帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ULTRAMAN』

ULTRAMAN
2019年4月1日配信
監督 神山健治・荒牧伸志

 

『月刊ヒーローズ』で連載が開始された漫画『ULTRAMAN』をアニメ化した作品。

 

ウルトラマン」と言えば多くの人が「巨人」と答えると思われる中であえてウルトラマンを人間大ヒーローとして描いた異色作。
結果として仮面ライダーやアメコミヒーローと言った他作品に似た雰囲気になったので「ウルトラシリーズでやる必要があるのか?」と言う疑問が生じるが、『初代マン』の後日談にしてハヤタ隊員やイデ隊員と言った『初代マン』の登場人物を出す事で「ウルトラシリーズでなければ成立しない話」となっている。

 

『セブン』が『レッドマン』と言う企画で進められていた時に「主人公のレッドマンウルトラマン・ジュニアと解釈しても良し」と言う説明があり、続く『帰マン』も『続ウルトラマン』で企画された時は『初代マン』の数十年後が舞台になっていた。実際はセブンは初代マンのジュニアにはならなかったし『帰マン』もムラマツキャップが登場する事は無かったが、『ULTRAMAN』は「もし『初代マン』の次の話が数十年後が舞台のウルトラマン・ジュニアが主人公の話だったら?」と言うウルトラシリーズのアナザーと言える内容になっている。

 

ULTRAMAN』は原作を清水栄一さんが作画を下口智裕さんが担当して2011年に漫画連載が始まり、2014年からモーションコミックの配信が行われた。2019年にはフル3DCGアニメがNetflixで全世界同時配信され、監督の神山健治さんと荒牧伸志さんが第47回アニー賞監督賞にノミネートされ、2020年4月から7月にかけて地上波で放送される事となった。

 

多くの日本のアニメが漫画に動きと音を付けた形になっているのに対して本作のフル3DCGアニメはモーションキャプチャーが用いられているので実写を二次元化した感じになっていて日本の漫画やアニメに馴染みが無い人も作品に入りやすいかなと感じた。

 

フル3DCGアニメは原作漫画とは絵柄が違っているのでとっつきにくさを感じるが実際に見ていくと意外と違和感が無かった。
フル3DCGアニメでは常に背景がきっちり描かれているので市街地やライブステージと言った場所が舞台になると実際の街で戦っているような仕上がりになっていた。ヒーロー作品は実写作品が多いので実写寄りの映像になるモーションキャプチャーとフル3DCGアニメは実は相性が良いのかもしれない。
一方で日本の漫画やアニメに比べてフル3DCGアニメは表情をあまり崩せないので喜怒哀楽の感情表現が原作に比べて物足りないところがあった。又、日本の漫画やアニメ的なギャグ演出は相性が悪いのかなと感じた。

 

ヒロインのレナの設定が原作とは一部変えられているのは今回の全13話で彼女の物語とテーマをまとめる為だと思われるが、原作では主人公の進次郎にとって厳しい世界の中でウルトラマン大好きアイドルのレナの真っ直ぐさが救いになっていたのに対してフル3DCG版ではレナも進次郎にとって厳しい世界を構成する要素になってしまったのは個人的には残念だったかな。

 

フル3DCG版シーズン1の最終回で驚きの展開があるが、これによって「人間が力一杯戦った時にウルトラマンは力を貸してくれる」と言うウルトラシリーズのテーマがしっかりと守られた形になるのが実に上手かった。

 

フル3DCG版はNetflix配信時の主題歌はOLDCODEXの『Sight Over The Battle』で、地上波放送時のオープニング曲はOLDCODEXの『Core Fade』、エンディング曲はVoid_Chordsの『my ID』となっている。

 

 

配信リスト

第1話「この地球にあってはならない力」
脚本 檜垣亮  絵コンテ 荒牧伸志

第2話「逃れられない運命」
脚本 檜垣亮  絵コンテ 荒牧伸志・佐藤誠

第3話ウルトラマンやるのも悪くないかも」
脚本 檜垣亮  絵コンテ 佐藤誠

第4話「リミッター解除!」
脚本 檜垣亮  絵コンテ 荒牧伸志

第5話「異星人の街」
脚本 土城温美  絵コンテ 岡村天斎

第6話ウルトラマンという呪い」
脚本 土城温美  絵コンテ 椎名政治

第7話「秘められた思い」
脚本 土城温美・檜垣亮  絵コンテ 佐藤誠

第8話「真実の幕開け」
脚本 土城温美  絵コンテ 荒牧伸志

第9話「はじめまして、兄さん」
脚本 砂山蔵澄檜垣亮  絵コンテ 堀元宣

第10話「星団評議会」
脚本 砂山蔵澄  絵コンテ 佐藤誠

第11話そのままの君でいて
脚本 砂山蔵澄  絵コンテ 椎名政治

第12話エースキラー
脚本 砂山蔵澄  絵コンテ 岡村天斎

第13話「本当のウルトラマン
脚本 檜垣亮  絵コンテ 荒牧伸志