帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズとゴジラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『モスラ2 海底の大決戦』

『モスラ2 海底の大決戦』
1997年12月13日公開
脚本 末谷真澄
特技監督 川北紘一
監督 三好邦夫

 

平成モスラ三部作の第2作。
脚本と特技監督と音楽は前作と同じだが本編監督は三好邦夫さんに代わっている。

 

プロデューサーの田中友幸さんはこの年の4月に亡くなられて本作が遺作となっている。

 

本作の主人公は女の子とマスコットキャラと悪ガキ男子二人となっている。
子供が主役なのは特撮作品より漫画やアニメでよく見られるもので、物語だけでなく映像面でも合成やCGが多用されて小美人のエリアスやゴーゴと言ったマスコットキャラが出ていて漫画やアニメっぽさが強くなっていた。ちょっとリアリティが無い場面もあったが、こういう現実には無い漫画やアニメっぽい映像を実写で見せられるのも特撮ならではと言える。

 

東宝特撮怪獣映画では子供が主役の作品は意外と少なく、子供達が不思議な場所で冒険を繰り広げる本作はどちらかと言うと昭和ガメラシリーズに近い。
平成に復活したガメラシリーズが昭和の東宝特撮怪獣映画のような大人中心の内容になって、逆に平成に復活したモスラシリーズが昭和ガメラシリーズのような子供中心の内容になると言う逆転現象が興味深い。

 

前作の『モスラ』は過去のモスラ作品のリメイク的な面があって敵怪獣のデスギドラもキングギドラの派生であったが、本作は過去の東宝特撮怪獣映画にはあまり無かった子供達の冒険モノになって敵怪獣もダガーラと言う新キャラクターが登場する等、新しい時代を見据えたものとなっていた。
個人的には本作にあった新しさに期待していたので次作から再び有名怪獣の再登場に舵を切られたのは残念だった。

 

本作は子供達の冒険とモスラとダガーラの戦いがメインでテーマはやや薄めとなっている。又、登場人物に重い過去等は無く、汐里をいじめていた洋二と航平は序盤で改心し、ベルベラに唆された小谷と長瀬はどこか抜けている等、全体的に深刻にならないようになっている。そのおかげで何かに引っかかる事も無くサクサクと見られたのだが、一方で最初から最後まで同じ調子で話が進んでメリハリが弱かったところもあった。

 

汐里と洋二と航平の子供組もベルベラと小谷と長瀬の大人組も男が意外と気弱で女の方が覚悟が決まっているところがあった。

 

漁師のあんちゃん二人は怪獣作品の敵としては役不足なところがあったかな。
人間は子供の頃は純真でも大人になると欲にまみれてしまうと言うベルベラの主張を考えたら極悪人と言うわけではないが心の弱さから罪を犯してしまうと言う二人の人物造形は納得出来るものなのだが、彼らから強さ怖さをあまり感じないので主人公達が絶体絶命の危機に陥ると言うハラハラドキドキ感もあまり感じなかったところがある。

 

本作も「自然破壊」がテーマになっているが前作が森を舞台にしていたのに対して本作は海を舞台にしているので映像面では前作との差別化がされている。

 

ダガーラはニライカナイ文明が海の汚染問題を解決する為に作ったのだが、食べた汚染物質をベーレムと言う毒の結晶体に変えて排出してしまうと言う欠陥があって、逆に海の生物を全滅させる恐れを生じさせてしまった。
意図的に生み出されたかどうかの違いはあるが、この設定は『ゴジラ対ヘドラ』のヘドラを思い出す。汚染を出し続ける社会の仕組みそのものを変えずに汚染を無くそうとしても上手くはいかないと言う事なのかな。

 

平成ゴジラシリーズでは怪獣より大きい高層ビルがある場所が舞台になっていたのだが、今回は沖縄が舞台なので怪獣より大きい建物が少なかった。個人的には怪獣と建物の大きさの関係は本作くらいなのが好みかな。

 

特撮で水や炎や砂と言った自然のものは大きさを表現するのが難しいと言われているが、本作ではニライカナイの遺跡に迫るダガーラの場面がちゃんと大きさが表現されて迫力があるものになっていた。
その後のモスラとダガーラの戦いでも迫力のある場面が数多くあって、本作は大きさを表現するのが難しい海が舞台でありながら怪獣作品として満足出来るものに仕上がっていた。

 

前作と同じく本作でも自衛隊等の軍隊は登場しないのだが、代わりにニライカナイの遺跡がダガーラと互角の戦いを繰り広げられる程の武装を備えていて、遺跡とダガーラの戦いはかなり見応えのあるものとなっていた。

 

汐里達がニライカナイの遺跡を冒険するところはエレベーターや見えない橋等があってTVゲームのアクションアドベンチャーゲームのようであった。
そう言えば『ゴジラvsモスラ』でも主人公・藤戸拓也がトレジャーハンターと言う設定でトラップのある遺跡を探検して宝物を手に入れると言うTVゲームっぽい展開があった。(こちらの元ネタはTVゲームではなくて『インディ・ジョーンズ』だと思うが)

 

「モスラの歌」からモスラが出撃するまでの流れが完全にヒーローの演出になっていた。
平成ゴジラは後半は人間と敵対する事が少なくなったが明確に人間の味方になったと言う場面は殆ど無くて、昭和ゴジラも子供の危機に登場すると言った場面はあるがそれとは別に侵略者と戦わなくてはいけない理由が用意されていて完全に人間の味方と言う立ち位置にはならない等、ゴジラは扱いがちょっと難しいところがあったのだが、モスラは人間の味方であると明確に打ち出せるので戦いの構図をシンプルで分かりやすいものにする事が出来る。

 

ダガーラは最初は生物っぽいなと思ったが、空を飛んで肩から砲撃したところは生物兵器っぽかった。
平成ゴジラシリーズも平成モスラ三部作も光線が使われる事が多かったのでダガーラのバズーカのような攻撃は印象に残った。

 

今回もモスラは体当たりでダガーラを叩き落とす等、相変わらずの強さを見せ付けた。
正直言って正面対決では勝っていたので、ベルベラがモスラは水に潜れないと言う弱点を教えていなかったらあのままモスラが押し切って勝っていた可能性は十分にあった。

 

ダガーラに負けたモスラが海に沈んでいくのは前作で親モスラが亡くなった場面を思い出す。

 

本作でも暗躍して事態を引っかき回したベルベラだったが、彼女が人間を信じなくなった理由がうっすら分かったり、人間に絶望していながらも最後は子供達を助けたりとまだ良心が残っている事が分かる場面があった。

 

レインボーモスラ登場!
平成ゴジラシリーズも平成モスラ三部作も戦いでは光線が主な武器となっていたので、光線すら届かないと言うのは強さの表現として最高であった。
ゴジラもバーニングゴジラなどはあったが今回のように新たな力を得てパワーアップした事で姿が変わると言うウルトラマンや仮面ライダーのフォームチェンジのようなものは無かったので今回のモスラの変身は衝撃だった。
過去作品のリメイク要素が無く、新怪獣が登場して、モスラが新しい姿に変身する等、本作はこれまでの東宝特撮怪獣作品とは大きく違ったものとなっていて怪獣新時代を感じるものであった。(残念ながらこの流れは続かなかったが……)

 

今回は舞台の殆どがニライカナイの遺跡であったのだが、破壊描写がしっかりしていたので満足感のあるものになっていた。

 

主人公の汐里を演じていたのが沖縄アクターズスクールの「Folder」に所属していた満島ひかりさんだったので主題歌がFolderの『NOW AND FOREVER』となっている。
それまでの怪獣作品では若者向けの歌を流したら違和感を覚えるところがあったのだが本作はそういう違和感が生まれない作品と仕上がっていた。