帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズとゴジラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「星の光を追いかけて」

「星の光を追いかけて」
『ウルトラマンオメガ』第19話
2025年11月22日放送(第19話)
脚本 安達寛高
監督 田口清隆

 

猪突猛進怪獣バグリゴン
身長 41m
体重 3万t
「太平風土記」に「1000年前に星の光を追いかけて空から落ちた」と記されている。
ソラトによると異星人が惑星開発の為に飼育していた怪獣らしく、夢中になると周りが見えなくなるタイプとの事。
赤い石を求めて街中を暴れ回るが最後はヴァルジェネスハルバードアースドリリングで倒された。
サユキによると赤い石は生命体の感情を力に変換して溜め込む性質があり、異星人は怪獣を操る為に赤い石を利用していたのではないかとの事。

 

物語
怪獣が街中で暴れる中、コウセイ達は怪獣の写真を撮ろうとする子供達を見付けて保護する。
子供達のリーダーであるエーイチは「特撮」を使って怪獣の写真を撮っていたのだった。

 

感想
自身も『G』を始め様々な自主怪獣映画を撮っていて、現在は「全国自主怪獣映画選手権」を主催したり「すかがわ特撮塾」の塾長を務めたりする等、長年に亘って「特撮」の魅力を伝える活動を続けている田口監督ならではのお話。


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「特撮」について熱く語るエーイチ。おそらくモデルは円谷英二監督であろう。(円谷英二監督の本名は「圓谷英一」)。
『オメガ』の地球は「怪獣」と言う言葉が無かった世界と言う設定だが、ひょっとしたら「特撮」も存在していなかったのかな? でも、特撮技術は怪獣作品以外にも使われるものなので、さすがに特撮が全く無かったと言うのは無理があるかな?

 

エーイチと一緒に怪獣写真を撮っていた子供達は親に注意されてエーイチと距離を置く事になる。
まぁ、エーイチの友達の親の気持ちも分かる。『オメガ』の地球では怪獣による被害が相次いでいてテリジラスの時は生きたまま食べられた人もいた。フィクションの話を現実世界の話と同列に語るものではないのだが、エーイチのやっている事って2011年に津波の映像を作ったり2025年に熊が暴れる写真を作ったりして楽しんでいるようなものなので快く思わない人も出てくるだろう。

 

今回はゲストが子供であるエーイチなので第2期ウルトラシリーズや『80』辺りによくあった「子供の大変さ」を描いた話になっているが、一方でコウセイを始めとした「大人の大変さ」も色々と描かれた。
ここは「子供」にターゲットを絞っていた昭和と「大人」にもターゲットを広げた平成・令和の違いを感じて色々興味深い。

 

今回は怪獣関係も「人間の感情と繋がる不思議な物体」「異星人に用意された怪獣」等と言った第2期ウルトラシリーズの特に『A』後半を思い出す内容になっていた。

 

メテオカイジュウ達の性格や好みをホワイトボードに書き出すコウセイ。
今回のメテオカイジュウ達の場面を見ると彼らの日常にフォーカスした話も見てみたかったなとなる。

 

今回は「特撮が好きな子供が主役」と言うちょっとメタな話なので番外編に近いところがあるのだが、最終回で語られる「人類と怪獣の共存」を考える時に頭に入れておいた方が良い話かもしれないと自分は考えている。
エーイチは自分で怪獣の写真を作ったり実際に怪獣の写真を撮りに出かけたりしているが、そういう事が出来るのは彼の親戚や友達や近所に怪獣の被害に遭った人がいなかったからであろう。もし身内や知り合いに怪獣に襲われて大怪我を負ったり命を落としたりした人がいる中で楽しそうに怪獣が街を破壊する写真を作ったり実際に怪獣が街を破壊しているところに友達を連れて行ったりするのはさすがに問題がある。そう考えるとエーイチは「密着! 2人の素顔」でマキ姉が語った「実際に怪獣被害が起きている地域と起きていない地域とでは人々の意識に差がある」の実例と言える。
『オメガ』の地球では怪獣による被害が相次いでいて中にはテリジラスの時のように生きたまま食べられてしまった人もいる。いわば20倍に大きくなった熊が暴れ回っている状況で、その中で「怪獣と共存する」と言う流れが作られるのはかなり大変な事だと思う。少なくとも怪獣に襲われて大怪我を負った人や怪獣に殺された人の遺族はその流れに賛同するのはかなり難しいであろう。そうなると「怪獣との共存」の鍵を握るのは「怪獣被害を受けていない人達」になると思われる。
現実世界で熊による被害が出た時に「熊を駆除してはいけない」と言う意見が出たが、おそらくこれは金太郎と相撲を取った熊や童謡の森のくまさんやくまのプーさんやくまモン等と言った熊のキャラクターがたくさんいて多くの人にとって熊が身近で親しみを持てる存在になっていたからであろう。もし熊がこういったキャラクターが全く作られず殆どの人に知られていない存在だったら状況は違っていた可能性がある。(ウルトラシリーズでは怪獣保護を訴えた『コスモス』の次作となった『ネクサス』では視聴者が怪獣保護を考える事が無いスペースビーストと言う親しみを持てない怪獣が登場した)
そう考えると既に多くの人が怪獣の犠牲となっている『オメガ』の地球で「怪獣と共存しよう」と言う意見が出てそれがある程度の力を持つようになるには今回の話でエーイチが特撮を使って怪獣の写真を作ったり、「カネナリ怪獣パーク」で金成社長が怪獣をテーマパークの目玉にしたり、「カゼになる」でオオカミ君が怪獣を動画配信のネタにして再生回数を伸ばしたりしたように「怪獣被害を受けていない人達によって怪獣がエンターテイメントの一つになって人々にとって身近で親しみを持てるキャラクターになる」と言う過程が必要なのかもしれない。

 

今回登場したバグリゴンのデザインは大塚良太さんが担当している。

 

ウルトラシリーズは常に新しい絵が作られているが特に田口監督の担当回は今まで見た事が無かった絵がたくさん見られて楽しい。

 

imagination.m-78.jp