帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「取り戻す命」

「取り戻す命」
ウルトラマンギンガS』第9話
2014年11月4日放送(『新列伝』第71話)
脚本 黒沢久子
監督 石井良和

 

分身宇宙人ガッツ星人ボルスト(SD)
身長 14cm~40m
体重 150g~1万t
ベムスターベムラーにモンスライブして雫が丘のビクトリウムを奪おうとした。
チブルサーキットでパワーアップしているが、最後はギンガとビクトリーのコンビプレーに敗れた。

 

宇宙大怪獣ベムスター(SD)
身長 14cm~46m
体重 150g~6万1千t
ボルストがモンスライブした「ベムベムコンビ」の一体。
腹部の口で相手の光線を吸収する。
ギンガとビクトリーのコンビプレーに敗れ、最後はビクトリーのウルトランス・EXレッドキングナックルで空の彼方に殴り飛ばされてしまった。

 

宇宙怪獣ベムラー(SD)
身長 14cm~50m
体重 150g~2万5千t
ボルストがモンスライブした「ベムベムコンビ」の一体。
口から熱線を吐く他、ガッツ星人の分身能力や捕獲光線も使った。
ギンガとビクトリーのコンビプレーに敗れ、最後はギンガストリウムのスペシウム光線で倒された。

 

物語
エクセラーに捨てられて当ても無く雫が丘を放浪するワンゼロ。
そして、夢に向かって迷いを抱えるようになった美鈴。
二人が出会った時、一人のアンドロイド少女の運命が大きく変わる。

 

感想
2ヶ月のインターバルを置いて再開された『ギンガS』の後期。
オープニングとエンディングも1番から2番に変わって後半戦に入った感じを印象付けている。
驚いたのはオープニング。なかなか歌が始まらないので「ひょっとして、歌無しなのか?」と初見では思った。

 

『ギンガ』の時は前期と後期で劇中の時間もかなり経過していたが『ギンガS』は前期最終回の直後に後期第1話が始まった感じで、『ギンガ』の第7話が後期第1話でもあったのに対して『ギンガS』の第9話にはそう言った要素はあまり見られなかった。

 

雫が丘に来た美鈴との再会。
千草はCDを出し、そのジャケットの写真を健太が撮っていて、友也とヒカルはUPGに参加している。しかし、美鈴だけ確かな結果を出せないでいた。
『ギンガ』の頃はヒカルや千草の方が具体的な目標を持っていなかったり夢に迷ったりしていて、美鈴は和菓子職人と言う確かな夢と和菓子コンクール出場と言う具体的な目標があったのに、『ギンガS』の頃になると状況が逆転してしまったと言うのがリアル。

 

美鈴は倒れているワンゼロを見付けて介抱する。
その行為に応える為か、この後のワンゼロは美鈴を守る為に行動するようになる。
そう言えば『ギンガ』で友也が本格的にヒカル達の仲間になったのも『劇場スペシャル』で美鈴に怪我の手当てをしてもらってからだった。

 

ワンゼロを見付けたショウは美鈴を助けようとするが、事情を知らない美鈴はショウの方が悪人だと思ってしまう。そしてワンゼロは「私の名はマナ」と美鈴に付けられた名前を名乗り、ショウから美鈴を守るように立ち上がる。
その後、雫が丘にいる人間を無差別に襲い始めたチブロイドが美鈴も襲おうとして、ワンゼロは美鈴を守る為にチブロイドと戦う。それを見たショウは戸惑いながらも美鈴とワンゼロを助ける事に。
ショウ自身はどこまで分かっているか不明だが、「朝焼けの死闘」でショウが言った「運命に抗う」をワンゼロが始めた瞬間であった。

 

ボルストがモンスライブしたベムスターが出現するが、ショウはチブロイドから美鈴達を守らなくてはいけないのでビクトリーに変身する事が出来ない。
戦い始めの頃は地上の人間を巻き添えにするような無茶苦茶な戦いをしていたショウだったが、ヒカル達と力を合わせて戦う中で大きく変わっていった。
この後、ヒカルが来た事でショウはチブロイドをヒカルに任せてビクトリーに変身する事が出来た。ここは複数のヒーローがいる利点が生かされた。

 

UPGの新装備マラミュート登場。しかし、特に活躍は無し。
移動作戦指揮車と言う設定なので陣野隊長が搭乗して現場に出るくらいの話は欲しかった。

 

今回のベムラーベムスターは肩書きが「宇宙怪獣」と「宇宙大怪獣」と言う他に名前の最初に「ベム」が付くと言う共通点がある。

 

エクセラーが与えたチブルサーキットによってボルストがパワーアップ。
特に新しい能力は披露されていないが、ボルストの反応を見ると、既存の能力の威力や精度が大幅にアップすると言う感じかな。

 

美鈴に名前を尋ねられたワンゼロは首を横に振って答える。
「ワンゼロ」と言うのは名前ではなくて「10」と言う単なる識別ナンバーだったようだ。実際、「明日を懸けた戦い」で「ワンゼロではなく、私の事はマナと呼べ」と言うワンゼロに向かってエクセラーは「ガラクタに名前なぞ必要無い!」と言い放っている。
そんなワンゼロに美鈴はハワイの言葉で「取り戻す命」と言う意味の「マナ」を名付ける。ここは「名前なんて無い」初代マンが「ウルトラマン」と言う名前を、「観測員340号」だったセブンが「ウルトラセブン」や「モロボシ・ダン」と言う名前を手に入れたのに通じるものを感じる。

 

ヒカルを庇って破損したワンゼロ。友也の解析によると自己修復機能が備わっているのだが、それを作動させようとしていないらしい。
「戦う事が宿命のアンドロイド……、いや、マナか。きっと戦い疲れたんだ」と言うショウの言葉に美鈴は「じゃあ、もう戦わなきゃいいじゃない! 宿命なんて変えられる。諦めないで、マナ!」と叫ぶ。
美鈴がワンゼロに付けた「マナ」と言う名前の意味が「取り戻す命」だと指摘するヒカル。その言葉を受けて美鈴はさらに呼びかける。
「マナ! あなたを見て、この名前が浮かんだのはきっと偶然じゃない! 宿命があなたに生きろって言っているのよ! 諦めないで、もう一度、命を取り戻して! マナ!」。
その言葉を受け取ったワンゼロは自己修復装置を作動させて立ち上がると、チブロイドとの戦いで地面に落ちてしまった美鈴の和菓子を拾い上げて美鈴に見せる。「ありがとう。マナ」と応える美鈴。それはワンゼロがエクセラーに仕えていた時には決してかけられなかった優しい言葉であった。
そして、ワンゼロ……マナは笑った。

 

『ギンガS』のキーパーソンであったワンゼロが「マナ」と言う新たな人生を歩む重要な回。
「戦う事が宿命のアンドロイド」が「特別チームに所属していない非戦闘員である美鈴」に救われると言う展開が上手い。今回の美鈴は『帰マン』のアキちゃんや『T』のさおりさんや『レオ』の百子さんと言った第2期ウルトラシリーズにいた民間人のヒロインに近い立ち位置だった。  

 

 

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