帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「燃えろ! ウルトラ6兄弟」

「燃えろ! ウルトラ6兄弟 ーウルトラ5兄弟 宇宙大怪獣ムルロア登場ー
ウルトラマンT』制作第25話
1973年9月21日放送(第25話)
脚本 田口成光
監督 山際永三
特殊技術 佐川和夫

 

ウルトラ兄弟
第二の故郷である地球に危機に立ち上がる。ウルトラ6兄弟全員が同じ画面に登場するのは今回が初めて。
ウルトラ・シックス・イン・ワン(ウルトラ6重合体)を使ってウルトラタワーに収められているウルトラベルを取り出して地球を包んでいた闇をかき消した。
「今、我々は6兄弟の第二の故郷・地球を救う為にウルトラベルを手に入れなければならない!」。

 

宇宙犬ラビドッグ
身長 5.9m
体重 300kg
撮影終了後に造形物が『小学三年生』の誌上プレゼントになったらしい。現在の状況がとても気になる。

 

宇宙大怪獣ムルロア
身長 62m
体重 3万9千t
トロン爆弾の実験で突然変異を起こしたムルロア星の生物。
光を嫌い光を憎む為、光に反応する宇宙蛾スペースモスを利用して光のある場所を見付けて次々に破壊していった。
ウルトラベルでアトミック・フォッグをかき消され、ZATの新兵器AZ1974で倒された。

 

ウルトラの長老
ゾフィが語るウルトラの国の歴史に登場する人物で詳細は不明。
今から26万年前(劇中では3万年前)、太陽が大爆発を起こしてウルトラの国が闇に閉ざされた時、科学者達と共に人工太陽プラズマスパーク(劇中ではプリズマスパーク)を作ってウルトラの国を救った。
劇中では語られていないが、元々は普通の人間だったウルトラの国の住人は人工太陽プラズマスパークから放射されるディファレーター光線を浴びて現在のウルトラマンへと進化したらしい。

 

暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人
ゾフィが語るウルトラの国の歴史に登場する人物で詳細は不明。
かつて怪獣軍団を率いてウルトラの国を襲撃したがウルトラの父達の活躍によって撃退された。この戦いがウルトラの父と母の出会い、宇宙警備隊(劇中ではウルトラ警備隊)の結成へと繋がった。
名前の由来は「エンペラー(皇帝)」から。

 

物語
闇に閉ざされた地球を救う為に上野隊員は決死の覚悟でAZ1974の使用を求める。
一方、ウルトラの国に集結したウルトラ6兄弟も決死の覚悟でウルトラベルを取り出そうとしていた。

 

感想
これがウルトラの国だ!」の続き。

 

遂に全貌が明らかになったウルトラの国。
現在の目で見るとややチープな作りである事は否めないが、神秘的な超文明世界の雰囲気は出ていたと思う。
今回は小学校、遊園地、夏の日に泳いだプールとタロウの子供時代が色々と語られている。『セブン』の「零下140度の対決」でウルトラの国には冬が無いと説明されているので、ウルトラの国の夏は長そうだ。

 

第2期ウルトラシリーズの漫画を語る上で外す事が出来ない内山まもるさんの絵をバックに明らかにされるウルトラの国の歴史。しかし、ウルトラの国の太陽が爆発したのが今から3万年前になっていたり、宇宙警備隊の名称がウルトラ警備隊になっていたりと現在の公式設定とは違う部分があるのが気になる。

 

内山まもるさんの絵で子供時代のウルトラマン達の姿が描かれている。ウルトラの父に抱かれているエースが可愛い。
個人的に過去のウルトラの国の建築物等がギリシア神話風だったのに注目したい。

 

『A』で何度か書いた「ウルトラマン達はどうして地球の為に命を懸けて戦ってくれるのか?」。今回はその答えがあると言える。
歴代ウルトラマン達が地球を守る事になった理由を振り返ってみると、初代マンは誤って死なせてしまったハヤタ隊員への償いで、セブンは本来は観測員だったが立ち寄った地球で見た人々の素晴らしさに感動したと、どちらも偶然の積み重ね、運命のようなものだった事が語られている。
新マンからは使命を受けて地球にやって来ているが、宇宙人である彼らがどうして地球を守ると言う使命を受けて来るのか。これは現実における在日米軍のようなものだと考えると腑に落ちる。特にエースは「アメリ第7艦隊に匹敵する」と言う設定を持っていた。ひょっとしたら、敵であるヤプールも当時のアメリカの敵であったソビエトを始めとした共産主義陣営がモデルだったのかもしれない。
タロウが地球を守る事になった理由や経緯は説明されていないが今回の話で「ウルトラマン達にとって地球は第二の故郷である」と語られた。考えてみれば、ウルトラの国は太陽が爆発して緑も完全に失われている。ウルトラの国の超文明でも失われた自然を蘇らせる事は出来なかったのだろう。それに比べて地球は眩しい太陽に美しい緑と自然溢れる世界となっている。地球人から見てウルトラの国が楽園であるように、ウルトラマン達から見て地球は楽園なのかもしれない。その楽園を、第二の故郷を守る為にウルトラマン達は命を懸けて戦うのだ。
もちろん、長い時間を経て築かれた地球人との友情もあると思う。
このウルトラマン達にとって地球は第二の故郷と言う話は次作『レオ』でさらに追求される事となる。

 

ウルトラ・シックス・イン・ワンで合体したウルトラ6兄弟。6人の命を集めてもわずか1分しかいられないウルトラタワー。純粋な気持ちでなければ使う事が出来ないウルトラベルと今回は地球全体の危機だけあって仕掛けも色々と大がかりであった。
ところでムルロアが倒された後、タロウは地球に残ったが、その後は5人でウルトラベルを元に戻したのだろうか? それとも今度は80辺りに手伝ってもらったのだろうか?

 

今回はついついウルトラの国の話に目が行ってしまうが、ムルロアのアトミック・フォッグが光化学スモッグや核の冬を思わせたり、ムルロア襲撃を避ける為に一斉に電気を消す場面が戦時下の灯火管制を思わせたり、上野隊員が地球温暖化について語ったりと色々と隠れたテーマがある。
又、純粋な岩森6兄弟と対になるかのように、被害者の家に押しかける無神経な報道陣、水を売る闇業者、安全より利益を求める工場と浅ましい大人の姿も描かれている。

 

岩森家の長男が事故に遭って病院に運ばれるが医者は電気が無くて手術は出来ないと説明。それを聞いた弟妹達は自分の血を使ってと訴えるが、血があって解決する問題ではないと思う。

 

これまでの話でも未完成の兵器が出る事があったが、今回のAZ1974は発射装置も起爆装置も無いから時限爆弾を付けて怪獣に直接セットすると言うクライマックスに繋がっている。
「我々はこの地球に再び朝を呼び戻さねばなりません!」と決意を述べる上野隊員。ZATウルトラマン達を当てにせず自力で頑張っている。
上野隊員を送り出す時の荒垣副隊長の「ちゃんと命だけは持って逃げるんだぞ」は名言!

 

あわや!?と言う場面でのタロウ登場はやっぱり盛り上がる。
しかし、もう少し優しく掴まないと上野隊員が死んじゃうよ。

 

今回の話は1973年12月に「東宝チャンピオンまつり」として『キングコングの逆襲』のリバイバル上映等と一緒に劇場公開された。

 

今回の話は佐川監督の『T』監督最終作となっている。

 

 

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