帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「さすらいの太陽」

「さすらいの太陽」
ウルトラマンオーブ』第25話
2016年12月24日放送(第25話)
脚本 中野貴雄
監督 田口清隆

 

超大魔王獣マガタノオロチ
身長 77m
体重 8万8千t
圧倒的な力で街を破壊していくが、以前にマガオロチが地中にエネルギーを照射した際、ご神木の部分だけ聖なる気に阻まれてエネルギーが届かず、その部分だけ不完全のままであった。
SSPとビートル隊によって顎の下が不完全である事を見抜かれ、共闘したオーブとジャグラーの反撃を受け、最後はジャグラーに押さえ込まれたまま、オーブスプリームカリバー、ウルトラフュージョンカードの全ウルトラマンの光線、オリジウム光線を受けて倒された。

 

物語
ガイとジャグラーに決着の時が来る。
そして超大魔王獣マガタノオロチを倒す為、皆が力を合わせる時が来た!

 

感想
今回の隠されたサブタイトルは『Q』の「あけてくれ!」。放送順だと『Q』で一番最後に放送された話になるので、ウルトラシリーズ最初の最終回と言える。

 

ジャグラーがナオミを人質に取ってガイをビックリ箱でからかう場面は『バットマン』のジョーカーを思わせるものであった。又、ガイとの思い出を語る場面は『ブレードランナー』でレプリカントが最後に自分が見てきたものを語る場面を思い出した。
『オーブ』はウルトラマンシリーズ放送開始50年の作品であるが、ウルトラシリーズ以外の作品の要素も取り込む事でこれまでとは違うウルトラマン像を作り、ニュージェネレーションヒーローズシリーズと言う新たな流れを定着させる事となった。

 

真正面から堂々と「愛」を語るガイ。
ウルトラシリーズでは「光」とか「希望」とか「勇気」とかは結構使われているけれど「愛」は意外と少ないかな。
日本の作品だと「愛」を語るのは少々照れくさいところがあるのだが、それを照れずに真正面から堂々と語れるのはガイと言うキャラクターだからこそと言う感じがする。

 

「太平風土記」は昔の予知能力者が未来を幻視した書物で、ナオミが見ていた夢はナターシャの記憶であった。第1話から重要な要素として出ていたもののうち、「太平風土記」は未来を、ナオミの夢は過去を示していた。そして「太平風土記」が未来を記していた事が明らかになる事でマガタノオロチを倒す方法が判明し、ナオミの夢がナターシャの記憶である事が明らかになる事でガイとジャグラーの争いに終止符が打たれるのであった。

 

100年前にナターシャを助けたのはジャグラーであった。
ジャグラーの心にはまだ光が残っている事を知ったガイはジャグラーを殴った後に抱き締めて「ありがとう」とお礼を述べる。
この後のナオミがジャグラーを叱咤する場面もだが、ガイもナオミもジャグラーがナターシャを助けた事にちゃんと感謝しつつもジャグラーが今まで犯してきた罪については殴って「いい加減にしなさいよ!」とちゃんと怒っているのが良かった。
『オーブ』と言う作品はジャグラーを救済しなければ終われないのは分かるが、それはそれとしてジャグラーの行為によって生じた被害者の存在は無視してはいけないので。

 

ジャグラーの魔人態の胸にある三日月の傷はルサールカ大爆発の時に付いたらしく、ナターシャを助ける直前の場面では胸に傷が無い。
ガイと同じように弱い者を放っておけなかったジャグラーがオーブのカラータイマーのように胸に円の傷を受けると言うのが上手い。完全な円ではないけれど、それでもジャグラーの胸にはオーブと同じものが宿っていた。

 

ウルトラマンさん! ティガさん! 光の力、お返しします!」。
走りながらスペシウムゼペリオンに変身するガイ。こう言う最終回のみの特別な変身シーンは燃える!(「光の力、お返しします!」と言っていながら結局光の力は返していなかったりするが)

 

マガタノオロチの話は前後編になっていて、オーブは前編に当たる前回の「逆襲の超大魔王獣」でハリケーンスラッシュとサンダーブレスターを使い、後編に当たる今回でスペシウムゼペリオンとバーンマイトを使っている。

 

「何なんだよ……。何がしてぇんだ、俺?」。
「エピソード10構想」を含めた『オーブ』の物語は「ジャグラーの自分探しの旅」と言う部分がある。TVシリーズは第6章になるが、ジャグラーが自分は何をしたかったのかに気付く大事な章となった。

 

ガイの絶体絶命の危機にジャグラーが助けに来る!
ジャグラーがガイに手を差し出し、遂にガイとジャグラーが並んで立つ。ここが『オーブ』のクライマックスと言える。
少し前の場面でもガイとジャグラーとナオミが画面手前にいて、マガタノオロチが画面奥に配置されていて、今回の話のポイントがマガタノオロチではなくガイとジャグラーとナオミである事が示されていた。

 

渋川さんのビートル隊での地位が「情報特務隊隊長」である事が判明。長官と直接やり取りをし、ゼットビートル全機に直接指示を出す事が出来るほどの権限を持っていた。
渋川さんが実は偉い人だった事が判明した事で、これまでジェッタやシンが集めていた情報は渋川さんを通してビートル隊にちゃんと伝わっていた事が分かり、前回の「逆襲の超大魔王獣」で岸根夫妻がSSPのサイトを見ていて「太平風土記」を渡すのに相応しい相手と判断したのと同じくSSPの活動が無駄ではなかった事が証明された場面となった。

 

ナオミの夢によってジャグラーが実はナターシャを助けていた事が判明し、ジェッタとシンが「太平風土記」の本当の目的を突きとめた事でマガタノオロチの弱点が判明し、それを渋川さんがビートル隊を使って明らかにし、オーブとジャグラーのパンチがマガタノオロチの弱点に炸裂する!
登場人物や設定全てにちゃんと意味を持たせて最後の逆転に繋げる流れが見事!

 

弱点を暴かれたマガタノオロチは触手でジャグラーを捕らえる一方で、マガタノオロチを倒せるほどの攻撃力を持つオーブに対しては触手で弾いて牽制をしていた。その直後にジャグラーを盾にするように捕らえていたが、これはジャグラーを人質にしていたのかな?
これまで知能と言うのを殆ど感じさせず、ただ本能のまま暴れているだけに見えたが、ひょっとしたら、知能が急速に発達していて、いずれ知恵を使った戦いもするようになっていたのかもしれない。

 

マガタノオロチに捕らえられたジャグラーはガイの方を振り向くと「俺と一緒に撃て! 撃てぇ! ウルトラマンオーブ!」と叫ぶ。まさかジャグラーがそんな事を言うとは。
ジャグラーの覚悟を感じ取ったオーブはウルトラフュージョンカードを全て出すと「諸先輩方、光の力お借りします!」と言ってウルトラフュージョンカードの全ウルトラマンの光線を出し、それと一緒にオーブスプリームカリバーとオリジウム光線を放ち、遂にマガタノオロチを倒すのであった。

 

あくまで力だけで意思は無かったとは言え、ベリアルが他のウルトラマン達と一緒に光線技を撃つ場面は違和感があってちょっと笑ってしまう。
しかし、ベリアルも光の側としたのは次作『ジード』の伏線と考える事も出来る。

 

マガタノオロチが倒されて皆が喜ぶ中、菅沼長官は「作戦終了。お疲れ様」と無表情のまま作戦室を退室する。と思いきや直前にホッと気が抜けた表情を見せている。
菅沼長官は今回の前後編のみの登場であったが、渋川さんとのやり取りなど短いながらも色々な面を見せていて興味深い人物であった。
因みに菅沼長官を演じた佐野史郎さんは同じ時期に『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』に財前美智彦役として出演している。

 

個人的には前回の「逆襲の超大魔王獣」で避難中に親とはぐれた女の子のその後を入れてほしかった。
前回の話で怪獣によって人々が泣いて避難する場面を描いたのなら今回の話でウルトラマンによって人々が笑って家に帰る場面を描くべきだったと思う。

 

ガイとナオミの別れの場面は夜と夕方の違いはあるが『セブン』の最終回「史上最大の侵略 後編」でのダンとアンヌの別れの場面が意識されている。
ナオミ「私、気が付いてた。ガイさんが星から来た人だって。でも、怖くて言い出せなかった……。それを言ったらガイさんがいなくなっちゃいそうで……。行ってしまうの?」、
ガイ「あぁ、海の向こうでも大変な事が起きている。俺の旅はまだ終わらない」、
ナオミ「私も連れて行って!」、
ガイ「え? ……バカ言うなよ。俺は銀河の流れ星だぞ」、
ナオミ「ふふ……。冗談に決まってるでしょ」、
ガイ「じゃ、達者でな」、
ナオミ「待って……! 最後に……あの曲を聴かせて」。
ナオミの頼みにガイは無言でオーブニカを取り出していつもの曲を吹くのであった。
ガイとナオミの別れは風来坊モノらしい別れとなった。
ダンとアンヌの別れが悲壮感溢れるものだったのに対し、ガイとナオミの別れは爽やかさと暖かさを感じるものとなっている。
ナオミ「きっと、また会える。だって、地球は丸いんだもん」。
蛇心剣を残して姿を消したジャグラーも生存が明らかになり、一つの物語を終えた彼らは新たな物語を始めるのであった。

 

 

 

 

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