり前すぎて疑問に思っていなかったものを第11話まで引っ張った事で今までありそうで無かった展開や台詞を作り出した。
謎の気配を警戒して慎重になるソラト。
これまで「何とかなるんじゃないかな」みたいな軽いノリだったソラトが不安を感じて慎重になる事でここまで作品全体が不安と不穏に満ちる事になるとは思わなかった。こうして見ると『オメガ』の雰囲気はソラトのキャラクターに依るところが大きかった事が分かる。