「ピラミットは超獣の巣だ! ー古代超獣スフィンクス登場ー」
『ウルトラマンA』制作第25話
1972年9月22日放送(第25話)
脚本 斎藤正夫
監督 筧正典
特殊技術 川北紘一
古代星人オリオン星人
身長 230cm
体重 146kg
1万3千年前に地球を植民地にしていたが、大洪水の為にピラミッドの中で冬眠していた。本星からの指令により再び地球を支配しようとする。
地球人に変身したミチルを工作員として送り込んでTACが開発中のV9を破壊しようとしたが失敗し、エースにピラミッドごと破壊された。
星司の優しさに触れたミチルはオリオン星人を裏切ってスフィンクスの破壊を止めようとするが逆に処刑されてしまい、その後、エースの手によってオリオン座に帰されて星となった。
オリオン星人は地球上ではオリオンガスと言う赤いガスを吸わなければ生きていけない。
名前の由来は「オリオン座」かな。
「逆転! ゾフィ只今参上」のヤプール老人の獣人マスクを使っている。
古代超獣スフィンクス
身長 58m
体重 6万5千t
ピラミッドの中から現れた。
額の蛇から火を噴く。頭部の角から光線を撃つ。
ミチルの吹く笛の音を聞くと大人しくなる。
エースブレードで首を切られ、虹色のタイマーショットで肉体を破壊される。頭部はピラミッドの収容されるがピラミッドごとメタリウム光線で破壊された。
エジプトにある「スフィンクス」がモデルかな。
物語
小学校の校庭からピラミッドが突然現れる。
星司は付近にいたミチルと言う女性を保護するが夕子はミチルを怪しむ。
感想
どうしてサブタイトルが「ピラミッド」ではなくて「ピラミット」になっているのだろうか? 気になる。
星司がB型である事が判明する。因みにB型の男性の性格は「自主的で決断すると即実行」「女性にも男性にも同じように接する」「意外と頑固で孤立する事がある」「マイペース」となっている。
オリオンガスが校庭に充満する場面はまんま毒ガス。現在ではとても出来ない。
ミチルやヒッピーがオリオンガスを吸う場面はまんま薬物乱用。やはり現在では出来ない。
TACやV7の事を新聞で知っていたヒッピー。ちゃんと情報公開していたんだ。
今回の夕子がいつになく感情的だったのはやはり星司絡みだったからかな?
夕子は最初からミチルの事を怪しんでいた。ピラミッドの中から出てきたところを見たのもあるが月星人の能力で見破ったと言う可能性もあるかな。
「怪談 ほたるヶ原の鬼女」に登場したタックV7の後継機V9。特別チームの装備の後継機が登場するのは珍しい。V8もあったのかな? 今回は結局使われなかったがその後どうなったのだろう?
ミチルはワガママ。なんたって「私を許すと言って!」だもんな……。星司がどうしてミチルをあそこまで庇ったのかが分からない。印象に残った人物ではあるが……。
スフィンクスを大人しくした笛は伏線が欲しかった。
『A』後半の楽しみ(?)は超獣の出自を考える事。
今回登場したスフィンクスはヤプールではなくてオリオン星人の配下だった。ひょっとしたら、オリオン星人はかつてはヤプールの配下で、その時に超獣スフィンクスを与えられていたのかもしれない。
アトランティスを始めとした当時の地球人を滅ぼしたヤプールは地球の支配をオリオン星人に任せた。その後、大洪水の為にオリオン星人は冬眠に入るが、かつてオリオン星人に支配された記憶はエジプトのピラミッドに残されたと言うのはどうだろうか?
今回、オリオン星人は冬眠から目覚めたわけだが、どうして今だったのだろうか?
オリオン星人は「待ちに待った時が来た」と言っていたが、ひょっとしたらこれはヤプールの滅亡を指しているのではないだろうか? ヤプールの支配を離れて今度は自分達が地球を、いや宇宙を支配しようとしたのかもしれない。そう考えるとアンチラ星人あたりも実はヤプールに嫌々従っていた可能性がある。
かつては地球を支配していたが長い眠りに就き、その間に人類が栄えたと言う展開は結構多い。そう言った展開の作品を全て繋ぎ合わせると地球の古代史はとんでもない事になっていそう。
今回の話は斎藤さんの『A』脚本最終作となっている。