帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『怪獣娘 ~ウルトラ怪獣擬人化計画~』

怪獣娘 ~ウルトラ怪獣擬人化計画~』
2016年9月27日~12月13日配信

 

ウルトラシリーズの怪獣を美少女キャラに擬人化する『ウルトラ怪獣擬人化計画』のプロジェクトの一つ。

 

怪獣の魂を宿した女の子達が「怪獣娘」に変身して人々を守ると言うお話。
ウルトラ怪獣の魂を宿す」と言うウルトラシリーズならではの設定の一方で「人間に脅威となる力を得て人外になってしまった人間」と言う仮面ライダーを思わせる設定や「力を得た戦士達がチームを組む」と言うスーパー戦隊を思わせる設定もあって、日本のヒーロー作品の要素を女の子主役のアニメ作品に落とし込んだ作品となっている。

 

主人公は『セブン』に登場したカプセル怪獣のアギラ・ミクラス・ウインダムの3人でアギラの変化と成長を物語の一つの軸にしている。
アギラは『平成セブン』や『メビウス』でミクラスとウインダムが再登場する中でも出番が無かったりと不遇な印象があっただけに本作での主人公抜擢には驚いた。

 

暴走した怪獣娘でザンドリアスが登場している。他の登場人物が『初代マン』や『セブン』に登場したメジャー怪獣の中で『80』に登場した当時はマイナー怪獣であったザンドリアスの抜擢にはこれまた驚いた。
ザンドリアスは『ウルトラ怪獣擬人化計画』で知名度が上がった事で本作の放送の翌年にはクラウドファンディングで新しい着ぐるみを作るプロジェクトが行われ、成功して着ぐるみが作られると、その年に放送された『ジード』の「ココロヨメマス」で37年振りに実写の映像作品に登場する事となった。このザンドリアスのシンデレラストーリーは当時の『ウルトラ怪獣擬人化計画』の盛り上がりを感じる出来事であった。

 

放送時間が短い作品であるがアギラの変化と成長をしっかりと描いているので説明不足等は感じない。ただ、「御微河決壊事件」と言った劇中では詳細が語られなかった設定はいくつかあり、これらは本作の前日談に当たる小説『ウルトラ怪獣擬人化計画 始まりの物語』で取り上げられている。

 

オープニング曲は『上々↑↑GAO!!』、エンディング曲は『KAIJUハート』となっている。歌は主人公3人の声を担当している飯田里穂さんと鈴木愛奈さんと遠藤ゆりかさんによるユニット「かぷせるがーるず」。

 

 

ウルトラ怪獣擬人化計画』は本作以外にも多くのプロジェクトがあった。
2014年5月から2019年5月まで電撃G's magazineで連載された爆天童さんの漫画『ウルトラ怪獣擬人化計画 ギャラクシー☆デイズ』は『怪獣娘』と同じくKADOKAWA主導の企画で様々なデザイナーによる擬人化キャラクターが登場している。
円谷学園の怪獣図鑑制作部を中心にした「カワイイ女の子達による日常系学園漫画」と言う「萌え」と聞いて多くの人が想像するであろう作品になっている。特に前半は縦軸の話が無くてキャラクター重視の内容だったので他の漫画やアニメのプロジェクトに比べて多くの擬人化キャラクターが登場している。
後半はブラックスターズやシャドウと言った『怪獣娘』と同じキャラが登場しているが舞台となる世界が大きく違うので展開も違ったものとなっている。

 

2015年1月から2020年1月までヤングチャンピオンで連載された風上旬さんの漫画『ウルトラ怪獣擬人化計画 feat.POP Comic code』はイラストレーターのPOPさんが擬人化したキャラクターを風上さんが漫画にした作品。
少しネタバレになるが、この作品に登場する擬人化キャラクターは『怪獣娘』と同じく「人間の女の子と怪獣が合わさった存在」となっているが、『怪獣娘』が「人間の女の子の意識がメイン」なのに対して本作は「怪獣の意識がメイン」と言う大きな違いがある。
POP版は『ウルトラ怪獣擬人化計画』で最も早く動き出して一番最後まで続いたプロジェクトだからか、漫画の終盤では「ウルトラ怪獣擬人化計画」と言う言葉そのものの意味を追及した展開になっている。
POPさんの擬人化キャラクターはこの作品の他にもPOPさんがキャラクター原案を務めたアニメ『はいたい七葉』の2013年5月に放送された「はいたい! ウルトラ怪獣!?」に登場した(因みに脚本は古怒田健志さん)り、2014年8月にコミックマーケットでオリジナルのドラマCD『ウルトラ怪女子』が発売されたりした。

 

2017年1月から2018年4月まで月刊少年シリウスで連載された『ウルトラジャーニー ツインテール少女とツインテールな僕』は漫画を閃凡人さん、作をジコウリュウさん、脚本をトウノキョウジさんが担当した作品。
オズの魔法使い』を下敷きにした内容で『ウルトラ怪獣擬人化計画』では珍しい旅モノとなっている。又、タイトルにあるように髪型がツインテールの女の子ヒナと姿が怪獣ツインテールのようになった男の子ナタが主人公になっているが、男性がメインキャラになっているのも『ウルトラ怪獣擬人化計画』では珍しかった。

 

ウルトラ怪獣擬人化計画』は他にもプレックスによるフィギュアやラバーストラップが発売されたり六本木にエンターテイメントレストラン「KAIJU MUSUME 6」がオープンしたりと幅広い展開がされた。

 

「擬人化」の面白いところはやはり「怪獣を人間の女の子にする」事で、たとえばウインダムは目の形からメガネの女の子になって、さらにそこから腐女子キャラや委員長キャラが付けられているが、よく考えたら怪獣のウインダムに腐女子キャラや委員長キャラと言う設定は全く無い。それが女の子になる事で新たなキャラ設定を付け加えられる事となった。このように女の子のキャラを組み合わるで怪獣時代には無かった新しいキャラが生まれるのが『ウルトラ怪獣擬人化計画』の面白さの一つだった。

 

「怪獣を人間の女の子にする」と言うのは「萌え」が定着した21世紀らしい企画ではあるが、ウルトラシリーズは昔から『キッズ』のようなウルトラシリーズのキャラクターをデフォルメした作品が多くあって、これらも「ウルトラマンや怪獣に人間の要素を加えてアレンジした」と言う点では『ウルトラ怪獣擬人化計画』と同じと言える。
家族向けの『キッズ』、シニカルな『グラフィティ』、少年向けバトルの『超闘士激伝』、萌えの『擬人化計画』と時代ごとに方向性を少し変えているだけで、実は『ウルトラ怪獣擬人化計画』は昔からあるウルトラシリーズの流れの一つなのかなと思う。

 

 

配信リスト

第1話「私たち! 怪獣娘!?」
2016年9月27日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる  作画監督 たけはらみのる

第2話「変身? 怪獣娘!?」
2016年10月4日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる  作画監督 たけはらみのる

第3話「変身! 怪獣娘!?」
2016年10月11日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる  作画監督 たけはらみのる

第4話「配れ! 怪獣娘!?」
2016年10月18日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる  作画監督 たけはらみのる

第5話「先輩! 怪獣娘!?」
2016年10月25日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる  作画監督 たけはらみのる

第6話「悩め! 怪獣娘!?」
2016年11月1日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる  作画監督 たけはらみのる

第7話「戦え! 怪獣娘!?」
2016年11月8日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる  作画監督 たけはらみのる

第8話「ボケろ! 怪獣娘!?」
2016年11月15日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる・みやひこ  作画監督 たけはらみのる

第9話「暴走? 怪獣娘!?」
2016年11月22日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる・みやひこ  作画監督 たけはらみのる

第10話「飛べ! 怪獣娘!?」
2016年11月26日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる・みやひこ  作画監督 たけはらみのる

第11話「試験! 怪獣娘!?」
2016年12月6日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる  作画監督 たけはらみのる

第12話「私たちが! 怪獣娘!!」
2016年12月13日配信
脚本・演出 芦名みのる  絵コンテ たけはらみのる・芦名みのる  作画監督 たけはらみのる

 

 


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