「怪獣シュガロンの復讐 ー音波怪獣シュガロン登場ー」
『帰ってきたウルトラマン』制作第12話
1971年6月18日放送(第12話)
脚本 上原正三
監督 鍛冶昇
特殊技術 高野宏一
音波怪獣シュガロン
身長 60m
体重 2万8千t
白神山に棲む怪獣。静香によると本来は大人しい性格だったがバイパスが開通してから凶暴になってしまったらしい。
口から火を吐く。郷の推測によると蛇と同じく硫黄が苦手らしい。
MATに片目を潰され、ウルトラマンのウルトラ霞切りで止めを刺された。
MATは静香の父親である牛山画伯の化身だったのではと考えるが真相は不明。
物語
白神山に怪獣が現れて暴走族を襲った。
郷は山に一人で住む静香を保護しようとするが、静香は怪獣シュガロンはここを襲わないと言う。
果たして静香と怪獣シュガロンの関係は?
感想
車を襲う怪獣が「恐怖のルート87」で、怪獣が少女の親の化身かもしれないが「まぼろしの雪山」で、怪獣を倒すウルトラマンの決め技が「謎の恐竜基地」と『ウルトラマン』の金城作品のオマージュが見られる話。
MATの特別訓練で特筆すべきは火の輪くぐりかな。『帰ってきたウルトラマン』は火を吐く怪獣が多いので必要な特訓だと思う。
因みに射撃訓練の的はレッドキング、ゴモラ、ヒドラ、ジラースと金城作品に登場した怪獣ばかり、と思っていたら実相寺監督作品のテレスドンがいた。
静香が車に轢かれた為、牛山画伯は車の走らない理想郷を求めた。今回の話は「恐怖のルート87」との関係が語られるが、今回の話で語られる車は車社会と言う現代社会そのものを表している。つまり、静香と牛山画伯は現代社会から決別したのだ。
しかし、バイバスが開通し、それが原因で静香とシュガロンは死んでしまった。もうこの日本に牛山画伯が求めた車の無い現代社会とは無縁な理想郷は無いのだろうか……。
牛山画伯の絵が燃え尽きると共に静香は眠りに就いた。静香と牛山画伯とシュガロンは魂だけの存在となって車の無い現代社会とは無縁な理想郷に逝ったのだろうか……。
静香とシュガロンの関係は深読みできるようにされていて、シュガロンは白神山に昔から棲んでいた怪獣とも牛山画伯の生まれ変わりとも考えられるようになっている。
今回は『帰ってきたウルトラマン』の第1クールには珍しく幻想的な話だった。