「毒ガス怪獣出現 ー毒ガス怪獣モグネズン登場ー」
『帰ってきたウルトラマン』制作第11話
1971年6月11日放送(第11話)
脚本 金城哲夫
監督 鍛冶昇
特殊技術 高野宏一
毒ガス怪獣モグネズン
身長 47m
体重 2万4千t
旧日本軍が開発したイエローガスを食べて自ら吐けるようになった。背中を発光させて攻撃する事も出来る。
ウルトラマンはMATが放った可燃ガスをスペシウム光線で点火し、ウルトラスピンキックで止めを刺した。
名前の由来は「モグラ」と「ネズミ」かな。
物語
毒ガスを吐く怪獣モグネズンが出現。
岸田隊員は自分の父が旧日本軍で毒ガスの製造に関わっていた事を知って苦悩する。
感想
今回の話の主役は岸田隊員。
岸田家は誇り高き軍人一家だが、父は毒ガスを(無理矢理にとは言え)製造していて、兄はそれを苦に自ら命を絶った。
岸田隊員だけ何も知らなかった。いや、確かめるのが怖くて知らない振りをしていたのかもしれない。その一家の闇が岸田隊員一人にのしかかってくる。
「MATは昔の軍隊とは違う」と上野隊員は言っていたが、MATの中枢にいるのは昔の軍人一家である岸田家。表面は変わったようで中身は何も変わっていなかったのだ。
岸田隊員は「一家の恥」である毒ガスを怪獣ごと始末しようと特攻をかけた。父の罪を償おうとしたのだろうが、その父の罪を皆に知らせようとはしなかったので、意識はしていなかったと思うが、岸田隊員は真実を闇に葬り去ろうとしていたと言える。
しかし、岸田隊員の特攻は失敗して「一家の恥」は皆に知られる事となり、最終的に毒ガス怪獣はMATとウルトラマンが協力して倒す事となった。皆に隠して一人で償えるほど戦争の罪は甘くはない。
今回は今まで対立を繰り返していた岸田隊員(国家)と郷(市民)がお互いに力を合わせるようになる重要な話であった。
郷と南隊員が怪獣の鳴き声を聞いたり山崩れを発見する場面はカットしないでほしかった。
佐川参謀改め佐竹参謀登場。どうして名字が変わったのだろうか? 婿養子にでもなったのかな。
今回の話は鍛冶昇さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。
今回の話は金城さんのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。
金城さんは沖縄に帰郷するとラジオや芝居を手掛けたり沖縄海洋博に関わったりしたが1976年に37歳の若さで亡くなられている。
その後、2016年に円谷プロが「円谷プロダクションクリエイティブアワード 金城哲夫賞」を創設した他、2018年には「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に金城哲夫資料館が認定されている。