帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズとゴジラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「重なる未来」

「重なる未来」
『ウルトラマンオメガ』第25話
2026年1月17日放送(第25話)
脚本 根元歳三
監督 武居正能

 

殲滅細胞怪獣ゾメラ
身長 66m
体重 5万9千t
ガイリュウガを捕食した事で体内にカエン102の貯蔵器官を有する事になり、最後はソラトとコウセイが変身したウルトラマンオメガのレティクリュート光線を貯蔵器官に受けて倒された。

 

物語
ゾメラの脳波が強くなった事で世界中の怪獣達が活動を活発化させるが、コウセイを始めとする地球人達は最後まで諦めずに自分のやれる事をやり続ける。
そんなコウセイ達の姿を見たソラトは……。

 

感想
「重なる未来」と言うサブタイトルの通りにソラトとコウセイが一心同体になって二人の未来が重なる結末となった。
メイン監督の武居さんによると『オメガ』には「合体」「融合」と言ったテーマがあるとの事。言われてみれば確かにオメガとメテオカイジュウが合体してアーマー姿になっているし、最終回ではソラトとコウセイが一心同体になってウルトラマンオメガに変身している。又、ラスボスのゾメラもゾヴァラスの細胞とエルドギメラの細胞が融合した存在で他の怪獣を捕食して取り込んでいくと言う強制的な融合をしていく怪獣であった。さらに『オメガ』に登場するBGMや歌も二種類の曲が融合したものだったり男女デュオになっていたりしていた。
武居監督のインタビューを読んだ後に作品を振り返って見たらあらゆるところで「合体」「融合」のテーマが徹底されていた事に気付いて感動した。

 

ゾメラはゾヴァラスやエルドギメラの細胞を持つ事で能力だけでなく弱点も引き継いでしまい、その後もガイリュウガを捕食した事でカエン102の貯蔵器官と言う弱点を得てしまった。
ウルトラシリーズには合体怪獣が何体かいるが、ゾメラは「能力を得る」と言うプラスの要素以上に「弱点も得てしまった」と言うマイナスの要素が取り上げられると言うちょっと珍しいタイプとなった。

 

今回の話の不満点を挙げるとするなら「ガイリュウガがいつの間にかゾメラに捕食されていた」であろう。
ゾメラはゾヴァラスとエルドギメラの能力を持っているのでガイリュウガが戦っても前回のデマーガやゴモラと似た展開になっていたであろう事は予想出来るが、結果が予想出来るものだったとしても強い怪獣同士の戦いは見たかった。

 

コウセイがアユ姉やサユキにお礼を述べた場面は「ひょっとして死ぬ気なのか?」と心配になったが、サユキの「絶対に生きて帰ってくる事」に笑顔で「大丈夫ッス」と答えたのでホッとした。
サユキの指示を受けながらレーザー砲を再起動させていくコウセイは「ソラト、見てんだろ! 本当はお前、昔から地球人と話してみたかったんじゃないのか? だから、俺達を守ったんだろ! お前のおかげでやりたい事、大切な人達と出会えた! 俺はそれを絶対に守ってみせる!」とソラトに呼びかける。
「宇宙観測隊はただ見守るだけ」をアーデルは「宇宙観測隊は自分達を助けてくれない守ってくれない」と解釈したがコウセイは「今もソラトは自分達の頑張りを見ている」とした。「ソラトはいなくなった」ではなく「今も自分達を見守っている」。確かにそう考えるのならコウセイは自分の未来が失われる特攻を選択したりしない。未来を掴む為に今の自分がやれる事をやって、それをソラトに見せるはずだ。

 

急な寒波に御用心」で記憶を失った状態だったソラトは「怪獣と向き合い続ければ自分のやりたい事ややるべき事を思い出せる気がする」と言っていたが、実際にソラトは「宇宙観測隊」と言う「やるべき事」を思い出し、今回の話で「地球人と話してみたかった」と言う「やりたい事」をコウセイに指摘されるのだった。

 

コウセイの頑張りを見て二人のソラトが意見をぶつける。
「特定の生命体に肩入れしてはいけない。人間も怪獣も等しく同じ観測対象だ」、
「地球人は……幼く弱い。怪獣達に滅ぼされてしまう!」、
「生命の活動を見つめ、行き着く答えを収集し続ける。それが宇宙の安定を導き出す唯一の手段だ」、
「地球人の中には……自分と違うものを受け入れる者もいる。私を異星人と知りながら仲間として接する者達もいた。彼らなら争いの無い平和な世界を築く事が可能かもしれない!」、
「観測を続け、完璧な答えを導き出すべきだ」、
「我々には導き出せなかった! だが、彼らとなら……」、
「私は「ウルトラマン」などと言う存在ではない! あまたいる観測者の一人に過ぎない」、
「そう……、私は観測者。答えを導き出す者」。
そしてコウセイの前にソラトが姿を現す。
「答えなんてどこにも無い。探しているだけではいけないのだ。自分達で生み出さなければ! それが我々には不可能なら、地球人と……、いや、全ての命と、手を取り合って……! 私は、俺は、オオキダ・ソラト。ウルトラマンだ!」。
そしてソラトは「ウルトラマンオメガ」に変身する!
どの作品でも地球人はウルトラマンほど完璧な存在ではないのだが、だからこそ可能性があって、ウルトラマンですら予想出来ない未来を生み出せるのかもしれない。
『オメガ』の「宇宙観測隊」の設定は『初代マン』にあった「光の国」「宇宙警備隊」「地球の平和は人間の手で掴み取る事に価値がある」等の設定を上手く纏めたもので、M78星雲のウルトラマン達が当初は他の星への介入を問題視していたのが最終的には地球を守るようになっていったシリーズの流れを作品のメインストーリーに据えて展開したものとなっている。
「昔の作品と比べて今の作品は言葉で説明しすぎている」と言われる事があるが、『初代マン』の初代マンと『シン・ウルトラマン』のリピアーと本作のオメガは「ウルトラマンが人間を好きになる」と言う大まかな展開は同じなのだが、その流れを言語化するとそれぞれ違った物語になっているところが興味深い。たとえ大まかな展開が同じでも言葉による説明を入れる事で違いが生まれる。自分は長期シリーズを見ている時に同じシリーズでもスタッフや時代によって生じる変化に着目しているところがあるので、「言葉による説明」は違いが分かりやすく表れるところとして一つの注目ポイントとしている。

 

ソラト「悪い。コウセイ。お前の事を守れなくって」、
コウセイ「そうか……。俺、死んだのか。ソラト、お前も……!」。
え!? あの流れでソラトとコウセイが死んじゃうの!?と結構驚いた場面。
第1話だったらウルトラシリーズの主人公が命を落とす展開はこれまで何度もあったので驚かなかったと思うが最終回でこの展開は予想外だった。しかし、ここからソラトとコウセイが一心同体になってウルトラマンオメガに変身した展開を見て、武居監督の「『オメガ』は『初代マン』の第1話を半年かけてやった作品」と言うインタビューを読んで色々納得がいった。
言われてみたら確かに「星見光成(ホシミ・コウセイ)」とはいかにもウルトラマンに変身する人間の名前なのだが、オメガがセブンのような擬態型のウルトラマンだったので地球人と一心同体になる展開は無意識のうちに予想から外していたところがあったのかもしれない。(よく考えたら擬態型の代表格であるセブンも『平成セブン』や『SEVEN X』まで含めると最後は擬態型でありながら地球人と一心同体になっていた)

 

賛否あるインナースペースであるが、今回のソラトとコウセイの会話場面を見ると、ウルトラマンと人間が会話する場としてやはりあった方が良いと感じた。ウルトラマンと人間が会話する精神的な場はそれこそ『初代マン』の第1話からあったわけだし。個人的には完全にロボット作品の絵になってしまう恐れがあるが『A』辺りはインナスペースがあってそこでエースと北斗星司と南夕子が会話していたらかなり分かりやすくなっていたのかなと思う。
インナスペースで問題なのはアイテムをガチャガチャ動かすところかな。上手く処理している作品もあるが世界観と玩具が微妙に合わない作品も確かにある。ここは玩具の売上が重要になっている日本のヒーロー作品の構造にも関わってくるもので簡単には解決出来ない問題であるが……。

 

ゾメラとの最終決戦が意外と短かったが、ソラトとコウセイが一心同体になってメテオカイジュウも三体同時に繰り出せるとなったらそりゃ圧勝になるよなと納得出来た。

 

ゾメラとの戦いの後、国際的な怪獣対策組織「怪獣科学特別捜査隊」が活動を始める事になる。怪獣科学特別捜査隊はいざという時に備えて武器を持っているが、どうやったら怪獣と仲良くやっていけるのかを考えていく組織となっている。
今まで「怪特隊」が『初代マン』の「科特隊」のオマージュ組織だと思って見ていたが、科特隊が世界的な組織であったのに対して怪特隊は日本国内の組織だったので、科特隊に合わせるのなら怪特隊を世界的な組織へと変えるのは納得。怪獣科学特別捜査隊に入隊したコウセイとアユ姉にフォーマルな格好をさせる事で科特隊のスーツ姿を再現させるのは上手いオマージュだった。
ウルトラシリーズでは作品ごとに世界的な組織が設定されているが、『初代マン』の科特隊が調査主体の組織だったのに対して『セブン』のウルトラ警備隊以降は防衛組織の中のチームと言う感じになっていたので、怪獣を倒す事を主目的としていない怪獣科学特別捜査隊は歴代の特別チームの中でも科特隊寄りの組織と言える。

 

ゾメラとの戦いの後もオメガは地球で戦い続けているのだがアユ姉達とは会っていないらしい。アユ姉の疑問に対してコウセイは「ソラトは俺達の事をどこかで見てくれている」と答えるが実際にはソラトはコウセイの中にいた。
この「特別チームの隊員の中にウルトラマンがいて、その事を皆は知らない」と言うのは『初代マン』から続くウルトラシリーズの王道設定。最初は組織に所属せずコウセイと二人で怪獣事件に関わっていくと言うウルトラシリーズでは異色の設定から始まった『オメガ』は最後に特別チームが設立されてウルトラマンに変身する事は周りに秘密にされていると言う王道の設定へと回帰した。

 

最終的に『初代マン』の第1話を思わせる設定に落ち着いた『オメガ』であるが、その一方でサユキが宇宙観測隊と直接コミュニケーションを取りに行くと言うこれまでのウルトラシリーズではあまり無かった展開が用意されている。
地球と光の国は科学力等に差があるので直接関わるのは避けた方が良いと言うのも分かるのだが、やっぱりこれだけ色々あったのだから一部の人間だけの付き合いではなくて、もっと本格的に地球と光の国は交流しても良いのではないかと自分は考えていたので、サユキが宇宙観測隊との直接対話を実行に移したのは嬉しかった。

 

ゾメラとの戦いの後も宇宙観測隊はソラトに何も言ってきていないらしい。ソラトによると「観測隊員と現地の人間が融合するのは初めてのケースなのでどうなるか興味津々なのだろう」との事。
宇宙観測隊はあくまで「観測」を行う組織なので、地球人と融合したソラトは「観測」の対象となったと言うのはなるほどとなった。おそらく宇宙観測隊にとって地球人と融合したオメガ=ソラトは既に新しい地球の一部と言う扱いなのだろう。
ふと思ったのだが、『オメガ』はウルトラシリーズの中でも宇宙人の登場が少ない作品だったが、ひょっとしたら宇宙観測隊が宇宙人や宇宙怪獣による星への干渉を防いでいたのでウルトラシリーズの中でも他の星に移動する宇宙人が少ない状況になっていたのかもしれない。もしそうなら、宇宙人であるソラト=オメガが地球の一部になった事を認めた事で宇宙観測隊の考え方も変わっていって今後は星を移動する宇宙人が増えるかもしれない。

 

コウセイ「だったら、見せてやろうじゃないの!」、
ソラト「地球人と宇宙人と怪獣と、皆で作る新しい地球をな!」、
コウセイ「行くぞ、ソラト!」、
ソラト「あぁ、コウセイ!」。
そして未来が重なった二人の青年は駆け出すのであった。

 

『オメガ』は「『初代マン』の第1話を半年かけてやった作品」と説明されているが、自分は「『仮面ライダークウガ』のように皆が知っているシリーズの一作目を現代風にアレンジして設定を細かく説明していった作品」と捉えている。
『クウガ』は「怪人が出現したら世の中はどうなるのか」「どうして怪人は一人ずつ襲いかかってくるのか」「どうして怪人は倒されると爆発するのか」と言った最初の『仮面ライダー』で提示されてその後は制作者もファンも「「仮面ライダー」はそういうもの」と思っていたところに色々とメスを入れていった作品だったが、『オメガ』も同じく「怪獣や巨人が出現したら世の中はどうなるのか」「どうして巨人は人類を守ってくれるのか」「世界的な特別チームはどのように設立されたのか」と言った最初の『ウルトラマン』で提示されて皆が「「ウルトラマン」はそういうもの」と思っていたものにメスを入れていった。
長期シリーズは以前の作品と差別化する為に新しいものを作っていくものなのだが、『クウガ』や『オメガ』は最初の作品を見つめ直す事で新しいものを生み出した作品と言える。

 

「今までウルトラシリーズを見ていなかった人に最初に薦める作品はどれが良いか?」と言う問いに人それぞれ色々な答えがあって自分も『初代マン』『セブン』『ティガ』『オーブ』と色々な答えがあったのだが、そこに温故知新の作品『オメガ』が新たに加わった。

 

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