帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズとゴジラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「刻をこえて」

「刻をこえて」
『ウルトラマンオメガ』第20話
2025年11月29日放送(第20話)
脚本 本田雅也
監督 辻本貴則

 

時空漂流獣クロノケロス
身長 子・2m 母・38m
体重 子・510kg 母・1万8千t
神奈川県ハマグリ市で観測された重力波の乱れの原因。
時空間をジャンプする能力を持っていて、大陸を移動する代わりに時間の流れを移動する「時渡り」を行う。
今回登場した個体は未来で母親が襲われたので助けを呼ぶ為に群れから離れて21世紀の地球にやって来た。武器を持ったコウセイ達に怯えては逃走を繰り返したが助けられた事を理解するとソラトとコウセイを未来に連れて行って母親を救ってもらった。
サユキによって「クロノス(時間)とリノケロス(サイ)」から「クロノケロス」と名付けられた。
ムーゴンの着ぐるみを改造している。

 

物語
ネズミの捕獲装置を見たソラトは色々な事を考えるようになる。
そんな中、謎の重力波が観測されてウタ斑が怪獣捕獲に出動する事になる。

 

感想
今回の話は最初は「怪獣捕獲」だったのがクロノケロスの事情を分かった事で「怪獣保護」へとミッションが切り替えられたが『オメガ』全体の流れも段々と「怪獣との共存」へと舵を切っていく事になる。

 

ネズミを捕るワナを見て「ネズミも大変だ……」とネズミに感情移入してしまったソラト。人間であるコウセイは「ウチも商売だから……」と「益獣」と「害獣」を分けて考えるが、ソラトは「守る者たち」で自分に好意的だった人物達とオメガに否定的だったオオカミ君を等しく扱ったように生物を区分けして考える事をあまりしない。

 

ネズミを可哀想だと考えるソラトの話を聞いてサユキは「他の生き物との共存は人類にとっての課題」と語る。これはもちろん最終回に繋がる言葉。
サユキの発言の後にアユ姉は「例えばアフリカではゾウが増えすぎて人間の暮らしが脅かされている地域もある。どこで線を引くかは難しい問題です」と語っている。『オメガ』の最終回では人間が怪獣との共存に向かい始めたところで話が終わっているが今回の話の時点で怪獣との共存を始めた事で生じるであろう問題点にも触れられている。

 

今回はクロノケロスの件を踏まえてコウセイがネズミを捕獲するのではなくネズミを倉庫に近寄らせないようにすると言う折衷案を出して話が終わっている。
アユ姉がゾウが増えすぎて生じる問題について語ったが、未来の地球の姿を見るにネズミや怪獣が減りすぎた事で生じる問題もあるのかもしれない。

 

ソラトによると「時を超える能力を持っていて安全な場所を探して群れで別の時代を移動している怪獣がいる」との事。これは今回登場したクロノケロスの事なのだが、ウルトラシリーズには時を超える怪獣が他にもいて、特に『コスモス』の「未来怪獣」に登場したアラドスはクロノケロスにかなり近い生態を持っていた。

 

「一人だけ群れから離れて地球に迷い込んだ」と言う今回のクロノケロスの設定は実はソラト(オメガ)に通じるものがある。

 

衰弱したクロノケロスを助ける為にアユ姉は心臓マッサージを始めるが皮膚が分厚くて人間の力では足りなかった。そこをウルトラマンであるソラトが協力する事でクロノケロスを助ける事に成功する。
「人間が一生懸命頑張っても力が届かない時、ウルトラマンが力を貸してくれる」と言うウルトラシリーズの基本精神を上手く使ったユニークな場面だった。

 

クロノケロスに刺さっていたのは神経伝達を阻害する仕掛けが施されている対怪獣用の兵器であった。サユキによると今の地球上にまだ存在しない技術が使われているとの事。
クロノケロスが時を超えるので未来の地球で開発された兵器なのかと推測されるが、未来の地球人の姿が描かれていないので詳細は不明。レキネスに撃退されたミサイルやクロノケロスに刺さっていた神経伝達を阻害する兵器のデザインがあまり地球の物っぽくなかったので、ひょっとしたら今回描かれた未来の地球は侵略者に支配された姿だったのかもしれない。それとも、攻撃に特化して技術を発達させた結果、地球の兵器のデザインがかつて地球を狙った侵略者のそれに近くなったのだろうか?

 

一見すると今回の話は「人間が怪獣を倒す事を突き詰めた為に破滅の未来に至ったが、人間が怪獣を始めとする他の生物との関係を見直す事で明るい未来を感じられるようになった」に思えるが未来の地球に関する情報が殆ど無いので実は「人間が怪獣との共存を実現しようとした結果、怪獣が増えすぎて人間が破滅に瀕する事になった」と言う可能性もあったりする。
未来はただ一つとは限らない。だから、希望のある未来をいくらでも想像出来るし逆に絶望の未来もいくらでも想像出来てしまう。

 

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