帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「見よ! 真夜中の大変身」

「見よ! 真夜中の大変身 ー異次元人マザロン 地獄超獣マザリュース登場ー
ウルトラマンA』制作第24話
1972年9月15日放送(第24話)
脚本 平野一夫・真船禎
監督 真船禎
特殊技術 高野宏一

 

マグマ超人マザロン人
身長 45m
体重 3万3千t
奇怪な老人の正体でヤプール復活を画策する。
健太の母親を妖女に変えてマザリュースを生み出そうとした。
両手の指から光線を撃つ。
エースと戦い、メタリウム光線で倒された。
名前の由来は「マザー(母親)」かな。

 

地獄超獣マザリュース
身長 60m
体重 0
マザロン人が母親の母性エネルギーを利用して生み出そうとした超獣。赤ん坊のような泣き声を上げる。
実は虚像で健太の母親が正気に戻ると消滅した。
サボテン地獄の赤い花」のサボテンダーの着ぐるみを改造している。

 

物語
ヤプールは滅んだ。
しかし、世界各地に奇怪な赤い雨が降り地球に異変をもたらした。
ヤプールの配下であるマザロン人の復讐が始まる。

 

感想
ヤプール編一応の完結編。
冒頭でヤプールの破片かもしれないと語られていた赤い石は実はマザリュースの誕生にあまり関わっていない。逆に健太の母親を正気に戻したので本当にただの安産のお守りだったのかもしれない。

 

血のような赤い雨とヤプールの破片によって地球はいつ超獣が誕生してもおかしくない状態になった。
『Q』のアンバランス・ゾーン、『帰マン』の地殻変動による怪獣復活に続く地球三度目の異変と言える。

 

霧の中、蛇を持った妖女に追われる場面がかなり怖い。子供の時に見たら夢に出そうだ。

 

蝋燭が立ち並ぶ場面は荘厳で幻想的。

 

健太が星司を無視して夕子に抱きつく場面に笑った。

 

「大地は母なり。母は創造主なり。輝ける未来を創る者なり。汝は母なり」と語るマザロン人。ギリシア神話の大地の女神ガイアを思い出すが、ここは日本や中国の神話が下敷きになっている感じがする。女媧とかかな?

 

「我は母なり。出でよ我が子よ。愛しき子よ。我らの輝ける未来を創る者よ」と言ってマザリュースを生み出そうとするマザロン人。前回の「逆転! ゾフィ只今参上」では奇怪な老人として人間の未来(子供)をさらったのに、今回は自分達の未来を創る者として子供を生み出そうとしているのが面白い。

 

今回の話は生まれてくる弟に母親を奪われるのではないかと言う健太の恐怖心が下敷きになっている気がする。(母親が愛しく可愛いと言っているマザリュース(弟)が健太には醜い存在に見えた)
そう考えるとマザロン人は健太の父親か又は母の愛人に当たる位置なのかな?

 

今回の合体変身は走りながら。意外とフライングタッチは少ない。

 

霧が立ち込め枯れ木と剥き出しの岩の中で戦うエースとマザロン人。赤くライトアップされた戦闘場面が印象に残る。

 

奇怪な老人の正体はマザロン人だったと思ったが、マザロン人が倒されると別な場所で老人が苦しんでいた。前回の「逆転! ゾフィ只今参上」では老人は世界各地に現れていたのでマザロン人以外の異次元人もいたのかもしれない。

 

ラストシーン。一瞬早く音楽を止めるだけで幸せな場面を不安を掻き立てる場面に変えたのが見事。『A』の中でも特に印象に残るラストシーンとなった。
エンディングナレーションで地球に平和が戻ったと語られるが、ラストシーンが物語るように、この平和はどこか不安を伴うものであった。
そしてヤプールが言い残したように超獣はまだ滅んでいなかった。
危機はまさにこれからであった……。

 

今回の話は真船監督の『A』監督最終作となっている。