帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ガンQの涙」

ガンQの涙」
ウルトラマンギンガS』第11話
2014年11月18日放送(第11話)
脚本 中野貴雄
監督 田口清隆

 

宇宙悪霊アクマニヤ星人ムエルテ(SD)
身長 14cm~50m
体重 150g~1万5千t
エクセラーのエージェントの一人で、日々ストレスにさらされている人間は強烈な破壊衝動を秘めていてモンスライブした時に強大な力を発揮すると言う実験を行っていた。
吉田にチブルスパークとガンQのスパークドールズを渡すが実験は失敗し、ガンQにモンスライブした吉田に逃げられてしまった。
巨大化する事が出来る。アクマニヤ念力でガンQを操るが意思を取り戻した吉田にアクマニヤ念力を弾かれ、最後はギンガストリウムのM87光線とビクトリーのシェパードンセイバーフラッシュで倒された。

 

奇獣ガンQ(SD)
身長 14cm~55m
体重 150g~5万5千t
さえないサラリーマンの吉田がムエルテから渡されたチブルスパークでモンスライブした。
最初は人間大にしか変身できず、そのままムエルテやUPGの追跡から逃げていた。その後、サトルと言う少年と出会い、そのサトルを守る為に巨大化した。
アクマニヤ念力で操られて破壊活動を行うが、サトルの訴えを聞いて意思を取り戻すとギンガやビクトリーと力を合わせてムエルテを倒した。
戦いが終わった後、ギンガコンフォートによって吉田とガンQのスパークドールズとに分離される。
その後、サトルの自転車のカゴにはガンQのスパークドールズが乗せられていた。

 

物語
さえない日々を送るサラリーマンの吉田。
アクマニヤ星人ムエルテにチブルスパークを渡されてガンQに変身した事で吉田の運命が大きく変わる。

 

感想
「懐かしさ」と「目新しさ」が同居した話。
「懐かしい」のは怪獣の話と並行して少年の話が語られているところで、これは昭和ウルトラシリーズを思い出す作り。
「目新しい」のは怪獣が人間の日常に入り込んでいるところ。『Q』の「カネゴンの繭」があるので昔からよくあるパターンの話に思えるが実はウルトラシリーズでは異色の部類に入っていて、このパターンの話をメインで取り上げているのは『ウルトラゾーン』ぐらいだったりする。
普通の街中に「怪獣」と言う異物を放り込むとギャップが面白い効果を生む事から近年では『ウルトラゾーン』や『ウルトラ怪獣散歩』と言ったTV番組が作られた他、『怪獣酒場』と言うお店が実際に開かれるようにもなっている。

 

アクマニヤ星人ムエルテの実験は日々ストレスにさらされている人間は強烈な破壊衝動を秘めていてモンスライブした時に強大な力を発揮すると言うもの。
心に闇を抱えた人間がスパークドールズを手に入れて怪獣にライブしてしまうと言うのは『ギンガ』で使われた展開で、復活に人間のマイナスエネルギーが必要だったルギエルは積極的に用いたが、エクセラーは基本的に人間を無価値な存在と見ているのでこの方法をこれまで用いてこなかった。エクセラーはこれまで人間によって何度も苦渋を味わってきたので今度は逆に人間を利用しようと考えたのか、それともルギエルの肉体を復活させる為には人間のマイナスエネルギーが必要であると考えたのかは不明。
ただし、今回の話で人間にスパークドールズを奪われる恐れがあると判明した為、この後、エクセラーは人間にスパークドールズを使わせる事は無かった。

 

ムエルテはストレスを抱えている吉田なら強大な力を発揮すると見たが、実際は巨大化せずに人間大のまま変身してしまった。
中途半端な奴は中途半端な大きさにしかならないとムエルテは考えるが、後の展開を見るに吉田の決意が足りなかったからと思われる。ここはギンガスパークやビクトリーランサーやビクトリウムの水晶が使用者の精神状態によって効果や能力が左右されるのに通じている。
因みにルギエルは目星を付けた人間の心の闇を増大させてからダークダミースパークを与えていた。この辺り、人間を無視していたエクセラーと人間を深く研究したルギエルの差が出たと言える。

 

実は今回の話は登場怪獣がガンQである必要は無い。
しかし、インパクトのあるガンQのデザインのおかげで「日常の中に非日常の存在である怪獣が入り込んだ」と言う構図が分かりやすくなった。
『ウルトラゾーン』の時も思ったが、おぞましいがどこか可愛いガンQのデザインは普通の街中に放り込んだ時に絶大な効果を生む。平成のウルトラ怪獣の中でもガンQが取り上げられる機会が多い理由はこの辺りにあると思う。やはりデザインは大事だ。

 

そのガンQと「目」繋がりでまさかのアクマニヤ星人が登場!
ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』にも出ていたが、まさか2014年にアクマニヤ星人をTVシリーズで見る事になるとは思わなかった。
アクマニヤ星人の人間態は『レオ』の「レオ兄弟対宇宙悪霊星人」でのポルターガイスト現象を思わせるゴム手袋をしている。全身黒尽くめの服は『レオ』繋がりでブラック指令かな?

 

吉田にガンQのスパークドールズを奪われた格好になったムエルテは「今日はもう遅いのでよく寝て明日から捜索の範囲を広げる」と言うが、エクセラーに「明日だと!? 宇宙人に昼も夜も無い! 今すぐ探しに行け! この愚か者!」と怒鳴られてしまう。
因みにムエルテがガンQを見付けるのはそれから結構経ってからの事である。どうしてそんなに時間がかかってしまったのか……。つくづく部下に恵まれないエクセラーである。

 

列に割り込む人や理不尽な事を言ってくる上司に面と向かって意見を述べる事が出来ない吉田であったが、サトルと出会ってから少しずつ変化していく。大人と言うのは子供と一緒にいると大人らしく立派に振る舞おうとするもの。子供が生まれて親になったら意識が変わると言うやつであろうか。
今回の話は人間は誰かと接する事で変化し成長すると言う事が分かる話。そして、それは吉田だけではなかった。サトルもガンQと出会うまでは自転車に乗れない事で友達と遊ぶ事が無くなっていた。しかし、ガンQと一緒にいた事でサトルは頑張るようになり、最後は自転車に乗ってウルトラマンと怪獣が戦う中、ガンQを助けてほしいと訴えに行ける強さを発揮した。

 

ギンガコンフォートで吉田とガンQのスパークドールズを分離するギンガ。
ヒーローは強化変身すると以前の能力をあまり使わなくなるので、忘れた頃に昔の技を使ってくれると嬉しい。

 

演出に関してはいつもと違ったアングルがいくつか見られた。ちょっと実相寺監督回ぽかったかも。
そう言えば実相寺監督作品も人間の世界と怪獣の世界を混ぜ合わせるような話が多かったので、今回の話と根っこの部分で通じるものがあるのかもしれない。

 

事件が終わり、列に並ぶ吉田の横を自転車に乗ったサトルが通り過ぎる。その自転車のカゴにはガンQのスパークドールズが……。
でも、サトルは吉田がガンQである事を知らない。この変身後の姿に助けられたが変身前の姿を知らなかったので再び会う事が無いと言うのは昔のヒーロー作品らしくて余韻があった。
そう、今回のガンQは間違い無くサトルにとってヒーローだった。

 

欲を言えば、ラストシーンは冒頭と同じく吉田の前におばちゃんが並んでいて、吉田はおばちゃんの為にヤンキーの兄ちゃんに注意してほしかったな。

 

ウルトラシリーズは一番最初の『Q』がオムニバス作品だった為か、バラエティ溢れる色々なエピソードが盛り込まれている作品が多い。
時代が進むにつれて縦軸の強い作品が増えてきたが、今回は久し振りに縦軸に絡まないからこそ出来た話となった。こういう脇の話を作るにはある程度の話数が必要なので、『ギンガS』で1クール13話を超える話数を確保できた意義は大きいと思う。
一時期は新作TVシリーズが完全に途絶えていたウルトラシリーズだが、着実に復活への道を歩んでいる事を実感できた話であった。

 

 

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