帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「神秘! 怪獣ウーの復活」

冬の怪奇シリーズ 神秘! 怪獣ウーの復活 ー氷超獣アイスロン 怪獣ウー登場ー
ウルトラマンA』制作第42話
1973年1月19日放送(第42話)
脚本 田口成光
監督 上野英隆
特殊技術 高野宏一

 

氷超獣アイスロン
身長 60m
体重 3万4千t
飯田峠の谷に入った人間を襲う。地元では飯田峠の神様と同一視されていた。
口から冷気を吐く。
ウーを倒すがエースのメタリウム光線に敗れるとブルーレーザーで引き起こされた雪崩で埋められた。
名前の由来は「アイス(氷)」かな。

 

伝説怪獣ウー(2代目)
身長 57m
体重 0
飯田峠で襲われた良平が娘の小雪を守る為に怪獣化した。
特に武器は無く、アイスロンに倒されてしまった。
エースがアイスロンを倒した後、飯田峠の吹雪の中に消えていった。
「私達はウーに助けられたんだ。お父さんに助けられたんだよ……」。

 

物語
東京から村に帰ろうと飯田峠を通る良平と小雪の親子だったが、そこに超獣アイスロンが現れた。
良平は小雪を守る為に怪獣ウーとなる。

 

感想
この辺りから次作『T』の姿が見えてきた。
超獣時代の終焉と怪獣時代の復活を告げるべく怪獣ウーが再登場するが、ここでレッドキングゴモラと言った正当派怪獣ではなくてウーと言う妖怪系の怪獣が選ばれた事が『T』の路線を示していると言える。

 

今回登場したウーは「怪獣対超獣対宇宙人」「太陽の命 エースの命」のメトロン星人Jrやムルチと違って「飯田峠(山)と言う舞台」、「ゆきの名前を継ぐ小雪と言う女の子」、「子を想う親が怪獣になる」等、前にウーが登場した『初代マン』の「まぼろしの雪山」の設定をちゃんと踏まえているのが嬉しい。

 

アイスロンについて。考えられる設定は「ヤプールが大昔に地球を襲った時の超獣で、その後ずっと飯田峠に棲んでいて伝説となっていた」、「ヤプールが滅亡して野良となった超獣で、飯田峠の伝説を隠れ蓑にしていた」、「飯田峠の神様が神聖な土地に無断で入った人間に怒り、それがヤプールの破片と共鳴した」と言ったところかな。

 

ヤプールが滅亡してから怪獣と超獣の線引きが難しくなったが、自分は超獣だとヤプールと何らかの関係があって、怪獣だとヤプールとの関係が無いとしている。
付け加えるのなら、人間の心が引き金となって誕生するのは超獣も怪獣も同じだが、超獣は怨念等の「負の力」が、今回のウーは子を想う親の心と言う「正の力」が関係していると言った違いがある。

 

良平と小雪がアイスロンに襲われる場面は全体が赤くショッキングな映像になっていた。
小雪は雪の中で一晩眠っていても生きていたが、良平の魂が守っていたのかな?

 

父親が死んだかもしれないのに他の『A』の子供達のようにひねくれもせずに健気に待っていた小雪。そんな小雪の歌を聴いて思わず部屋を出てしまう香代子。自分の境遇と重ね合わせてしまったのかな?

 

超獣の犠牲になった良平と小雪を見て「一時も早く超獣を全滅させるよう頑張らなくちゃ!」と決意を新たにするTAC。超獣、そしてヤプールとの決着の時は近い……。

 

今回の話は田口さんの『A』脚本最終作となっている。
又、今回の話と次回の「怪談 雪男の叫び!」は『緊急指令10-4・10-10』で監督をしていた上野英隆さんが担当している。