「ココロヨメマス」
『ウルトラマンジード』第10話
2017年9月9日放送（第10話）
脚本 森江美咲
監督 冨田卓
ゾベタイ星人ナビア
身長 170cm
体重 43kg
投げキッスで出した光球で相手の心を読む事が出来る。
怪獣の心を読んで事件解決に貢献してきたAIBの協力者。
地球に突然現れたザンドリアスの目的を探る為にAIBに呼ばれ、ザンドリアスが失恋した事を解明した。
相手の心を読めない為に嘘を吐く事が出来る地球人に幻滅するが、モアの姿を見て場合によっては嘘を吐く事もありだと考えるようになる。
だだっ子怪獣ザンドリアス
身長 男の子・48m 女の子・48m
体重 男の子・1万9千t 女の子 1万7千t
地球に突然現れた謎の怪獣。
実は幼馴染みの女の子に嫌われたと思って地球にやって来た。
結晶体になって移動する。口からヨルゴビームを、目からアドレセントビームを放つ。
最後は事情を知ったゼロビヨンドの「坊や、男だろ。可愛いあの子が待ってるぞ」ブーストメガホンで宇宙に送り出され、幼馴染みの女の子と再会して仲直りした。
物語
突然現れた謎の怪獣の目的を探る為にAIBは相手の心を読む事が出来るゾベタイ星人を呼ぶ。
地球に憧れていたゾベタイ星人ナビアであったが嘘を吐く地球人に幻滅してしまう。
感想
それまでザンドリアスは『80』の「大空より愛をこめて」に登場しただけでウルトラ怪獣の中ではマイナーに入るキャラであったが、『ウルトラ怪獣擬人化計画』で擬人化されて漫画版の『ウルトラ怪獣擬人化計画 ギャラクシー☆デイズ』やアニメ版の『怪獣娘 ～ウルトラ怪獣擬人化計画～』に登場した後、クラウドファンディングで着ぐるみが新しく作られ、今回の話で37年振りにTV作品に登場する事となった。
当時の『ウルトラ怪獣擬人化計画』の盛り上がりを感じるキャラクターである。
今回登場するゾベタイ星人ナビアは地球での名前を「サトコ」としているが、『怪獣娘』での擬人化ザンドリアスの名前は「道理サチコ」となっている。
サトコによると宇宙人の間では地球人の名前をあだ名にしたり地球人と付き合うのが流行っているらしい。サラッと流されているが、これまでのウルトラシリーズでは大事だった「地球人と異星人の恋愛」が既にブームになるほどに増えている事が語られた。
今回の話でリクの正体が宇宙人ジードである事がモアに知られるが、宇宙全体で見たら地球人と異星人の恋愛は既に定着していると言う話を入れた事でモアの今後に希望が残るようになっている。
テレパシーはウルトラシリーズでは比較的メジャーな超能力であるが、その扱いは「周りの人間に知られずに会話が出来る」「その場にいない人物と会話が出来る」と言ったものが多かった。
しかし今回は「お互いに心を読めるので嘘を吐くと言う考えが無い」として、テレパシーを単なる超能力で終わらせず、テレパシーによって地球人とは全く異なる考えが生まれたと言う展開が作られた。
今回は全体的にコミカルな雰囲気の話ではあるが「特殊能力によって地球とは異なる考えが生まれた異星人」と言う題材はSF作品ぽかった。
「簡単に諦めるなぁー！ 恋なんてね、辛い事ばっかよ……。でも、好きな人の近くにいると幸せだって思えるの。そんな人と出会えるなんて凄い事だよ。だから、絶対に離れちゃいけない。どんな事があっても！ 本当にその子の事が好きならさっさと会いに行きなさい！ そんなところでジーッとしててもドーにもならないんだからぁ！」。
これはモアのザンドリアスへの激励なのだが、自分自身への叱咤でもあるのだろう。
しかし、ザンドリアスの背中を押す事は出来たモアであったが、自分自身の背中を押す事は中々出来なかった。
『80』の「大空より愛をこめて」に登場したザンドリアスは親子で、『ジード』は「親子」が一つのテーマになっているが、今回登場したザンドリアスは親子ではなかった。
ただ、今回の話でザンドリアスのドラマに関わったのはレイト以外は全員が子供に当たるキャラなので、今回は子供達の話だったと見る事が出来る。（親の位置に当たるゼナは冒頭以外はドラマに殆ど関わらず、伏井出ケイに至っては完全に出番が無い）
ベリアルの息子であるジード・リクにとってAIBは自分を危険視している組織で、AIB所属であるモアにとってベリアルの息子ジードは敵対する恐れがある人物である。
これまでお互いに嘘を吐いてきていたリクとモアは今回の話でお互いの真実を知る事になるのだが、あえてお互いに嘘を吐き続ける事を選ぶ。それはお互いに相手の事を思っての選択であった。全てを明らかにしたら全てが幸せになるとは限らない。嘘を吐く事で保たれる幸せや平和もあるのだ。
だが、最後までバレない嘘はそうそう無い。真実はいつか明らかになる……。
今回の話は森江美咲さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。
