帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ストルムの光」

「ストルムの光」
ウルトラマンジード』第23話
2017年12月9日放送(第23話)
脚本 三浦有為子
監督 武居正能

 

ベリアル融合獣ペダニウムゼットン
身長 65m
体重 5万4千t
伏井出ケイがキングジョーとゼットンの怪獣カプセルでフュージョンライズした。
これまでの戦いでウルトラマン達の力を反転させて自分の力としてストルム器官に溜め込んでいて、さらにストルム星から地球に降り注ぐ光を浴びた事でマグニフィセントに勝利する程の強さを得た。

 

ベリアル融合獣ペダニウムゼットン・エボルト
身長 200m
体重 16万5千t
ペダニウムゼットンフュージョンライズした伏井出ケイがさらにエンペラ星人とダークルギエルの怪獣カプセルを取り込んで超巨大化した姿。
ジードを追い詰めるが最後はロイヤルメガマスターのロイヤルエンドで倒された。

 

ウルトラマンベリアル
身長 55m
体重 6万t
以前のジードとの戦いで倒されたと思われていたが……。

 

ウルトラマンベリアル アトロシアス
身長 55m
体重 5万5千t
伏井出ケイのストルム器官を得たベリアルがエンペラ星人とダークルギエルの怪獣カプセルでデモニックフュージョン・アンリーシュした姿。

 

物語
伏井出ケイと決着を付ける為にリクは皆の前から姿を消してしまう。
リクとの決戦を前に伏井出ケイは自身の半生を語る。
リクとケイ、果たして勝つのは?

 

感想
「伏井出ケイが僕を呼んでいる。僕はウルトラマンとしてあいつと決着を付けなければいけない。美しくも悲しい光が降り注ぐ決戦の地。それは……沖縄!」。
え!? 何で沖縄?と聞いて疑問に思った第23話の予告。「映画のロケ地になっているから」と言う事情は分かるのだが、『ジード』の劇中ではこれまで一度も触れられていない場所だったので今回の登場はあまりにも唐突だった。
因みに沖縄は初期ウルトラシリーズの脚本を手掛けた金城哲夫さんの出身地で、今回登場するペダニウムゼットンは金城さんの脚本回で誕生したキングジョーとゼットンが融合した怪獣である。
今回の話で伏井出ケイの過去が語られているが、「豊かな自然と祖先が築き上げた文明がある美しい世界が暴力によって破壊されてしまった」と言うストルム星は沖縄と重なるところがある。

 

リクが一人で伏井出ケイとの決着を付けに行った事を知ったライハさんが滅茶苦茶怖かった。
リクが勝手な行動を取った時に怒る事が出来るのがライハで、ベリアルが勝手な行動を取っても怒る事が無いのが伏井出ケイとも言える。因みに『列伝』の第103話でベリアルが勝手な行動を取ろうとした時に当時の腹心だったスライはベリアルに意見を述べている。

 

リクと伏井出ケイが沖縄に向かった事を知ったゼナは自身も沖縄に向かう事にする。
ゼナに沖縄に連れて行く事は出来ないと告げられたモアはやはり自分は役に立たないと考えるが、ゼナは自分とジードがいない街を守るにはモアが必要だからと理由を説明する。
戦いの子」でゼナはゼロとレイトに「モアに直接伝えた方が良い」と言われていたが、それをちゃんと実行したと言える。

 

故郷を滅ぼされた伏井出ケイは弱かった自分達の種族に失望すると、弱い者は強い者に侵食されるのが宇宙の真理だと考え、圧倒的な強者であるベリアルに全てを捧げる事を決める。
これまでの作品で地球人も怪獣や侵略者と言った強者に侵食されそうなところをウルトラマンと言う圧倒的な強者に救われているが、多くの作品はそこから「ウルトラマンにいつまでも頼っていてはいけない。自分達が強くならなければいけない」と言う展開になっている。それに対して伏井出ケイは「ベリアル様に永遠に従い、ベリアル様の役に立つように生きる」と言う考えに至った。伏井出ケイはこれまでの作品に登場した地球人達のネガの姿と見る事が出来る。

 

沖縄に来たリクに伏井出ケイは自分の過去を語り続ける。「自分がベリアル様に従い、ベリアル様に全てを捧げると決めた理由」を語る事でリクより自分の方がベリアルの傍にいるべきなのだと訴えたかったのかもしれない。しかし、リクは「ベリアルの息子」で「ベリアルと同じウルトラマン」と言うだけでベリアルの傍にいる事が出来てしまう。それに対して伏井出ケイはわざわざ長々と語らないと自分がベリアルの傍にいる理由を証明する事が出来なかった。
伏井出ケイが自分こそがベリアルの傍にいるべきだと言う理由を長々と語れば語るほど、そのような理由を語らなくてもベリアルの傍にいる資格を持つリクに負けている事を証明してしまう。本人もその事に気付いたのか、途中で伏井出ケイは「少し話しすぎたようだ……」と言って会話を切り上げている。

 

リクと伏井出ケイの善悪W変身がカッコイイ!
これは主人公と敵キャラが同じ変身アイテムを使っているからこそ出来る演出。

 

ペダニウムゼットンに押されたジードはつい手に持った石を相手に投げつける!
バド星人やナックル星人と言った敵キャラがしているのは見た事あるが、ヒーローが投石攻撃したのは初めて見た。(『ファイト』は除く)

 

ジードはマグニフィセントに変身して戦うがパワーアップしたペダニウムゼットンに負けてしまう。
ヒーロー作品はバトル要素もあるので話が進んでいくに従って強さのレベルも段々と上がっていくのだが、『ジード』はウルトラシリーズの中でもバトル要素が強い作品なので強さのインフレも大きく、中盤では最強クラスだったマグニフィセントも終盤にロイヤルメガマスターが登場した事で最強クラスから落ちてしまった。
因みに自分は『ドラゴンボール』が好きなので強さのインフレも結構アリだったりする。

 

『オーブ』のジャグラーもクライマックスで巨大化能力を手に入れたが、彼の目的はオーブとの完全な決着なので、互角の戦いになるようオーブと殆ど同じ大きさになっていた。
それに対して今回の伏井出ケイの目的はジードを倒す事なので、完全勝利する為にジードより遥かに大きい姿になった。「僕の名前」で生まれたばかりのリクをすり潰す事も出来たと言っていたが、その時の力関係を取り戻そうとしたのかもしれない。

 

石刈アリエのまさかの登場に驚いた。
石刈アリエの正体に関する描写はこれまで全く無かったので、予備知識無しで見ると彼女がベリアルである事は分からない。それなのに正体を知った上で見返すと色々なところが腑に落ちるようになっているのが凄い。

 

今回はリクと伏井出ケイの決着編である。
リク達も視聴者もジードがペダニウムゼットン・エボルトを倒しているので今回の戦いはリクの勝利と思うであろう。
しかし、伏井出ケイにとって大事なのは「ベリアル様に必要とされる事」である。石刈アリエに憑依していたベリアルの目的は伏井出ケイのストルム器官であり、それをベリアルに奪われた伏井出ケイは残り数日の命となってしまう。ライハが言う通り「利用されていただけ」なのだが、伏井出ケイにとっては「ベリアル様は自分を利用する価値があるとした」と言う事が大事であり、ベリアルが復活の為にジードではなく自分を利用した事で「自分は朝倉リクに勝った」と思えるのであった。
ウルトラシリーズにはたくさんの敵キャラがいるが、その中でも伏井出ケイは主人公や視聴者には理解できない存在であった。ベリアルですら「私の息子に勝てると思ったのか?」とジードがペダニウムゼットン・エボルトを倒した事に注目していると言うのに伏井出ケイ本人はそことは全く違うところに注目して自分への評価を下していた。
「あなたは遂に私を選んでくださったのですね……」。

 

石刈アリエについてだが、伏井出ケイと出会った時点で既にベリアルが憑依していたようだが、リクがジードに変身するところを見て驚いている場面があるので、常にベリアルの意思で動いていたわけではなく、基本的には石刈アリエ自身の意思で動いていて、必要な時だけベリアルの意思で動くようになると言う感じだったのかもしれない。どことなく本作におけるゼロとレイトの関係に近い感じがする。ゼロと違ってベリアルは石刈アリエとコミュニケーションは取っていないと思われるが。

 

憑依していたベリアルが離れた後も石刈アリエの肉体は残っているので、地球人としての彼女は存在していたようだ。
伏井出ケイに関心を寄せている地球人を見付けてベリアルが憑依したのか、ベリアルが憑依して石刈アリエの意思を伏井出ケイ寄りに動かしていたのかまでは分からないが。
ベリアルが離れた後の石刈アリエの容体だが、前回の「奪還」で伏井出ケイに刺されているので、彼女自身はその時に死亡してしまった可能性が高い。

 

「ダメージを負ったウルトラマンが地球人に憑依する」と言うのを本作ではゼロとレイトで既にやっているので、ジードとの戦いでダメージを負ったベリアルが同じ事をすると言うのは十分考えられる事だったのだが、自分はベリアルが地球人に憑依すると言うイメージが無かったので今回の種明かしは衝撃であった。

 

 

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