帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』
2009年12月12日公開
脚本 岡部淳也・樫原辰郎小林雄次
監督 坂本浩一

 

ウルトラマンゼロ
ゼロ時 身長 49m 体重 3万5千t
テクターギア・ゼロ時 身長 49m 体重 4万5千t
セブンの息子でゼロスラッガー、エメリウムスラッシュ、ワイドゼロショットと父親のセブンに通じる技を持つ。セブンが自分の父親である事を知らずに育ってきたがK76星でキングから真実を告げられた。
強さに憧れるあまりプラズマスパークのエネルギーコアに手を出して宇宙警備法違反により光の国を追放される。その後、レオに預けられてK76星でテクターギアを装着しての修業を受けていたが、セブンがベリアルとの戦いで倒れた事を知って戦線に復帰する。プラズマスパークのエネルギーコアの光に認められ、死闘の末にベリアルを倒して光の国の窮地を救った。

 

ウルトラ兄弟
ゾフィー
身長 45m
体重 4万5千t
ウルトラ兄弟の長男で宇宙警備隊の隊長。
皆にマイナスエネルギーの調査を命じていた。
光の国を再び襲撃したベリアルを迎え撃つが敗北し、プラズマスパークのエネルギーコアを奪われた事でウルトラの星を襲った大寒波で凍結させられてしまった。

 

ウルトラマン
身長 40m
体重 3万5千t
ウルトラ兄弟の次男。
光の国を再び襲撃したベリアルを迎え撃つが敗北する。しかし、ウルトラバリヤーを展開してウルトラの星を襲った大寒波から逃れた。
その後はエネルギー消費を抑える為にハヤタの姿で活動を続け、凍結された光の国を襲撃した宇宙人を倒して銃を奪い、続くシャプレー星人との戦いではレイとミライを援護した。
タロウが守った最後のエネルギーを使って再び初代マンに変身すると、ベリアルが陣取る怪獣墓場へと乗り込んだ。

 

ウルトラセブン
身長 40m
体重 3万5千t
ウルトラ兄弟の三男。かつてレオを鍛え上げた実績からタロウの前の宇宙警備隊筆頭教官を務めていた。
光の国を再び襲撃したベリアルを迎え撃つが敗北する。しかし、ウルトラバリヤーを展開してウルトラの星を襲った大寒波から逃れた。
その後はエネルギー消費を抑える為にダンの姿で活動を続け、タロウが守った最後のエネルギーを使って再びセブンに変身すると、ベリアルが陣取る怪獣墓場へと乗り込んだ。
レイとZAPクルーを守る為にベリアルの攻撃を受けて倒れるが、息子であるゼロが戦線復帰した事によってベリアルの野望は潰えた。

 

ウルトラマンジャック
身長 40m
体重 3万5千t
ウルトラ兄弟の四男。
光の国を再び襲撃したベリアルを迎え撃つが敗北し、ウルトラの星を襲った大寒波で凍結させられてしまった。

 

ウルトラマンエース
身長 40m
体重 4万5千t
ウルトラ兄弟の五男。
光の国を再び襲撃したベリアルを迎え撃つが敗北し、ウルトラの星を襲った大寒波で凍結させられてしまった。

 

ウルトラマンタロウ
身長 53m
体重 5万5千t
ウルトラ兄弟の六男。現在の宇宙警備隊筆頭教官でかつてメビウスを育てた。
宇宙牢獄の封印から解放されたベリアルを迎え撃つが敗北する。
プラズマスパークのエネルギーコアが奪われてウルトラの星が大寒波で凍結させられる中、ウルトラダイナマイトの原理を使って最後のエネルギーを守った。

 

ウルトラマンレオ
身長 52m
体重 4万8千t
ウルトラ兄弟の七男。
セブンの弟子で現在はK76星でセブンの息子であるゼロを鍛え上げていた。
弟のアストラと共に戦線に復帰し、ゼロを援護してベリアルと戦った。

 

アストラ
身長 50m
体重 4万9千t
ウルトラ兄弟の八男。
現在はK76星でゼロを鍛えるレオのサポートをしていた。
兄のレオと共に戦線に復帰し、ゼロを援護してベリアルと戦った。

 

ウルトラマン80
身長 50m
体重 4万4千t
ウルトラ兄弟の九男。
光の国を再び襲撃したベリアルを迎え撃つが敗北し、ウルトラの星を襲った大寒波で凍結させられてしまった。

 

ウルトラマンメビウス
メビウス時 身長 49m 体重 3万5千t
メビウスバーニングブレイブ時 身長 49m 体重 3万6千t
ウルトラ兄弟の十男。
マイナスエネルギーの調査の過程で惑星アルファでベムラーと戦った。
光の国を再び襲撃したベリアルを迎え撃つがベリアルウィップで宇宙空間へと放り投げられてしまった。しかし、結果的にはウルトラの星を襲った大寒波から逃れる事となった。
初代マンとセブンのメッセージを受けて、レイオニクスであるレイを仲間にする。
エネルギー消費を抑える為にミライの姿で活動を続ける。光の国を襲撃したシャプレー星人との戦いでメビウスブレスを破壊されて変身不能に陥るが、タロウが守った最後のエネルギーを使って再びメビウスに変身した。
怪獣墓場に乗り込むと、皆と共にゼロを援護してベリアルと戦った。

 

ウルトラマンヒカリ
身長 50m
体重 3万5千t
ウルトラ兄弟の十一男。
光の国を再び襲撃したベリアルを迎え撃つが敗北し、ウルトラの星を襲った大寒波で凍結させられてしまった。

 

ユリアン
身長 47m
体重 3万6千t
ウルトラの星の王女。
光の国を再び襲撃したベリアルを迎え撃つが敗北。戦いで傷付いたウルトラマン達を介抱していたところをウルトラの星を襲った大寒波で凍結させられてしまった。

 

ウルトラの父
身長 45m
体重 5万t
宇宙警備隊の大隊長でタロウの実の父親。
ウルトラ大戦争(ウルティメイトウォーズ)で真の力に目覚めてエンペラ星人を倒し、その後、宇宙警備隊を結成した。しかし、続くベリアルの乱では仲間だったベリアル相手に真の力を使う決断が出来ず敗北を喫した。
再び光の国を襲撃したベリアルと互角以上の戦いを繰り広げるが、エンペラ星人との戦いで負った古傷に攻撃を受けて敗れ、希望が残されている事を信じながら凍結していった。
かつては「ウルトラマンケン」と名乗っていた。

 

ウルトラの母
身長 40m
体重 3万2千t
銀十字軍の隊長でタロウの実の母親。
ウルトラ大戦争で傷を負ったウルトラの父を介抱し、後に結婚に至った。
再び光の国を襲撃したベリアルに挑むが敗れ、希望が残されている事を信じながらウルトラの父と共に凍結していった。
かつては「ウルトラウーマンマリー」と名乗っていた。

 

ウルトラマンキング
身長 58m
体重 5万6千t
ウルトラ族にとっても伝説の存在。
かつてベリアルを宇宙牢獄に封印し、ギガバトルナイザーを怪獣墓場にある炎の谷に封印した。
K76星でゼロの成長を見守り、時が来ると真実を打ち明けてゼロを戦線に復帰させた。
ベリアルとの戦いが終わった後、光の国でウルトラマン達に向けて演説を行う。

 

ウルトラマンダイナ
身長 55m
体重 4万5千t
グランスフィアとの戦いの後、様々な次元を旅して人々を救っていた。
ゼットン星人とナースに襲われるスペースペンドラゴンに現れてZAPクルーを助けると、そのまま怪獣墓場に向かってベリアルと戦う。
ベリアルとの戦いが終わった後はスペースペンドラゴンを元の航路に戻して自身も旅を再開した。

 

その他のウルトラマン
ウルトラコロセウムでは『ウルころ』のボーイが女の子のウルトラマンとトレーニングを行っていた。
又、ベリアルが光の国を再び襲撃した際には『USA』のスコットとチャックとべス、『G』のグレート、『パワード』のパワード、『ネオス』のネオスとセブン21、『マックス』のマックスとゼノンが迎え撃ったが敗れ去っている。
他にもウルトラ兄弟以外の宇宙警備隊員や戦士ではない一般市民達も多く登場した。

 

カプセル怪獣ミクラス
身長 ミクロ~40m
体重 0~2万t
セブンが使役する怪獣でベムスターを撃破した。
一時期、レイに貸し出されていた事がある。

 

カプセル怪獣ウインダム
身長 ミクロ~40m
体重 0~2万3千t
セブンが使役する怪獣でレーザーショットでサラマンドラを撃破した。

 

カプセル怪獣アギラ
身長 ミクロ~45m
体重 0~1万2千t
セブンが使役する怪獣でドラコを撃破した。

 

原始怪鳥リトラ(S)
身長 15m
体重 1万t
レイを乗せて怪獣墓場に向かい、その後もベリアルと戦った。

 

友好珍獣ピグモン
身長 1m
体重 10kg
K76星にいた怪獣で、ゼロを慕っている。

 

ウルトラマンベリアル
身長 55m
体重 6万t
かつてプラズマスパークのエネルギーコアを手に入れようとして光の国を追放されたウルトラマン
その後、レイブラッド星人に同化されて最強最悪のウルトラマンへと変貌を遂げ、レイブラッド星人から受け継いだギガバトルナイザーで怪獣軍団を率いて「ベリアルの乱」を起こしたが、キングによって宇宙牢獄に幽閉された。
ギガバトルナイザーを手に入れたザラブ星人によって封印を解かれると再び光の国を襲撃し、今度はエネルギーコアを手中に収めて光の国を壊滅させた。
怪獣墓場に眠る怪獣達を操って再び怪獣軍団を結成したが、駆け付けたゼロの前に敗れる。その後、怪獣墓場に漂う怪獣達の魂を強制的に合体させてベリュドラへと変貌するが再びゼロ達の前に敗れ去る。しかし……。
名前の由来は「悪魔ベリアル」かな。

 

究極生命体レイブラッド星人
身長 不明
体重 不明
かつて光の国を追放されたベリアルの復讐心に付け込み、同化して悪のウルトラマンへと変貌させた。
ギガバトルナイザーをベリアルに渡し、自分に代わって怪獣軍団を率いて光の国を壊滅させるように仕向けた。
ベリアルが復活する直前に惑星ハマーの戦いでレイ達によって倒されている。

 

宇宙怪獣ベムラー
身長 50m
体重 2万5千t
青い球体に変化して宇宙を高速で移動する。口から青い熱光線を吐く。
惑星アルファでメビウスと戦い、メビュームシュートで倒された。

 

凶悪宇宙人ザラブ星人
身長 40m
体重 2万t
ゴーストリバース事件のどさくさに紛れてギガバトルナイザーを手に入れ、宇宙牢獄に幽閉されていたベリアルを復活させた。
ベリアルと共に宇宙を支配しようとしたが、ギガバトルナイザーを取り戻したベリアルの最初の犠牲者になってしまった。

 

にせウルトラマン
身長 40m
体重 2万t
ザラブ星人が変身した姿で、宇宙警備隊員が監視をしている宇宙牢獄に近付き、監視していた隊員達をギガバトルナイザーで倒してしまった。

 

変身怪獣ザラガス
身長 40m
体重 2万t
怪獣の存在が確認されていなかった惑星デントに現れ、レイのゴモラと戦った。
攻撃を受ける度にパワーアップを繰り返すと言う体質を持っていたが、スペースペンドラゴンとゴモラの連続攻撃でパワーアップする前に倒された。

 

彗星怪獣ドラコ
身長 45m
体重 2万t
凍結させられた光の国でレイやミライを襲うが、アギラに倒された。

 

宇宙大怪獣ベムスター
身長 46m
体重 6万t
凍結させられた光の国でレイやミライを襲うが、ミクラスに倒された。

 

再生怪獣サラマンドラ
身長 60m
体重 4万t
凍結させられた光の国でレイやミライを襲うが、ウインダムのレーザーショットで喉にある再生器官を破壊されて倒された。

 

用心棒怪獣ブラックキング
身長 65m
体重 6万t
シャプレー星人に使役される怪獣で、ウルトラマンに変身できないハヤタ達を襲うが、レイが操るゴモラに倒された。

 

暗黒星人シャプレー星人(RB)
身長 170cm
体重 60kg
ベリアルから使命を受けて光の国で生き残りのウルトラマンを襲った。
バトルナイザーを使ってブラックキングを操りながら自身も高い戦闘力でハヤタ達と互角の戦いを繰り広げたが、最後はハヤタ、ダン、ミライの連携攻撃の前に敗れ去った。

 

宇宙竜ナース
全長 120m
体重 15万t
レイの仲間であるスペースペンドラゴンを襲ったが、ダイナのハンドスライサーで無数に切断されて爆発した。

 

変身怪人ゼットン星人
身長 2m
体重 60kg
ベリアルから使命を受けてレイの仲間であるスペースペンドラゴンを襲ったが、突如現れたアスカに倒された。

 

百体怪獣ベリュドラ
身長 4km
体重 測定不能
一度はゼロに敗れたベリアルが怪獣墓場に眠る怪獣達の魂を強制的に合体させて誕生した。
レイがギガバトルナイザーに干渉した事で合体させられた怪獣がベリアルに対して反抗し、その隙にゼロのプラズマスパークスラッシュで頭部のベリアルを切り裂かれて倒された。

 

ベリアルの怪獣軍団
怪獣墓場に漂う魂がベリアルが手にしたギガバトルナイザーとプラズマスパークのエネルギーコアの力で復活した。
ウルトラマン達を襲うが返り討ちに遭い、最後はゼロによって一気に殲滅させられた。
最後はベリアルによって強制的に合体され、ベリュドラとなってウルトラマン達を襲うが、レイがギガバトルナイザーに干渉した事で意識が強く目覚め、ベリアルに反抗してベリュドラ攻略のきっかけを作った。

 

物語
長い光の国の歴史で唯一の罪人であるベリアルが宇宙牢獄の幽閉から解き放たれた。
プラズマスパークのエネルギーコアを奪って光の国を壊滅させたベリアルはギガバトルナイザーを使って怪獣墓場の怪獣達を支配下に収める。
宇宙の危機にメビウスが、レイが、アスカが、そしてあの男が立ち上がる!

 

感想
円谷プロのTYOグループ参画後に初めて製作された映画で、配給元を従来の松竹からワーナー・ブラザーズ映画に変更し、アメリカでパワーレンジャーシリーズを担当していた坂本監督を招聘する等、世界展開を見越した作品となった。他にもTVのバラエティ番組とコラボ企画を行ったり、ニコニコ動画で映画宣伝動画を配信する等、これまでに無い展開が行われた。
しかし、この後にTYOは保有する円谷プロの全株式をパチンコ開発販売会社のフィールズに譲渡して円谷プロはフィールズの連結子会社となり、本作で指揮を執った岡部プロデューサーも円谷プロから離れる等、また方向性が少し変わる事となった。

 

坂本監督は後に仮面ライダーシリーズとスーパー戦隊シリーズも担当して、日本を代表する三大ヒーロー作品を制覇した数少ない人物の一人となった。
因みに坂本監督の奥さんは数多くのウルトラ作品でスーツアクトレスを務めた梛野素子さんである。

 

『ゴーストリバース』に続いてスーツのウルトラマンや怪獣達がCGの背景を舞台にワイヤーアクションを繰り広げる演出になっていて、冒頭のメビウスベムラーの戦いはアクロバティックかつスピーディーなものに仕上がっていて、ウルトラシリーズの新時代を感じるものとなっている。
ベムラーは『初代マン』において初代マン最初の相手となったのだが意外にも今回が「ウルトラ作戦第一号」以来43年振りの再登場となっている。同じベムラーと言う事で『初代マン』から本作までの技術の変化を感じる事が出来る戦いとなっている。
又、かつてはルーキーだったメビウスベムラーを難無く倒せるまでに成長しているのが嬉しい。

 

オープニングのウルトラマン達の紹介場面がカッコ良い!
本作はゼロとベリアルが初めて登場した作品として有名だが、オープニングの紹介を見て分かる通り大怪獣バトルシリーズの映画である。
ナレーションは矢島正明さんでウルトラシリーズでは過去に『ZOFFY』のナレーションを務めているが、日産自動車のCMナレーションを多く手掛けているようなので、本作で明かされるウルトラの父と母の本名が日産のスカイラインを元ネタにしている繋がりもあるのかもしれない。

 

CGを使って表現された光の国は「光」と「超科学」と言うウルトラマンが持つ二つのイメージを上手く融合させた感じに仕上がっている。
様々な施設が登場するが、その中でも目を引くのがウルトラコロセウム。内山さんの漫画のようにウルトラマン達がたくさんいて宇宙警備隊と言う組織の巨大さを感じられるようになっている。それにしても、まさかボーイが出て来るとは思わなかった。驚いた。
一般の宇宙警備隊員はウルトラ兄弟に比べて戦闘力は格段に劣るようで、そこをウルトラブレスレット等の武器で補っている感じ。今回は多くの宇宙警備隊員がヤラレ役になっていて、宇宙警備隊の組織の大きさを示せた半面、ウルトラマン達が持っていた神秘性や特別感と言ったものが削がれたところもある。
因みに一般の宇宙警備隊員や市民のデザインは放送後35周年を迎えた『ジャンボーグA』のエメラルド星人をモデルにしている。

 

マイナスエネルギーの影響で宇宙の各地で怪獣達が凶暴さを増していて、宇宙警備隊の今の戦力でも太刀打ちできなくなるかもとして「あいつ」を呼び戻すかと言う話が出るが、セブンはまだ早いと答える。
マイナスエネルギーの調査が行われたが劇中では明確な原因は明かされなかった。プラズマスパークのエネルギーコアの異常とウルトラの父の反応からベリアルが何らかの影響を及ぼしていたと考えられるが……。

 

『ゴーストリバース』の「復活の皇帝」で手に入れたギガバトルナイザーを持ってにせウルトラマンが宇宙牢獄に姿を現す。さすがに初代マンの事を知っている宇宙警備隊員にはバレてしまったが、ギガバトルナイザーの攻撃力で力押しして宇宙牢獄をこじ開ける事に成功する。正体を現したザラブ星人は解放したベリアルと一緒に宇宙を支配しようとするが、そのベリアルによって倒されてしまう。……なんだか『メビウス&ウルトラ兄弟』でのナックル星人を思い出す。
ここでウルトラシリーズ最初の悪のウルトラマンであったにせウルトラマンザラブ星人)がウルトラシリーズ最新の悪のウルトラマンであるベリアルの手にかかって倒されると言うのが意味深。所詮は変身による偽者であるにせウルトラマンに対し、ベリアルは正真正銘の悪のウルトラマンで、悪役の世代交代と言うのを感じる場面。(実際の年齢ではベリアルの方がザラブ星人より年上の可能性があるが)
尚、初代からザラブ星人の声を担当していた青野武さんは本作が最後の出演となった。

 

解放されたベリアルの前にタロウ率いる宇宙警備隊が到着。
しかし、一般の宇宙警備隊員では手も足も出ず、光線技を放っても片手で受け止められる始末。
さすがにタロウは一人でベリアルと戦えたが力の差は歴然で必殺のストリウム光線も簡単に避けられてしまった。そこでタロウはベリアルに突撃し、他のウルトラマン達がいる光の国へとベリアルを落とすのだった。
『T』や『ウルトラマン物語』では主人公として最後の切り札的存在だったタロウだが、『メビウス』や本作や後の『ギンガ』や『タイガ』では新しいウルトラマン達の引き立て役の位置に来た感じでちょっと寂しい。

 

タロウを倒したベリアルに立ちはだかるウルトラマン達。
当初の予定ではここでベリアルと戦うのは一般の宇宙警備隊員だったのだが、それだけでは寂しいと言う事でM78関連で出せそうなウルトラマン達が登場する事となった。こうして『USA』からスコットとチャックとべス、『G』からグレート、『パワード』からパワード、『ネオス』からネオスとセブン21、『マックス』からマックスとゼノンが登場する事となった。『メビウス』ではパラレルワールド扱いとして出番が無かった彼らだったが、本作によってそれらパラレルのM78世界のウルトラマン達も出られるようになった。
こうして他のウルトラマン達と並ぶとグレートとパワードのスーツの質感の違いが際立つ。
かつてアメリカで戦ったパワードが同じくアメリカで戦っていたべスをメガ・スペシウム光線で撃ってしまったのが印象的。ベリアルによって盾にされてしまったべスは本当に災難だった。
マックスは『マックス』で見せた能力を考えたらウルトラ兄弟以上にベリアルと戦えそうなのだが、元々は出番が無い予定だったからか良いところ無く敗れてしまった。
ゼノンは初戦がゼットンで2戦目がベリアルと対戦相手に恵まれなさすぎて未だに白星が無い……。
最後にユリアンに一言。王女なんだから最前線で戦っちゃ駄目だ!

 

メビウスとヒカリのコンビも退けたベリアルに挑むのはゾフィーと初代マンとセブンの3人。さり気にこの3人が一緒に戦うのは珍しい。さすがにウルトラ兄弟の中でも実力上位の3人だけあってベリアル相手にも善戦したが最終的には敗れてしまった。
この時のゾフィーは足技を中心に戦っていたので、ゾフィーは足技主体の戦士と言う印象が自分の中に出来た。
初代マンが矢継ぎ早に攻撃を仕掛けるイメージが無くて今回のベリアル戦は何となく違和感を覚えた。
この戦いはビルの壁面を舞台にしていて、空を飛べるウルトラマンならではの重力を無視した戦いだったのだが、馴染みの無いクリスタルのビルだったのでパッと見だと位置関係が分かり難く、せっかくの重力無視の戦いもあまり効果を上げられていなかったように思えた。

 

クリスタルタワーの中でベリアルを迎え撃つはジャックとエースと80の3人。
ジャックが久し振りにウルトラランスを使ってくれたのが嬉しい。
『80』でウルトラ兄弟の救援が無かったので、他のウルトラ兄弟と一緒にいる場面が極端に少ない80がジャックやエースと一緒に戦ったのも嬉しい。まぁ、この戦いでTVシリーズから続いた無敗記録が途絶えてしまうのだが……。
ところで実力的にはジャック達3人よりゾフィー達3人の方が上だと思うので、ゾフィー達が敗北した後にジャック達の戦いを持ってきたのは構成的に失敗だった気がする。ここはメビウスとヒカリのコンビから始まり、次にジャックとエースと80、その次にゾフィーと初代マンとセブンにして、最後にウルトラの父と段々と強くしていくのが定石だったと思う。

 

遂にプラズマスパークに手が届いたベリアルを止めたのはウルトラの父
ウルトラの父「ベリアル! ウルトラ戦士の心を無くしたのか!」、
ベリアル「ウルトラ戦士の心なんて何万年も前に捨てたよ。俺は宇宙最強の力が欲しいだけだ!」。
この時のウルトラの父が強い! 何とギガバトルナイザーを持ったベリアル相手に優勢に戦っている! デビュー戦だった『A』の「奇跡! ウルトラの父」でヒッポリト星人に敗れているのでイマイチ強いイメージが無かったのだが、それを払拭する強さ!
この一連の戦いで歴代ウルトラマンがベリアルの噛ませ犬になったと言う意見を聞くが、実はこの戦いはベリアルではなくてウルトラの父の強さを示す為のものだったのではないかと思う。実際、ベリアルはウルトラの父の古傷を集中攻撃して勝てたわけで、純粋な戦闘力ではベリアルよりウルトラの父の方が上と言う事が示されたわけだし。

 

長谷川理恵さんが演じるウルトラの母の声は夫であるウルトラの父や息子のタロウと比べると確かに若すぎる。『ウルトラマン物語』や『メビウス』での池田昌子さんの声がイメージに合っていただけに余計に違和感を覚えた。

 

ベリアルにプラズマスパークのエネルギーコアを奪われたウルトラの星は本来無いはずの冬に襲われて氷の惑星になってしまう。『レオ』の「決闘! レオ兄弟対ウルトラ兄弟」「レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時」の時のウルトラキーもだが、ウルトラの星はアイテム一つで滅亡の危機に陥る非常に危なっかしい星だ。
大寒波が襲来する中、とっさに反応してバリヤーを展開した初代マンとセブンはさすがである。ゾフィーはカラータイマーが赤く点滅する程のダメージだったので動けなかったのは仕方が無い。
ウルトラマン達が次々と倒されてウルトラの星が滅亡の危機に陥るのは内山さんの漫画を思い出させる。35年余りの時を経て遂に実写は漫画でしか表現できなかった映像を作れるようになった。

 

ウルトラの星の全ての希望を無くさない為にタロウは自身の炎のエネルギーで最後の光を守る。ここはウルトラマンの中でも炎の技を使える事、この後に中心になって動くメビウスの教官である事からタロウと言うキャラクターの設定を上手く使ったと言える。
その一方で、昔だったらここでタロウが生き延びてベリアルと戦うのだが(ベリアルとの因縁を考えたらウルトラの父と母の実子であるタロウがベリアルと戦って勝つ方が分かり易いし)、その役割がメビウスやゼロに代わったところに世代交代を感じる。

 

ベリアルとの戦いで宇宙空間に放り投げられていたメビウスはそのおかげで大寒波を浴びずに生き延びる事が出来た。
光の国に帰還したメビウスに初代マンとセブンはベリアルと同じ遺伝子を持つ地球人のレイオニクス、レイブラッド星人の血を引き怪獣を操る力を持つ青年、すなわちレイの協力を仰ぐよう伝える。
ここは大怪獣バトルシリーズで実際にレイと会っている初代マンとセブンなので納得の人選。

 

本作に登場するムサシは杉浦太陽さんが演じているが『コスモス』とは無関係。『超ウルトラ8兄弟』のウルトラ兄弟みたいなものなのかもしれない。
このムサシはZAP SPACYのエリートクルーで組織内で強い権限を持っていてスペースペンドラゴンのクルーを陰から支えていると言う設定。

 

惑星デントは地球によく似た環境の惑星で将来は地球人の新たな足場になるかもしれない惑星との事。
惑星デントに降り立ったレイにハルナは地球の自然について教える。と言う事はこの時点でレイはまだ地球に降り立っていない事になる。『大怪獣バトルNEO』の「惑星崩壊」で「故郷(地球)に帰る」と言う台詞があったがまだ地球に降り立ててはいなかったようだ。まぁ、地球でのレイの扱いが色々と難しいからな……。

 

怪獣が確認されていなかった惑星デントに怪獣ザラガスが出現。これは冒頭にも説明があったマイナスエネルギーの影響だろう。劇中では語られていないが、この調子だと地球にも半世紀振りに怪獣が現れてもおかしくない状況だ。
ゴモラザラガスの戦いは『初代マン』での着ぐるみの改造繋がりと言うマニアックなチョイス。今回登場のザラガスも『大怪獣バトル』で使われたゴモラの着ぐるみを改造したものとなっている。
怪獣同士の戦いの場面にレイなどの人間を組み込んで怪獣の巨大感や重量感が表現されている。
レイとZAPクルーの完璧な連携に一緒に戦ってきた時間の長さを感じる。
攻撃を受ける度に強くなっていくザラガスの特性が表現されなかったのがちょっと残念。

 

怪我を負いながらも惑星デントにやって来たメビウスはレイを連れて再び宇宙へ。て、おい! 皆に説明してから連れて行って! どうもウルトラマンは最初のコンタクトが強引だ……。
この時のミライの格好が『T』の「ウルトラの国大爆発5秒前!」「ウルトラ6兄弟最後の日!」でウルトラ兄弟が全員集合した時の服をイメージさせるものだったのが嬉しい。

 

ミライが語るウルトラ一族の真実で27万年前のウルトラの星の光景が描かれる。
『T』の「燃えろ! ウルトラ6兄弟」で内山さんのイラスト付きで語られたウルトラの星の歴史が実写で再現された。まさかウルトラマン誕生の瞬間を映像作品で見られるとは思わなかったので映画館で見た時に感動した記憶がある。
この場面でウルトラマンの先祖の光の国の住人を演じているのは内山まもるさんと『初代マン』で初代マンのスーツアクターを務めた古谷敏さん。これ以上無い見事なキャスティング。
因みにウルトラの星の歴史はこれまで「26万年前」と語られていたが、本作ではそれが「27万年前」になっている。『大怪獣バトル』の設定と合わせて『T』や『メビウス』の時代から相当の時間が経過している事が分かる。『Q』から『メビウス』までの今まで自分達が見ていた話が万単位で過去の出来事になっていると言うのは寂しいものがある。

 

光の国の長い歴史の中で力の誘惑に負けた唯一人の者ベリアル。
プラズマスパークの光を独り占めしようとして失敗し宇宙の果てに追放された後、光の国を憎む気持ちをレイブラッド星人に付け込まれ、ウルトラマンとレイオニクスの力を持った存在へと変貌した。
「光の国ただ一人の犯罪者」と言うのはベリアルのオンリーワンを際立たせたが、他に犯罪者がいないと言うのは設定的には後の展開の妨げになった気がする。(まぁ、後に『タイガ』でトレギアが登場するわけだが)
現在のベリアルになる前の姿は「アーリースタイル」と呼ばれている。銀と赤と言うオーソドックスなウルトラマンのデザインでありながら、どこか「違う」と言う感じを抱かせる面白いデザインになっている。
ベリアルの声を担当しているのは雨上がり決死隊宮迫博之さん。当初は芸人がウルトラシリーズの悪役を担当する事を不安視されていたが、それを吹き飛ばす程のハマり役となった。
レイブラッド星人の声を担当しているのはプロレスラーの蝶野正洋さん。アフレコに慣れない感じはあるものの威厳のある声で、個人的な感想を述べるのなら小物臭さを感じた大怪獣バトルシリーズのレイブラッド星人よりこちらの方が好き。

 

メビウス』の「絶望の暗雲」で描かれたエンペラ星人との戦いではウルトラの父は既に髭が生えてウルトラホーンも現在と同じ大きさになっていたが、本作で描かれたベリアルの乱に登場するウルトラの父は髭が無くてウルトラホーンも小さい。
説明によると、ウルトラの父はエンペラ星人との戦いで真の力に目覚めて現在の姿にパワーアップしたが、ベリアルとの戦いではかつての仲間に対して真の力を使う決断が出来ずパワーアップする前の姿になっていたとの事。そして、この時の反省からウルトラの父は常にパワーアップ状態のままでいる事にしたらしい。(だからエネルギー消費が早いんじゃないのかと言う気がするが……)

 

このベリアルの乱の場面でウルトラの父の名前が「ウルトラマンケン」、ウルトラの母の名前が「ウルトラウーマンマリー」と言う事が判明する。
まさか登場から35年近く経ってウルトラの父と母の名前が明かされるとは思わなかった。個人的にセブンの息子が登場したのと同じぐらい衝撃だった。
二人の名前の由来は日産のスカイラインのコマーシャル『ケンとメリーのスカイライン』から。

 

ゾフィーも光の国の勲章スターマークや宇宙警備隊隊長の証ウルトラブレスターをまだ付けていない若かりし頃の姿が描かれている。
過去に現在にとゾフィーはベリアル相手には散々な目に遭っている。そして、奇妙な縁と言うものなのか『オーブ』ではベリアルと共にサンダーブレスターを構成する事になる。

 

ベリアルがプラズマスパークの光を独り占めしようとしたのはエンペラ星人の力に惹かれた事と自分ではなくウルトラの父が宇宙警備隊の初代隊長に選ばれてプライドを傷付けられた事が発端との事。ベリアルと父と母はどのような関係だったのか気になる。
メビウス』で倒されたエンペラ星人だが、その存在はいまだもって宇宙に災いをもたらしている……。

 

本作でキングの声を担当しているのは元総理大臣の小泉純一郎さん。まさか元総理大臣がウルトラシリーズに出演するとは思わなくて、かなり驚いた。
初めてのアフレコで大変だったか、清川元夢さんが演じている時に比べてキングの余裕やユーモアと言ったものが感じられず、顔の造詣が変わった事と相まって、本作のキングはややとっつきにくい印象がある。

 

メビウス』からの流れを引き継いだ最強のウルトラマンと言う設定と『大怪獣バトル』からの流れを引き継いだ最強のレイオニクスと言う設定を併せ持ったベリアルを倒す為に『メビウス』の主人公であるウルトラマンメビウスと『大怪獣バトル』の主人公であるレイオニクスのレイが力を合わせると言う展開。
ベリアルはウルトラの父と母と因縁があり、メビウスはその父と母の息子であるタロウの教え子となっている。かつてベリアルが惹かれたエンペラ星人も倒している等、世代は違うが実はメビウスはベリアルとの縁が深かったりする。
レイオニクスバトルを終えてレイブラッド星人との宿命を断ち切ったレイ。かつては自分の為に戦っていたレイが仲間の為を経て今度は宇宙の為に戦うと言う成長が良い。

 

凍結された光の国での戦い。
円谷プロ同族経営が終了したからか、円谷粲さんの名前から名付けられたアギラが久し振りの登場。何と映像作品では『ファイト』以来!
これによって遂にカプセル怪獣3体揃い踏みが実現した。『セブン』から42年。長かった……。
かつてはヤラレ役として有名だったカプセル怪獣もいつの間にか成長していて、ドラコ、ベムスターサラマンドラを撃破する大活躍。特にミクラスはほんの少し前の『大怪獣バトルNEO』での情けない姿はどこに行ったんだ?と聞きたくなるほどの頼もしさであった。

 

仮面劇が基本の本作だが光の国では生身アクションが見られる。本作はミライ、ハヤタ、シャプレー星人、ゼットン星人と銃を使う宇宙人が多い。特に大型銃を持って颯爽と現れるハヤタの姿はビックリ!

 

ミライが使用する銃がCREW GUYSのトライガーショットだったのが嬉しい。劇中時間だとさすがに何百年前の物なんだ?と言うものなのだが、ミライとCREW GUYSの変わらぬ絆を感じる。怪獣墓場の戦いでメビウスがバーニングブレイブに変身できたのも、この時を経ても失われなかった絆があったからと言える。因みにこのトライガーショットについては『タイガ』の『トライスクワッド ボイスドラマ』の「未来の思い出」で説明がある。 


【ウルトラマンタイガ】『トライスクワッド ボイスドラマ』第1回「未来の思い出 前編」-公式配信- "Tri-Squad Voice Drama" episode1

 


【ウルトラマンタイガ】『トライスクワッド ボイスドラマ』第2回「未来の思い出 後編」-公式配信- "Tri-Squad Voice Drama" episode2

 

シャプレー星人がまさかの再登場。そして強い! ミライ、レイ、ハヤタ、ダン相手に互角以上に戦うって、そんなに格闘が強い奴だったっけ?と思った。
ミライのメビウスブレスを破壊して変身不能に陥らせるが、ウルトラシリーズで変身道具を破壊しに来た敵は意外と少ない。

 

ハヤタやダンの格好は『T』の「ウルトラの国大爆発5秒前!」「ウルトラ6兄弟最後の日!」でウルトラ兄弟が全員集合した時の服をイメージさせるものだが、何となくスター・ウォーズシリーズのジェダイの騎士も連想させるものになっていて、本作の内容もスター・ウォーズシリーズのジェダイの騎士とダークサイドに堕ちた者の対決と通じるものがある。

 

レイの援護を受けながらプラズマスパークタワーに辿り着いたミライ、ハヤタ、ダンの3人はタロウが守った最後の光を受け取って変身する。
何かを掲げて変身するのが多いウルトラマンの中で、ベーターカプセルの初代マン、ウルトラアイのセブン、メビウスブレスのメビウスと今回は変身方法が全く異なる3人の同時変身が見られた。

 

メビウスに「まだ若いけれど無限の可能性を秘めた戦士」と紹介されるゼロ。遂にメビウスより年下のウルトラマンが登場した。
そのゼロは現在はK76星でレオの修業を受けていた。K76星はM78星雲とL77星の流れを継いだネーミング。
メビウス』に本作にと実際に拳を交えて修行を行う場面があるせいか、かつてはセブンの弟子だったレオも今では師匠のイメージが強くなった。
この時にゼロが装着させられているのはテクターギアと言う訓練用アーマーで装着者の身を守ると同時に身に付けた者の能力を封じ込めると言うもの。修行の末にゼロはこんな物を身に付けている状態でもレオと格闘できる程に成長した。なんか『巨人の星』の大リーグボール養成ギプスを思い出す。
このテクターギアは本作の隠し玉であるゼロの姿をクライマックスまで隠すと言う効果もあった。
上半身にプロテクターを集中させたテクターギアのデザインは実は父親であるセブンのデザインコンセプトと同じだったりする。
かつてゼロは強さに憧れてプラズマスパークの力に手を出した事があったが、その時は未熟だった為にベリアルと同じように巨大な力に溺れて邪悪に心を奪われてしまうところだった。ここでゼロとベリアルが対比されて二人の因縁を作られた。又、ここで語られた「正義を持たない力の危険性」と言う話でレイはバーストモードの自分を思い出し、レイとゼロの関係も作られた。
宇宙警備法を破ったとして光の国を追放されたゼロをセブンはレオに預けていた。これはセブンがレオを自分の息子を託すに相応しい存在と認めて信じている事を示している。『レオ』の頃を知っているとセブンがレオを信頼している事が嬉しい。

 

スペースペンドラゴンを襲撃するナース。このような人型ではない変形する怪獣はCG向き。
続いてスペースペンドラゴンの内部にゼットン星人が現れるが光と共にアスカが現れて格闘でゼットン星人を倒す。『ダイナ』では格闘が苦手だったアスカもいつの間にか強くなっていた。
演じるつるの剛士さんの関係でアスカが金髪になっているが、実はつるのさんは『ダイナ』終了後のインタビューで「次元を超えたアスカが戻ってきたら金髪になっているかもしれない」と冗談交じりに話していたりする。
「見たかぁ! 俺の超ファインプレー!」や「本当の戦いはここからだぜ!」と懐かしの台詞を言ってくれたのが嬉しい。

 

本作はニコニコ動画に『ベリアルの最強ルーム』と言う映画特設ページを開設して「今週の俺様」と言うベリアルの映画宣伝動画を配信していた。その企画の一環で本作の中にニコニコ動画のマスコットキャラ・ニワンゴが隠れ出演している。

 

ベリアルのギガバトルナイザーによる100体モンスロードはさすがの迫力なのだが、やはり数が多くなると個々の重量感が失われてしまい怪獣としてはやや残念な感じになった。
怪獣軍団の中にエレキングがいる。『大怪獣バトル』のエレキングとは別個体なのだろうが、レイ達がいる中でエレキングを敵として出してほしくはなかったかな。
尚、本作は『めちゃ×2イケてるッ!』とのコラボが行われ、映画出演権を懸けた怪獣オーディションが開催されてナインティナイン岡村隆史さん演じる「実力派中堅芸人プレッシャー星人」がカメオ出演を果たしている。

 

レイがレイオニクスだと知ったベリアルは「俺達は兄弟だ」として「仲間になれ」と持ちかけるが拒否される。そこでベリアルは「仲間の為、平和の為に戦っている」と言うレイを「レイブラッドの恥さらし」と切り捨てると、レイの中に眠るレイブラッドの闘争本能を刺激してバーストモードに変身させてメビウス達と戦わせてしまう。
ベリアルがレイをバーストモードに暴走させる事が出来たのは同じレイブラッド星人の遺伝子を持っているからと考えられる。
天上天下唯我独尊のイメージがあるベリアルだが、レイブラッドの力は高く評価しているらしくてちょっと意外だった。思えば、あのベリアルを変貌させたレイブラッド星人ってやっぱり凄かったんだな。
ベリアルはレイブラッド星人によって変貌したが、レイはその力を仲間との絆で克服している。それを見たからか、以降のベリアルはレイブラッドについて言及しなくなる。

 

怪獣墓場に到着したZAPクルーはダイナがベリアルを食い止めている間にバーストモードに暴走したレイを止めようとする。
ボス「お前は大切な俺達の仲間じゃないか!」、
オキ「そうだよ! レイ、もう一度、一緒に旅をしようよ!」、
ボス「いい加減に……目を覚ますんだー!」。
とボスはかつてレイがアイスラッガーを受けた胸の辺りに拳を繰り出し、それを受けたレイはバーストモードから正気へと戻った。こういう熱い拳の語らいはボス向きだ。
本作のボスは髭を生やしているが、男臭さが上がって似合っている。
尚、本作以降もZAPクルーの話は続くが、ハルナとオキは本作が最後の出演となっている。(以降の作品は名前のみの登場)

 

レイの暴走が止められたのを見たベリアルはZAPクルーを始末しようとするが、セブンがそれを庇って代わりに倒されてしまう。
セブンは最後の力を振り絞ってアイスラッガーで怪獣を倒すと、それを彼方に投げて力尽きてしまう。
一方、K76星では修行の最中に岩の下敷きになりそうになったピグモンを助けたゼロを見てレオがセブンの気持ちについて語り出す。後の『ゼロファイト』に登場するピグモンと同一の個体かどうかは語られていないが、ゼロとピグモンの縁はここから始まる。
そこにセブンが投げたアイスラッガーが来て、キングはベリアルが復活して怪獣墓場で暴れている事を知ると、ゼロがセブンの息子である事を明かし、テクターギアの戒めを解いてゼロを戦線復帰させる。
テクターギアの戒めはベリアルの宇宙牢獄と似た意味を持っていると考えられる。それならベリアルも一人で宇宙牢獄に幽閉させるのではなくて誰かが見守って心を救わせた方が良かった気がする。
ベリアルがセブンを倒し、ゼロがセブンの息子だと明かされた事で、ゼロには父親の敵討ちと言うベリアルとの因縁が作られた。
ところでゼロはセブンが自分の父親だと知らなかった。プラズマスパークのエネルギーコアを奪おうとした大罪を犯した後ならまだ分かるのだが、実際はその罪を犯す前、光の国で普通に暮らしている時からゼロは自分の父親がセブンである事を隠されていた。どうしてなのか気になる。劇中で明らかになっていないゼロの母親が関係しているのだろうか?

 

怪獣墓場に降り立ったゼロはセブンを助け出す。成長した息子の姿を見て「立派に……なったな……」と言って力尽きたセブンの手にゼロはアイスラッガーを握らせる。そしてベリアルの「誰だ!?」と言う問いかけに振り返ると「ゼロ! ウルトラマンゼロ! セブンの息子だ!」と力強く宣言するのだった。
かつて宇宙警備法を破ったとして「もうウルトラ戦士を名乗る資格は無い」とセブンに告げられたゼロが自分はウルトラマンゼロでセブンの息子だと名乗るのが感動的。
この場面でゼロの全身が初めて明らかになる。二つのアイスラッガーは有無を言わさぬインパクト。全体的に鋭いデザインでウルトラマンの中では異彩を放っている。
ゼロスラッガー、エメリウムスラッシュ、ワイドゼロショットとこれぞ主役!と言う感じの無双っぷりで怪獣軍団を一掃するゼロ。『メビウス』に大怪獣バトルシリーズにと近年のウルトラシリーズはバトル作品のパターンに則って敵味方共にドンドン強くなっていったがゼロシリーズで一気にインフレが加速したところがある。(『ドラゴンボール』で言ったら「無印」から「Z」に入った感じ)

 

ゼロとベリアルの戦いはゼロスラッガーを駆使してギガバトルナイザーを奪った後は完全にゼロ優勢な展開であった。ゼロ戦だけではなく、ベリアルは格闘戦になるとちょっと押されるところがある。光線技をほぼ無効にできるギガバトルナイザーに頼っていたところがあったので、レオから宇宙拳法を習得したゼロはベリアルにとって苦手なタイプだったのかもしれない。
ゼロツインシュートを受けて怪獣墓場の中にある溶岩に落とされたベリアルだったが、ベリュドラとして復活を果たす。

 

ベリュドラは「百体怪獣」と言う肩書きでベリアルもギガバトルナイザーで100体モンスロードしていたが、実はベリュドラを構成している怪獣の数は100体ではなくて226体らしい。かなりマニアックな怪獣も加わっていて、中には『科学特捜隊ベムラー』のベムラーまでいる。
ベリュドラは構成している怪獣一体一体がそれぞれ動いていてグチャグチャしたグロさが際立っている。

 

ベリュドラとの最終決戦に挑むゼロ達。
アストラの声がえらく若くて可愛らしくなっていたので驚いた記憶がある。クレジットに記載されていないので誰が演じているのか断定できないが、弟キャラに合っていた声だったと思う。
ウルトラマン達と一緒にEXゴモラも参戦するが、皆が空を飛んで向かう中、のっしのっしと健気に地面を歩いて向かっていくEXゴモラが可愛いかった。
皆が力を合わせても苦戦を強いられる中、レイは同じバトルナイザーなら自分の力が伝わるはずだとして、ギガバトルナイザーに捕らわれている怪獣達に力を送り込んでベリュドラに強制的に合体させられた怪獣達を反抗させる。
勝機と見たレオは「ゼロ! お前がやるんだ!」と告げ、ゼロはプラズマスパークのエネルギーコアの光を浴びて二つのゼロスラッガーを一つの刃ゼロツインソードに変形させる。
初代マン「聖なる光がゼロを選んだか!」。
そしてレオとアストラがウルトラダブルフラッシャーを、ダイナがソルジェント光線を、メビウスがバーニングブレイブに変身してメビュームダイナマイトを、初代マンがウルトラスラッシュを、EXゴモラがEX超振動波を、スペースペンドラゴンがペダニウムランチャーを放って援護する中、ゼロの最後の一撃プラズマスパークスラッシュがベリアルに繰り出される。
ベリアル「まだ終わらんぞ! この宇宙を手に入れるのだ!」、
ゼロ「その野望、俺が叩き潰す!」、
ベリアル「俺は……不死身だ!」。
こうしてベリアルは闇に消え、ベリュドラは大爆発を起こして崩壊するのだった。

 

戦いが終わり、ゼロはエネルギーコアをプラズマスパークタワーに戻して光の国を元の光り輝く星へと戻す。
ZAPクルーは光の国に招かれ、光の国をこの目で見た映像作品では初めての地球人となる。ハヤタが言うにはウルトラの星の光は地球人には強すぎるのでバリアーから出てはいけないらしい。光を浴び続けたら地球人もウルトラマンに進化するのだろうか?
「色々とありがとうございました」とお礼を述べるボスにハヤタは「いやいや、感謝すべきなのは我々の方だ」と言って自ら手を差し出して握手を交わし、続いてレイに向かって「レイ、君には本当に世話になったな」と『大怪獣バトル』の頃からのお礼を述べる。
「いつか一緒に地球へ」と言うミライの言葉にレイも「あぁ、いつか必ず」と答え、レイとミライも固い握手を交わす。
そしてアスカは任務に戻る事になったZAPクルーに「俺が途中まで送っていくよ、俺もまだ旅の途中だからな」と言い、「宜しくお願いします」と言うボスの言葉に懐かしの「ラジャー!」で答える。
本作でスペースペンドラゴンには『ダイナ』に登場したネオマキシマドライブが搭載されている事が明らかになったが、そう言えばZAP SPACYの任務である「宇宙開拓」は『ダイナ』が掲げたネオフロンティアの発展と見る事が出来る。

 

本作ではメビウスとダイナが青い光を出現させて飛び込む場面があるが、この青い光は『T』の「これがウルトラの国だ!」でタロウが使ったトゥインクルウェイとの事。
本作では時空間を移動する『ドラゴンクエスト』の旅の扉みたいな感じになっている。

 

光の国に平和が戻り、幸せそうな親子を見て俯くゼロの前に復活したセブンが現れる。
セブン「さすが……俺の子だな」、
ゼロ「親父……」。
そして二人はわだかまりを捨てて抱き合うのだった。

 

光の国の人々を集めてキングがウルトラマンの心得を説く。
この場面は『ウルトラマン物語』のラストでウルトラの父ウルトラ兄弟に向けて語った言葉に通じるものがある。
「ウルトラの戦士達。我々は正義の力を取り戻し、今、ここに再び立ち上がった。だが、全ての悪が滅びたわけではない。宇宙には様々な脅威が潜んでいる。我々は弱き者を助け支える為にこれからも戦い続けなければならない。それが我々ウルトラ戦士の使命なのだ。新たに立ち上がろう! 光の国の勇士達! 平和と正義の為に! 遥かなる全宇宙の未来の為に!」。
この演説場面の為に小泉元総理がキングにキャスティングされたのかなと思う。

 

一方、宇宙の片隅にて横たわっているベリアル、その目には邪悪な光が……。

 

主題歌はMISIAさんの『星のように…』。
特撮に縁の無い人だったので驚いたが、MISIAさんが設立した非営利団体『Child AFRICA』のスペシャルサポーターにウルトラマンが就任した事が今回の起用のきっかけになったとの事。
MISIAさんとウルトラマンは地球の子供達を守る事をテーマに「星空の警備隊」を結成している。

 

 

 

 

 

 

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