帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「史上最強のレイオニクス」

「史上最強のレイオニクス」
『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』第6話
2009年1月24日放送(第6話)
脚本 小林雄次
監督 梶研吾

 

原始怪鳥リトラ(S)
身長 15m
体重 1万t
レイを乗せて飛び立ち、スペースペンドラゴンからペダン星人のUFOを引き離した。
アタック:1100 ディフェンス:800 スピード:1700 必殺技:ファイヤーストライク

 

宇宙怪獣エレキング
身長 20cm~53m
体重 500g~1万5千t
ゴモラに代わってタイラントと戦うが圧倒的な戦力差の前に敗北。最後はタイラントの攻撃からスペースペンドラゴンを庇って消滅してしまった。
アタック:1300 ディフェンス:900 スピード:700 必殺技:放電光線

 

暴君怪獣タイラント
身長 62m
体重 5万7千t
ウルトラ兄弟に倒された怪獣達の優れた部分が集まって誕生した。猛烈なパワーと強力な武器が自慢。
アタック:1400 ディフェンス:600 スピード:700 必殺技:火炎放射

 

物語
レイオニクスバトルで勝利を収めていく男グランデ。
グランデが使うタイラントの圧倒的な強さを前にレイ最大の危機が訪れる。

 

感想
キール星人グランデ登場。
ペダン星人に続いてキール星人も今まで不明だった姿が明らかになった。
キール星人は『Q』の「宇宙指令M774」でウルトラシリーズで初めて怪獣を使役していていて「ウルトラシリーズにおける怪獣使い第1号」とも言える存在であった。

 

「地球はどんな星なんだ」と地球の土を踏んだ事が無いレイは地球への興味を示す。
それを聞いたZAPクルーは「怪獣事件を乗り越えた平和な星」と説明する。
因みに映像ではレイが地球の土を踏みしめる場面は描かれていないが、『大怪獣バトルNEO』と『ウルトラ銀河伝説』の間に地球に行ったらしい。

 

ペダン星人の仲間と合流したダイルはUFOに乗って仲間と共にスペースペンドラゴンを攻撃。レイの引き渡しを要求するが、結局は一人で出てきたレイと戦って負けている。
人間大に縮んだアイスラッガーを使ってのレイのアクションは意外性があって面白かった。
レイが醜悪なバーストモードに変化して仲間に襲いかかったのを見ていたダイルはレイが自分に勝利しながらも止めを刺さない事を不審に思う。
レイは仲間の存在が自分を元に戻してくれたと述べ、「彼らと共に生きて地球の土を踏みたい。それが俺の願いだ」と告げる。

 

そこに現れたグランデはレイのバトルナイザーが旧型なのに落胆するが、それでも戦いを挑んでくる。
「何故戦うのか?」と言うレイの問いに「お互い怪獣バトルに飢えたレイオニクスだから」とグランデは答え、その答えにレイは「俺は違う! お前のような奴を絶対に許さない」と怒りを顕わにする。
バトルロワイヤル物ではそれぞれが異なる目的を持って戦う事があるが『大怪獣バトルNEO』では「レイブラッド星人の後継者となって全宇宙を支配する」と言う明確で分かり易い一つの目的がある。
「支配者になりたい」と言う欲望は人間皆に少なからずあるので、その点に関してはそれほど拒否反応を示す事は無いと思う。ここでレイが怒ったのは「怪獣バトルに飢えたレイオニクス」と言う部分であろう。今まで自分の中にある「怪獣バトルに飢えたレイオニクス」によって自身も仲間も苦しむ事になっていたので、そんな自分自身に対する嫌悪がそのままグランデに向けられたと思われる。
ところでバトルロワイヤル物では戦いそのものを止めようとする主人公が出てくるが、結局はその主人公も戦いと言うルールに従わなければ話を進める事が出来ず、今回のレイも結局はレイオニクスバトルで決着を付けるしか方法が無かった。

 

強烈なインパクトを残すキャラクターのグランデ。
こういうふざけた言動を取るキャラクターはウルトラシリーズでは珍しい。中の人ネタで考えたら完全に『仮面ライダー555』の海堂直也であった。どこまで脚本や演出の指定で、どこから役者さんのアドリブだったのか気になる。

 

『T』の強豪怪獣タイラントが登場。
多彩な能力を発揮してさすがの合体怪獣っぷりであった。
そう言えば、「様々なパーツを組み合わせた怪獣」と言うのは昨今のモンスターゲームに合ったキャラクターと言える。
前シリーズの最終決戦からここまでゴモラの圧勝で終わる事が多かったのでここでのレイの完全敗北は衝撃だった。

 

クマノによってスペースペンドラゴンの修理が完了。
ZAPは基地の場面が無く、上司も殆ど登場せず、認証カード等でボスの決定権が強い等、他の特別チームに比べて現場の力を強く感じる。
まぁ、現場しか登場していないのでそう見えるのかもしれないが。

 

レイの危機にスペースペンドラゴンが援護に来る。
他のウルトラシリーズでは特別チームが苦戦しているところにウルトラマンが助けに来るのだが、『大怪獣バトル』ではレイの怪獣が苦戦しているところにZAPが助けに来る構図が多い。
これは主人公をウルトラマンから怪獣にズラした事でデウス・エクス・マキナの法則から逃れる事が出来たからと思われる。

 

ウルトラマンの場合だと1話の中で何度も変身する事は難しかったが、『大怪獣バトル』ではレイが1話の中で何度も怪獣を出す事がある。
ビル街と言った特撮ミニチュアを主体にせず、光線技より肉弾戦を優先する等した事で他のウルトラシリーズより戦闘シーンを増やす事が出来たのかもしれない。
設定や物語もだが、この辺りも平成仮面ライダーシリーズに近く、等身大ヒーロー作品を怪獣モノに置き換えたのが『大怪獣バトル』と言えるのかもしれない。

 

「皆と……帰るんだ……。地球へ」と言うレイの言葉に「帰る? ……お前に何かを期待した俺がバカだったよ」と冷たく告げるグランデ。
そして遂にエレキングが消滅し、レイも力尽きて倒れてしまうのだった。