帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「命という名の冒険」

「命という名の冒険」
ウルトラマンギンガS』第15話
2014年12月16日放送(第15話)
脚本 小林弘利
監督 坂本浩一

 

超咆哮獣ビクトルギエル
身長 測定不能
体重 測定不能
宇宙最強の肉体ルギエルと宇宙最高の頭脳エクセラーが一つになった究極の生命体。
シェパードンのクリスタルスパークドールズや地球にあるビクトリウムからエネルギーを取り込んでいるので活動時間に制限が無い。
胸から発射するビクトリウム・キャノンは山一つ消し飛ばす程の威力を有していて、一度はギンガとビクトリーを倒した。

 

物語
ビクトルギエルの前に敗れてしまったギンガとビクトリー。
地球滅亡の危機が迫る中、マナにある決断が迫られる。

 

感想
いきなりウルトラマン達の敗北から始まって、その後に回想を使ってビクトルギエルとの戦いを描くと言う変則的な構成に驚く話。
時系列順に見せていくと冒頭で戦闘が終わって後は敗北後と言う暗くて重い展開が続いていたので、冒頭でいきなりウルトラマン達の敗北を見せ付け、その後にテンポの良い戦闘で勢いある展開を続ける事で視聴者の興味を引いたのは上手かった。

 

ビクトルギエルはシェパードンのクリスタルスパークドールズだけでなく地球にあるビクトリウムからもエネルギーを取り込んでいるので活動時間に制限が無い。一方、ウルトラマンであるギンガとビクトリーは3分間しかライブ出来ない。
そこでヒカルが考えたのはカラータイマーが鳴る前にライブを解除し、しばらく休んだ後にもう一度ライブすると言うもの。これによって、ギンガとビクトリーの二人のうち一人が休んでもう一人が戦うと言うのを交互に繰り返して長時間戦い続ける事が出来た。
3分と言うのはライブする人間の限界でもあるとタロウが注意するが、ヒカルは限界を超えるのが人間だと反論する。『ギンガ』ではライブした人間は基本的にダメージを受けていなかったのが『ギンガS』ではダメージを受ける描写が度々あったのは、この限界を超えてしまったからなのかな?
ところで3分の時間制限はウルトラマンにライブした時のみなので、長時間戦いたいのならヒカルはギンガじゃなくて怪獣にライブするのも手だったと思う。ハイパーゼットンならギンガに引けを取らない戦いが出来たのではないだろうか。

 

このヒカルの作戦は失敗であった。
相手が時間制限無しなのに対して自分達は時間制限があるのでエネルギーの消耗を抑えながら長時間戦おうと言う作戦なのだが、相手のエネルギーが無限なのに対して自分達のエネルギーが有限なら長期戦を挑んでも最終的には自分達のエネルギーがジリ貧になって負けてしまう。
ゾフィーの力の時にM87光線ではなくてZ光線を使う等、使用する技もエネルギー消費が少ないものを選んでいたが、相手がエネルギーを無限に補給できるのにチョコチョコとダメージを与える戦い方をしていても結局は全て回復されて無意味になってしまう。ここは一気に決着を付けるべく最初にコスモミラクル光線を使うくらい思い切った事をした方が良かったと思う。(最初にコスモミラクル光線を撃って倒せない相手にZ光線を何発か撃って倒せるとは思えない)

 

ビクトルギエル相手にまずは自分が戦うと言うヒカルに対して、ショウは「ガレット!」と返事。
これは前回の「復活のルギエル」でショウがヒカルやUPGとは一緒に戦えないと言った事に対するフォローと考えられる。
ショウの返事に「いつから隊員になった?」と笑うヒカルであったが、後にショウは本当にUPGの隊員になったりする。

 

ビクトルギエルとの戦いでヒカルとショウの体力は消耗し、この戦いでライブ出来るのはあと一回となる。
そう言えば怪獣や他のウルトラマンには色々な人がライブしていたが、ギンガとビクトリーにはヒカルとショウしかライブしていなかった。もし「選ばれし者」であるホツマがいればここでギンガにライブ出来たのかな?

 

ビクトルギエルの攻撃からアリサを助けるマナ。
負傷したアリサを見てマナは「死ぬのか?」と問うが、ゴウキは「そう言うのは何十年も後の話だ」と答えてアリサの怪我の手当てをし、アリサはマナに「人間にも自己修復機能があるから」と説明する。

 

マナはまだ生きるとか死ぬとか言うのが分からないと知った友也はマナに生きる事について説明をする。
友也「命って、たとえば、変化だと言えるのかも……とは言えます」、
マナ「私は変化も成長もしない。つまり、私には命は無い」。
いやいや、マナはかなり変化しただろう!とちょっとツッコみたくなるが、そこを自分では分からないのが機械なのかもしれない。
友也は燃えた木が化石になって石油になってエネルギーやペットボトルになってと例を出して機械であるマナも変化すると解説する。
エネルギーの話で思ったのだが、この解説にはビクトリウムの事も絡んでいるのだろうか? 強大なエネルギーを秘めている地球の命の源であるビクトリウム。それはどのようにして誕生しているのだろうか……。
友也「確かに君は機械です。けれど、もし、自分がこうなりたいと変化を望むのなら、魂はあると言えるんじゃないかと。僕はこう思っています。自分の経験を次の世代に受け渡す。全ての命にはそう言うコマンドがインプットされていて、それを魂って呼ぶのかもって。だから、僕らはたくさん経験して、たくさん学ばなきゃいけない。この命を使ってもっと遠くへ、その先へと動き続ける。全ての命はそんな冒険の途中なのです。そう、そして僕らは答えを探し続ける。何故生まれたのか、ここにいる意味って何なのか、そして、何故戦うのか」。
友也の話でマナは生きる事とは冒険であると知るのであった。
「命」と言う話題になった時、大抵は理屈や理論より感情と言うか純な気持ちの話になるのだが、理屈や理論で全て話をしたのが友也らしい。
機械であるマナに対して真摯に向き合ったのは友也が同じ機械であって魂を持っていたジャンナインと友達であったからと思われる。

 

『ギンガS』はいくつかの話が並行して描かれているが、その一つが機械であったワンゼロが魂を持ったマナと言う存在に変わっていくであった。
後にルギエルは全ての生きとし生きる者を人形にして変化が訪れないようにしようとしたが、人形から生きる者へと変化したマナはその対極に位置する存在であった。

 

エクセラーはシェパードンのクリスタルスパークドールズや地表に出ているビクトリウムだけでは飽き足らず、地球を豊かな星にしているパワーの根源を探る。
君に会うために」でボルストに命じた調査の内容はおそらくこのビクトリウムを超える最高の地球パワーがある場所を探る事であったと思われる。
キサラ女王の説明によると、地底6400kmの場所にあるビクトリウム・コアによって地球は太陽系で最も強いエネルギーに満ちている命溢れる星になったとの事。
地球に多くの怪獣が誕生したり侵略者が襲来して来る理由の一つって、このビクトリウム・コアなのかな?
このビクトリウム・コアの話を聞いて思い出したのが『メロス』の原作となった『ウルトラ超伝説』に登場する地球の生命エネルギー・アズアース。
アズアースは地球の代理人、地球そのもの、地球人にとって神のような存在と説明され劇中では老人の姿で現れている。そして邪悪生命体イドはアズアースのエネルギーを吸収して地球を消滅させるとグアの再来となって宇宙に君臨するのであった。

 

ビクトリウム・コアのある地底6400kmに人間は近付く事が出来ないが、宇宙人の技術で作られたマナなら耐えられるとして、キサラ女王は自分のビクトリウムの水晶を授けてマナをビクトリウム・コアの所に向かわせる。
この展開は『T』の「燃えろ! ウルトラ6兄弟」でタロウがウルトラ6重合体をしてウルトラベルを取りに行った場面を思い出す。

 

地上に戻ったマナは何故かヒカル達を攻撃し、地球を守る方法はエクセラーに降伏する事だとして、エクセラーの所にテレポートしてビクトリウム・コアの場所を教えてしまう。
この辺りの展開が微妙に分かり難い。
簡単に言えば、マナがビクトルギエルの内部に侵入してシェパードンのクリスタルスパークドールズを回収し、さらに内部から破壊を行い、その一方でギンガとビクトリーが外から攻撃をしてビクトルギエルを倒すと言う作戦であった。
マナはエクセラーの所にテレポートできるので苦も無くビクトルギエルの中に入れるし、何かあってもビクトリウムの水晶にデータを保存しているので再生する事が出来る。
ここまでは良いのだが、あまりにも説明が足りない為にここからややこしい事になる。
まずマナがエクセラーに寝返った振りをする。これはマナが内部に残っているビクトルギエルをギンガとビクトリーが攻撃するにはマナは敵で倒して良い存在だと皆に思わせた方が都合が良いからなのだろうが、ヒカル達はマナが裏切るはずがない何か事情があるはずだと言ってビクトルギエルの中に追いかけて行ってしまい、マナの作戦はいきなり失敗してしまう。
さらに問題なのはここでヒカルとショウが簡単にビクトルギエルの中に入れてしまった事。マナがエクセラーの注意を引き付けていた隙にヒカルとショウが侵入したとかならともかく、こんな簡単に中に入れるのならマナが裏切る振りをする必要は無く、最初から3人で乗り込んでシェパードンのクリスタルスパークドールズを回収してエクセラーを倒してしまった方が早い。
その上、ビクトルギエルの中に入ったヒカルはエクセラーの前でマナは裏切っていないと言ってしまい、これによってマナのエクセラーを騙し討ちすると言う作戦も失敗。しかもここでヒカルとショウはエクセラーの攻撃を受け、それを庇った事でマナは傷付いて自身の脱出が困難になる等、全てが裏目にしか出ていない。
ここからの最後の一回の変身の場面はカッコ良いんだけどな……。

 

今回の作戦はビクトリウム・コアが考えたらしいが、あの友也との話を経たマナに平和の為に犠牲になる事を強いたりとかなり無茶苦茶な作戦であった。この個々の事情より目的や使命を優先するところはO-50の戦士の頂の光に通じるところがある。
キサラ女王は作戦を知っててマナを動かしていたようなので、こちらの印象もすこぶる悪いものになってしまった。キサラ女王は全体を通して人格者のように描かれているけれど、実際の描写を見ると事態を悪化させている事が多い。
マナ達が地上に戻った時、何故かカムシンも地上に出ていたが、ヒカル達に向かってマナは宇宙人の手先であったと力説しているところを見ると、ビクトリウム・コアの作戦を成功させる為にマナは敵に寝返ったとヒカル達に思わせる為に一緒に来たと思われる。

 

エクセラーの所に戻ったマナを放っておけないとしてヒカルとショウは最後の一回の変身をマナの為に使う決意をする。
ここでUPGはヒカルがギンガであった事に気付くのだが、ここまでウルトラマンとUPGの話をあまりしていなかったのが残念。でも、ゴウキの「肝心な時にいねぇ奴だと思っていたけれど、逆かよ。最前線で戦っていたのか、お前……。馬鹿野郎、何で黙っていた!」はウルトラシリーズで主人公の正体を知った特別チームの感情を見事にまとめた名言であった。

 

 

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